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2012年12月

2012年12月30日 (日)

人はたくましい:「日の浦姫」

1128日 「日の浦姫」(シアターコクーン)
寝かせてあった観劇感想の2は、なんと1カ月以上も前のもの。ただでさえ仕事が忙しいところへもってきて前日は明治座昼夜通しという無茶なスケジュール、よほどパスしようと思ったが、チケット代が高かったことと、こまつ座で取ってもらったチケットだからパスしては申し訳ないという気持ちで出かけて行った。それなのに間違えて30分も早く着いてしまった。入口付近は人もまばらで扉もしまっており、休演かと思って「しまった」と急いでチケットを確認したのだった。逆に30分の遅刻でなくてよかったけれど、時間がもったいないと悔いたのも事実。

グレゴリオ聖歌が流れる中、舞台には伴大納言絵詞が舞台いっぱいに映る。そこへ薄汚れた身なりの説教聖(木場勝巳)が三味線弾きの女(立石涼子)の太棹に合わせて歌いながら通路から現れる。説教聖口上の間、舞台いっぱいに伴大納言絵詞、九体阿弥陀仏の写真(本物は実在しないので浄瑠璃寺のものだとか)が映し出され、これから繰り広げられる世界へ入っていくイメージが作り上げられる。
奥州のとある館で無邪気に暮らす美しい双子の兄妹は、父の亡くなった日に越えてはいけない一線を踏み越える。兄の子を身ごもった日の浦姫(大竹しのぶ)は、生まれてきた赤ん坊を泣く泣く手放すことになる。赤ん坊が乗せられた小さな舟が館から流されると、舞台は海へと変わる。ここは「俊寛」のあの見事な手法を使ったのだと思った。
日の浦が周囲に妊娠を告げなかったのは、おろせと言われるのが怖かったから。子はおなかの中にいるときから可愛い。その気持ちは痛いほどわかる。そして生まれて間もない子と引き離される苦しみ。即座に、現実にそういう苦しみ悲しみに身を引き裂かれるような思いをしたに違いない人のことを思い、胸が痛んだ。
やがて18年が経ち、海に流された子どもは小島の僧(木場勝巳)に救われ、立派な青年に育った。ところが太郎と名付けられた青年(藤原達也)は弾みで人を殺してしまい、村にいられなくなり、育ての親である僧に別れを告げ、夜のうちに出奔する。この別れもつらいものではあるが、「自分探しの旅に出る」と言う太郎に対し僧は中風に苦しみ「あいたたた」「あいたたた」がいつの間にか「あいでんてぃてぃ」と変わる可笑しさ。
このように、重い内容であるにもかかわらず、随所に笑いが鏤められ、見る者の心の負担が軽くなるようにしているのが井上ひさしのスゴイところだ。
たとえば、魚名と名前を変えた太郎に出会い、仏への誓いと女の性のせめぎ合いに苦しむ日の浦姫だが、大竹しのぶがコミカルにそれを表現する。2人は周囲の勧めもあって結婚するが、それはあまりに過酷で不思議な運命のめぐりあわせであった。

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2012年12月29日 (土)

カメちゃんの魅力いっぱい、「助太刀屋助六外伝」

1217日 「助太刀屋助六外伝」(ル テアトル銀座)
寝かせてあった観劇感想の1(前にも書いたけれど、寝かせたからと言って熟成はしていない、むしろその逆かも)。
演出のG2のところの先行販売で取った席は端のほうではあったものの前から5列目といういい席。でも連日の寝不足で、ところどころガクっときたのは不覚であった。
大きな石柱が組み合わされただけのシンプルな舞台。多少、場所を表す何かが置かれたりしたかもしれないが、主に照明で場面が表現され、こちらのイメージが刺激される。
音楽もピアノとパーカッションの生演奏のみ。それもまたこちらのイメージを刺激する。やっぱり芝居は生演奏よね!!
出演者で女優は朝海ひかるさんだけ。群衆の中の女は男性が扮していた。
朝海さんは顔がちっちゃくてきれいで、宝塚の男役だった割には小柄に見えて江戸の女の奥ゆかしさ、芯の強さ、可愛らしさが全部備わっていて、とっても素敵だった。そういえば、「しみじみ日本・乃木大将」でも見事な児玉源太郎役に魅了されたんだったっけ。
鶴見辰吾さんの源左衛門がうまい。剣術指南としての鋭さと、家を守るための翳と、父親としての大きさが感じられた。はじめは狂言回し的なコミカルな薬売り役で出ていたのが、ちょっと沈没している間に剣術指南役に変わっていたのでその関係がわからず混乱した。ようするに2役だったってわけらしい。吉沢悠さんとの真剣勝負は迫力たっぷりだった。
若い石橋直也、吉沢悠、忍成修吾さんなどは時代劇でどうかしらと思ったが、意外にも悪くなかった。今の子は顔が小さくて鬘に負けてしまったり着物が似合わなかったり、動きも時代劇的でなかったり、とたまにテレビの時代劇を見ると嘆かわしい思いにとらわれるのだが、彼らに違和感はなかった。あの時代の青春群像として見たからだろうか、そして若者の成長物語でもあったからだろうか、とても清々しい印象を受けた。とくに吉沢さんは役の人物が清廉で剣のウデも立つということもあってカッコよかった。石橋さんも体は大きいのに精神的にひ弱というのか現実逃避して剣術もよかったのが徐々に成長していく、その過程を丁寧に表現していた。
歌舞伎役者ではカメちゃんのほかに段一郎・郁治郎・猿三郎さんの3人が出演。やっぱり歌舞伎役者は時代の空気を醸し出すのがうまい。悪家老の下にいてともに悪巧みをする大目付の猿三郎さんがさすがの存在感。家老の治田敦さんより重厚感があるくらいだったが、では逆の配役がよかったかというと決してそうではない。治田さんには明るい腹黒さがあって、それがこの芝居の家老役として頷けるものだったし、猿三郎さんは重厚感がありながら立場を弁えた腹黒さがよかった。
そしてカメちゃん。暗い舞台に股旅姿のカメちゃんが登場すると、そこがぱっと明るくなる感じ。照明だけのことではない、華があるのだ。そして何より、可愛い!! お調子者の助六の中に感じられた繊細さは、カメちゃんの繊細さそのものだったんだと思う。動きも軽やかで、カメちゃんの魅力がたっぷり詰まった助六だった。カメちゃんの太ももが意外としっかりしていたのは新発見。
<上演時間>第1幕60分(13:30~14:30)、休憩15分、第2幕75分(14:45~16:00) 

