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2012年8月17日 (金)

亀治郎の会ファイナル初日

816日 第10回亀治郎の会(国立劇場大劇場)
5回から見始めた亀治郎の会も、いよいよ終わりだ。
大混雑のグッズ売り場でまずはプログラムを買う。第6回からハードカバーになったこのプログラム、今回の表紙の色はゴールドで、亀治郎のサインだけでなく猿之助のサインも入っている。
今回はチケット代も安かったので、初日はA席を取ってみたが、上手側の一番端。花道は遠いながら最後まで見えたけど、舞台は前の人の頭が視野の真ん中で、やっぱり国立は上のほうが見やすいと改めて実感した。
演目は「連獅子」以外は初見。しかし「連獅子」も澤瀉屋型のものは初めて。
「栴檀女道行」
浄瑠璃が葵太夫、愛太夫、鳴門太夫と豪華。
栴檀皇女と小睦(和藤内の妻)は舞台中央からセリ上がってくる。栴檀皇女の米吉クンが愛らしく、位の高い者としての品が感じられる。しかし、舞としてはもう一歩、二歩というところだろうか。力のある米ちゃんだから、今後に期待。
栴檀皇女を守る小睦は若衆姿である。亀ちゃんには毛谷村お園の時に私が感じたような力みがなく、自然な女武道といった感じで実にカッコいい。時折見せる女らしさも好もしい。踊りにドラマがある。こういう役は亀ちゃんにぴったり。
後半の軍兵たちとの所作ダテが楽しい。韃靼に与する右軍将・李蹈天の家来・安大人(亀鶴)率いる軍兵たちは猿若、段一郎、蝶之介、蝶三郎、咲十郎、錦二郎さん。蝶之介、蝶三郎、錦二郎のお3人は「趣向の華」メンバーでもいらっしゃったけれど、お髭1本で(2本か)顔の印象が変わるのと、舞台が見づらいことでよくわからなかった。
ユーモラスな中にキレのいい亀鶴さんと亀ちゃんの絡み。最後はみんな亀ちゃんに「はは~っ」ってな感じで従い、刀で頭を剃ると月代になるっていうのが面白かった。亀鶴さんだけ、はじめちょっと鬘がうまく変化しなかったように見えたけど…。
故郷へ戻る栴檀皇女の覚悟、異国へ赴く小睦の覚悟、それぞれが思い入れを見せての引っこみは見応えがあった。
「檜垣」
一時、襲名公演に次いで上演されるかもと囁かれていた「黒塚」に変わる演目だろうか。都から遠く浅茅が原にやってきた四位の少将(門之助)と小野小町(笑野)だが、少将が夢枕に立つ老女に苦しめられていることを知った小町は母の形見の観世音菩薩像を少将に渡す。そこへ1人の老女(猿之助)が現れる。かつて少将に水を飲ませたことがあり、少将に恋焦がれて後を追ってきたのだと言う老女は小町に激しい嫉妬心を燃やす。突然胸が苦しいと倒れる少将に、あの時のように老女は水を汲んであげようとする。しかし井戸水に映った我が姿に衝撃を受けた老婆は怪しい煙とともに姿を消す。しばらくすると鬼の形相をした老女の亡霊が現れ、少将に取り憑こうとするが、観世音菩薩像によって亡霊は姿を消す、というお話。
門之助さんの上品な貴公子ぶりは以前からとても好きだが、貴公子のひ弱さみたいなものと、小町を守ろうとする男らしさがうまくミックスされて、今回もとても素敵だった。門之助さんは不気味な役をやったりもするが、やっぱり高貴な二枚目が本役なんだなあと思う。
そして笑野さんも素晴らしくよかった。見た目も声も美しく、大人の女としての上品な色気がある。これまでは失礼ながらあまり印象に残らなかったが、こんなに力のある役者さんだとは、これからは俄然要注目である。澤瀉屋には本当によい女形が揃っているなあと思った。
亀ちゃんはスッポンから登場した。女は生まれた時から死ぬまで女であると言うけれど、形は老女でも女心を捨てない、そういう女のちょっとかわいい面(可笑し味というか)と怖~い面が感じられた。小町への嫉妬心にも可笑し味を見せるが、ここはもうちょっと抑えたほうが女の怖さが増すんじゃないの? と思ったけど、どうなのだろう。水に映った自分の姿に衝撃を受ける場面はなんだか哀れだった。この檜垣という老婆は既に死んでおりその妄執がなせる業だったのだが、煙に姿を消した後も亡霊となって少将に取り憑こうとするその煩悩は凄まじい。ラスト、扇の骨が11本ばらばらになって、亡霊はスッポンに姿を消すが、それは亡霊の姿がバラバラと崩れていくことを表しているのだろう、何か粛然とした気持ちになった。
清元は普段あまり好きでないが、延寿太夫、美寿太夫、志寿雄太夫、清美太夫の美声が終始薄暗い舞台にぴったりの雰囲気で、とてもよかった。
尺八に藤原道山さんが付き合う。

