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2012年8月

2012年8月31日 (金)

第18回稚魚の会歌舞伎会合同公演A班

826日 第18回稚魚の会歌舞伎会合同公演千穐楽A班(国立劇場小劇場)
レポがすっかり遅くなってしまった。
夜の部は途中で帰られた方もけっこういたみたいで、「身替座禅」になると空席があちこちに目立ったのはちょっと残念。
帰り際、今回の公演のポスターを配っていたのでいただいてきた。
「尼ケ崎閑居」
光秀:猿琉、十次郎:笑野、初菊:春之助、操:玉朗、皐月:松寿、佐藤正清:茂之助、真柴久吉:獅二郎
A
班の十次郎は笑野さん!! ついこの間、亀治郎の会で<大人の女の魅力>に俄然注目度アップした笑野さんが今度は立役でご出演。瓜実形の顔が上品で若々しくて、なんという美形。B班のみどりさんに比べると鎧が重たげな感じだが、お2人とも、父親の信念を信じ、父とともにその信念に向かって進んでいくのだ、戦うのだという積極的な強さが見えた。それだけに、途中で命を落とさねばならなかった若者の哀れが際立った。
メッセージは「いつもは女形。立役で何か今後の役に立つことがあるように」。
春之助さんは笑野さんより体が大きいのとやや年上に見えたのとで、2人のバランスがあまりよくないような気がした。しかし東京新聞の取材で「初菊は動きの少ない我慢のお役ですが、こちらの心理がお客様に伝わるようにできれば」「師匠(魁春)の口癖は人に気を使え。演技にも通じる教え」と語っているように、演技は丁寧で気持ちが伝わってきた。
猿琉さんは姿も声も堂々として武者人形を思わせる立派な光秀であった。怪我をして気を失った十次郎に気付け薬を飲ませる。すぐに正気を取り戻した十次郎に「ててじゃ、ててじゃ」と声をかけると十次郎が「父上」と返す。この場面の2人の心の通いに泣けた。
猿琉さんは東京新聞によると、鳶職で腰を痛め偶然この世界に飛び込んだのだとか。研修所卒業後もなじめず、舞台を見ることさえ苦痛だったのが26歳で猿之助(現・猿翁)の一門に加わってぐんぐん好きになったのだそうだ。「光秀は車にたとえれば4トントラック。どっしりと大きな存在感を出せれば」と語っている。出ていた、大きな存在感。
松寿さんはとくに孫に対する感情がこぼれるところに胸打たれた。孫への思いは、光秀に対して怒っていても我が子への愛情に通じるものがあるのではないだろうか。
ところで、このお芝居で操は本当は皐月側なんだろうか、それとも光秀側なんだろうか、といつも考えるのだが、玉朗さんの操からは本心は光秀を理解して応援しているものの、姑の気持ちも斟酌して付き従っている様子が窺えた。ほっそりとお綺麗で、初菊をやってもいいのではないかしらと思った。

獅二郎さんのイヤホンは猿琉さんによるインタビュー形式。「出たくて出たくて仕方なかったこの会に今回初めて出ることになった」(そうなんだぁ。初めてだったんだぁ)。「重い役なので責任重大。勉強するだけでも大変。旅僧として出てきたときにちらっと久吉とわかる雰囲気を出したい」と言う獅二郎さんに猿琉さんが「ウインクするの? 投げキッス?」と茶化す。「後で久吉で出てくる時の雰囲気との違いを感じ取ってもらえるようにしたい」と言う獅二郎さん。ちょっと緊張もみられたが、ほぼ目的は達成されていたと思うし、久吉には大きさが見えた。
全体にA班のほうがドラマチックに感じた本年3回目というか4回目というか(AB合わせて1回とすれば3回目)の太十だった。

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2012年8月30日 (木)

おとうさんだよ

親としての思いが詰まった一言。
朝、「とくダネ」でこの一言を聞いて、泣いてしまった。
役者としてスタッフを気遣う言葉にもほっとして泣けた。
幸四郎さん!!

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2012年8月29日 (水)

第18回稚魚の会歌舞伎会合同公演B班

826日 第18回稚魚の会歌舞伎会合同公演千穐楽B班(国立劇場小劇場)
12082901godo 当初はA班初日、B班千穐楽の予定だったのだけど、24日に別件が入ったため、昼夜 BA班)通しで観劇。昼の部は満員御礼で客席も熱気に溢れていた。
まず最初にプログラム売り場へ。おお、今回のプログラム、とても素敵。今回の演目に因んで山蔭右京が花子からもらった小袖の地に妹背山の苧環をからませてある。国立劇場の紋も。では太十絡みは? 桔梗の花が散らしてあった(桔梗については、はなみずき様のブログをアンチョコに→ココ)。へ~、今までにないデザインね、と思ったら、2年前の第16回はやはり上演演目の仮名手本忠臣蔵五段目と六段目の一場面が描かれ、去年は一條大蔵卿の衣裳がモチーフとなっていた。今ごろ気がついた…。
以下、感想はイヤホンメッセージ(今回はイヤホンガイドも若手が担当しているとのこと、役者さんと同様真剣、丁寧、フレッシュで、とってもよかった。知っているようで知らなかった基本的な知識も得た)とごっちゃまぜで、というよりメッセージ中心?
「尼ケ崎閑居」
光秀:東志二郎、十次郎:みどり、初菊:春希、操:喜昇、皐月:京三郎、佐藤正清:猿琉、真柴久吉:茂之助
ここでの私の眼目は春希クン。出てきたとたん、花が咲いたみたいな可憐さに目を奪われた。十次郎への思いと悲しみが愛らしさを倍加する。兜引きは、えいっえいっという感じで引いているのがリアルなようでいて案外兜の重さが感じられなかった。こういう動作って難しいんだなあと思った。
みどりさん顔がどちらかというとごっつい(私のカテゴリーではごっつい系)から十次郎どうだろう、とちょっと懸念したが、若者らしい真っ直ぐさ、男らしさの中に前髪立ちのやわらかさも感じられ、好もしい。そういえば、女形もやるんだものね、と2年前の一文字屋お才を思い出した。イヤホンが面白かったのでご紹介。
「尾上みどりのオールナイト太功記で~す。質問のおハガキを頂いています。まず見どころを。家庭崩壊劇。恋もしたいけど父に従い戦に出る男の強さ」というようなこと。「2枚目は『国立劇場の近くには食べるところが少ない』さんから(そうだそうだっ)。ジュード・ロウと十次郎の違いを教えて。十次郎は173cm、ジュード・ロウは182cm。ジュード・ロウが十次郎を演じれば違いがわかるでしょう」。「3枚目は『オリンピックより合同公演が好き』さんから。十字路と十次郎の違いがわかりませんという質問。十字路は右にも左にも行けますが、十次郎はどちらにも行けず、まっすぐ戦場に行きます」。
みどりさんらしいユーモラスなメッセージの中に十次郎の生き方が一言で表現されている。
東志二郎さんは顔が小さいので(光秀は3頭身くらいに見えそうな鬘を被るのだが、東志二郎さんだとその鬘をかぶってちょうどいい感じ)光秀のニンではないと思ったが、演技で大きく見せていた。
猿琉さんは荒事が大きく、強さもとても自然で、A班での光秀が楽しみ。イヤホンメッセージは「研修所を卒業して10年経った。同期のみどり、春之助、松寿との共演は嬉しい(A班で春之助、松寿さんと共演)。本興行ではめったにないから」。
茂之助さんには包容力を感じた。東京新聞の取材によれば、師匠(團蔵)からはまずは楷書で書けと言われたそう。たしかに楷書ではあるが、その中にも茂之助さんの大きさが現れていたと思う。
喜昇さんはさすがに舞台慣れしていて、気持ちの細やかさが現れている。教科書通りの演技を超えたうまさがある。
京三郎さんは白髪がとてもよくお似合い。老女としての落ち着きがあり実に上品。この皐月というおばあさんは、どんな事情があれ謀反を企てた息子を許せない徹底した封建主義者。私の理解を超える部分があるのだが、京三郎さんは冷静に息子を批判しているのがすごい。
ほかに、真柴の四天王、軍兵として20期の研修生が出演していたが、時代やその場の空気によく溶け込んでいたと思う。
「道行恋苧環」
お三輪:京珠、求女:春之助、橘姫:京由
竹本は所作事の場合は華やかさと迫力を出すため複数の連れ弾きになる。京由クンは2年前、仮名手本の「道行」でその美貌にKOされたのだが、私の目に狂いはなかった。ほんと美しい。おっとりした橘姫もぴったり。京珠さんのお三輪、弟弟子の京由クンが相手だからだろうか、嫉妬心がビックリするほど強烈で面白かった。京珠さんのメッセージ。「お三輪は嫉妬深いところが出たらそれ以上のことはない。3人で1つの世界を作り上げたい」。その言葉通り、春之助さんの求女を中心とした三角関係の世界が美しく悲しく面白く繰り広げられていた。

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2012年8月28日 (火)

9月秀山祭配役変更発表

染五郎さん休演に伴う配役変更が発表になった。
松王は吉右衛門さん、武部源蔵は梅玉さん。
小田春永は歌六さん。

幸四郎さんによれば、思ったほど重くないということだけど、染五郎さんの状態がまだまだ心配で…。

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2012年8月27日 (月)

染五郎さん、大けが

染五郎さんが、今日の松鸚会で大けがを負ったそうだ。
「あーちゃん」を踊っている時、舞台から奈落に転落したとのことで、意識はあるが動くことはできず、救急車で近くの病院に搬送され、公演は中止になったという。
「あーちゃん」は見たかったけれど、今日は別の観劇を入れてあって、断念したのだった。
明日の公演が開催されるかどうかは不明。
9月の秀山祭ももうすぐ控えているし、このニュースを知ったときには胸がドキドキして頭が真っ白になって泣きそうになった。
「大丈夫、大したことなかった」という報告が聞けることを祈るばかりです。

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2012年8月26日 (日)

なが~い半蔵門線

今日は、稚魚の会・歌舞伎会合同公演の千穐楽、昼夜通しで見てきました。
感想は後日なんですが、半蔵門線って「なが~いbearing」とあらためて思いました。つまり、永田町で乗る車両と半蔵門で降りる車両が先頭と最後。ホームを歩くにしても、車内を歩くにしても延々…。車両を歩くと、半蔵門までの間に歩ききれない。

エアコン、昨日修理を依頼したら早速今日来てくれました。助かったぁ!!
でも、朝晩はもうかなり涼しくなってきたなぁ。

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2012年8月25日 (土)

飛んでる亀ちゃん:写真展「市川亀治郎“飛”」

飛んでた、カメちゃんsign03
アウディの乗用車を囲む壁一面、飛んでました。
乗用車の周りには、飛んでないけど表情たっぷり舞台がそのまま切り取られたような写真もいっぱい。
どの写真も亀治郎の魅力たっぷりなんだけど、私はやっぱり女形に惹かれる。
実際に見た袖萩(私にとって初めての亀治郎の会で泣かされた)、お七(大好きっ!!)、滝夜叉、かさね、お蔦、玉手(これは映像で)。舞台が甦る。
見ていない鷺娘、藤娘、班女、お舟、白玉、相模、鳥辺山心中・お染、新世紀累化粧鏡・芸者小さん、葵の上、鏡獅子・弥生(見てないほうが多いじゃんbearing
竜馬のおりょうがいるともっと嬉しかったな、なんて贅沢かcoldsweats01
大勢のカメちゃんの中で一番きれいだと思ったのは吹き抜けの「男の花道」加賀屋歌右衛門かな。遠征して見に行くべきだった…。

第1回亀治郎の会千穐楽の、お客様との記念写真もあった。お客さんが大勢はっきり写っている。第10回の記念写真が楽しみだ。

他に誰もいないアウディの2階、1人でゆっくり、長塚さんの亀治郎ワールドを楽しんだ。2日ほど前から悩まされている頭痛もこのときばかりは忘れられたわ(最近、頭痛もちになってきたかも?)。