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2012年12月28日 (金)

歌舞伎座杮落し公演チラシ

4~6月のチラシが公開された。
こういうのって、あれ、昨日はまだ公開されていなかったんだっけ、と記憶がわからなくなる
coldsweats02
しかしこうしてチラシを見るにつけ、ここにあるべき名前のないのが寂しく思える

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2012年12月27日 (木)

楽しくて元気もらった「五右衛門ロックⅢ」

1227日 「五右衛門ロックⅢ」(シアターオーブ)
12122701fuji まだ宙に浮いているというか寝かせてある芝居や展覧会の感想が4つあるんだけど(寝かせていても熟成はしない)、コーフンが冷めないうちにこっちを先に。
この芝居が発表になったとき、もちろん見に行くつもりではいたのだけど、三浦春馬クンが出演、そして上演期間がちょうど年末ということで、春馬ファンの娘を誘ったら27日がいいというのでプレオーダーで申し込み当選。まさかその日が勘三郎さんの本葬になるなんて…。
築地で勘三郎さんにお別れしたいという気持ちと、勘三郎さんなら「オレのことはいいよ、芝居見て楽しんでおいでよ」って言ってくれそうだという気持ち(誠に勝手な妄想で…)とせめぎ合って、結局後者を取りました。
楽しかった!! 文句なく楽しかった!!(勘三郎さん、ありがとう!!)
新感線歴の浅い私は「五右衛門ロックⅠ」は見ていないし、Ⅰの再演かなと思ってたくらい。しかも、王太子浦井クンが出てきて初めて「薔薇とサムライ」も五右衛門だったことを思い出したくらい(あんなに面白くてDVDも買ったのに、買ったまま見てない)。
新感線っていつも大音響でしょう。それなのに全然うるさいと思わないのがすごい(今回は仕事疲れのせいか、最初の10分だけ、ちょっとうるささを感じた)。
若い役者は元気だぁ。春馬クン、浦井クン、蒼井優ちゃん、みんなパワフルだ。
春馬クンは私は初めてまともに見たけれど(ドラマは興味なかったので)、セリフも演技も歌もダンスもしっかりしていて感心した。おまけに爽やかだし、長身で顔が小さくてかっこいいし、そのうち蜷川さんからお声がかかるかもしれない、なんて思ったりもした。
春馬クンの明智心九郎(明智小五郎のパロディでもあり、明智光秀の息子でもある。そのために彼は苦しんでいる)の忠実な手下、小林小女(小林少年でなくて少女でもなくて小女)は大きな丸メガネでコナンくんのパロ?
デズデモーナや「その妹」の印象がまだ残っていた蒼井優ちゃん(猫の目お銀)の弾けっぷりにびっくり。こういう突っ走り型の女の子ってあんまり好きじゃないのだけれど、優ちゃんは可愛いかったし、高いキンキン声もほとんど耳障りじゃない。どんどんよくなってくる感じ。
浦井クン――最近、歌舞伎役者にさえときめかなくなっていたのに、浦井王子が出て来たら胸がきゅんとときめいてしまったわ、いいトシして。とにかくかっこよくて底抜けに能天気で(シャルルがね)、緩急自在、歌も踊りもぜ~んぶよくて。本国と文通していると言って足に手紙をつけた鳥を腕に止まらせたのを見て、歌舞伎で五右衛門が鷹を止まらせるのとダブった。浦井クンのほうの鳥はめちゃくちゃデッカくて、腕が疲れるんじゃないの。
映像出演の天海祐希さん(アンヌ女王)がステキだった(この前、
NHKBSで宝塚レジェンドやっていたのに見逃した。残念で残念でしばらく落ち込んだ)。「薔薇とサムライ」のDVD、娘に見せたくて見せたくて、それがやっとかないそう。
古田さんの五右衛門も緩急自在、かっこよかった。変装から五右衛門に戻る一瞬がかなり笑えた(お面をぽろりとはずすのが私としては大ウケ)。