「連獅子」
日光の奉納舞踊を見ていないので「待っていました!!」な右近クンとの「連獅子」、素晴らしくて興奮した。
亀ちゃんは右近クンと年齢差も親子ほどはなく、身長差もあまりないのでどちらかというと兄弟に見えた。
澤瀉屋型の仔獅子は動きが多くて大変だそうで、確かに転がるところや膝で回るところなどに右近クンはやや重さが感じられたものの、それ以外は右近クンの踊りは若者らしい清々しさ、力強さに満ち、実に見応えがあった。亀ちゃんの親獅子も若々しく鋭敏で、前述したように兄弟みたいなんだが(谷に落とした仔獅子を心配するところも、アニキが弟を気遣うような、そんな感じがした)、その中にも年長者らしい余裕やまろやかさが垣間見えた。

門之助・亀鶴さんの間狂言は私にはご馳走。「うふふふふ」では一緒に「うふふふふふ」とやりたくなった。
獅子の上る二畳台は2つ並べた上にもう1つ橋渡しをするように置き、これが石橋を表すそうだ。ラストは右近クンが下で客背に背を向け、台上の亀ちゃんと見合った後、こちらを向いて、段の上下で親子獅子が決まる。
毛振りは亀ちゃんのスピードに右近クンがついていけなくなった感じがあったが、どちらもきれいに振っていて興奮。
傳次郎・傳左衛門兄弟の咆哮も聞けて大満足。
熱狂的な拍手の中、幕は下り、それでも拍手は鳴りやまず、カーテンコール。
場内は総立ちのスタンディング・オベーションで2人を讃える。2人は演奏地方さんたちにも拍手を、と促す。カーテンコールは1回だけだったけれど、客の満足を満たして、あと4日間の公演へ。
<上演時間>「栴檀女道行」37分(13001337)、幕間25分、「檜垣」51分(14021453)、幕間30分、「連獅子」53分(15231616

 

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

SwingingFujisan様
 お久しぶりです。一か月ぐらいあきましたか。最近、夏バテ同様歌舞伎疲れもあるようで、、特に演舞場の芝居、あまり興奮しません。やはり大幹部の顔合わせがないせいでしょうか。今月も。桜姫見ましたが、チョット・・・・。とはいえFUJISANさんの感想楽しみにしています。
 ところで、国立、今日みてきました。午後休とって、疲れが出たせいか、前2演目、ちょっと舟を漕ぎました。ところが、連獅子、眼が覚める出来栄え。正しく大当たり。批評家が言うように、この演目、親子ではなく技量が接近した俳優がやるのが本格かもしれません。今日は、最後以外は、二人の毛ぶりの速度がほぼあっていたのが、いまさらながら、よかったと思いました。右近、大健闘でした。
 カーテンコールは一回でした。あ、それから、米吉、播磨屋・萬屋の女形の血を引いてますね。

投稿: レオン・パパ | 2012年8月17日 (金) 22時06分

前売でチケット取れませんでしたので
16日に当日券狙いで劇場に並びました
前日、劇場に問い合わせしたら、
「日によって異なりますが10数枚は出ると思います」との回答
行っても「完売」では悔しいので少し早く行くことにしました
16日で夏休みと思っていましたが、通勤時間帯と重なり、サラリーマンも多く電車は混んでました(劇場前と電車内とずーっと立ち通しで少し疲れました)
劇場に着いたのが8:50で、前から4人目でした
販売は12:00からと聞いていましたが、11:30からになりました
関係者からの説明で1等席が29枚、2等席が12枚とありましたので予想以上に当日券(戻り)があったことになります
1階の1番前(上手寄り)が残っていましたが前過ぎるので、結果としては2階2列目26番という席で観ることになりました(確かに国立は1階の袖よりは2階ですね)

米吉・笑野・尾上右近ら共演者も良かったですね
次男が出演しているからでもないでしょうが延寿太夫も出演という豪華版でした(特に笑野はご指摘の通り私もこの公演で「発見」したという感じで、瓜実顔でしっとり良い女形になる予感です)