市川猿之助×長塚誠志 写真展「市川亀治郎“飛”」
8月9日~27日 10:00~19:00
Audi Forum Tokyo
入場無料

8月7日の松也クンの「挑む」を見た後、近いからと行ったら開催前で、キョーレツな太陽の下、汗と疲れが倍加して、ものすごぉく挫けた。
幸い、昨日表参道に行く用事があったので、チャンス!!と寄ってきたのだが、見られてよかったlovely

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2012年8月24日 (金)

ああエアコンが

居間のエアコンが壊れちゃったshock
息子が言うには基盤が壊れたんだろうから、明日修理を頼むって。
でも修理なんてすぐには来てくれないでしょう。
私の仕事部屋と居間は一続き。軽い熱中症にかかってからあんまり無理しないように、適宜エアコンを使ってきた
夜はいいのよ、最近だいぶしのぎやすくなってきたし。

日中、耐えられるか不安。パソコン使ってると室温上がるし、汗疹にだいぶ悩まされてきたからねえ、今年は。
首のまわりに保冷剤を巻いて(すぐあったまっちゃうんだよねえ)、扇風機で頑張ります。

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2012年8月23日 (木)

笑顔で感動、「新・猿之助誕生」

仕事しなくちゃいけなかったんだけど、見ちゃった。
「新・猿之助誕生」。
これまで見たことのなかった超貴重映像が見られて嬉しい。4月演舞場公演の後の亀治郎のお葬式の一部も見られたし。
とにかく感動した。でも泣かなかった。泣くのは亀ちゃん=猿之助に相応しくないと思ったから(泣く内容でもなかったしね)。笑顔で感動した。
亀治郎時代の様々な演目・役。
あの役、この役、すべてが愛おしくて愛おしくて。こんな感情初めて。
三代目の全盛時代を見ていないのが何とも悔やまれるが、四代目の全盛は見届けられるだろうか。そうだ、常に「今が全盛」と思って見よう。
それにしても、猿之助という人は、好んで(と言ったら語弊があるだろうか)自分を極限にまで追い込む人なんだなあ。だらだら暑さに負けている自分が恥ずかしくなる。

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2012年8月22日 (水)

八月歌舞伎夜の部:「伊達の十役」

821日 八月大歌舞伎夜の部(新橋演舞場)
2年前の1月、海老ちゃん初役の「伊達の十役」を1回目は1階花道七三脇席で、2度目は2階左側席で大いに堪能したのであったし、今回も海老ちゃん大奮闘はわかるんだけど…。そもそも見ること自体パスしようかと思っていたところ、7月襲名公演の口上に刺激されて取ったチケット。今回は海老ちゃんの空中闊歩狙いで3階下手側コーナー席。舞台下手の一部と花道はまったく見えないのであったが、目的はバッチリ。
「伊達十役」
正直、序幕・二幕目はあまり盛り上がらなかった(自分の中で)。早替わりはそれなりに「すご~い」とは思ったが、こっちが早替わり疲れしちゃったというか…。ここは人物を覚えるのと早替わりを楽しむものと割り切ればよかったとしても、「それはないでしょ」と言いたくなる女形もあって…。体の大きさや顔の鋭さが気になった高尾太夫はセリフもピンとこなかったし、芝居としてもさほど面白くなかった。でもそれ以上にげっと思ったのは累。妙な高音のうえ、「かしこまりましたぁ~」の一言で芝居が台無し。この「かしこまりましたぁ~」は何回か口にするんだけど、最初に聞いた時には椅子から転げ落ちそうになった。前回の公演では、あんなひどい言い方していたっけ? 一体に高い声が不安定で、妙な裏返りが出たりしてこっちの心地が落ち着かない(頼兼や与右衛門も)。以前の海老蔵ならそんなもの吹き飛ばすオーラがあったんだけどな。
足利家奥殿の場でやっと面白くなって引き込まれた。ここは葵太夫(5日間、亀治郎の会と掛け持ちだったんだ)登場でじっくりドラマを味わった。海老ちゃんも前半の政岡はよかったと思う。声を低めにしてあるから変な裏返りもないし、鶴千代君を守る意志の強さも伝わってきた。だが哀れな千松(本当に千松は可哀想過ぎる。空腹の挙句、主君のために毒入りのお菓子を口にして、おまけに幼い体に小刀を突き立てられて)の死を嘆く政岡は、声も高くなり、女形でない役者が女形として感情を爆発させることのむずかしさを感じた。
この後、男之助→弾正と替わるのだが、当然多少の時間はかかる。しかし、これはスピーディーな早替わりと同等にあるいはそれ以上に大変なんじゃないかと思った。
弾正の悠然とした空中闊歩、不気味でステキでした!! これを最後まで間近で見るためにこの席を取ったのだ。

だけど、弾正って外記をだまして襲うなんぞ、意外とコスい。それまでは大きなアクだと思っていたのに、ここでちょっとガッカリする(別に海老蔵のせいではない。そういうお話だから)。
十役の中では、赤松満祐の霊(エコーがかかり過ぎて、最初のほうのセリフが聞き取れなかった)、仁木弾正、細川勝元が断然よく、荒獅子男之助、土手の道哲も海老蔵らしさがみられて悪くなかった。
細川、カッコよかった。私の中で最高にカッコいい細川勝元はスカッとした仁左様だが、海老ちゃんの勝元も素敵だった。声は高くても安定していて、理路整然、明快な物言い、仁左様に比べるとちょっと粘っこいのも悪くない。ただ、直訴の密書を拒絶する振りをして受け取る芝居がコミカル過ぎた気がする。
早替わりはだんだん客もわかってきて、役替わりで出るたび、その予告に笑いが起きる。たとえば問註所前。渡辺民部之助(愛之助)と絹川与右衛門が話している。そこへ細川勝元が登場することが知らされる。すると民部が「与右衛門、潜め、潜め」と番小屋の裏に与右衛門を押し隠す。ここで笑い。ややあって細川勝元が駕籠から姿を現すと、変身の早さに感心する前に笑いが起きてしまう。そして勝元が駕籠内に姿を消すとすぐ与右衛門が現れ、客のどよめき笑い。といったことがしばしば。
ところで、密書を受け取るまでの海老ちゃん、与右衛門が少し残っていたのか、声が不安定だったのが惜しい。
勝元のかっこいいお裁きで伊達のお家騒動もめでたしめでたし。気楽に楽しめたし、全体的には面白かった。まさに「慙紅葉」の熱演の海老蔵さん、他の役者さん、裏方さん、この暑い中、本当にお疲れ様でした。
伊達の十役はこれからも海老蔵さんが演じ続けるのだろうが、私としては女形のできる新・猿之助でも見てみたい!! と強く思うのである。いや、2人の競演でこの芝居をもっと面白く高めていってほしいと願う。

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2012年8月21日 (火)

亀治郎の会ファイナル千穐楽:魅せられた舞踊劇三題

820日 第10回亀治郎の会千穐楽(国立劇場大劇場)
12082101kamenokai 先にカーテンコールをアップしてしまったので前後するけど。それと、演目は初日に続き2回目なので簡単に。
「栴檀女道行」
黒御簾の地色が紺で、三ツ猿とカメちゃんのシンボルマークである亀が描かれていた。
今回の座席は3階。初日の1階席よりも断然よく見え、また浄瑠璃の語りもかなりよく聞こえた(前回は浄瑠璃の後ろから聞くような形だったから)。「我は故郷を出ずる旅、君は故郷に戻る旅」。この語りを聞くと、私にも小睦と同様、力が入りそう。
前回見えなかったが、せり上がりで小睦がかぶっていたピンクの手拭(?)にも亀模様が描かれていた。
カメちゃんのしっかりいていながら軽やかな動きには本当に魅せられる。
可憐な米吉クンは初日にはただ手を大きく動かしているだけのように見えたのが、それは表情とかが見えなかったからなんだと思った。
亀鶴さんとカメちゃんの立ち回りはスピーディで愉快で楽しかった。カメちゃんが亀鶴さんの刀を取り上げ二刀流を見せたり、その刀を2人で後ろ手に持ち合ってダンスみたいな動きをしたり。最後は「でかした、でかした。我が家来になるならば日本流に月代剃って」で、侍大将の亀鶴さんはじめ軍兵たちが日本風の頭になる。亀鶴さん、顔の両側に垂らした三つ編みみたいな毛束を女の子みたいにいじったりさっと後ろにかきあげたりするのが可笑しい。軍兵たちは「名も日本流に改めて」、何とか左衛門とかになる。
そして栴檀皇女を先頭に、家来、安大人の順に引っこみ、最後小睦の引っこみは六方でも踏みそうな勢い、途中ではっと女に戻り恥じらいを含ませるのが何とも色っぽくて可愛い。花道での様々な所作の間、掛け声がすごかった。亀治郎出演の芝居は女性の掛け声も多くて、中でも「カメちゃんっ!」の掛け声には笑いが起きていた。
ちなみに、この舞踊の振付は勘十郎さんで、カメちゃんの踊り手としての力量もさることながら、勘十郎さんの振付は本当に魅力的だなあと思う(9月の藤間会、行かれないのだ、くぅ~っ)。
「檜垣」
暗い舞台でしっとりと進行していく割にはコミカルで老女が四位の少将にしなだれかかり口説き始めると、少将の門之助さんがすご~くイヤな顔をしたり(前回は見えなかったのか気づかなかったのか)、老女の小町への嫉妬、意地悪に、客席も思わず笑ってしまう。
老女が水を汲みにいくあたりから尺八の道山さんが入り、少将が観音像を鬼に突き付けている時の尺八の音色がとても効果的に感じられた。
「連獅子」
前回、澤瀉屋の仔獅子はやることが多くて大変、と書いたが、親獅子もかなり大変そう。カメちゃんのスタミナはすごい。毛振りの終わりのほうは右近クンがもうヘトヘトな感じだったのに、カメちゃんはますますエンジンフル回転みたい。猿之助(現・猿翁)のもとで修業していたときに培ったスタミナだそうだが、あのスリムな体のどこにそんなエネルギーが、と感心する。
仔獅子が谷に落ちて少し休んでいる間でも仔獅子役は決して休んではいないのだ。むしろ両手に力を籠めて体を緊張させているように見える。
2
人の力強い足拍子、やわらかい海老反り、息の合った動き、とても清々しくて、何度でも見たい!!
宗論も、いい大人が子供みたいに争う様が面白くて、またこのコンビで見たいなと思う。

上演時間は「栴檀女」と「檜垣」の間の幕間が初日25分だったのが30分になっていた。さらに全体の進行も10分ほど遅れていたようだった。
プログラムは2回目の幕間には「完売で~す」の声がロビーに響いていた(あとで増刷するそうだが、申し込みは会場のみと言っていたような)。いろんなグッズもかなり売れていたみたい。


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2012年8月20日 (月)

