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2012年11月11日 (日)

顔見世大歌舞伎昼の部②:「文七元結」

117日 顔見世大歌舞伎昼の部(新橋演舞場)
オペラグラスを覗かずに芝居が見られるってやっぱりいいなと思った。立役の菊之助さんの美しさ、間近で見ると美しさが光るのだ。
「文七元結」
今日も博奕に負けてバツは悪いし敷居は高い貧乏長屋へ、それでも江戸っ子らしく粋がって空威張りで帰ってきた長兵衛。菊五郎さんは柔らか味のある楷書の演技で笑いを取りにいっているのがすごい(いや、笑いを取りにいっているのではなく、その子供のような天真爛漫さというかやんちゃな感じというか、自然の笑いが観客からこぼれるのだ)。女房お兼とやり合うのも角海老で娘に諭されるのも本当に可笑しい(本当にやんちゃな子供みたいだよね)。でも、娘が身を売ってつくった50両を文七に与えるところは、これぞ本当の江戸っ子、カッコよさと「死ぬんじゃないぞ」と何度も振り返る親身な心に涙が出た。
一方の文七(菊之助)が初めは50両とは知らず「バカにしやがって」と悪態をつきながら実は50両の金包みだとわかって涙を流す姿、翌日命の恩人に再会した喜びの表情が心を揺さぶった。
お久の右近クン、平成171月に同じ演舞場、同じお久で右近を襲名した時はふっくらというか真ん丸で、父親を諭す姿も幼くいたいけだったのが、今はすっかり娘らしくなって同じ諭しも大人っぽくて感慨深いものがあった。美しい文七を見て頬を染めるのも、今の右近クンならではだ。
時様のお兼。都は華やかな遊女、お早もその華やかさを残した若妻。それに対しお兼はやつれが見える貧乏所帯の女房である。砥の粉の顔も体も一回り小さく見える。その違いに感心した。大好きな菊×時カップル。これが江戸っ子の夫婦となるとしょっちゅう喧嘩、そして時さまは必ず菊さまに蹴っ飛ばされて転がる。もうそれが可笑しくて可笑しくて。完全にツボsmile
誰も悪い人の出てこない人情噺は、団蔵さんの藤助も人の善い温かさが大きく、魁春さんの女将にそれらしい落ち着きと心配りが感じられ(珍しくセリフを噛んでしまったのが残念)、松太郎さんの大家もいかにも人情豊かな大家らしく、東蔵さんの和泉屋清兵衛も大店のご主人らしい鷹揚さとしっかりした面が見られ、最後に出てきた松緑さんの優しい笑顔が印象的だった。
こういう気持ちのいい芝居を見て帰れるのは楽しいものだ。
<上演時間>「双蝶々曲輪日記」序幕・二幕目47分(11001147)、幕間15分、三幕目72分(12021314)、幕間30分、「文七元結」70分(13441454

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