前田慶次郎にある種のイメージを持っていた娘(多分、ふつうだと思う)は慶次郎が橋本じゅんさんでびっくりしていた。でも私はカブキ者・慶次郎にじゅんさんがぴったり重なってけっこう感動していた。
春来尼が高橋由美子さんだって途中までわからなかった。ミステリアスでコミカルで、大きさを感じさせる春来尼にぴったり。
悪徳商人・蜂ケ屋善兵衛(名前は善なのにねえ)の村井國夫さんはさすがのうまさ。
しかし、何と言っても他を圧倒していたのは麿赤兒さんだろう。むか~し、なんかの芝居だったか映画で見て、当時はそんなに好きじゃなかったのだけど、印象はキョーレツで、ここのところテレビドラマなんかにも顔を出しているのを「へ~」という思いでいた麿さん。この秀吉は昔のキョーレツな印象をいい方向でしっかり甦らせてくれた。大きな大きな人間の存在感、この秀吉がいればこその「五右衛門ロック」だったんじゃないかと、最終的には思わされた。
席もよかったし(でもね、なぜかすっごく首が痛くなった。今も首がこっちこちでつらい)、本当に楽しかったなあ。
初シアターオーブは、地下鉄から直結でうるさい渋谷の町を歩かなくてすむのがいい。窓からの富士山も感動的(手前のビルがちょっと…ね。外は6度だったんだ)しかし休憩時間のトイレ行列、さらには終演後のクローク行列には驚いた。
<上演時間>1105分(12301415)、休憩20分、第2100分(14351615

 

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2012年12月26日 (水)

お年玉ご挨拶

25日付けで浅草のお年玉ご挨拶の日程(→ココ)が発表になっていたのに気づかなかった。
私が見る日は壱太郎クン。
亀鶴さん、松也クンのご挨拶も聞きたかったな。いや、やっぱり全員のが聞きたい…

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團十郎さん、1月も休演

南座を18日から休演していた團十郎さんが1月の演舞場も休演するという。
風邪をこじらせて肺炎の徴候がみられるとのこと。
心配でなりません。
七段目の由良之助の代役は幸四郎さんだそうです。

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2012年12月25日 (火)

カルピス+野菜ジュースでリフレッシュ

お芝居の感想がまだまだたまっているのだけど、トシをとると仕事の能率も悪くなるのか、なかなか時間がとれなくて。
疲れたなあと頭も体もぐったりしてきたときに飲むのが、カルピス+野菜ジュース。
私は中2の時、虫垂炎の検査でバリウムを苦労して苦労して2日かけておなかに入れて以来、カルピスがどうも苦手(単なるイメージで、なんだけどね)。野菜ジュースは苦手というほどではないけれど、栄養補充のためにちょっと覚悟を決めてから飲む。
その2つを1:1でミックスさせたら、なんと美味しい!!
これ、「百識王」で紹介していて、イノッチが「好きな味かも」と言っていたのがわかるかも。1:1はちょっと甘すぎるかなと思って1:2で野菜ジュースを増量したらやっぱり1:1のほうがおいしかった。
だまされたと思ってやってごらんあそばせ。

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2012年12月24日 (月)

12月演舞場昼の部再見、ごく簡単に

1219日 十二月大歌舞伎昼の部(新橋演舞場)
もともと昼の部はこの日のみを予定していたのだけど、初日夜の部を見た時、知人に昼の部がすっごく面白かったと唆され、即座にチケットを探し3日に初見。ということで、19日は再見になる。本来、夜の部を千穐楽にリピートするつもりだったのに、仕事やら何やらの都合で結局夜の部は初日のみ、予定外の昼の部がリピートになった。
今回の座席は1B席。花外が取れなかったので花道の内側ではあるけれど鳥屋に近く、松緑さんの「しば~ら~く~」の声がよく聞こえた。そして花道での動きがバッチリ見えたので、初見にも増して楽しめた。
亀蔵さんと菊市郎さんのチャリ場は前回とほぼ同じだが、「宗春さんを手ぶらで帰せねえ」という信濃小路左中弁仲平(菊市郎)のセリフが加わっていた。宗春さんとは亀蔵さんの下松右中弁宗春のこと。
前回も触れたけれど、橘太郎さんの悪役が堂々としていて(悪役なのに何となく痛快)、芸の幅の広さを感じた。
松也クンの女鯰が菊之助さんに似ていると思った。
萬太郎クンは声がよく、若々しい勢いもあって先が楽しみだ。
若手だけの二幕目も楽しかった。一・二幕通じて亀三郎さんが声よし、キャラよしで魅せた。
三幕目は菊五郎さんの富樫に團蔵さんの斎藤次のぶつかり合いが面白く、三津五郎さんの荒唐無稽な弁慶が形の美しさでただの荒唐無稽にしていないところに見応えがあった。
一幕目はベテラン、中堅、若手と勢揃い、二幕目は若手で華やかに、三幕目はベテランで締めるという構成もよかった。すべてが漫画チックで、何も考えずに楽しめた。