毛振りアンコールサービス、お客も一緒に記念撮影、楽しかった亀治郎の会ファイナルカーテンコール

820日 第10回亀治郎の会千穐楽(国立劇場大劇場)
カーテンコールを先に。
「連獅子」の興奮さめやらぬ客席。やがて緞帳が再びあがり、親獅子姿のカメちゃんが舞台中央に。後方、地方の前には仔獅子姿の右近クン。
カメちゃんが舞台中央、そして花道七三へ出て両腕を広げ挨拶し、舞台へ戻ると右近クンを呼ぶ。右近クンが挨拶。そして演奏陣への拍手をカメちゃんが促すと、客席総立ち熱狂的拍手いや手拍子の中、おお再び演奏が始まったではないか。傳次郎さん、傳左衛門さんが微笑んでいる。
毛振りのアンコールサービスだぁっhappy02 カメちゃん舞台、右近クンは振りながら花道へ。「連獅子」ではちょっと疲れが見えたように思った右近クンも力一杯毛を振って拍手に応える。カメちゃんの掛け声を合図に毛振りは終わる。
そして門之助さんが衣裳のまま出て、ややあって亀鶴さんも衣裳のまま登場。亀鶴さんはカメちゃんの前にぺたっと座り土下座していたsmile その後、米ちゃんが浴衣姿で現れる(かわゆい)。それから尺八の道山さん、「連獅子」の後見さんたちが姿を見せた後に出てきた人、「あれこの人誰?」とオペラグラスでよ~く覗いたら延寿太夫さんだった。縁の太いメガネをかけていたからわからなかった。右近クンのそばに行けばいいのになあと思ったけど、気恥ずかしいのか遠慮したのか、親子で離れていた。
そのほかの出演者も全員が揃ったところで、カメちゃんが「長塚誠志さんにお客様と一緒に記念写真を撮っていただきましょう」と言い、長塚さんが三脚にのせたカメラとともに登場。雛壇に残っていた地方さんたちも舞台に降り、舞台前方、全員が客席に背を向けて並び、長塚さんは雛壇でカメラを構える。1階センター前のほうのお客さんは長塚さんの位置からは出演者に隠れて絶対写らなかったと思う。3階下手寄りにいた私だってもちろん写らないだろうが、なんか皆で記念撮影っていうのが楽しかった。写真展、見に行かなくっちゃdash
最後にカメちゃんが「11年になります(2002年に始まって第10回だから10年かと思うところだが、2007年は公演がなかった)。二代目亀治郎は無事昇天しました(4月花形歌舞伎の後、楽屋で営まれたお葬式ではまだ昇天できなかったのねsmile。悔いもありません!! 未練もありません!! 猿之助の会はやりません!!」(きっぱり)。皆勤賞は「私のほか、弟子の段之、段一郎、そして傳次郎さんです」とのこと。ここまでやってこれたのは皆さんのおかげとカメちゃんの感謝で閉幕。
カメちゃんって本当にたくさんの人に愛されているんだなあと思った。もちろん、私も愛しているよっ
heart04
帰りにタクシーに乗り込もうとしていた紳士、どこかで見た顔だ…必死で記憶を手繰り寄せると、それは上村吉弥さんであった。吉太朗クンも一緒だった。

 

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2012年8月19日 (日)

八月歌舞伎昼の部「桜姫」

814日 八月大歌舞伎昼の部(新橋演舞場)
「趣向の華」で燃え尽きた感じもあって、せっかく取った昼の部だけどパスしちゃおうか…迷いつつ、暑い中役者さんは一生懸命やっているんだからと、気持ちを奮い立たせ見てきた。でも、食後は相当眠かったです。
「桜姫東文章」
桜姫は私が歌舞伎を見始めた年(平成16年)の7月に玉三郎×段治郎で昼夜で上下に分けて上演されたのを、上だけという中途半端な見方で見た(まだ当時は月に1回昼夜のどちらかしか行かなかったから)。肝心の後半を見ていないのは悔やまれるが、いずれにしても色っぽかったなあと記憶している。その後、コクーン歌舞伎で福助、七之助版をそれぞれ、さらには現代版桜姫なんていうのも見て、それら全部含めると5回目になるのかな。
今回思ったことは、筋を追うという意味では分かりやすかったものの、それぞれの人物の心情が摑みにくく、中途半端な気持ちは否めない。それに、「三囲の場」が唐突すぎて何か変だと思って、前の上演時のプログラムとか筋書きとか見たら、「稲瀬川」「同川下」の場が省略されていたことがわかった。あそこは上演してほしかった気がする…。
発端「江の島稚児ケ淵の場」は、福助さんが稚児に見えなかった。むしろ愛之助さんの清玄のほうが年下に見えた。しかし潔く飛びこむ白菊丸に対し「命は惜しくなかれけど、あな恐ろしい」と躊躇するのは、愛情の深さの違いというよりはそれだけ大人だったからだろうか。
この後人魂が出て、白い鳥が飛び立ち、浅葱幕。松之助さんの「発端から17年が経ったと思ってほしい」との口上があり、浅葱幕が振り落されると、そこは思わず「おお」と感嘆の声をあげてしまうほどあでやかな新清水花見の場。福助さんが頼りなげで美しい。でも、白菊丸のセリフを聞いたときも「あれ?」だった声がここでも「あれthink」。ただ時間が経つにつれ、掠れが治っていつもの福助さんの声に戻った。
いっぽう、称名を唱える愛之助さんの声のよさ。愛之助さんの丁寧なセリフはいつ聞いても気持ちがいい。ただ前述したように、愛之助さんだけでなく人物の心理が今一つつかみにくく、冤罪を受け入れる心境が伝わってこなかった。
海老蔵さんの権助はまったくはまり役で素敵だとは思うけれど、ドキドキするものを感じなくなってしまった自分が寂しいweep
濡れ場はなんかこっちが恥ずかしくなるような感じで、福助さんのエロチックさにもうちょっと品がほしいと思った。それから刺青を権助に見せるときの腕は「男」の腕だったぞ。
桜姫と清玄の人生はここから転落していくわけだが(髪ぼうぼう、髭面の愛之助さんは別人みたいだった)、福助さんの桜姫は運命に受動的に翻弄されている感じで、堕ちても清らかさを失わず芯の強さを感じた七之助さんの桜姫とはずいぶん違うような気がした。どちらがいいとか悪いとかでなく、解釈の違いや役者の違いで変わるもんなんだなあということ。転落した桜姫は福助さんがかなり抑えて演じていて、権助一筋でそんな人生も受け入れる桜姫の愛らしさや哀れさに胸打たれた。
みじめに転落していく清玄と、転落のもとをつくる権助はできたら2役で見たい(段治郎さんとコクーン福助版の橋之助さんは2役だった)。海老ちゃんの清玄なんていうのも興味あるし(「高野聖」を思い出せば十分イケると思う)、愛之助さんの2役もいいと思う。歌江さんがチョイ役で出てきたのは嬉しかった(すぐに殺されちゃったbearing
でも私にとって一番うれしかったのは萬次郎さんの長浦かな。コミカルな演技が下品にならず、萬次郎さんの大らかでユーモラスな持ち味が十分現れて、市蔵さんのワルといいコンビであった。
右近さんと弘太郎さんは形がきれいで、とくに弘太郎さんが花道を走って引っこむ姿がきれいだった。
橘太郎さんはその職業(女衒)の空気を自然と出せる人だと改めて思う。

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2012年8月18日 (土)

猿之助初司会「思い出のメロディー」

カメちゃんが司会やるっていうからNHKの「思い出のメロディー」を録画しながら見ているんだけど、懐かしくて嬉しくて。嬉しいのは自分の思いでのメロディーが聞けるだけでなく、カメちゃんも歌謡曲好きだって言ってるから(カメちゃんのにこにこ顔見てたらかわいくて、ますますカメちゃん好きになっちゃった)。
長谷川きよしがすっごいおじいさんになってびっくりしたけど、声は昔のまんまきれいだった。昔、銀巴里に長谷川きよし聞きに行ったことあったなあ、なんて思い出の一片が心に舞い降りてきたりして。
しかし長谷川さんに限らず、当時の歌手はみんなびっくりするほどおじいさん、おばあさんになっている(やっぱり心の中では若いままのイメージだから)。自分も若いつもりでいるけど、それだけおばあさんになっているんだよねえ
bearing あらためて自覚自覚coldsweats01
生まれる前の歌も、子供時代の歌も、青春真っただ中の歌も、歌ってまさに思い出だなあと、こういう番組を見るたびに思う。

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2012年8月17日 (金)

亀治郎の会ファイナル初日

816日 第10回亀治郎の会(国立劇場大劇場)
5回から見始めた亀治郎の会も、いよいよ終わりだ。
大混雑のグッズ売り場でまずはプログラムを買う。第6回からハードカバーになったこのプログラム、今回の表紙の色はゴールドで、亀治郎のサインだけでなく猿之助のサインも入っている。
今回はチケット代も安かったので、初日はA席を取ってみたが、上手側の一番端。花道は遠いながら最後まで見えたけど、舞台は前の人の頭が視野の真ん中で、やっぱり国立は上のほうが見やすいと改めて実感した。
演目は「連獅子」以外は初見。しかし「連獅子」も澤瀉屋型のものは初めて。
「栴檀女道行」
浄瑠璃が葵太夫、愛太夫、鳴門太夫と豪華。
栴檀皇女と小睦(和藤内の妻)は舞台中央からセリ上がってくる。栴檀皇女の米吉クンが愛らしく、位の高い者としての品が感じられる。しかし、舞としてはもう一歩、二歩というところだろうか。力のある米ちゃんだから、今後に期待。
栴檀皇女を守る小睦は若衆姿である。亀ちゃんには毛谷村お園の時に私が感じたような力みがなく、自然な女武道といった感じで実にカッコいい。時折見せる女らしさも好もしい。踊りにドラマがある。こういう役は亀ちゃんにぴったり。
後半の軍兵たちとの所作ダテが楽しい。韃靼に与する右軍将・李蹈天の家来・安大人(亀鶴)率いる軍兵たちは猿若、段一郎、蝶之介、蝶三郎、咲十郎、錦二郎さん。蝶之介、蝶三郎、錦二郎のお3人は「趣向の華」メンバーでもいらっしゃったけれど、お髭1本で(2本か)顔の印象が変わるのと、舞台が見づらいことでよくわからなかった。
ユーモラスな中にキレのいい亀鶴さんと亀ちゃんの絡み。最後はみんな亀ちゃんに「はは~っ」ってな感じで従い、刀で頭を剃ると月代になるっていうのが面白かった。亀鶴さんだけ、はじめちょっと鬘がうまく変化しなかったように見えたけど…。
故郷へ戻る栴檀皇女の覚悟、異国へ赴く小睦の覚悟、それぞれが思い入れを見せての引っこみは見応えがあった。
「檜垣」
一時、襲名公演に次いで上演されるかもと囁かれていた「黒塚」に変わる演目だろうか。都から遠く浅茅が原にやってきた四位の少将(門之助)と小野小町(笑野)だが、少将が夢枕に立つ老女に苦しめられていることを知った小町は母の形見の観世音菩薩像を少将に渡す。そこへ1人の老女(猿之助)が現れる。かつて少将に水を飲ませたことがあり、少将に恋焦がれて後を追ってきたのだと言う老女は小町に激しい嫉妬心を燃やす。突然胸が苦しいと倒れる少将に、あの時のように老女は水を汲んであげようとする。しかし井戸水に映った我が姿に衝撃を受けた老婆は怪しい煙とともに姿を消す。しばらくすると鬼の形相をした老女の亡霊が現れ、少将に取り憑こうとするが、観世音菩薩像によって亡霊は姿を消す、というお話。
門之助さんの上品な貴公子ぶりは以前からとても好きだが、貴公子のひ弱さみたいなものと、小町を守ろうとする男らしさがうまくミックスされて、今回もとても素敵だった。門之助さんは不気味な役をやったりもするが、やっぱり高貴な二枚目が本役なんだなあと思う。
そして笑野さんも素晴らしくよかった。見た目も声も美しく、大人の女としての上品な色気がある。これまでは失礼ながらあまり印象に残らなかったが、こんなに力のある役者さんだとは、これからは俄然要注目である。澤瀉屋には本当によい女形が揃っているなあと思った。
亀ちゃんはスッポンから登場した。女は生まれた時から死ぬまで女であると言うけれど、形は老女でも女心を捨てない、そういう女のちょっとかわいい面(可笑し味というか)と怖~い面が感じられた。小町への嫉妬心にも可笑し味を見せるが、ここはもうちょっと抑えたほうが女の怖さが増すんじゃないの? と思ったけど、どうなのだろう。水に映った自分の姿に衝撃を受ける場面はなんだか哀れだった。この檜垣という老婆は既に死んでおりその妄執がなせる業だったのだが、煙に姿を消した後も亡霊となって少将に取り憑こうとするその煩悩は凄まじい。ラスト、扇の骨が11本ばらばらになって、亡霊はスッポンに姿を消すが、それは亡霊の姿がバラバラと崩れていくことを表しているのだろう、何か粛然とした気持ちになった。
清元は普段あまり好きでないが、延寿太夫、美寿太夫、志寿雄太夫、清美太夫の美声が終始薄暗い舞台にぴったりの雰囲気で、とてもよかった。
尺八に藤原道山さんが付き合う。

