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2012年8月29日 (水)

第18回稚魚の会歌舞伎会合同公演B班

826日 第18回稚魚の会歌舞伎会合同公演千穐楽B班(国立劇場小劇場)
12082901godo 当初はA班初日、B班千穐楽の予定だったのだけど、24日に別件が入ったため、昼夜 BA班)通しで観劇。昼の部は満員御礼で客席も熱気に溢れていた。
まず最初にプログラム売り場へ。おお、今回のプログラム、とても素敵。今回の演目に因んで山蔭右京が花子からもらった小袖の地に妹背山の苧環をからませてある。国立劇場の紋も。では太十絡みは? 桔梗の花が散らしてあった(桔梗については、はなみずき様のブログをアンチョコに→ココ)。へ~、今までにないデザインね、と思ったら、2年前の第16回はやはり上演演目の仮名手本忠臣蔵五段目と六段目の一場面が描かれ、去年は一條大蔵卿の衣裳がモチーフとなっていた。今ごろ気がついた…。
以下、感想はイヤホンメッセージ(今回はイヤホンガイドも若手が担当しているとのこと、役者さんと同様真剣、丁寧、フレッシュで、とってもよかった。知っているようで知らなかった基本的な知識も得た)とごっちゃまぜで、というよりメッセージ中心?
「尼ケ崎閑居」
光秀:東志二郎、十次郎:みどり、初菊:春希、操:喜昇、皐月:京三郎、佐藤正清:猿琉、真柴久吉:茂之助
ここでの私の眼目は春希クン。出てきたとたん、花が咲いたみたいな可憐さに目を奪われた。十次郎への思いと悲しみが愛らしさを倍加する。兜引きは、えいっえいっという感じで引いているのがリアルなようでいて案外兜の重さが感じられなかった。こういう動作って難しいんだなあと思った。
みどりさん顔がどちらかというとごっつい(私のカテゴリーではごっつい系)から十次郎どうだろう、とちょっと懸念したが、若者らしい真っ直ぐさ、男らしさの中に前髪立ちのやわらかさも感じられ、好もしい。そういえば、女形もやるんだものね、と2年前の一文字屋お才を思い出した。イヤホンが面白かったのでご紹介。
「尾上みどりのオールナイト太功記で~す。質問のおハガキを頂いています。まず見どころを。家庭崩壊劇。恋もしたいけど父に従い戦に出る男の強さ」というようなこと。「2枚目は『国立劇場の近くには食べるところが少ない』さんから(そうだそうだっ)。ジュード・ロウと十次郎の違いを教えて。十次郎は173cm、ジュード・ロウは182cm。ジュード・ロウが十次郎を演じれば違いがわかるでしょう」。「3枚目は『オリンピックより合同公演が好き』さんから。十字路と十次郎の違いがわかりませんという質問。十字路は右にも左にも行けますが、十次郎はどちらにも行けず、まっすぐ戦場に行きます」。
みどりさんらしいユーモラスなメッセージの中に十次郎の生き方が一言で表現されている。
東志二郎さんは顔が小さいので(光秀は3頭身くらいに見えそうな鬘を被るのだが、東志二郎さんだとその鬘をかぶってちょうどいい感じ)光秀のニンではないと思ったが、演技で大きく見せていた。
猿琉さんは荒事が大きく、強さもとても自然で、A班での光秀が楽しみ。イヤホンメッセージは「研修所を卒業して10年経った。同期のみどり、春之助、松寿との共演は嬉しい(A班で春之助、松寿さんと共演)。本興行ではめったにないから」。
茂之助さんには包容力を感じた。東京新聞の取材によれば、師匠(團蔵)からはまずは楷書で書けと言われたそう。たしかに楷書ではあるが、その中にも茂之助さんの大きさが現れていたと思う。
喜昇さんはさすがに舞台慣れしていて、気持ちの細やかさが現れている。教科書通りの演技を超えたうまさがある。
京三郎さんは白髪がとてもよくお似合い。老女としての落ち着きがあり実に上品。この皐月というおばあさんは、どんな事情があれ謀反を企てた息子を許せない徹底した封建主義者。私の理解を超える部分があるのだが、京三郎さんは冷静に息子を批判しているのがすごい。
ほかに、真柴の四天王、軍兵として20期の研修生が出演していたが、時代やその場の空気によく溶け込んでいたと思う。
「道行恋苧環」
お三輪:京珠、求女:春之助、橘姫:京由
竹本は所作事の場合は華やかさと迫力を出すため複数の連れ弾きになる。京由クンは2年前、仮名手本の「道行」でその美貌にKOされたのだが、私の目に狂いはなかった。ほんと美しい。おっとりした橘姫もぴったり。京珠さんのお三輪、弟弟子の京由クンが相手だからだろうか、嫉妬心がビックリするほど強烈で面白かった。京珠さんのメッセージ。「お三輪は嫉妬深いところが出たらそれ以上のことはない。3人で1つの世界を作り上げたい」。その言葉通り、春之助さんの求女を中心とした三角関係の世界が美しく悲しく面白く繰り広げられていた。