それに

先月に続き小泉純一郎氏と同じ日の観劇だったのがミーハーとしてはgood



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2012年12月23日 (日)

吉右衛門一座の力:国立劇場「鬼一法眼三略巻」

1218日 「鬼一法眼三略巻」(国立劇場大劇場)
当初、5日に観劇予定だったのに、急遽3日に演舞場昼の部を入れてしまったら、仕事の関係で5日は断念せざるを得なくなった。安い席とはいえ、ああもったいない。その後、3連チャンになるというきついスケジュールだけれど、もう他に行く日がないので思い切って18日のチケットを取った。
序幕の「六波羅清盛館の場」40年ぶりの上演だとかで、当然初めてみるわけだけど、とても面白かった。歌六さんの清盛が大きくて風格があるだけに、平家全盛時のやりたい放題の不気味な恐ろしさがあたりを圧していた。
そういう清盛を諌める重盛の錦之助さんは落ち着いた態度といい、賢明そうな物言いといい、気品といい、とてもよかったのに出番が少なくて残念。
皆鶴姫の芝雀さんは背いたら何をされるかわからない清盛の前で堂々と湛海の求婚を拒否するきっぱりした態度の中にもやわらかさと愛らしさがあって、「赤姫が似合うなあ」とつくづく思う。湛海との剣術試合にあっさり勝ってしまうのが面白かった(「鏡山」のお初と岩藤の試合をちょっと思い出した)。
湛海はなんと歌昇クン。さすがに若すぎてハイなテンションに終始した感はあるものの、こういう場で勉強して将来大きくなってほしいという期待ときっとそうなるという確信のようなものを覚えた。歌昇クンのみならず、隼人クン、そしてこの後出てくる種之助、米吉、廣松といった若手が吉右衛門さんのもとでしっかり歌舞伎を身につけようとしているのが頼もしい。
二幕目の「菊畑」は、10月に御園座で見たばかりだし、演じる役者が異なるとはいえ、ちょっと疲れが出てかなり寝てしまった。それでも初役だという鬼一法眼の吉右衛門さんの肚、鋭い眼光、気魄は3階席まで貫くようであった。
又五郎さんの智恵内はニンじゃないように思っていたが、どうしてどうして、大らかで明るくて、勢いもあって見応え十分。
梅玉さんの虎蔵は、芝雀さんの赤姫に感じたように、「いつまでも若衆が似合うなあ」。やわらかさ、若さ、品のよさ、当代一の義経役者である梅玉さんは、義経の若い時代もぴったりなのであった。
三幕目の「檜垣茶屋」。大蔵卿が飛び出してきた途端、何となくこれまでの吉右衛門さんの大蔵卿と違うような気がした。どこが、というのはわからない。でも、何か一つ突き抜けたような感じというのだろうか、愛敬の加減がこれまで(たって、吉右衛門さんの大蔵卿をどれだけ見たのかと言われれば、1回か2回なんだと思うけれど)とは違うような気がしたのだ。それだけのことで、何がどう違うのかはわからなかった。
東蔵さんのお京が、やはりニン違いかと思っていたのに意外とよくて、さすがに巧いと思うのであった。
梅玉さんの鬼次郎も、虎蔵からぐんと変わって、きりっとした厳しさが見えた。
大詰の「大蔵館奥殿の場」では、正体を現した時の吉右衛門さんの鋭さが印象的だった。
魁春さんの常盤御前が時間が経つにつれ、とてもきれいに見えたのが不思議な気持ち。
次郎さんの勘解由に何とも言えない味わいがあった。
危うく見逃すところだったこの芝居、見られてよかった。

<上演時間>序幕35分(12001235)、幕間35分、二幕目65分(13101415)、幕間25分、三幕目・大詰90分(14401610
先月の「浮世柄比翼稲妻」では序幕の場の転換で幕間かと思って席を立とうとする人が多く、国立劇場の人が「繋ぎ幕でございます。まだ幕間ではございません」と注意を促していたが、今月の三幕目・大詰ではさすがに席を立つ人はいなかった。

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2012年12月22日 (土)