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2012年8月16日 (木)

第4回趣向の華 2日目夜の部②:とにかく楽しかった「大和神話武勇功」

811日 趣向の華2日目夜の部(日本橋劇場)
二幕目二場 同宿屋古那屋の場
古那屋では女中つばさ(男寅)が笑わせる。この女中は、国立の復活狂言「旭輝黄金鯱」で男寅クンが演じた下女・おふくのパロディかなeye 
忍熊がすみれに迫った「あんな青二才やめて自分と一緒になろう」というようなセリフを、今度はおふくが忍熊に「あんな小娘やめて」と迫って、逃げられる。
ここからの筋の順番の記憶がはっきりしないのだけど(違っていたらごめんなさい)、お尋ね者となっている武彦と橘姫をめぐって忍熊は一企みを思いつく。ここからは「當世流小栗判官」のチャリ場のパロディsmile その名も張子の橋蔵(オリジナルは矢橋の橋蔵)はなんと菊之丞さん。すっとぼけた橋蔵と、企みの筋書きを考えた忍熊、大事な役を与えられながら武彦に当身を喰らわされてタイミングをずらす四郎蔵(オリジナルも四郎蔵だっけね)が繰り広げるニセ裁判の可笑しさ。結局四郎蔵が「その証拠は~」と出てきたのは、すみれの父・源太夫(亀三郎)がドンっと足を踏み鳴らした時。これで、種ちゃんの悪巧みはおじゃん。
橋蔵が連れてきた家来役の2人は話が違うと逃げ出す。その家来がなんと春希クンと京三郎さん。女形の2人、突然おすピー風に変身しちゃって、きゃあきゃあ騒ぎながら逃げて行った。いや~ん、あの愛らしく上品な八重垣姫と同じ春希クンとは思えな~いcoldsweats01 
橋蔵の菊之丞さんは花道を引っこむ際、合同公演や松鸚會(染五郎さんの「あーちゃん」見たいよ~。でも、日程的に無理なのだ)のチラシを客席に配り、「みんなあげちまったぜ。ワイルドだろう」。私は歌舞伎で取り上げられるギャグはよほど人気があるんだろうな、といつも思っているが、スギちゃん人気恐るべし(何かのアンケートでもスギちゃん1位だったし)。
さて、場内暗闇の中、鶴彦の幽霊が客席へ。「浴衣買った?」などと客席いじりをしながら最後に「ケータイの電源はオフに」と言って舞台へ。人魂の黒衣が顔の布を上げて下から照らすと、染五郎さんでした(これも、あのパロディ?eye)。
隼人クンは正直、親戚目線で一時はどうなるかと心配したこともあったが、セリフもしっかりしてきたし、芝居もずいぶんよくなってきたと嬉しかった。ま、女形はやらないほうがいいと思うけれど、身長もあるし、立役をしっかり勉強してほしい。
チャリ場は終わり、ここから本筋へ。
源太夫が思いもかけない告白をする。すみれは実は小碓なのだと。配役を見た時、小碓がいないヤマトタケルって?と不思議だった謎がここで氷解。でも、自分が男だって気づかないものかねえ、とこれも不思議だったが、どうやら体も女になっていたらしく(その辺聞きそびれた)、武彦が持っていた秘薬に巳年の人間の血を混ぜて飲むと男に戻るのだそうだ。その巳年はまさに自分、と腹に刀を突き立て名乗り出た源太夫。実は源太夫は以前大和朝廷に勤めていたが、不義(職場恋愛)をとがめられ追放になった。その恨みから皇子を1人かどわかした。それが小碓である。小碓を女の子として育てた一方で、生まれつき手癖が悪い自分の実子は、ある時母親とともに出奔して行方がわからなくなった。色々調べたところ、八十の猛がその息子だとわかった。前非を悔いてすみれに秘薬+血を飲ませ、小碓に戻ったすみれに八十の猛を倒して大和を復活させてほしいと願い息絶える源太夫。
プレ公演で、亀寿さんが「いつも悪役の亀三郎さんは今回はいい人」と言っていたのが源太夫である。
梅枝クンは女から男へ違和感なく変身。まったく、梅枝クンは何をやらせてもうまい。
同三場 知多浜海上の場
同四場 天空の場
小碓は武彦と、目出度く妻となった橘姫を連れて船で大和へと向かう。その途中、大嵐にあい、占い師が一番大事なものを捧げよというお告げを出す。そこで橘姫は自ら海へ飛び込む。

ここからは東蔵さんと梅丸クンの竹本が入る。東蔵さんの語りが素晴らしく力強くて上手で素敵だった。梅丸クンは舞台の進行を見ながら語っていた。

別れの場では新悟クンが辞世の歌を琴を弾きながら歌った。新悟クンの腕前見事。ほんと、新悟クンの清潔で哀れな風情はいい(化粧をしないほうが私は好きだ、なんて言ったらしょうもないか)。梅丸クンも竹本を一時中断して琴を弾いていた。
2人とも素のままでも女形の拵えを想像しても、いい姿だ。
姫が身を投げると、
3匹(っていうのかな)の烏天狗が現れる(椿説弓張月のパロ?)。鷹之資・玉太郎・金太郎という本当にかわいくて客席をメロメロにしてしまう3lovely
そこへ天照大神(魁春)が現れ、新悟を生き返らせ(?)、小碓を白鳥にして武彦と
3人大和へ飛翔させる。魁春さんはなんか不思議ムードでそのムードが天照大神にぴったり。特製浴衣の反物を翼に見立てての飛翔は、実にうまいアイディアだと感心した。紺地なら買ってもいいのになあと思っていた浴衣地も白地だからこそのここでの活かし方だねっ。


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2012年8月15日 (水)

第4回趣向の華 2日目夜の部①:パロディいっぱい、見どころいっぱい「大和神話武勇功」

811日 趣向の華2日目夜の部(日本橋劇場)
開演前、例の声bleahで「みんな、聞いて聞いてぇ。そこ、お喋りやめて。本日はクソ暑い中第4回趣向の華にお運びいただきありがとうございます。そこ、聞いてぇ」という、昼の部とは違う調子で誘導灯消灯に関するお願い、携帯等の注意があった。「ケータイ、これだけ言っても鳴らす人がいるんですよ。あなた、あなたですよ」だって。
「袴歌舞伎 大和神話武勇功(やまとしんわぶゆうのいさおし)」
「ヤマトタケル」(古事記オリジナルはよく知らないけど、オリジナルにかなり忠実だと思われるスーパー歌舞伎の「ヤマトタケル」)のパロディを軸にその他色々パロった物語で(どんなパロディがあるか、お楽しみ。気が付かないのもあったかも)、歌舞伎の面白さをぜ~んぶ詰め込んだような感じで本当に楽しかった。年々、苫舟(勘十郎)さんの筆は冴えていく。

序幕 大和国景行天皇館の場
景行天皇(友右衛門)、皇后稲日(高麗蔵)をはじめとして大和朝廷の主だった人々が並んでいる。友右衛門さんは束帯をつけ、高麗蔵さんも薄衣をまとっている。
八十の猛(萬太郎)が詠姫(廣松)を自分の妻にしたいと言い出す。姫は大碓命(梅枝)の妻であるのに、だ。皆が驚く中、猛は大碓も承知の話だと強気である。それでも誰もが納得できないでいると、家来の久磨羅(亀寿)が「これは忠義のために自分が仕組んだことだ」と言って我と我が目を抉り取る。これって、「国姓爺合戦」の発端のところの李蹈天のパロディかなeye 
驚いたみんなが引っこむと、大碓は詠姫の姉・橘姫(新悟)に言い寄る。父の言うことを聞いて仕方なく詠姫と契ったが、本当は最初から橘姫が好きだった。「そなたを手に入れるための計略である」と打ち明ける。私は新悟クンの女形は風情があって好きだが、いろいろデカいなあと改めて思った(身長、手、足)。衣裳をつけるとそのデカさが緩和されるのかな。
自分は小碓の許嫁であり、しかもあんたは妹のダンナじゃないかと激しく大碓を拒否する橘姫(もちろんもっとお上品に拒否します)。この様子を陰で窺っていた詠姫は大碓を責めるがあっけなく殺されてしまう(廣松クンはやっぱり女形路線でいくのでしょうか。芝雀さんの影が感じられる)。その大碓は母親の稲日に矢で射り殺され、稲日は自害する。苦しい息の下、もう1人の息子、幼い時に行方がわからなくなった小碓を探してくれるよう吉備武彦(歌昇)・敷妙(米吉)夫婦と橘姫に託す。そこへ久磨羅が現れ、自分の本性は八岐大蛇であると正体を明かし、大和に滅ぼされた怨みから久磨羅として今度は大和を滅ぼすのだと言う。
序幕二場 同裏門敷妙討死の場
小碓を探す旅の途中、敷妙は敵と戦って命を落とす。米ちゃん、女形としてどんどん力をつけつつある。戦う女であっても品のよさ、柔らかく優しい感じがよい。
序幕三場 吉野山道行の場
まさに「道行」のパロディ。蝶之介さんの熊蘇太郎が逸見藤太に当たる。ノリ地の剽軽なセリフが面白い。なんと、熊蘇太郎が引き連れる花四天の
1人が染五郎さんsmile 一際目立った動きをしてすぐに引っこんじゃった。屋号尽くしの歌が気が利いている。歌に合わせて出演者の屋号が書かれた紙が次々に広げられるのも楽しい趣向だ。出演も紙による紹介もなかったが「松島屋」も歌詞に入っていた。最初にもらったチラシには千之助クンの名前も入っていたんだけど、急遽出演取りやめになったのかしら。
一度引っこんだ染ちゃんが金太郎ちゃんを連れて出て大サービス。
ラスト、歌昇クンの投げた笠は蝶之介さんががっちりキャッチ
goodで拍手喝采。
二幕目 尾張国油ケ淵の場

世話物風になる。尾張の古那屋(耳から聞いただけでは何とも思わなかったけど、文字を見たら那古屋のモジりだよ~
smile)という宿屋の娘・すみれ(梅枝)の許嫁・鶴彦(隼人)は深夜1人、結納の銀を持って向かう途中、すみれに横恋慕する外ケ浜の忍熊(おしくま・種之助)とその仲間の知多の四郎蔵(廣太郎)に襲われ惨殺され、銀も奪われてしまう。出てきてすぐ殺されちゃう隼人クンね(ただ、これで出番は終わりではない)。でも、すっごくしぶとくて、何度沼に沈めても浮き上がってくるんで、本当は可哀想なんだけど、思わず笑ってしまう。
鶴彦はこの後、スッポンから現れる。黒衣が差し金の人魂をもち花道を誘導するが、人魂で隼人クンを襲ったり、さかんにイタズラを仕掛けるのが可笑しい。

種ちゃんはワルい奴なんだけど、私は種ちゃんの鼻の形が好きで、顔の中心ばっかり見ていた気がする。この辺りで亀三郎、梅枝、歌昇、新悟、種之助、廣太郎によるだんまりがあって、形をきれいに決められる人たちだから、楽しめた。

以下、続く。

 

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2012年8月14日 (火)

