埼玉県立近代美術館にて:②MOMASコレクション
10月31日 MOMASコレクション[Ⅲ](埼玉県立近代美術館)
この美術館の常設展は初めて見るが、かなりいい作品を持っているのに驚いた。埼玉も含めて日本のあちこちの美術館、頑張ってるなという感じ。その所蔵作品の中からコレクション名作選(「みんなで選ぶMOMASコレクション ベスト10」)と、コレクターからの寄贈作品(「コレクターの眼」)が展示されていた。
ベスト10を投票したのは、7月~9月初旬の来館
者約4000人だそうで、栄えある第1位は美術館のある北浦和公園の噴水内にある透明のサックス(西野康造作「風の中で」)で1167票というから圧勝だろう。ステンレス製だったのが2002年
に何者かに壊され(どうしてそういうことをする人がいるんだろう)、チタン合金を使って修復されたものだという。この作品は2月に見た時には暗くなっていたのでライトアップされていて印象的であった(右の写真)。
2位は「逃れゆく思念――時の曳航――」(深井隆作)で、金箔をはった木製のソファ。ソファの背からは天使の羽根のようなものが生えている(羽根の向きは逆なんだけど、「サモトラケのニケ」を連想させた)。
3位は「Number of Time
in Coin-Locker」(宮島達男作)。私たちが荷物を入れたコインロッカーの1つがこの作品だった。たくさんのデジタル・カウンターが様々な速度で次々と数字を点滅させる。公募の埼玉県民150人がそれぞれ自分の好きな速度に設定したんですって。いいなあ、私も設定してみたかったなあ。
メモって来なかったので、4位以下は何だったかな…。
今村紫紅の「龍虎」はゆったりとしていながら迫力があり、かつユーモラス。普段わかりにくいと感じている現代美術をけっこう面白く見ることができたのが嬉しくて、1つ1つの作品について語りたいけれど、時間もないので…。
去年箱根のポーラ美術館で感動して以来目につくフジタの白。ここでの作品は「横たわる裸婦と猫」で、マネの「オランピア」をモチーフにしたのかしら。
ドラクロワの「聖ステパノの遺骸を抱え起こす弟子たち」は、さすがドラクロワで、定番の超有名作家(モネ、ピサロ、ルノワール、ドニ、ピカソ、シャガールなど)の中でも群を抜いていると私には思えた。
「コレクターの眼」では、大観、玉堂、溪仙、関雪、堂本印象が1作品ずつ。さらには熊谷守一、駒井哲郎の作品群が目を奪う。
美術館の外にある彫刻を楽しみ、企画展でエネルギーを使い、最後のここへきてかなり疲れたけれど、相当に見応えがあって、すっかり満足の常設展示室の特別展示であった。
ここの美術館は、常設展の作品の多分すべてに無料の解説カードがついていて、それを全部集めればモノクロではあるが図録がわりになる。有難いことだ
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