南座、顔見世・勘九郎襲名昼の部②

129日 東西顔見世大歌舞伎昼の部(南座)
顔見世興行をNHK Eテレで放送するらしい。123021002300。秀太郎さんのブログによれば「五・六段目」と「対面」「千両幟」の一部だそう。
昼の部の演目は佐々木高綱、梶原平三、曽我兄弟と、時代が重なるのねえ。夜の「船弁慶」も重なるといえば重なるし。
「対面」
幕があくと、浅葱幕が下がっていて大薩摩(勝之弥、栄津三郎)がかかる。「これ吉例の顔見世は…今日の歌舞伎の…江戸の…より由緒正しき中村屋…流れを汲みし若太夫、襲名を寿ぐ芝居なり」というような歌詞だったと思う。
浅葱幕が振り落されると、二重の中央に工藤祐経(仁左衛門)が刀を突いて立っている(この形は初めて見る?)。列座の勧めで工藤は階段を下りて一礼をし、高座に上がる。
仁左様の工藤は何となく陰があるように見えたが(ずっと心に重荷を背負っているという感じ)、仁左様の大きさとキャラのせいか、その陰が工藤の人間に厚みを加えているのではないかと思った。セリフが明快で、歌舞伎らしい言い回しも、工藤の大きさを表している。姿もスッキリしていて、とにかくかっこいいのである。
勘九郎さんの五郎は工藤に対する憤りがストレートに伝わってくる。勘九郎さん特有のカッチリしたところがこの役に活きている。五郎のまさに血気盛んな若さ、勇猛さが美しい。この五郎、すごく好きだと思った。
時様の十郎には、暴走しがちな五郎を抑えながらも仇討の意志を貫こうという強さが見えた。長男と次男の違いがよくわかる。時様の声はハスキーなんだけど、この五郎では意外とそうでもなくきれいに聞こえた。
薪車さん(梶原平次)の甲の声がよかった。男らしい薪車さんにこういう声も出せるんだ。幅広い。
こちらも声のことだが、壱太郎クン(喜瀬川亀鶴)はキンキンさせずにとてもよかった(あのキンキンがちょっと耳につくことがある)。顔もすっきりときれいだった。
並び大名の中では松十郎さん(松次郎改め)の声がよく、若い大名としての空気があった。松十郎さんは他の演目でもその声のよさに惹きつけられた。松十郎さんといえば4年前の「竜馬がゆく」の三吉慎蔵役で非凡なところを見せたが、名題昇進した今後はますます活躍してほしい(千壽さんともども番付の写真が大きくなっているのが嬉しかった)。
秀太郎さん(大磯の虎)の風格、七之助さん(化粧坂の少将)の若さが格式の高さの中でバランスよく見応えがあった。

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2012年12月21日 (金)

紅白で襲名口上? らしい

猿之助さんが紅白歌合戦に出演するそうだ。
福山雅治さんがカウントダウンライブ前に紅白に生中継で出場し、その場で猿之助・中車さんが襲名口上を述べるらしい。
明治座の「天竺徳兵衛」で、「暮れは大阪でのんびりのつもりだったが、大みそかに大仕事が入った」と言っていたカメちゃん。大みそかってことは紅白だろうとは予想していたけれど、司会が他の人に決まった上は審査員かなぁなんて思っていた。
へ~~!! こういう形で出演とは!!
福山さんのライブは去年はパシフィコ横浜だったそうだが、今年もなのかしら。
亀ちゃん、元日が大阪初日なのに大丈夫なのかな。
若いとはいえ、歌舞伎役者の体調管理が気になるこの時期、ついつい心配してしまいますゎ。

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2012年12月20日 (木)

南座、顔見世・勘九郎襲名昼の部①

129日 東西顔見世大歌舞伎昼の部(南座)
ホテルを近くに取っていても、やはり10時半の開演は私には早い。
外は雪交じりの寒さだが、中は暖かく、コートもコインロッカーに預けた。
「佐々木高綱」
どうも「高時」と混乱してしまう。「高綱」は初見です。
高時(我當)は石橋山の合戦の折、罪もない馬士を斬り捨てたことがあった。その罪滅ぼしに馬士の遺児・子之介(愛之助)を探し出して馬飼いとして自分に奉公させ、毎月馬士の命日には門前を通る僧侶を招き供養している。今日は智山という僧侶(彌十郎)が回向をすることになった。高綱は智山にかつての罪について語る。子之介は高綱を恨むことなく熱心に馬の世話をしているが、それは自分の気持ちに人の誠を感じているからではないかと高綱は言う。
その高綱が、石橋山の合戦で「日本の半分を与える」とした頼朝が約束を守らないと頼朝に対する怒りと恨みを口にする。
かつて犯した罪への高綱の悔恨と罪滅ぼし、頼朝に対する恨み。人間なら誰しももちそうな自己の中での葛藤。我當さんの真摯で温かい声、泣き節(と私が勝手に名付けている)が高綱の誠を巧むことなく表現している。頼朝に対する激昂でさえ、そこには人の誠が失われていることへの悲しみが感じられて、よいのである。
愛之助さんは哀れさが愛おしい。哀れさというのは語弊があるかもしれない。なんと言うのかな、親をいきなり殺されて、その敵に雇われて、しかし恨みもしないで誠実に仕える、本当はスキあらば敵を殺すつもりで雇われたのに、恨みが消えていく心の変化がわかる。そこに美しさがあってそれが哀れに通じるような気がするのだ。涙が出そうなほどいい子で、本当に愛おしい。
彌十郎さんがまたいい。俗世間とは一線を画して、高綱に対しても何かを説こうというのではなく、自然に何かを伝えている、いや、高綱が自然に智山から何かを受け取れるような、そういう冷静な態度がよい。
この供養の日、子之介の姉・おみの(孝太郎)がやってくる。おみのは高綱に対する恨みに凝り固まり、恨みを捨てた弟を「不孝者」と罵り、自ら仇討をしようとする。
そこへ出家を決意した高綱がやってくる。斬りかかるおみの。「ここにも悟れぬ人があるのう」とおみのに言い、高綱は智山を馬に乗せると自分は轡を取って、2人で花道を去っていく。それでもまだ高綱に飛びかかろうとするおみのは仇討が果たせず号泣する。困惑する子之介。高綱と智山を見送る人々。
孝太郎さん1人がエキセントリックな印象だが、おみのの気持ちを考えれば当然かもしれないとはいえ、この人1人に後味の悪さを感じた。
この芝居はセリフ劇と言っていいだろうか。家来と高綱、高綱と智山、高綱と甥(長くなるので省いたが、高綱の兄の子・定重、進之介)、定重と高綱の娘・薄衣(新悟、声がきれい)、子之介とおみの、それぞれの会話が、状況や心理を語る。役者さんのセリフがはっきりしていたし、なかなか面白く聞くことができた。

