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2012年10月 9日 (火)

演舞場10月昼の部

108日 芸術祭十月大歌舞伎昼の部(新橋演舞場)
何日ぶりの歌舞伎でしょう。とにかく仕事のメドがなかなかつかないので簡単に。
「国性爺合戦」
去年通しで見たが、今回は6年前の国立劇場歌舞伎鑑賞教室で見たのと同じ獅子ケ城楼門の場、獅子ケ城甘輝館の場、同紅流しの場、同元の甘輝館の場。そして和藤内の松緑さんと錦祥女の芝雀さんが同じ配役。
最初、楼門を見上げた母親・渚役の秀太郎さんの後ろ姿、肩がひどく張っていて意外な男っぽさに「おや」と驚いたけれど、あとで日本の女の意気地を見せた姿だと自分で自分の印象を納得させた。
国性爺合戦のこの4場に関して言えば、女の物語だと思う。錦祥女と渚、血のつながらない母娘の互いを思いやる気持ち、明再興に立ちあがろうとする男たちのために命を捨てる潔さが胸を打つ。
錦祥女と父・老一官との別れは悲しかった。
甘輝が味方につくかつかないか、究極の選択にかけた甘輝(梅玉)と錦祥女、渚の間に張り詰める緊迫の空気には思わず身を乗り出してしまった(最後列だったから…)。秀太郎さんに必死の迫力があり、芝雀さんに板挟みの苦悩があり、甘輝の武人としての立場に対する厳しさと本来の優しい心根を梅玉さんが大きな演技で魅せてくれた。
甘輝が味方しないとわかった時の松緑さんの怒りにワクワクした。2人の対峙でも梅玉さんの大きさが場を圧倒していた。そこへ現れる芝雀さんの声のきれいなこと。音としてのきれいさだけでなく、心の現れたきれいさだった。老一官と錦祥女は楼門で再会し、それが最後の別れになってしまったのだなあ。
和藤内の刀をめぐるチャリ場では梅蔵さん(だと思うけど自信ない)が「(重い刀を)上げちゃうぜ~。ワイルドだろ~」。やっぱりまだスギちゃんパワー衰えず。
「勧進帳」
面白いことに、最年長の藤十郎さんが一番若々しく見えた。義経って、そういえば笠に顔を隠している時間が長いのに、これほど義経としての心情が伝わってくるとは、藤十郎さんの芸にあらためて驚いた。
幸四郎さんの富樫は、やっぱり理屈で攻めている感じを受ける。そして気持ちが表面にずんずん出てくるように見受ける。名乗りをやけに伸ばしてしゃべっているなあという感じ。最初から覚悟と悲壮感が漂う。声が時々震えるのも気になる(幸四郎節か)。セリフの語尾を上げるのが現代っぽい。意外と若さがない(暗い。それが年寄臭く見せるのか)。
とさんざん言ったが、それでも、私はこの富樫は嫌いじゃないと思った。とくに義経一行を見送るときの表情がよい。ちょっとじ~んときて泣きそうになった。
團十郎さんが期待ほどではなかった。私は團十郎さんの大らかな弁慶が好きであるが、今日の團十郎さんは目のひんむき方、大声のあげ方、どれも妙に力んでいる気がした。とくに強力の正体がバレそうになった時の強力に対する(見せかけの)怒りは凄まじくてちょっとヒステリックにも感じられてびっくり。
それでも、引っこみの六方にはわくわくした。
大顔合わせの割にどことなくズレを感じる部分もあったし、なんだかんだ言ったけれど結局、最後にはやっぱり「勧進帳」はいいなあと思うのである。

<上演時間>「国性爺合戦」95分(11001235)、幕間40分、「勧進帳」73分(13151428

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コメント

Fujisan様
今晩は。私は、演舞場昼の部、来週です。昼の部の勧進帳の評判、今一つのようですね。
国立の「塩原多助」、先週見てきましたが、そこそこ面白いのですが、ユルーイ芝居です。昔の歌舞伎座はこの種の緩い芝居がよくかかったので、レトロっぽく、逆になつかしかったです。橋之助の女形、ブロガーの皆さんがおっしゃるように亡き芝かんにそっくり(特に声、セリフの癖が)で楽しめました。歌舞伎には、「あー、先代そっくり」だとか「ほんとに死んだお父さんに似てきたね」といった楽しみ方があり、歌舞伎ファン冥利につきるというものです。
ところで、新国立の「リチャード三世」ご覧になりましたか。私は家内と昨日、夜、見てきました。殆どの俳優は見たことがない人ばかりでしたが、楽しめました。この作品、実は初見です。多くの人物が錯綜して、一幕の後半、人物関係がわかりにくかったですが。シェークスピアの史劇がわかりにくいというのを実感しました。観劇前にオペラシティのレストランでしっかりアルコール(生ビール、日本酒)を入れたせいもあるのでしょうか。がんばって眠りませんでしたが・・。ともかく、シェークスピアの登場人物は、どの人物も、いつも思いますが、ほんとに饒舌ですね。

投稿: レオン・パパ | 2012年10月13日 (土) 20時41分

レオン・パパ様
こんばんは。コメントありがとうございます。
「リチャード三世」をご覧になったとはお珍しい。私は浦井クン目当てで15日に見る予定です。この夏、子供のためのシェイクスピアで「リチャード3世」を見ましたので少しは予備知識を持って見られると思っています。それにしてもご観劇前にずいぶんアルコールをお入れになりましたね。私だったら完全に沈没しています。

「塩原多助」は昨日見てまいりました。感想は現在進行中です。
橋之助さん、おっしゃるようにとくに声が芝翫さんそっくり。これは感想にも書くつもりですが、ひと声聞いてあっと思ったので、しばらくの間目を閉じて聞いておりました。目の前に芝翫さんがいるようで何とも言えぬ気分になりました。歌舞伎が親から子へと伝わっているというのを肌身に感じますね。
「塩原多助」は色々言いたいこともありますが、総じてかなり面白かったと思いました。

幸四郎さんはやっぱり弁慶役者なんでしょうね、それでも私は最後の場面でこの富樫は悪くないと感じました。

投稿: SwingingFujisan | 2012年10月13日 (土) 21時54分

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