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2012年7月31日 (火)

澤瀉屋襲名公演千秋楽夜の部②:口上、黒塚、楼門五三桐

729日 七月大歌舞伎千穐楽夜の部(新橋演舞場)
「口上」
團十郎さん、初日には亀ちゃんと共演したパリ公演を昭和19年と言ってしまったが、今日はちゃんと平成になっていた。前回と同様、フランス語での口上体験をユーモラスに語った(自分はカタカナを一生懸命に覚えてお経のように唱えただけなのに、フランス人が勝手にわかってくれて笑ってくれたという不思議体験をした。フランス人にウケた猿之助さんのフランス語は自分には何のことかさっぱりわからないかった)。以下、初日とほぼ同様。猿翁さんとは「勧進帳」「大杯」などでご一緒した(「大杯」は知らない。見たい)。段四郎さんとは同年輩で遊び仲間だった。中車さんとはこれを機会にもっと共演したい。團子さんは千穐楽まで立派に勤め上げたことにただただ感心する。
海老蔵さんも初日と同様、猿翁さんへの敬愛の気持ち、亀ちゃんとはロンドン・アムス公演(平成20年だった)で「かさね」を一緒に踊ったこと、ライオンキングの話、亀ちゃんの猿之助・猿翁・スーパー歌舞伎に対する思いを聞いていたので1カ月間アツい気持ちでいた。中車さんはステキな方、同じ市川家として一緒に精進するのでよろしく。團子さんは肝の据わった子である。頼もしい後輩が入ってくれてうれしい。有言実行を(猿翁のおじいさまより~、って挨拶に対して)。
猿之助さんは、市川家に縁のある「猿」という名を汚すことなく、いずれは歌舞伎を支える屋台骨の1つになりたい。
中車さんが、松竹や諸先輩や関係者等のおかげでと襲名の御礼を述べる言葉の中で「何より市川御宗家のお許しをいただきまして」と言った時に、胸にぐっとくるものを感じた(多分、初日の挨拶でもそこに一番何かを感じたんだと思う)。歌舞伎の舞台に初めてお目見えした私は生涯かけて精進する。親子で無事に千穐楽を迎えることができ、明日からまた精進する。
團子ちゃんは、しっかり歌舞伎口調で「あ~げたてまつります」とやって客席から大きな拍手(初日も歌舞伎口調になっていたと思うけど、さらにしっかりしてきた感じ)。中車さんも歌舞伎口調はできるかもしれないけど、テレくささがあるかも。子供は大したものだと感心した。

「黒塚」
初日もよかったけれど、今回のほうが老女に対する思い入れを強くした。
一番印象的だったのが、月明かり。岩手が喜びの気持ちで踊る時、月明かりがとても清々しく見えたのだ。踊り手の心と月明かりが見事にマッチして、幻想的でもあり、素直に喜びを分かち合えるような感じがした。それだけに、裏切られたと知った岩手が哀れに思えて悲しかった。
初代猿翁がロシアンバレーの要素を取り入れたというのがこれまでわからなかったが、今日は亀ちゃんが爪先立ちで踊っているのがはっきり見え、これか、と納得(他にもあるかもしれないけど、とりあえず一つ納得)。岩手の踊りは、よく見ていると高い身体能力が求められることがわかる。2カ月連続のヤマトタケルに組み合わせて先月は狐忠信、今月は黒塚と、どちらも体に過酷な力を必要とする演目を選んだのが亀ちゃんらしくもあり、よくぞ演じきったとあらためて感動した。
猿弥さんの強力、愛敬と丁寧な動きが相俟ってとても見応えのあるいい踊りだった。
「楼門五三桐」
海老蔵さんの五右衛門は、セリフにいいなあと思う部分とう~ん…な部分が混在している。それに褞袍姿がやっぱりちょっとだらしない感じ。
猿翁さん、セリフ、とくに前半がはっきりしなかったのでずいぶん心配したが(初日のほうがずっとはっきりしていた)、「ごほうしゃ~」「さらば、さらば~」はちゃんと聞こえてよかった。そして猿翁オーラはやはり他を圧している。
初日と千穐楽に、猿翁バージョンのこの演目を見ることができたのは一生の思い出になるだろう。

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