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2012年12月19日 (水)

歌舞伎座杮落し公演演目&こんぴら歌舞伎発表

いよいよですね。詳細は→ココ(4月)とココ(5月)とココ(6月)

今日は演舞場昼の部を見てきましたが、再び小泉元首相と遭遇smile
これで3回目、今年2度目です。

こんぴら歌舞伎(→ココ)、一度は見たいと思っていたので、来年は考えてみようかな。
ちなみにこんぴら歌舞伎は「
猿之助襲名披露」で、猿翁、中車の襲名披露はないようです。

 

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来年3月23日からはすいすいと

来年3月23日から、全国のIC乗車券10種が相互利用できるようになるそうだ。
これは助かる。歌舞伎の遠征ではいつも、慣れない駅で劇場までの切符を買うのに手間取ったり、急ぐ帰りの切符を朝のうちに買っておいたり、けっこう気を使う。これからはパスモですいすいだ。ただし、地域をまたいでの使用はできないとのこと(つまり、東京で改札に入る時に使ったカードで、そのままたとえば名古屋で出ることはできない)。
まだ行くかどうか決めていない来年3月御園座公演は、もし千穐楽だったらこのシステムが使えるわね。

やっと一息ついたと思った仕事、またどっときたので、南座感想は中断中。宙に浮かせている感想が3つも4つもあるっていうのに。ま、仕事しなくちゃ芝居も見られないわけだから、ありがたく頑張ります。

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2012年12月18日 (火)

團十郎さん休演

團十郎さんが体調不良で今日の南座を休演したそうだ。
風邪だということだが、ちょっと心配(南座昼の部の感想を今まとめているところで、本当はかなり心配)。
代役は梶原平三(昼の部「石切」)を翫雀さん、弁慶(夜の部「船弁慶」)を橋之助さんが務めたそうだ。
段四郎さんも予定されていた1月の公演を休むそうだし(川連法眼代役は寿猿さん)。
みなさん、くれぐれも体調管理にはお気をつけて、早くよくなってください。

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2012年12月17日 (月)

南座、顔見世・勘九郎襲名夜の部②

129日 東西顔見世大歌舞伎夜の部(南座)
12121701takeuma 「船弁慶」
勘九郎襲名演目だというのに(しかも食事はとらずに臨んだのに)今回も苦手克服はならず、前半は時々沈んでしまった。
勘三郎という役者のいなくなった悲しみは二重の悲しみである。つまり、自分の中で悲しむのだけでなく、勘九郎さんを通しての悲しみを強く感じたのだ。
静の表情(無表情の表情なのだが)、舞には悲しみが強く表れており、知盛には厳しい凄まじさがあった。それを表現する足の動きの勢いと美しさに見とれた。笛、そして田中傳左衛門、傳次郎兄弟を揃えた裂帛の鳴物も凄まじかった。怒気とか恨みでありながら知盛の凄まじさは何か人間の心の中のもやもやしたものをばっと吹き払うような、何か風が抜けていくような、そんな清冽な感じを受けた。花道が最後まで見えないので、くるくる回るところが見られず残念。
藤十郎さんの義経(姿のみならず動きもきりっとして美しい)、團十郎さんの弁慶、左團次さんの舟長(踊りは珍しいかも)が、若い知盛、若い義経家来(男女蔵、壱太郎=翫雀さんに似ていた、新悟、薪車)、若い舟人(扇雀、七之助)の中で大きく重厚、歌舞伎の濃厚な味わいを醸し出していた。
「関取千両幟」
相撲取りが贔屓のために遊女の身請けの工面をしたり、その身請けにはライバルがいてそっちにも相撲取りがくっついていたり、なんだか、「双蝶々曲輪日記」みたいな…。そして、夫のために身を売る女房は、おかるとも重なる。
孝太郎さんが、夫・稲川への愛情をしっとりと表して好感がもてたが、現代人としては、贔屓のために敢えて負けようとする夫のために身を売るという感覚は受け入れ難い(こういう芝居は現代感覚で見てはいけないのは重々わかってるんだけどね)。そのせいか、私はこの芝居をそんなに面白いとは思わなかったけれど、翫雀さんのまるっこさが相撲取りの稲川にぴったりで、橋之助さんも体の大きさが敵役としての相撲取り鉄ケ嶽によく合う。
義太夫の曲弾きが舞台転換の間をもたせる。素晴らしい撥さばき
である。
今度また見る機会があったら、自分の見方を変えてこの芝居をもっと楽しく見たいと思った。