「身替座禅」
山蔭右京:吉六、玉の井:徳松、太郎冠者:京純、千枝:喜昇、小枝:竹蝶
吉六さんって私のイメージではかなり真面目でお堅いところがあるから、右京はどうなんだろう…。確かに実際に見ていても、右京を得意とする役者さんに比べてお堅い感じがする。ところがところが、その堅さと花子の所に行きたく行きたくて仕方がない様子、花子と会って幸せいっぱいメロメロな様子、奥方に頭が上がらない様子(見た目と違って絶対尻に敷かれてる)、そのギャップがもうサイコウ!! 客席も大笑い。師匠(吉右衛門)は奥方を何度もやったことがあると言っていたが、吉六さんの右京にも吉右衛門さんの味がちょびっと感じられた。スッキリとした容姿の中にほんのり色気も漂って、玉の井や花子でなくても惚れてしまう、そんなと~ってもと~っても素敵な右京さんでしたわぁ
吉六さんのメッセージ。「徳松さんとは4年前の勉強会で「釣女」の太郎冠者と醜女をやった(私、なぜかこの回を見てないらしいのだ)。4年経って醜女は奥方に、太郎冠者は大名になった。身替座禅には好きなセリフがある。『ありように花子の許へ行くと言うたら一夜くらいはやらないものでもないものを、わらわをたばいていたとは身が燃ゆるように腹が立つ』というセリフで、狂言がもとになっているが新しい感覚がある」。
徳松さんは実年齢的にも姉さん女房みたいで、もともとが女形だから立役の人がやる迫力ある可笑し味ではなく、やわらか~く怖い可笑し味であった。一貫して品位を保ったベテランの味と右京ラブの可愛らしさで、こちらもとっても素敵な奥様だった。徳松さんのメッセージ。「父が歌舞伎大好きだった。幼い頃、昔の蓄音機で昔の分厚い黒いレコード盤の中から歌舞伎の名優の名場面、名台詞をよく聞かせてくれた。母は日舞が好きで稽古場によく連れて行ってくれた。その頃はまさか自分が歌舞伎役者になるとは思わなかったが、自分にとっては歌舞伎イコール両親であり、両親に少しでも恩返しができたかなと思う」。徳松さんとは年も近いし、このメッセージにひどく感動した。仙台ご出身だそうで、地震ではずいぶん心を痛められたとのことだ。徳松さんのご活躍が地元の方の励みになりますように。
京純さんはシングルキャストでの太郎冠者。メッセージは「すり足という基本的なことがヘタだと言われ、プライベートでもすり足で歩いた。ただ滑らせればいいのではなく重心がむずかしい。夏じゅう靴底が減るほど(それは冗談)ず~っとすり足の練習をした。でもアパートの3階に住んでいるから、ドタドタしないでよかったかも。合同公演には5回ほど出ている。別に節目の年でもなんでもないが、すり足という壁にぶち当たった。いい夏にしたい」。一生懸命お稽古された甲斐あって、自然に足が動いていたと思う。
後見はA班の右京・玉の井コンビがやっていたが、自分たちの芝居の勉強にもなるんだろうな。

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