第4回趣向の華 2日目昼の部②:ぼろぼろ泣きの白虎隊からにぎやかなフィナーレへ

811日 趣向の華2日目昼の部(日本橋劇場)

「袴歌舞伎 白虎隊」
明治41年明治座初演、大正5年歌舞伎座再演、以来3度目の上演がこの袴歌舞伎だそうである。
とにかく泣かされたわ。袴歌舞伎でこんなに泣くなんて。だって、今までは笑いが主だったんだもの。それに、衣裳をつけない、若手のまだまだ未熟なところもある演技だとしても、これほど心に迫るものをぶつけてくるとは!! あちこちからすすり泣きが聞こえてくる。
白河家では長男・千太郎(壱太郎)が病の床に就いており、戦に加われぬ無念を嘆いている。そこへ、江戸の相撲取り・朝日嶽鶴之助(萬太郎。萬ちゃん、いつだったかも何かで相撲取りやったような記憶があるが…。小柄なのにねえ)が訪ねてきて、かつて恩を受けた会津の殿様のお役に立ちに来たと告げる。
すると今度は母親お道(高麗蔵)の兄・小左衛門(亀三郎)が訪ねてきて、15歳以上17歳以下の男子は白虎隊と名付けて出陣することになったと告げる。項垂れる千太郎の気持ちを察した弟・万次郎(米吉)が必死で自分は15歳であると訴える。万次郎は本当は14歳なのである。年齢を1つ偽って兄のかわりに白虎隊に入ろうとする万次郎を伯父は褒め、生き甲斐のない千太郎は自害したいと言い出しみんなに止められる。米ちゃんの兄を思ういじらしさ、弟を誇りに思いながら身を捩って無念さを表す壱太郎クン。もう、ここですでにウルウル。
お茶をもってきた女中のお松(梅之)も、千太郎の自害などとんでもないと止め、さらにはお家のことで仕方ないけれど、こんな前髪の子供まで駆り出して刀や鉄砲の楯にするとはあんまりだと、怒りを込めて嘆く。梅之さんの心を籠めた丁寧なこの重く悲しい言葉に、涙。武士の妻であり武士の母親でもあるお道も、覚悟を見せ、口では息子をほめながら、内心はお松と同じ思いのようである。
そこへ見舞かたがたやってきた千太郎の友人たち。万次郎の決意を聞いて感心するものの、幼い万次郎の刀の腕は信用されていない。万次郎は自分の手の内を見てくれと言って、従兄・滝沢七之丞(歌昇)と手合せすることになる。相手は免許の腕前。かなうわけもないが、七之丞は万次郎の腕をほめる。そんな万次郎を見ているうち、たまりかねた千太郎はふらつく体を奮い立たせて木刀を持ち、森田八弥(隼人)と手合せをする。意外にも八弥が危うくなり、河村雄三郎(種之助)が助太刀に入る。千太郎は病がどこかへ吹き飛んでしまい、すっかり元気を取り戻し、喜び勇んで白虎隊に加わるのであった(壱太郎クン、決してコーフンせずに、気持ちが体を凌駕するこの変化をきちんと見せていた。死に赴くとわかっていても、白虎隊に加われる喜びを私も共有した)。そんな息子をそっと見守る母…。
高麗蔵さんは素顔でも女形としてまったく違和感がない。静かなたたずまいで夫に死なれ家を守る武家の女を演じて好もしい。
場は替わり、戸の口の原。深い霧の中、白虎隊の若者たちが出陣のときを待っている。佐藤源之助(梅枝)は昨夜眠れなかったから眠くなってきた、戦が始まったら起こしてくれと言って横になる。やがて霧が晴れ、いよいよ戦が始まった音が聞こえてきた。起こそうとしてもぐっすり眠って目覚めない源之助1人を置いて仲間たちは戦場へ向かう。梅枝クンは前日の遊び人といい、豪胆な若武者と普段のはかなげな女形のギャップがありすぎる
ややあって目覚めた源之助の前を町人風情の男が2人通る。蓑の下から覗く彼らの鞘を見咎めた源之助は己の刀を抜く。戦っているうちに仲間が戻る。敵の数も増える。激しい戦闘になる。梅丸クンが太ももを斬られる。種之助クンは昨日に引き続き激しい立ち回りだ。壱太郎クンは槍で戦う。鷹之資・玉太郎クンのかわいい白虎隊戦士、鷹之資クン(平瀬虎吉)が玉太郎クン(黒川元彦)を守りながら戦う姿がいじらしくてはらはらしながら涙涙。7人に囲まれ危ういところへ朝日嶽が駆け付ける。丸太を振り回して大奮闘するが、やがて丸太を奪われ素手で応戦するも、ついには敵の槍に突かれ命を落とす。
飯盛山中腹。見下ろす城は炎に包まれている。「あの中には殿様もござる」。「伯父様もいる」。「父もいる」「母もいる」「姉もいる」「弟もいる」。泣きながら城を見るうちに、鐘が鳴り、彼らはまだ城が落ちていないことを知る。喜びも束の間、この小人数では帰ることも叶わぬ、生け捕りの恥辱を受けるくらいならと、白虎隊の面々は切腹を決意する。城と殿に向かって平伏して別れを告げる白虎隊。自決、差し違え(差し違えがすっごく悲しい。泣けて泣けて)、次々と若い命が絶たれる。御簾内からは「會津磐梯山」の歌が流れている。千太郎は弟の万次郎を抱き、後ろから弟の腹に突き立てた刀に添えた手に力を込める。兄をしっかり見つめながら絶命する弟。すぐに後を追う兄。プレ公演のトークで「兄弟愛を見てください」と2人が言っていたが、涙ボロボロぼろぼろ止め処ない。今思い出しても兄弟の最期、兄弟愛に泣けてくる。源之助が死に、最後に七之助が腹を切る。
飯盛山麓に官軍の大川彦次郎(亀寿)の連隊がやってくる。会津のねばりをほめながらも雪が降らぬうちに決着をつけたい大川。その前を1人の女が通り過ぎようとする。着物に血がついているのを見咎められた女は、静かな怒りと悲しみを込めて白虎隊の死を告げる。女は白河家の女中・お松であった。はじめと終わりで戦の空しさ、戦への怒り、悲しみを抑えた演技で訴えた梅之さんの心情に胸を揺さぶられた。
彦次郎は手下に白虎隊の死を確認させると、見事だとほめ、自分たちもかつては敵と呼ばれたことがあった。今は勝利者となったがいつか又勝利を奪われることがあるかもしれない。歴史は回り灯籠である、としみじみ述懐するのであった。

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2012年8月13日 (月)

第4回趣向の華 2日目昼の部①:耳で味わう酒

811日 趣向の華2日目昼の部(日本橋劇場)
最近、外出によく忘れ物をする。日焼け止め、携帯、筆記用具等々。
今日は、日焼け止め、カメラ、お茶を忘れた。日焼け止めは松也クンの「挑む」の時にやむを得ず買っちゃったので今日はスカーフで防止。お茶はコンビニで買うしかない。カメラは携帯があるが、携帯で写真ってほとんど撮ったことがないので、アップの仕方とかわからず、シャッターチャンスをふいにした。おまけにタイムテーブルとか撮ってもピンボケ。
開演前のアナウンスは前日と同じ、カメちゃん。
「演奏 雨の五郎」
「演奏 連獅子」
「雨の五郎」は前日と同じ顔ぶれ。演奏は前日よりよくなっていたような気がした。前日は玉太郎クンの後ろにプロが控えていて調弦を手伝っていたが、この日は玉ちゃん、自分でやっていた。
「連獅子」は、三味線の歌昇・種之助・米吉が抜け、萬太郎・廣松が加わる。いつも暗譜の萬太郎クンは今回は楽譜からほとんど目を離さず、男寅クンが暗譜で演奏していた。
唄の勘十郎さんは前日、立三味線の染五郎さんの隣に位置していたのに、この日は一番端っこに移動していた。なぜ? 謎
smile
染五郎さんが大薩摩を始めようとした瞬間「こうらいやっ」の掛け声がかかり、染五郎さんが笑いを堪え、それを見た客席も笑い出し、他の出演者も肩をゆすっている。三味線の染五郎さん、色っぽい。

「常盤津 夕涼み三人生酔(ゆうすずみさんにんなまえい)」
お馴染み、勘十郎さんの三味線、菊之丞さんの浄瑠璃は実に耳心地よい。多分、お2人とも好きで好きでたまらないことをやっている喜びが演奏をより高いレベルのものにしているのだろう。
笑い・泣き・怒りの三人上戸のうち、怒りは常盤津秀三太夫師が担当(この怒り上戸がまた、よかった)。毎回、終わると息もできないという菊之丞さんが今年は息がつける、とプレ公演で語ったのはそういうわけ。
舟遊びの雰囲気がよく再現されていて、川風に吹かれながら一杯傾けている様子が目に浮かぶ。新内風のところがとても粋。

今日はこれでご勘弁。

そうそう、ミーハー的余談をひとつ。
松江さんの下のお子さん、お嬢さんなんですが、玉ちゃんとそっくり。おんなじ顔していると言ってもいいほどhappy01 とってもかわいい。お母さん似のようでした。


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2012年8月12日 (日)

