« 世界を作っているのは元素、全118元素を見る:「元素のふしぎ」展 | トップページ | 演舞場9月夜の部②:「京鹿子娘道成寺」 »

2012年9月18日 (火)

演舞場9月夜の部①:「時今也桔梗旗揚」

917日 秀山祭九月大歌舞伎夜の部(新橋演舞場)
昼の部がよかったの、夜の部もけっこう楽しみにしていた。期待に違わず。
しかも、半分諦めていた舞台写真入り筋書きをゲットできた(昼の部の時にきいたら、やっぱり20日ごろって言われたの。でも、初日が早いんだからひょっとしてという期待はどこかにあった。100円の割引券は最初の観劇日から持ち歩くようにしている)。
「時今也桔梗旗揚」
演目としてはねえ、あんまり好きじゃない、とあらためて思った。面白いんだけど、光秀がいじめられているのを見ているのがつらくて。そこまでいじめなくてもいいだろう、と光秀の心中を思いやって胸がどきどきし、心がじりじりした。春永は光秀の〈人物〉を認めている。ソリの合わないことを別にしても、相手を受け入れる心の大きさがなかったのではないだろうか。だからきっとどこかに光秀に対する恐怖心みたいなものがあったのではないだろうか。自分が優位に立っているときだけ安心できる。いじめればいじめるだけ、相手の冷静さ、大きさが際立ち、いじめればいじめるだけ、自分を見透かされているような、そんな恐怖心。それが春永をどんどんエスカレートさせていったのではないだろうか。以前から光秀がほしがっていた日吉丸を別の家来に与えると光秀は思わず「羨ましい」と声に出す。この瞬間を春永は待っていたのだ。あ~、武士にとって刀への執着というのはそんなに大きいものなのか、と私はここで「ぢいさんばあさん」の伊織を思い出してしまった。
歌六さんは小柄なのに大きさを感じさせ、怒りの凄まじさは一気にこちらの緊張感をも高める。初役だというが、うまい!! 
吉右衛門さんの光秀の重厚さ、大きさ。屈辱を胸にしまい込み(最大の屈辱は妻の切髪の件を持ち出されたことだろうか)、ひたすら耐え、ついに謀反を決意する。先月見たばかりの「太十」の光秀が重なり、この光秀の心中を知ったら操はどうしただろう、なんて2つの物語を合わせて考えてしまった。
芝雀さんの桔梗は兄を思う細やかな気持ちが切なくて胸を打つ。
火のような歌六さんと、水が静かに煮立っていくような吉右衛門さんに、客の春永に対する怒りは光秀への同調となって、し~んと静まり返った客席の思いが1つになったような気がした。後でいくつか聞こえてきた声からは、女性は感情的に春永を非難し、男性は春永の怒りの原因を考えているようであった(いくつかの声がそうであったというだけで、もちろん、女性はこう、男性はこう、という分け方をするものではない)。
光秀が春永の上使2人の前で切腹を装って、緊張が高まっているさなか、うしろのほうから大きな声で、座席のことで何か言い合っているのが聞こえた。こういうのってガックリくる。

|
|

« 世界を作っているのは元素、全118元素を見る:「元素のふしぎ」展 | トップページ | 演舞場9月夜の部②:「京鹿子娘道成寺」 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

中国出張がなくなり(行かなくて良かったです・・・)日程が空いたので16日の昼の部を急遽取って観ました
私はこの日ではプログラムに写真は入らんだろうと思い、割引券を持って行なかったのですが誘惑に負けて購入しました
舞台写真もまだと思っていましたが出ておりましたので気にいったものを8枚ほど購入しました(その内には米吉の浪路役も1枚入っています)

「饗応」をつけるのはプログラムの上演記録を見ますと現役の役者さんでは播磨屋さんだけなのですね

23日に昼夜でまとめて観ることにしています
夜の部がはねるのは7:30頃でしたね
早く家に帰れるのは嬉しいですがどうも物足りなさも残りますね

どうやら菊五郎さん中心の12月の演舞場も夜の部は4:00開演になるとの情報です

投稿: うかれ坊主 | 2012年9月19日 (水) 21時57分

うかれ坊主様
この演目を見たのは3回目で、うち2度は吉右衛門さんでしたので「饗応」はつくものだと思っていました(松緑さんのはあまり記憶に残っていなかった…)が、吉右衛門さん以外はつけないんですね。饗応があったほうが、よりわかりやすいと思いました。
舞台写真は最近、わりと早く出るような気がします。米吉クンを買っていただいて嬉しく存じます。
割引券は常に持ち歩くべきですね。100円とはいえ、せっかくの権利を使わないで終わった月は残念ですもの。
今月は昼夜とも終演が早くて助かりますが、確かにちょっと物足りない感もありますね。役者さんの都合でやむを得ないとはいえ、40分の幕間も長過ぎます。でも、この上演時間なら昼夜通しでも見られるかな。とにかく、わがままな観客です。12月も16時開演というと、今後それが定着するのかもしれませんね。

中国出張は見合わせる企業が多いようですね。早く落ち着いてほしいものです。

投稿: SwingingFujisan | 2012年9月19日 (水) 22時54分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1083822/47119857

この記事へのトラックバック一覧です: 演舞場9月夜の部①:「時今也桔梗旗揚」:

« 世界を作っているのは元素、全118元素を見る:「元素のふしぎ」展 | トップページ | 演舞場9月夜の部②:「京鹿子娘道成寺」 »