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2012年10月22日 (月)

10月御園座夜の部①

1017日 六代目中村勘九郎襲名披露・顔見世夜の部(御園座)
12102201misonoza1時間の夜の部開演待ち。外へ出て夕飯のお弁当でも物色したかったのだけど雨だし、足が痛くてあんまり歩きたくないしということで、中でうろうろしているうちに意外と早く開場時間がきた(劇場での夕食はヌキね)。
「鬼一法眼三略巻 菊畑」
最初に見たのが芝翫さんの虎蔵。平成1611月であったが、芝翫さんの姿ははっきり覚えている。その後染五郎、錦之助(信二郎改め)で見て今回の虎蔵は菊五郎さん。そして知恵内・仁左衛門、皆鶴姫・時蔵とくれば、よだれよだれモノ。菊・仁左・時のスリーショットは4年前の11月「盟三五大切」以来じゃなかったかしら。
実はこの演目、これまでわりと退屈、と思っていた。だから今度もヨダレものの配役ではあっても寝ちゃいそう…。ところが、である。この芝居、こんなに面白かったんだぁと開眼。
知恵内・鬼一法眼の腹の探り合い、鬼一に虎蔵折檻を命じられ、実は虎蔵=牛若丸、知恵内=吉岡鬼三太の知恵内はどうしても主人(虎蔵)を折檻することができない。勧進帳のような緊張感が高まる。そこへ登場した皆鶴姫のおかげで折檻は免れたが、今度は皆鶴姫が2人の「実は」を見抜いていたことから、知恵内は皆鶴姫を斬ろうとする。ここもまた緊張感が高まる。というように、緊張感を伴った大小盛り上がりとともに、ふっと笑える場面もあり、決して退屈な芝居ではなかった。
ご主人(鬼一法眼)のおざぶを床几の上に置いてこっそり座り、「いい気分じゃのう」といった風情で満足する仁左衛門・知恵内の愛敬、こういう柔らかい愛敬は仁左様独特のものだと思う。一番新しく雇われ一番身分も低いのに、一番立派で態度がデカいのが知恵内だ。そのギャップがまた愛敬になる。それだけじゃない、仁左様の知恵内のカッコいいことったら。
菊五郎・虎蔵はなんと若々しい。虎蔵と知恵内が2人だけでいる時は牛若と鬼三太、他人が入ると虎蔵と知恵内になる。その主従関係(虎蔵と知恵内は年長者と年下という関係か)の入れ替わりも面白い。
左團次・鬼一の感情の起伏。虎蔵への怒りはけっこう凄まじかった。しかしそこに鬼一の隠された本心があるのがわかる。
皆鶴姫を妻にと望む彦三郎・湛海はなんか奇怪だったな。
時様の皆鶴姫はしっかり者で積極的。鬼一法眼を怒らせてしまった知恵内と虎蔵がとりなしを頼むと、そのかわりに虎蔵との仲をもってほしいと知恵内にお願いするなどちゃっかりもしている。その大らかさが時さまのキャラクターに合う。

「口上」
上手から仁左衛門、彦三郎、菊之助、時蔵、菊五郎、勘九郎、七之助、彌十郎、扇雀、左團次と並んでいる。
まずは菊五郎さんが、勘三郎さんが病気療養中のため親戚を代表して挨拶すると口火を切る。「勘九郎さんは幼少の頃より勉学熱心、演ずるたび成長している。ゆくゆくは歌舞伎界を背負って立つであろう。夜の部は狐忠信を、昼の部は伊勢音頭を熱演している。皆様、昼の部もご覧になってください」。
時蔵:名古屋での襲名披露、親戚の1人として嬉しい。勘三郎さんとは同い年で小さい頃から一緒にやってきた。勘九郎さんは芸熱心なのがよい。父親が大きくした名前をさらに大きくするだろう。
菊之助:勘三郎さんには折に触れ励まし暖かい言葉を頂いている。年の近い役者として勘九郎さん、七之助さんと精進する。勘三郎さんの1日も早い回復を祈っている。
彦三郎:親類と一員として襲名は嬉しい。平成中村座で一緒にやった時、勘九郎さんが色々な役を演じていて頼もしく思った。
仁左衛門:先代にはお世話になった。当代とは実の兄弟のようにしている。勘九郎さんがハイハイしていた時から遊んだ。その赤ちゃんがこんな立派な役者になった。勘九郎さんは熱心なのがいい。
左團次:テレビなどでご存じだろうが、襲名というと各役者の家を訪ねて挨拶して歩く。勘九郎さんもうちに来たが、折悪しく自分は留守にしていた。その後も34度留守だったものだから、「あのおじさん、いつ行ってもいない。嫌いだ」ということで襲名公演に呼ばれなかったが、この度いっしょにできた。(いつもながら左團次さんらしい)
扇雀:勘三郎さんとは公私にわたり昼夜問わず一緒。その縁で多くの舞台で様々な狂言で共演してきた。幼少より厳しい父親の稽古のもと、2人とも立派な役者になった。
彌十郎:十七代目と自分の父親は2つ違い。子供のころから可愛がってもらい、名題披露を十七代目にやってもらった。当代とは1つ違い、もちろん私のほうが下で可愛がってもらった。勘九郎・七之助さんには倅の新悟が可愛がってもらっている。明治・大正・昭和と…(聞きそびれた)。
七之助:中村屋に所縁のある名古屋での襲名披露はありがたい。父が病気で、出演の皆様、お客様にご心配、ご迷惑をおかけし、父に代わりお詫び申し上げます。父の分まで頑張ります。
勘九郎:名古屋で立派な披露をしていただき幸せ。感謝の気持ちを忘れず、七之助、中村屋のみんなと「一所懸命」(ちゃんと「いっしょけんめい」と言っていた)精進します。
最後に菊五郎さんが締めの言葉を述べ、中村勘九郎お引き立てのほど、隅から隅までずず~いと…で口上は終わった。
勘九郎さんの真面目さ熱心さが先輩たちの言葉から強く伝わってきた。それは舞台を見ていても感じることである。
なお、口上の舞台は2月演舞場と同じ、襖に松、上方は鶴の姿の下に壽の文字がある。

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