第4回趣向の華 1日目昼の部②:目で聞く落語

810日 趣向の華1日目昼の部(日本橋劇場)
「明烏」
菊之丞さん脚本・演出。前々回(第3回)の「真田小僧」に次ぐ、落語モノである(あの時の梅丸クン、利発でかわいかったなあ)。
暖簾と机だけのシンプルな舞台、丁稚(玉太郎)が店先で箒を使っているだけで、ここは大店だなとわかる。主人の日向屋半兵衛(友右衛門)が外出先から帰ってくる。店先にいるのは丁稚と番頭(國矢)だけなのに、他にも大勢使用人がいる雰囲気がある。
これも出かけていた息子の時次郎(萬太郎)が源兵衛(梅枝)・太助(歌昇)に伴われて帰ってくる。実は源兵衛と太助は町内でも札付きの遊び人だが、あまりに堅物過ぎる時次郎を心配した半兵衛が吉原を経験させてくれと2人に頼んだというウラがあったのだ。吉原では時次郎が絶対に行かないことをわかっている2人はお稲荷さんに行こうとだまして、時次郎の支度を店の外で待つ。
半兵衛は話を合わせながら時次郎に種々の心得を授ける。吉原をお稲荷さんに見立てての心得は可笑しさたっぷりなのだが、友右衛門さんが時々セリフに詰まってしまい(おそらく、机の上に載せてあった台本を見ていたであろう)、そのご愛敬も相俟って、客席からも思わず笑いが。こういう雰囲気も趣向の華ならでは、である。
2
人の遊び人ぶりであるが、歌昇クンが腰をひねったり顔を無理やりひん曲げたりして作っているのに対し、梅枝クンはまるで<素>じゃないか、っていうくらい実に自然(本当に<素>だったらコワいぞbearing)。でも、その中に時々女形のまろやかさが滲む。
萬太郎クンもおっとりした堅物ぶりがまったく自然で素直で、こちらも<素>じゃないかと思える。
さて、場は変わって吉原。楽屋暖簾がたくさん掛けられている。それだけで華やかな廓の様子が見事に表されているし、ふだん目にすることのない楽屋暖簾がこんなにたくさん、というだけでも楽しい。また、源兵衛が廓の女将(新悟・拵えをしている。新悟クンは素顔のほうが私は好きかも)に巫女頭になってくれなどと頼んで時次郎をだます打合せをしている間、スッポンから柳の木が出てきたが、これを黒衣が支えていたのが趣向の華らしくてよかった。
未だここはお稲荷さんだと思っている堅物の時次郎は、緊張したから厠へ行きたいと言い、花道を厠へ向かう途中、遊女浦里(梅丸・拵えをしている)とバッタリ。「ぎゃぁ~っ!!」と絶叫する時次郎。さすがの時次郎もここがどこかやっとわかった次第。騙されたと知って、「帰る」と言いだす時次郎。
3人で来たんだから3人揃って帰らないと大門で袋叩きにされる」とウソを言って必死にとどめようとする太助。そのウソがわからなくて話を合わせられない源兵衛。歌昇クンが一生懸命目配せしているのに、まったくニブい梅枝クン(もちろん、役で)。最後は「オレの目を見ろ」で、梅枝クンが歌昇クンと顔つき合わせて睨み合う形でやっと太助の真意を理解。この間の遣り取りがまた可笑しくて、客席大笑い。
すったもんだの末、女将と遊び人2人は何とか時次郎と浦里を別室へ送り出した。
翌朝、2人が時次郎と浦里の部屋へ向かうと、2人は仲睦まじく1つの布団に入っている。その状態を客によく見せるため、布団を載せた板を垂直に立たせたのが何とも可笑しい。2人揃って相方にフられた源兵衛と太助はもう帰ろうと時次郎を促すが堅物だった時次郎、「花魁が足をぎゅっと挟んで離してくれない」と嬉しそう。そんなら自分たちは帰るわと言う2人に時次郎、「大門で袋叩きにされるよ」。
梅丸クンの浦里は、セリフがほとんどなくて表情や動きだけで気持ちを表すという難しい役だが、ウブな時次郎を気に入って可愛く思う様子がきっちり見て取れたし、なんとも愛らしく、しかもこぼれるような色気がある。萬太郎・梅丸の2人が布団に入っている姿も思わず「かっわいい~」と声を出してしまうほど、ぴったり似合いのカップルで、これからもこのコンビで何か芝居を見たいと強く思うのであった。
さて、「明烏」自体はこれでオチがついたのだが、話はまだまだ終わらない。
実は3人が吉原に入る時、1人の侍が誰かに追われている様子であった。それが次の演目の伏線であった、といううまい趣向。
「敵討廓春雨」
前日のプレ公演で舞台稽古を見た演目である。あれからまた稽古をしたのか、本番は流れがよりスムーズになっていた。坊ちゃんたち(廣太郎・米吉・廣松・隼人)は紋付袴、捕手は浴衣に揃いの縞の袴をつけている。種之助クンは小柄ながら狭い舞台で大きく力強い立ち回りを見せた。本当に形がきれいで、見ていて飽きない。ここでの主役は種之助クンではあるが、捕手の面々(八重之・蝶之介・蝶三郎・京珠・京純・京由・錦二郎・やゑ亮)も主役と言っていいほどの活躍であった。これも余計なことだが、やゑ亮クン、身長伸びた?
最後に種ちゃんが「とうざ~い。まず本日の昼の部は」、5人で「これぎり~」。

幕が閉まると染五郎さんが出てきて、御簾内から勘十郎さんと菊之丞さんを呼び、「演奏、芝居、脚本、作曲、プログラムの原稿、全部手作りでやっています。明日も、今日の夜の部もよろしく」と締めて昼の部は終わり。
夜の部は2日間同演目なので、1日目は昼の部だけを見て、2日目に昼夜通しという人が多いようであったが、私もその1人。
それにしても金曜日の昼だからなのだろうか、空席がけっこう目立ったのが実にもったいない!!
<上演時間>「雨の五郎」10分、「連獅子」20分(演奏:13301400)、休憩10分、「筆幸」31分(14101441)、休憩20分、「明烏」47分(15011548)、つなぎ幕1分、「敵討」16分(15491605

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第4回趣向の華 1日目昼の部①:耳で見る歌舞伎

810日 趣向の華1日目昼の部(日本橋劇場)
昨日出がけの気分下降状態はプレ公演にて一気に上昇upwardright 今日は張り切って出かけたら、なんと浴衣反物売り場に染五郎、菊之丞、萬太郎、隼人、廣松(多分。 この兄弟、未だにどちらがどちらだかわからなくなる)5人衆が勢揃い。買った人には2ショット写真のサービスなどあったよう
そして開演2分ほど前になると、アナウンスが。どこかで聞いたような声だけど…。
「皆さま、ご静粛に。このおクソ暑い中、ご来場ありがとうございます。私、市川かめ…猿之助でございます」。おお~っ!! カメちゃんの声だったのかぁhappy02 なんでカメちゃん?と思ったけど、染五郎さんと仲良しだから? 「公演に先立ちまして私猿之助よりお願いがございます。上演中、場内誘導灯は消灯します。地震・災害等の折には係員の誘導に従っていただきますよう、私猿之助よりお願い申し上げます。また形態電話が鳴ると周りの方が非常に迷惑します」と携帯に関する注意の後、「上演中のお喋り、居眠り、途中退場は私、猿之助、大嫌いでございます」とか、何かかんかあり、「私、猿之助よりお願い申し上げます」。って、「私、猿之助」を何回強調するっbearing しかし、思いがけないカメちゃんのアナウンス、嬉しかったな。
演奏「長唄 雨の五郎」
全員、特製浴衣で登場。三味線は玉太郎・勘十郎・梅之梅之さんの三味線は中村座の「たぬき会」に続いて、で嬉しい)の

3人。上段真ん中、一際小さい玉太郎ちゃんが立三味線でしっかり弾いている。子供サイズの三味線というものがあるならそれを使うのかと思いきや、ちゃんと大人と同じサイズの三味線である。鷹之資クンは太鼓できっちりリズムを刻む。プレ公演ですでに周囲からは興奮状態にあったと揶揄された壱太郎クンは大鼓。落ち着いて見えたが、内心興奮していたかも。小鼓は新悟・菊之丞・染五郎。見た目もきれいな3人で耳だけでなく目も楽しめる。全体に音もバランスよく聞こえてきた。
演奏「長唄 連獅子」
三味線は染五郎・廣太郎・男寅・歌昇・種之助・米吉、小鼓は梅枝・新悟。梅丸、大鼓は壱太郎、太鼓が菊之丞という面々。
小鼓・梅枝クンの「よぉ」の掛け声が男らしくとても良い声でよく通る。演奏もうまい。壱太郎クンの掛け声はどちらかというと高い声で、この2人の掛け合いの演奏はなかなか聞きごたえがあった。壱太郎クン、絶対興奮していたと思うよ。
場面を思い浮かべながら聞いていると、親獅子が子獅子を谷へ突き落す場面が一番よいように思った。
大薩摩部分は、染五郎さんの三味線に勘十郎さんの歌から始まり、三味線は廣太郎→男寅とソロ演奏が続く。歌は勘十郎さんから隼人→龍之助。隼人クンは伸びのある声で、龍之助クンは低めの声に幅がある(龍之助クンはいつも演奏にしか出ない)。
菊之丞さんの掛け声に梅枝クンが鼓の紐を絞って出すぎりぎりという音がし~んとした場内に響く。
三味線と鼓のリズムが合わないことも間々あったが、この演奏はいつも「発表会」という気持ちで聞いているので、若い役者さんたちの頑張りを評価したい。鼓を打つ梅丸クンが端正で心惹かれた。

次の演目の前に休憩のアナウンスが入ったが、これもカメちゃん。豪華特製浴衣をお買い求めいただきたい、「私、猿之助よりもお願いします」という宣伝。

「清元 筆幸」
黒の紋付、袴姿で、筆幸一家が勘十郎(父親幸兵衛)・梅枝(姉娘お雪)・廣松(妹娘お霜)、車夫三五郎が菊之丞という面々。全員が浄瑠璃を語り、かつそれぞれのセリフを喋るという趣向。動きはなく語りとセリフだけなのに、貧しく優しく悲しい一家の様子が目に浮かぶ。梅枝クンなど素顔なのにセリフの声を発した途端、お雪になっているから不思議である。廣松クンも年少らしい高い声で愛らしさを表す(廣松クンのほうが顔がちょっとごっついせいか――失礼、ギャップが大きかった)。勘十郎さんは時代に取り残された父親の情けない思いと狂いを抑えた調子で表し、それだけに哀れが感じられた(うまいっ!! 

勘十郎さんは本当に多才だ)。菊之丞さんの三五郎には真情が溢れていた。
芝居の道具や拵えがなくてもこれだけ筆幸の世界を表現できること、耳から入ってくる清元とセリフでこれだけ筆幸の世界を頭に再現できることが素晴らしいと思った。
余計なことだが、ここの娘の名はお雪とお霜、寒く暗いイメージだが、父親と赤ん坊の名は幸兵衛に幸太郎…なんかおもしろい。
余計ついでに、以前幸四郎さんで見た筆幸、お霜の米吉クン(まだぷっくらとしていた)、三五郎の歌六さん(脚のきれいなことをこの時初めて知った)が印象的であった。「水天宮利生深川」全体で言えば、警官の友右衛門さん(歌舞伎でこういう役を初めて見た)、おむらの秀太郎さんも記憶に残っている。

この後の休憩で、遊女姿の梅丸クンが染五郎さんと2人で浴衣売場に登場。なんと愛らしい!! 亀ちゃんの特製浴衣宣伝アナウンスも段々おかしくなって「買ってよぉ~、う~ん、買って、買ってぇ~」。

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2012年8月11日 (土)

第4回「趣向の華」プレ公演②:公開舞台稽古

89日 趣向の華プレ公演(日本橋劇場)

抽選会のあと、休憩が入り、いよいよ「敵討廓春雨」の公開舞台稽古。
種之助クンが舞台中央で刀を構え、十手持ち取り囲まれている。高い台の上には廣太郎、廣松、米吉、隼人の4人がやはり戦う姿勢でいる。みんな、趣向の華特製浴衣に袴をつけている。
トークに唯一登場しなかった種之助クン、「父の弟子の蝶三郎さんが、襲名公演の合間を縫って15分ほどの立ち回りを作ってくれた。蝶三郎さんもそんなに長い立ち回りを作ったことがないし、ボクもそんなに立ち回りをやったことがない」。(本当に、この「趣向の華」というのは、みなさんがそれぞれ多忙の中、真剣に楽しく取り組んでいるのだなあと思う)
勘十郎さんが、「本当は屋根の上での立ち回りにしたかったが、今回は台を組んだ。台が屋根のつもりです。上にいる4人は<いい人>側。十手持ちと一緒に<悪人>の種之助さんをやっつける。慶安太平記の丸橋忠弥をもじった形でやります」。(話を聞いたときにはよくわからなかったが、実際に立ち回りを見たら、丸橋忠弥という意味がわかった)
はじめは何の音も入らず、斬りかかる時などの「やぁっ」という掛け声も小声で、顔もにこやか、和気あいあいな感じ。蝶三郎さんが種ちゃんにダメ出ししたりすることもあった。これは立ち位置とか段取りをする「場当たり」という稽古らしい。これが10分ほど続くと、勘十郎さんの指示で定式幕が閉められる。
そして、いよいよ舞台稽古の本番(?)。
御簾内の音も柝も入り、みんな真剣、さっきまでとは打って変わった臨場感である。15分ほどとはいえ、十手持ちに次から次へと襲い掛かられ、種ちゃん、ふらふらになるほどの大奮闘である(もちろん、演技上のふらふらなんだけど、実際にも相当な消耗だと思う)。そのふらふら感が、丸橋忠弥を思い出させた(私が見た獅童さんの忠弥は孤軍奮闘ではなく、愛之助さんの小弥太と体を結び合っての立ち回りだったけど)。さっきダメ出しされていたところは無事クリア。見ていると、あれでわかったのかな、という感じだったけど、さすが役者さん、段取りとか息というものを1度で覚えるものなんだと感心した。
種ちゃんの立ち回りは、とくに決まった時の形がとてもきれいで、おとうさんの又五郎さんにそっくり!!  捕手のみなさんも、狭い舞台でハシゴや棒を見事に扱って、種ちゃんをひっきりなしに襲う。多少スピード感が緩いのはまだ稽古の段階のせいだろう。それでも舞台でのテンション上昇に伴い、御簾内でも壱太郎クンがもう興奮状態にあったらしい。
息を詰めて見ていた立ち回り、最後は<坊ちゃん>たち5人の「本日のプレ公演はこれぎり~」で終わった。

