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2012年9月21日 (金)

日本初公開、ゴヤの「青い服の子ども」を独り占め

92日 「ゴヤの《青い服の子ども》 ルーヴル美術館のコレクションに入るまで」(ルーヴルDNPミュージアムラボ)
最後まで宙に浮いていたのは、ゴヤの「青い服の子ども」。ミュージアムラボ第9回作品である。
今まで全作品を見てきたのに、今回が一番「独り占め」感が強かった。並んでフェルメールを見たりした記憶が残っていたせいだろうか。これだけの絵画を誰に遠慮することなく、ゆっくり好きなだけ眺めていられることの贅沢さをしみじみ味わった。
ゴヤが1791年に描いたこの作品は、2009年ルーヴルで公開されるまではプライベートコレクション(ジョン・D.ロックフェラーJrからイヴ=サン・ローランとピエール・ベルジュへ)であり一般人はほとんど見ることができなかったそうだ。しかもルーヴルのスペイン絵画コレクションに入ってから初めての館外展示だそうで、それを人の頭の隙間からチラ見するのではなく、様々な角度から解析しながら鑑賞できる貴重な機会だ。
会場は「私的な空間」と「公的な空間」の2つのスペースに分かれている。まずはこの展示にかかわったルーヴルの学芸員ギョーム・ギンツ氏が我々に語りかけ、スペイン絵画の世界へ我々を招き入れる。
「私的な空間」では実際に絵を鑑賞し、その後「絵画とその物質性」というテーマの解析コーナーへ。絵画が幾重にも層が重なってできていること、湿気・熱・光などの外的要因によって物質的に変化することを知る。絵が映し出されたモニターの隣に六角形のブロックがいくつか用意されていて、設問に従って「下塗り」「色」「ニス」などの順にこれを積んでいくと、絵が階層になっていることを理解できる。また、絵画に損傷を与える条件のブロック(たとえば「熱」)を置くと、それによる絵の劣化がわかる。最初やり方がよくわからなくていい加減な順番で積んだら間違っていて、そうすると画面が反応しないんだったか、「違う」と画面に出るんだったか忘れたけれど、うまくいかないのであった。
次に「画家の選択:イメージを構築・分解する」というテーマで、光の効果、構図、背景、服装と小道具をタッチパネルで色々に変化させながら、絵画の仕上がりの違いを実感する。たとえば床のラインを上下させたり、子供の立つ位置を移動させたり、服の色を変えたり、持ち物を違うものにしてみる。ゴヤは子供の膝下くらいの高さに床を決め、子供は中心よりやや右(向かって左)に立たせ、左手に犬を連れることで微妙なバランスを取ったのである。床の位置を変えるだけで人物と壁との距離感が違って見えたりするのが興味深い。服の色はやっぱり青がしっくりくるような気もするし、赤も悪くないなと思ったり。
展示室の重い扉を静かに開閉して外へ出ると、次は「公的な空間」。ここはルーヴルのスペイン絵画展示室をイメージしており、17世紀から現代まで節目となる12の時代に分け、スペイン絵画コレクションの歴史を通して、美術館のコレクションの形成について学ぶ。タッチパネル上の絵画の1つに触れればその絵の情報が得られる仕組み。タッチパネルは複数あるので、同じ時間の予約者が複数いても大丈夫(多分同じ時間には数人しか入れていないんだと思う)。
時間を見計らってシアターへ。「ゴヤの目」という映像で、非常に面白くて熱心に見たんだけど、その割に記憶が薄れてしまって…。でも今、「額縁をくぐって物語の中へ」で詳しく見た「マドリード、180853日」をここでも見て感動したことを思い出した。
最後にシストゥエ・マシンで自分だけの「シストゥエ」(「青い服の子ども」のモデルはルイス=マリア・デ・シストゥエ・イ・マルティネス)を作る。シストゥエの背景、服装、持ち物がスロットマシンのように猛スピードで変わる。どこかのタイミングでマシンを止めると、たとえば柔道服を着たシストゥエがサッカー場のコーナーに立ち、手には熊のぬいぐるみを持っている、なんてシュールな絵ができる。なかなか思うようなタイミングで止められず、何回もやり直した末、もう根気が切れて「これでいいや」と出来上がった私の作品は、シェフ姿のシストゥエが神社の幾重にも設えられた鳥居の中に立ち、そばにニワトリを連れているっていう、まったく何の脈絡もなくてバランスも悪くて、ひとには見せられない。本当はスポーツ系か古武道系でまとめたかったんだけどな。
ともかく、日本初公開のこの作品を独り占め状態で鑑賞することができる機会、逃すテはありませんぞ。1028日までの土日、要予約です。→ココ

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