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2012年6月20日 (水)

現代に通じる「シレンとラギ」

611日 「シレンとラギ」(青山劇場)
個人的事情によりあまり気乗りのしない日だったのだけど(チケット取る時は夢中になって、当選しやすい夜の部にまでしたのに:最近、人気公演は昼の部が取りづらい)、チケットを売ったり(高いチケットだったから差し上げるというのも…)交換したりする手間暇、神経が面倒で結局行くことにした。活劇としての単純な面白さの中に、ギリシア悲劇と南北朝を組み合わせながら混迷している現代の日本あるいは世界を反映している面白さがあった(いのうえ歌舞伎なのでカテゴリーは歌舞伎ミーハー観劇記にしました)。
時間が経ってしまったので、思ったことを脈絡なく。ちゃんとしたレポはきびだんご様(→ココ)とスキップ様(→ココ)のところで。
・オイディプス:先日見た「海辺のカフカ」もオイディプス。ほんと、オイディプス好きだよね~。というか、オイディプスが文学に与えた影響の大きさをつくづく感じる。しかしオイディプスの悲劇的終結と違ってこちらにはそれを乗り越える未来がある。
・南北朝:北の王国、南の王国はもちろん南北朝を表しているし、シレン→阿野廉子、ラギ→義良親王(後村上天皇)、ゴダイ→後醍醐(ラギが「六代」になったのでゴダイは「五代」にも通じる?「六代」でいがみの権太を思い出してしまった)、キョウゴク→佐々木(京極)道誉、ダイナン→大楠公、シンデン→新田義貞等々の名前もそう。
・マインドコントロール、カルト:毒ガスなんてまさに…。
・家畜人ヤプー:あの衝撃が甦ってきて、ちょっとぞっとした。
・殺人集団狼蘭族:「蛮幽鬼」を思い出す前に、むか~し読んだインドの殺人集団の本(何百冊とある自宅の文庫本から探し出そうとしたが無理。で、題名は不明)で、そういう集団が19世紀半ばまで実在したことに衝撃を受けたのを思い出してしまった。
・永作博美はチャーミング。声に力を入れる時がとくに好き。気乗りしなくても見る気になったのは永作さんが出演しているから、っていう部分もかなり大きい。しかし小柄なのに体力あるなあ。
・右近健一、粟根まことのキャラはだいたいいつも同じような気がする。右近さんのヘンな声の出し方は最初は面白かったが、最近はちょっと控えてもいいんじゃないのと思う。
・高橋克実の存在感、大きさ(なんか、すごく大きさを感じた)、かっこよかった。カッツミーはテレビのバラエティーでへらへらした姿しかほとんど見ないから。
・ギセン(足利義詮、三宅弘城)の「もう王様でなくていいんだ」とはしゃぐ姿が、教育ママの抑えつけから解放された子供を見るみたいで、なんかほっとした。

・シンデン(北村有起哉)は残念ながら意外と存在感なかったかも。
・古田新太というかキョウゴクにはだまされたなあ。古田さんは悪役をやっても愛敬が出る役者さんだと思っていたが、キョウゴクには愛敬を感じなかった。キョウゴク、ちいちぇ~男だな、と思った。
・ラスト、シレンが「行きましょう」と言うと、ラギが「今の言葉は女として? 母として?」と尋ねる。誰でもすぐにわかるその答え、私も心の中でシレンと一緒に「人として」と答えていた。
<上演時間>第一幕100分(18001940)、休憩20分、第二幕75分(20002115

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コメント

こんにちは。
リンクありがとうございます・・・が、ちっともちゃんとしたレポじゃないんで、赤面してます。
なんかねー、いつも(どんな役でも)カッコイイ古田(私の中では)を見たい、それで満足したいと思ってるんですが、ちょっと違いましたよね。たまたま、以前、古田さんが演じられた藪原検校が上演中なので、今はそれも思い出したりしてしまいます。
私が見た時には、まだオウム特別手配犯は2人残っていましたが、洗脳とか、ほんとタイムリーな話題です。うさんくさげだけど(だから)大きな存在のゴダイ。高橋克実がほんとよかったですね!

投稿: きびだんご | 2012年6月20日 (水) 13時50分

きびだんご様
こんばんは。コメントありがとうございます。
いえいえ、ちゃんとしたレポですよ~。きびだんご様のレポで見ようかなという気になったのですし。
古田さんのキョウゴク、最初はかっこいいと思っていたのに、な~んだという男でした。たまにはそういう古田もあり、なのかな。藪原検校、昨日見てきました(頭痛で…)。私も古田さんの杉の市を思い出していました。
ゴダイは死んでからも存在感が消えることなく、それは高橋さんの演技力によるもの、と思いました。
このお芝居の上演中にあの2人が逮捕されて、不思議なほどタイムリーでしたね。

投稿: SwingingFujisan | 2012年6月20日 (水) 21時35分

SwingingFujisanさま
拙文をリンクしていただき、ありがとうございました。
いやしかし、きびだんごさま同様、お恥ずかしい(*´v`*)

そうそう、キョウゴク、ちいせぇ男でしたね(笑)。
どうせ悪ならもっと極悪であってほしかったと思いました。
古田さんの悪役、大好きなので。
高橋克実さん@ゴダイは、悪役ではないですものね。
むしろカッコイイし。役者さんってほんとにスゴイ。

明日・・というかもう今日、大阪で「海辺のカフカ」を観て
週末に「シレンとラギ」を観ます。
東京での進化ももちろんですが、自分の感じ方が
どんなふうに変わるのかも楽しみです。

投稿: スキップ | 2012年6月21日 (木) 00時43分

スキップ様
こんばんは。コメントありがとうございます。
スキップ様のレポはその都度深く考えていらして素晴らしい(私、そんなに深く考えなかった…)。
キョウゴクの小ささは、偉そうなこと言っても悪人なんてそんなものなんだ、ってことの皮肉でしょうか。
高橋さん、テレビで見るのとは大違い。こんなに大きくてかっこいい役者さんだとは思いませんでした。

「海辺のカフカ」は原作をかなり読み進んだので(でもまだ最後まで読み切っていない)、この時点でもう一度見たいです。もっと早く読んでおけばよかった。

スキップ様の観劇にかける情熱に感激です!! お体にお気をつけて東京での「シレンとラギ」をお楽しみくださいませね。

投稿: SwingingFujisan | 2012年6月21日 (木) 01時16分

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