<上演時間>「仮名手本忠臣蔵」100分(16151755)、幕間15分、「口上」20分(18101830)、幕間30分、「船弁慶」65分(19002005)、幕間15分、「関取千両幟」50分(20202110


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2012年12月16日 (日)

南座、顔見世・勘九郎襲名夜の部①

129日 東西顔見世大歌舞伎夜の部(南座)
12121601minamiza 南座は3階席でも角度があるため大変見やすい。その分、座席までの一段一段が高く、下りはひっくり返らないようにそろそろ降りてもちょっと怖いのであった。
「仮名手本忠臣蔵五段目・六段目」
勘平は間違いなく侍である、浅野家の家臣である、つまり、勘平はまさに仇討に命を懸けていたということが痛いほど伝わってくるような仁左様の勘平であった。そして、田舎での暮らしぶり――おかると仲睦まじく、またおかるの親には敬愛を抱いて日々過ごしている、しかし心の中にはいつも悔いがくすぶっていて、それを消すためにも仇討に加わりたい、ということが生活感をもって感じられた。
訪ねてきた不破と千崎を迎え入れようとする勘平に、逃げるんじゃないかとすがりつくおかや。自分の腰にくっついているようにと、そっとその体に手を回す勘平には、信じてもらえない情けなさに加えて、親への愛情が感じられてうるうるきた。そういう優しさに容姿の美しさもあって、勘平の哀れさがくっきりと浮かび上がった。それにしても仁左様、足が細~い。
時さまのおかるは、先月「引窓」で仁左様との夫婦役を見られなかったので、今回はわずかな時間とはいえ、私にとっては見どころ。夫との別れもできずに籠に乗せられて諦めかけていたおかる、そこへ夫が帰ってきてただただ嬉しいおかる。ところが、自分が父親を殺してしまったと思い込んでからの勘平は、おかるが何を言ってもうつむいているだけ。いよいよ諦めて「おさらばでござる」と去ろうとしたその瞬間、「かる、待ちゃ」の声。勘平にとびつくおかるが悲しい。
「ずいぶんまめで」は泣けるセリフだ。

おかやも、戻ってこない夫を待ちわびながら(籠に手をかけ、下手のほうをずっと見た後、花道に目を移す)娘と別れなければならず心細い。そこへ勘平が帰ってきて、ともかくほっと心強く安心したという様子が見えた。娘との別れは双方に違いを思う未練が残り、胸が締め付けられた。竹三郎さんがうまいと思うのは、その時の心情・感情によって体の大きさが違って見えることだ。勘平に対する怒りでいっぱいのときは大きく見える。それが間違いだとわかると、とたんに体が小さくなって、涙を誘う。
愛之助さんの千崎に勘平に対する思いがはっきりと見えた。勘平への真心・友情が深いからこそ、勘平に裏切られた落胆と怒りは大きい。しかし真実がわかってからの千崎には再び勘平に対する友情が溢れ、そういう感情の動きがよく表されていた。
面白かったのはお才(秀太郎)と判人源六(松之助)。言葉がそうだからか、強烈な上方色を感じたし、自由自在なお才はこれまでもっていた印象とはずいぶん違うような気がした。
橋之助さんの定九郎は古風でよかった。

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2012年12月15日 (土)

甘かった

今回は歌舞伎ではなく、「ホロヴィッツとの対話」。
パルコのPLAY会員先行で抽選に外れたけれど、他のチケットサイトの先行には申し込まなかった。そして今日の一般販売、まずはパルコのチケットレスにチャレンジ。
チケットレスで申し込むのは初めてなのでまごまごしている間に、完売。最初にサイトに入った時には取れそうな感じだったのに、甘い甘い。
慌ててe-plusやぴあにいったけれど、混雑をなんとか掻き分けて入ったもののこちらも完売。
チケットサイトの先行販売は座席がイマイチだと聞いたもので、今回敢えて申し込まなかったのだけど、チケット全然とれないよりはよかったのに…。
だいたい、取れない条件が揃っていたのに(三谷さんの芝居であること、謙さんが主演であること、キャパが小さいこと、公演回数が少ないこと)、甘かったなあ。
2月3月は事前に予定を立てるのが難しいというこちら側の事情もあり、今回は
行くな、ということだったのかもしれない、と諦めましょう。あとは、ひょっとしたら追加公演がある、とかに賭けるか…とは未練たらしい。
新・歌舞伎座のチケット発売日のことが思いやられ、今から胃がしくしくしてきたわ。

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2012年12月14日 (金)

バレンタイン舞踊公演

来年2月14日に、猿之助さんの舞踊公演が日経ホールで行われるそう。

演目は、猿之助さんの「角兵衛」と猿之助×尾上右近の「連獅子」。
詳細は→ココで。

ところで
「決闘!高田馬場」の再演やってくれないかなあ。昨日、染五郎さんが勘三郎さんとの思い出話の中で「高田馬場」のことを語っていて(どこの記事だったか…)、急にまた見たくなった。今思うと、あのときよくチケット取れたなあ(まだ、亀治郎の後援会にも入っていなかったし、チケットもだいぶ遅くなってから買ったと思う)。
追記:染五郎さんの記者会見、テレビで見ました。お元気そうで意欲に燃えていらっしゃる
様子にほっとしました。