染五郎さんの「趣向の華メンバーでいつか、新しい歌舞伎座を乗っ取りたい」の締めに、客席大拍手!!
明日があるからと大急ぎで帰路に着く私だが、役者さんたちはまだ稽古を続けたのだろうか。
<上演時間(手元時計にて、だいたい)>トークショー19001950、休憩20分、公開舞台稽古20102040

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2012年8月10日 (金)

第4回「趣向の華」プレ公演①:トークショー

89日 趣向の華プレ公演(日本橋劇場)
夏の最高の楽しみ、趣向の華。それなのに、劇場に向かいながら億劫で仕方ない。体力も気力も萎えている。これまで1日だけだった趣向の華が今年は2+プレ公演。余計、体にはきつい。しかしやっぱり、趣向の華を見なくては夏ではない!!のだ。

勘十郎・染五郎・菊之丞(去年はまだ青楓さんだった)の
3人がお揃いの浴衣姿で登場する。勘十郎の藤、染五郎の銀杏、菊之丞の菊をあしらった趣向の華限定浴衣だそうだ。
3
人がMCではあるのだけど、中心は染五郎さんで、迷司会ならぬ迷走司会に勘十郎さんも菊之丞さんも苦笑しながら時々軌道修正をせざるを得ない。
まずは今年が何回公演かで混乱。菊之丞さんが「今回が第4回。前回は特別公演なので回数には入れていない」。というのも、去年は染五郎さんが参加したことで特別公演になったから(染五郎さんのこの公演出演そのものは第1回からなんだけど、企画側としての参加という意味で)。
:宗家と2人、楽器が好きで何かできないか、というところから始まった。若い役者にも協力してもらい、1回きりのつもりでやったら、好評につき「又やってくれ」という声が多かった。願ったり叶ったりということで続いている。
:破産するかと思ったこともある。(それは、以前にもおっしゃっていて、趣向の華を楽しみにしている側としては、何とか頑張って!!と心の中で応援するしかなかったけど、こうやって定着し、しかも2日公演にまでなったのは本当にありがたく、嬉しい)
:(ボク、)1回目から出てるんでしたっけ? 鼓が好きだが、発表の場がないのでここでやらせてもらうのはありがたい。前々回の勧進帳では鼓を打っているかと思えば役者にもなるという…。鼓は多少何とかなる自信がある。三味線は小2から習っているが全く上達しない。三味線、鼓は役者にとって必須の稽古だが、なかなか発表の場がない。前回は「越後獅子」…。
:いや、それは2年前。前回は「喜撰」です。
:去年の趣向の華で置いたきりの三味線を今回再び手に取ることになった。

菊之丞さん、染さんがますます迷走しそうになるのを遮って、亀三郎・亀寿兄弟を紹介する。
亀三郎:(紹介が)遅いよ(笑)。
亀寿:趣向の華は夏の風物詩。これが終わらないと夏休みにならない。
亀三郎:第1回で「道成寺」をトチったのに、客席真面目に聞いている。「藤娘」では女形で笑いを取れるかと思ったらやっぱり真面目。
亀寿:太鼓打たなくちゃならないところでバチ置きました。すみません。
1回公演でも覚えるのは1カ月公演と同じ。ゼロから作るのは大変。
亀三郎:若手に教える立場にあるが、いい加減なことは教えられない。
:(そういう意味でも)趣向の華は勉強の場でもある。
:とくに新作の歌舞伎ではお2人のおかげで助かっている。
亀寿:いつも趣向の華では「いい人」をやっているが、今回は悪い人の役。いつも悪い人の亀三郎さんは今回はいい人。
亀三郎:化け物が人間になっただけなんですけどね。

ここで、亀兄弟は退場。本公演夜の部「大和神話武勇功」出演、金太郎・鷹之資・玉太郎の3人が登場。鷹之資クンの身体の大きさが目立つが、縦に伸びてきた感じ。金太郎クンははじめずっとパパのほうを向いていて、客席からも「前向いて」と声がかかる。
鷹之資クンは昼の部の「雨の五郎」では太鼓を演奏する。三味線演奏の玉太郎クンともども稽古の初日から完璧だったそう。でも、
:練習はしたんですが、ぶっつけ本番ということで頑張ります(の言葉に、一同キョトン)。
1カ月くらい練習しましたが、あとは本番で全力尽くすだけ(なんと立派な言葉)。自信は半分あって半分ない。
:天狗をやります(演奏はしない)。
染パパに「自信のほどは?」とマイクを向けられるとしばし沈黙。染さん、ふざけて金太郎ちゃんの額にマイクを当てる。やがて金太郎ちゃん「ちょっとできそう」と答える。
鷹之資13歳、玉太郎11歳、金太郎7歳と可愛い3人である。最年長鷹之資クンが最年少の金太郎ちゃんの面倒をみる感じでいたのが微笑ましい。

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2012年8月 9日 (木)

夜のスカイツリー

12080902skytree
本当は、このto the skyというモニュメントの間からツリーを見上げるのだけど、こっちのほうが幻想的だから…というのは言い訳で、いい写真が撮れなかった。
12080903skytree
松也クンの「挑む」のあと、付き合いで2度目のスカイツリーへ(夜は初めてだけど)。ほとんど病み上がりみたいな状態で出かけたし、ひどく暑くて(建物の中はひどく寒くて、温度差にも悩まされ)ものすご~~く疲れた。
12080901skytree
100万人分の疲労(わかるかな、写真)。

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2012年8月 8日 (水)

狂言と歌舞伎のコラボ:「挑む~外伝」

87日 「挑む~外伝」(セルリアンタワー能楽堂)
セルリアンタワーの場所はわかったのに、能楽堂へなかなか辿り着けずちょっとアセった(表から行けばなんてことなかったんだ、と後でわかった)。おまけに本格的な能楽堂は初めてなので、ちょっと緊張してしまった。
最初に松也クンの挨拶があった。「今年で4回目、続けてこられてありがたい」(毎回見ている、と言いたいところだが、去年は震災が心に落とした影響もあったり、スケジュール的なものもあったりで、行かなかったのが今となって悔やまれる)。「今年は強力な助っ人3人(七之助、三宅右矩・近成。幼い時から仲良しの3人だそうだ)に参加してもらったことで<4>とせずに<外伝>とした」というような内容。そしてざっと演目の説明があった。以下、簡単に感想を。
舞踊「翁千歳三番叟」
まさにこの舞踊の登場人物全員が題名に現れているのが面白いと思った。能楽堂に相応しく、尾上菊之丞さんが振りつけられたそうで、素踊りの三番叟であった。
まずは隆松クンが面箱を持ってしずしずと橋掛かりを進む。さぞや緊張するだろうなあと思うこちらもますます緊張してしまった。後ろから翁の徳松さん、三番叟の國矢・左字郎さんが続く。三番叟の2人は橋掛かりに控え、徳松さんが舞台で踊る。じっと動かずに胸の高さで面箱を持ち続けている隆松クンは大変だろうなあと思いやる。徳松さんの踊りは、時々、視線の動かし方や仕草のやわらかさなどに女形が一瞬あらわれるような気がした。
翁と千歳の踊りは私には善し悪しはわからないけれど、素踊りだけに衣裳捌きに注意を払うことはないにしても、衣裳がない分、逆にはっきり動きが出るので難しいだろうなあと思った。
三番叟の踊りは力強くリズミックで楽しかった。
「トークショー」
な~んと!! 元NHKの葛西聖司アナが登場したのでビックリした。だって、これまでは(最初の2回)、司会なんていなかったんだもの。今回、司会がついたと思ったら葛西アナだし。
トークショーのメンバーは、歌舞伎から松也・七之助、狂言から三宅右矩・近成兄弟(以下、敬称時々略)。この4人は高校が一緒で、しかも三宅兄と七之助が高3の時、松也が2年、近成1年と、同時に4人が通っていた時期があったそう。
三番叟は、狂言では大事な演目である程度のキャリアがないとできない。三宅右矩さんは狂言師として一番上演回数が多いかも、なんだそうだ。
歌舞伎には狂言からきた演目も数多くあるが、2つの違いについてしばし実演も交えた説明があり、大変興味深かった(狂言のことはほとんど知らないので)。たとえば「素襖落」での舞い終わり、歌舞伎では両手を大きく叩いて「やんややんや」の喝采だが狂言では手は叩かず「よいやよいや」だとか、「〽あの山からこの山へ~」の歌は600年前のオリジナル(狂言)から400年前の歌舞伎で違うアレンジになったとか、歌舞伎では姫御寮が出るが狂言には女性は出ないなど(狂言に女性が登場することもあるが、その場合、やや声は高めにするものの、女の声としては作らない)。
「みんなで話していて、狂言のいいところを取って混ぜちゃったのが歌舞伎なんじゃないかと、4人の話の中で結論らしきものが出た」んだとか。
ちなみに、歌舞伎では「素襖落」だが、狂言では「素袍落」と書くそうだ。そう言われれば、「素袍落」という文字は見たことがあるな。
4
にの今後の「挑む」は、松也クンが「ボクの四谷怪談」(ほぼ全編、歌)、七之助さんが「兄の襲名公演」、三宅兄弟が「兄弟会」(今度で最後だそう)。
抽選会
國矢さんのMC、アシスタント左字郎・音一郎でお楽しみ抽選会が始まった。チケット半券が集められた箱から國矢さんが1枚ずつ引いていくのだが、今回はなんと脇正面席が大当たり。引く席番引く席番、「脇正面」、それでも「正面」席は2人当たったが、「中正面」はまったく当たらず。國矢さんも申し訳ながって、1度左字郎さんに引いてもらったが、それでも「脇正面」。私も脇正面せきだったんだけど、素通り。近くの人が2人も当たったのに。残念だったけど、楽しかった。
狂言「樋の酒」
三宅右矩さんの次郎冠者に近成さんの主、ここに松也クンが太郎冠者として加わる。松也クンの裃の肩衣の背中の図案が手に笹を持ってパンダ座りしているパンダ、ってのが面白かった。右矩さんのは夏らしく金魚。
狂言はテレビで見たことはあるが、ナマは初めてかも(いや、1度見たことあるかな…)。歌舞伎と比べると、狂言のほうがより声の要素が大きいかなと思った。狂言師さんは絶対に声がよくなくちゃいけないんじゃないか、声の悪い人はどうする? なんて考えていた。
また狂言はセリフをかぶって喋ることもあり、そんなところにも声の良さが求められるのではないだろうか。
話は、主の留守に太郎冠者・次郎冠者が酒を盗み飲みするという、よくあるもので、ここでは米蔵の管理を任された太郎冠者に、酒蔵の管理を任された次郎冠者が樋を使って酒を飲ませてやるのがミソ。結局太郎冠者は米蔵を放り出して酒蔵で次郎冠者と酒盛りをするのであるが、とにかく可笑しくて、たくさん笑った。帰ってきてこのザマに怒る主とのやりとりも可笑しく、狂言また見てみたい、と思った。
「素襖落」
三番叟では録音だった地方が「素襖落」ではナマ。なかなか豪華な舞台になった。太郎冠者・松也(さっきは狂言の太郎冠者、今度は歌舞伎の太郎冠者)、姫御寮・七之助、次郎冠者・國矢、三郎吾・音一郎、鈍太郎・松五郎、大名某・左字郎。
5
月に團十郎さんで見た記憶も新しい「素襖落」。狂言と歌舞伎を並べたことで、とくにセリフの言い方の違いがわかって面白かった。
松也クンの大柄なところが大らかな明るさとなって、いい太郎冠者だと思った。七之助さんはさすがの貫録だし、とにかくきれい。
チームワークよく、丁寧で品のいいユーモラスな舞台となり、大いに笑いを誘われた。
<上演時間>挨拶5分(11301135)、「三番叟」25分(11351200)、「トークショー」20分(12001220)、「抽選会」10分(12201230)、「樋の酒」20分(12301250)、休憩30分、「素襖落」50分(13201410) 実際はトークショーがのびたのだろうか、10分ほど遅れた。

 

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2012年8月 7日 (火)

あと2時間半弱楽しんで:最速何秒?