文学座の加藤武さん、評論家の上村以和於さん、藤田洋さん、作家の赤川次郎さん、元TBSの鈴木治彦さんらの顔が見えました

サインカード入りということで「僕は、亀治郎でした。」も購入しました(こちらも内容一杯の楽しい一冊です)

亀治郎の会は10回のうち、2回と3回は観ていませんが(正確に言うと8回目の京都公演も)、あとはすべて観ることができて良かったです
1回目の玉手御前が懐かしく思われます

これからは、「春秋会」を継承して欲しいと思いますね

投稿: うかれ坊主 | 2012年8月18日 (土) 08時15分

レオン・パパ様
おはようございます。コメントありがとうございます。
歌舞伎疲れ…同感同感、わかりますっ。「桜姫」は私も既に見ましたが、亀治郎の会のほうを先にアップしたのは、興奮度の差でしょうか。
「檜垣」は舞台がずっと暗かったので、体調を整えておかないとちょっとつらいかもしれませんね。
「連獅子」、すばらしかったですね!!右近クンの踊りは若手の中でも抜群ですが、連獅子でその認識を新たにするというか、認識を上回るというか、見事でした。
米吉クン、播磨屋の女形というのはわからないのですが、萬屋の女形の血は確かに感じられますね。私は米ちゃんに大いに期待しています。

投稿: SwingingFujisan | 2012年8月18日 (土) 10時00分

うかれ坊主様
おはようございます。コメントありがとうございます。
初日当日券を求められて早朝から並ばれたとのこと、本当にお疲れ様でした(16日はもう出勤日だったんですねえ)。
当日券は行ってみないとわからない、というのがつらいところですが、ご努力もあっていい席が取れてよかったですね(2階3階の1列目は手すりが目に入るので2列目のほうがいいのではないかと思います。しかも26番はど真ん中ですね)。初日で40枚も残席があったとはちょっとオドロキ。
笑野さん、うかれ坊主様も「発見」なさいましたか(o^-^o) 年齢的にも笑也・笑三郎・春猿に次ぐ存在になる期待大です。
延寿太夫と右近クンの親子共演というのもいずれ見てみたいですね(以前にあったかしら?)
「僕は、亀治郎でした。」はまだ購入していないし、迷っているのですが、買うなら今ですよね、サイン入りカード狙いで。千穐楽に買おうかな…。

亀治郎の会、初回をご覧になっていらっしゃるとは羨ましいです。私も遅ればせながら、6年に亘り見られたことは幸せです。今後のことは何も決めていないとは言っていますが、春秋会はぜひ、と私も願います(一度も見たことないんです)。

初日、やはり有名人がいらしていたんですね。私はグッズ売り場の混雑にメゲてほとんど座席におりましたので気づきませんでした。

投稿: SwingingFujisan | 2012年8月18日 (土) 10時30分

再び失礼します

実は今日18日はこまつ座の「芭蕉通夜舟」を観てきたのですが、なんと芝雀さんがおひとりでお見えになっていました!
招待券を窓口でもらう瞬間をばっちり見てしまいました
一瞬入り口がわからないご様子でしたがなんとも微笑ましいというかその素振りに見とれてしまいました
あとはロビーから客席に消えていきました
なんか嬉しいですよね
こう言うのって

終演後には文学座の今井朋彦さんを発見しました
朗読役で座員がお二人出演されていることもあっての観劇と思われます

あすは「1200回目のラ・マンチャの男」です
(尚、17日は「桜姫」でした 笑也さんが良かったですよ)
私の夏休み後半の4連投の締めくくりです

投稿: うかれ坊主 | 2012年8月18日 (土) 17時36分

うかれ坊主様
こんばんは。再びありがとうございます。
「芭蕉通夜舟」、もうご覧になったのですね。私は月末近くなってからです。
芝雀さんと遭遇されるなんて、本当にうかれ坊主様って!! 羨ましいですっ。芝雀さんの行動の一部始終を微笑ましくご覧になっていらっしゃるうかれ坊主様のお気持ち、わかりますわ~。
今井さん発見もいいなあ。舞台の今井さん、好きなんです。

「ラ・マンチャ」は迷った末、今度も見るのをやめてしまいました。まだ1度も見たことがないので今回こそは、と思っていたのですが、8月は歌舞伎関連の観劇が忙しくて諦めました。幸四郎さんも松さんも千穐楽から間をおかず松鸚會なんですね。

「桜姫」は14日に見たのですが、感想がまだ…。

投稿: SwingingFujisan | 2012年8月18日 (土) 20時38分

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