オリンピックが始まってから毎日楽しみなGoogleの日替わりロゴ、今日はハードルで遊べます。
けっこうタイミングが合わないcoldsweats01

とりあえず、現時点(23:31)の最速14.6秒。こういうのって、もっと頑張ろうと思って、ついつい夢中になってしまうわ。
14.1秒をマークしたので、もうやめようっと。13秒台を狙っていたんだけどな
coldsweats01問題はスタートだと思う)
え~と、未練たらしく指の疲れが取れたところで再チャレンジしたら13秒フラットが出ました
scissors もう満足してやめます。
なお、日本のロゴは午前0時にバスケに変わった。バスケも遊べるようになっていて、寝不足に拍車がかかるわ(ハードルはまだフランス版などで遊べる)。

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2012年8月 6日 (月)

笑って最後にしみじみ:「しみじみ日本・乃木大将」

723日「しみじみ日本・乃木大将」(さいたま芸術劇場)
チケットを見直さないといつ見たかも思い出さないくらい過去の話になってしまった。この日あたりから体調を崩し始めて早く感想を、と思いながらちっとも意欲が湧かず…。いやいや、芝居は面白かったし、夏でなかったらリピートしていたかもしれないのに(与野本町から劇場までの道、街路樹で陰をつくる、とか何とかならないのか!!)。そろそろ、けじめをつけなくっちゃ。
蜷川の演出では違和感もない定式幕が黒衣によって開かれると、そこは乃木家の厩舎。乃木夫妻が殉死に至る過程がその飼い馬たちの脚によって語られるという、非常にユニークな設定で、しかもこの脚たちは途中で乃木夫妻やその他の登場人物に替わり、こうであったに違いない乃木夫妻の心境を吐露する。その入替がややこしいようですんなり理解できるのが井上戯曲のすごいところだと思った。
馬の脚たちは、1頭の馬の脚であるからはじめは声を揃えてセリフをしゃべる。役者さんたちには大変なことであろう。やがて「馬格分裂」が起こり、脚たちはそれぞれ自由に喋る。それが好き勝手なことを言っているようでいて、明治という時代が浮かび上がってくるから実に面白い。ただ、初日から10日も経っていたがけっこうセリフを噛む役者さんがいて、この芝居を演じるむずかしさを感じた。
ドタバタ的な「連隊旗」の場面はちょっとクドい気もしたが、山崎一、大石継太、吉田鋼太郎、風間杜夫のズレた絡み合いが可笑しくてずいぶん笑った。ここで、こぼしたお茶を拭くのに使われていた連隊旗が、山県と児玉によって天皇の身替りとされ、さらにはこの2人の策で天皇は神となる。
そういう、ある意味恐ろしい、重要な場面が実に傑作。山県有朋と児玉源太郎を演じたのは香寿たつきと朝海ひかるで、ここは原作の戯曲にも宝塚風にと書かれているのだが、当然この2人とくれば思い切り宝塚。宝塚の力を改めて認識し、最高に楽しめた。あんまり楽しかったから、9月~10月公演の「サン=テグジュペリ」のチケットを取ってしまったわ。
司馬遼太郎が作り上げた「愚将」というイメージについて井上ひさしがどう評価しているのか、私としてはそこが一番興味深いところであったが、それは結局よくわからなかった。しかし、乃木希典は軍人の、そして乃木静子は軍人夫人の型を演じたのだ、という井上ひさしの捉え方は、大石継太演じる明治大帝のうまさもあってなるほどと思わされた。神である明治天皇は、連隊旗を紛失した乃木の命を預かったまま、乃木より先にあの世へ行ってしまった。だから、乃木は死なないわけにはいかなかったのだ。ただ、井上ひさしがこの芝居に込めたメッセージは、笑いの中に埋もれてしまったのか、わかったようなわからないような…。
「馬虻」の場面だったか、なんかあまりの可笑しさに舞台も収拾がつかなくなりかけて、壽号の後脚かつ明治4491日朝の乃木将軍役の吉田鋼太郎が「俺が喋っているんだ」と2度も制していたが、これはさすがにアドリブだろう。
さらに場面が進んで「型の完成」では乃木静子が見せる女としての気持ちに狂気が垣間見えたが、結局静子は踏みとどまり武人の妻を演じきる。根岸季衣の存在感が光った。
ラスト、「それからの馬たち」で、近所の馬車屋のメス馬英号、隣家のメス馬紅号、乃木家の3頭の馬たち乃木号、璞号、壽号の最期が短く伝えられる。これによってぐっと現実に引き戻されたと言うか、それぞれ「三ノ輪行き」(馬肉にされる運命か)、「雪道で滑って骨折、薬殺」、「伏見殿下の御乗馬となるが、大正八年十月、ウマパラチフスにて死亡」、「陸軍少佐山田龍雄氏の乗馬となり京都へ移住するもその後の消息不明」、「学習院へ引き取られ、大正二年宮内省へ召し上げられ大正天皇の御料馬を務めるも3カ月後突然あばれて乗り手を叩き落とし、学習院へ戻され、間もなく死す。死因不明」といった行く末に、あの陽気な馬たちの面影が重なり、何かしみじみするのであった。
<上演時間>
第一幕85分(13301455)、休憩15分、第二幕50分(15101600

・鋼太郎さんが焼印についてアツく語り、舞台をおりて空いている座席にすわる、そして舞台に一気に駆け上がる。拍手
・密偵の鋼太郎さん、何度もでんぐり返しの大熱演に爆笑、拍手。
・六平さんの見事な刀捌きに拍手、桜の木が真っ二つに割れて又拍手。
・香寿さんのヒゲが何度となく取れそうな感じだった(実際に取れてしまった?)。
・虻などの切り抜きを貼りまくっている間、鋼太郎さんがはがした虫を客席にあげていた。それを取り戻した誰だったか、舞台から半身落っこちて、客席大ウケ。
・明治4491日朝の乃木将軍と静子のやりとりの間(とくに鋼太郎さんのセリフ)、脚役の風間さんと六平さんがふざけてジャマをしているのがおかしかった。

 

 

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2012年8月 5日 (日)

鬼よ、笑わないで:今から楽しみ、来年1月国立

来年1月の国立劇場は、恒例、お楽しみ復活狂言「夢市男達競(ゆめいちおとこだてくらべ)」。このクソ暑い中(あら失礼)、歌舞伎を見るのさえ億劫だったけど、早くも気持ちは冬へと思えば、少しは涼しくなるかな。な~んて。
情報は→ココ

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2012年8月 4日 (土)

L vs 6L

12080401glue
こんなデッカい糊があるなんて知りませんでした~(*^-^)
大きいほうは補充用で、Lの6倍弱入っているそうです(エルは70mL。補充用は50mLのスタンダード8本分)

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2012年8月 3日 (金)

去年より応える暑さにだらけた生活

暑い、とにかく暑い。
節電に努めた去年の暑さを忘れたみたいに、今年の暑さのほうが応える(1コ年をとったせい?)。
観劇の合間に行きたかったところもあるのに、とてもじゃないが気持ちが動かない。10日ほど、軽いめまいと胃の気持ち悪さが続き、明日こそ医者に行こうと思いながらそれさえ億劫で放置していたら、どうやら熱中症だったらしく(そうとわかってからはエアコンを適宜使うようになった)、やっと少し回復してきた。
仕事もはかどらない。ちょっとやっては休みの繰り返し。暑いというだけで疲れるせいか、夜少し早く寝るようになった。そうしたら今度は朝5時半には目が覚めてしまう。そこでさっさと起きて涼しいうちに何かすればいいのに、だらだらとベッドでオリンピック番組を見てしまう(オリンピックはネット配信でも見る。カヌーとか自転車とか面白い)。そして暑くなってきてから起き出す。あ~、
暑さの中で働いている人たちに申し訳ないと言いながら、暑さを理由にだらけた生活。
体調を整えて来週から活動します。

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2012年8月 2日 (木)

暑中お見舞い申し上げます

12080201lotus
今年はピンクを撮りそこなったけれど、白も美しい。

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2012年8月 1日 (水)

知らなかった--筋書きの文字に感銘を受ける

録画しておいた「和風総本家 日本を支える人々~下町編」を見ていた。最後に紹介されたのは川崎市在住、伏木進さん、81歳。白い紙を取り出し、鉛筆で何本も線を引く。やがて鉛筆によるマス目がたくさんできる。
次に木箱から硯を取り出す。龍が刻まれた立派な蓋のついた硯だ。丁寧に墨をすると、それをスプーンで小皿に取り出す。
細い筆に墨をふくめ、マス目に文字を書いていく。ゆっくり、同じ線を何度もなぞる。通常、書道では同じ線はなぞっちゃいけないんじゃなかったっけ…ここで伏木さんが何者かまだわからない私は未熟者
12080101sujigaki 紙に書かれたのはなんと「團十郎」「海老蔵」の文字。おお、勘亭流か。
6
時間かけて出来上がったのは、筋書きの演目紹介ページ(番付)の演目名。下の出演者のところがまだ空白。恥を忍んで言うが、これって、こんなふうに手書きされていたのか、知らなかった。
番組では演舞場の筋書き売り場が映し出されている。
伏木さんは歌舞伎文字の第一人者なんだそうだ。37年前、伏木さんは川崎の市場で包装用品を販売していた。字が下手くそで字を書くのが大嫌い。伝票に書く文字の汚さに読めないと客からよく怒られた。そんなある日、家の表札の文字が消えかかってきたので、新しく作ることにした。文字に興味をもつようになり、色々な本を集めて勘亭流に出会い、魅せられる。そして当時の第一人者、保坂光亭に弟子入りし、17年後に最高峰である奥伝を許され、壽亭(じゅてい)と名乗るようになった。
急いで筋書きを手にしてみると、ちゃんと「勘亭流 壽亭筆」と署名があり、その下に「伏木」の印が押してある。ちなみに、筋書きの奥付に勘亭流も紹介されている。今までそういうところまで気づかなかったなあ。
そういえば、6月と7月では書き手が違うということを以前、猿三郎さんのブログで12080102sujigaki 読んだような気がする。ということで、早速見比べてみると、6月は鈴木文字亭さんで、確かに文字が異なる(「ヤマトタケル」の文字が一番わかりやすいかな)。ついでに6月御園座の筋書きを見たら、こちらも壽亭さんだった。
面白いねえ。これからは番付ページを念入りに見ることにしよう。もちろん、表紙や中扉、舞台写真に入る文字も。
「大嫌いだった書の世界なのに、これ以上素晴らしい文字の世界はないことを身を以て体験した。人間はわからないものだ」としみじみ語る伏木さん。
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歳の伏木さんが勘亭流の世界に飛び込んだのは44歳。まったく異なる世界に入る勇気に感銘を受けるとともに、中車さんのことが頭を過ぎった。17年で奥伝というのは早いのかどうかわからないが(私には早い!と思える)、中車さんも17年後には歌舞伎の世界でも名優と言われるようになっていることを期待しているよ、なんて思っていたら、「ヤマトタケル」の2場面が数秒写ってわずか数秒でも興奮した。
ちなみに、勘亭流の文字が丸みを帯びているのは初日から千穐楽まで円満興行ができますようにという願いが、太い文字 なのは空白が少ない→空席が少ないとい う思いが込められているそうだ。
確かに文字は面白い。

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