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2012年12月13日 (木)

クリスマスモード@パリ

12121302paris

パリ市庁舎
(モミの木と、その向こうに雪だるま)
12121301paris_2

市庁舎前のデパート(BHV)

昨日の「ジャスト」の続き。来年からはもう当分ゾロ目にはならない。次にゾロ目がくるのは2101年1月1日だから、当分以上だね。

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2012年12月12日 (水)

ジャスト

2012年12月12日12時12分(12秒まではむずかしい)。
100年に1度。

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2012年12月11日 (火)

これなら頑張れる

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地下鉄京都駅だったか四条駅だったか(撮影時刻的に四条駅かも)。

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2012年12月10日 (月)

南座行って帰って

12121001minamiza 昨日、今日と南座観劇をしてきました。
昨日の朝、東京駅までの電車の中で、レオン・パパ様から教えていただいた野田さんの追悼文のことを思い、涙がこみ上げるのを必死でこらえました。
京都でホテルに着いたらロビーのテレビに勘三郎さんが映っていて、部屋でまわしたチャンネルでは渡辺えりさんが号泣していて、私もまたまた涙があふれてきました。

京都観光はいっさいせず、今日の昼の部が終わってすぐに戻ってきた(多分、可及的最速新幹線に乗った)ほど仕事がたまっているので感想は少し後になりますが、襲名公演とは本来賑々しく行われるものだということをあらためて認識しました(口上を述べるみなさんが、悲しみの中できるだけそれを意識しなくては、と考えている様子でした)。

今朝の京都は、私が目覚めた7時過ぎ、雪が降っていました。傘は持っていないし困ったなと思っていたら、やがて雪はちらちらという程度になり、南座に着くころはちらちら以上ではありましたが、時に陽も射したりして、「天気雪」という感じ。昼の部が終わった時には「風花」が。
しかし新幹線は関ヶ原あたりの雪のため名古屋に10~15分遅れて到着。昨日はまったく雪の気配もなかった地域が真っ白だったのでびっくりしました。

昼の部最後の演目「廓文章」の最後に、小山三さんが出ていらしたのでほっとしました。とても若々しくてきれい、吉田屋の仲居の雰囲気にぴったりでした。

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2012年12月 9日 (日)

12月演舞場昼の部:荒唐無稽さが楽しい「御摂勧進帳」②

123日 十二月大歌舞伎初日昼の部(演舞場)
二幕目 越前国気比明神境内の場――色手綱恋関札――

二幕目は舞踊劇。義経が出るっていうから相手は静かと思ったら大違い。
義経は京都で通った女が20何人もいたらしい。落ち延びるときに付いてきた女が11人。静もその1人であったとか。びっくりですわ。
ここでちょっとお勉強。江戸時代、踊りは長唄で女形がやっていたが、やがて浄瑠璃が入るようになると芝居仕立てになって立役も加わった。この舞踊劇ははじめ富本節だったが、富本がすたれたため、昭和43年復活の折に清元で新たに作曲されたのだそうだ(以上、イヤホンから)。
浅葱幕の前に喜昇・徳松・京三郎の村娘たちが色々噂話をして、やがて祭りの踊りの稽古をしながら退場する。そんなのどかな光景のあと、浅葱幕が振り落されると、そこは福井県気比明神の入口である。大ゼリから鷲尾三郎(亀寿)、女馬子(梅枝)、義経(菊之助)がセリ上がってくる。義経は馬に乗り、その手綱を女馬子が引いている。鬘のせいか、梅枝クンの面長が目立って、3代目にますます似ていると思う。馬はいつも見る色とは違って亜麻色というんだろうか、栗毛よりもっと明るい色をしていた。初めて見る色。
義経は笹竜胆の模様の入った藤色の着付けに紅葉を散らした袴と、優雅な出で立ちである。菊ちゃんが美しい。「馬上では裾から風が入って寒い。馬を下りたい」と言う義経に鷲尾が手を貸そうとすると、なんと義経は「女馬子に抱かれて下りたい」とのたまうのである。20人だの11人だの言われているわけだ。
女馬子は義経の名前を知っていて恋心を抱いている様子。それを怪しむ鷲尾は女に街道筋の名所を尋ねる。そこへやってきた鹿島の事触れ、実は義経の家来・お厩の喜三太(松緑)。途中ちょっと眠くなったが、4人の総踊りが目を楽しませる。しばらくすると稲毛入道が「四の切」の荒法師みたいな恰好でやってくる。義経たちと入道たちの立ち回りの間に女馬子は衣服を変え、藤原秀衡の娘・忍の前であることが明らかになる。幼い頃に義経と結婚の約束をしたとかで、義経をここまで迎えにきたのであった。忍の前は馬に乗り(ひゅぅ~、お姫様姿の梅枝クンが馬に乗ってるなんて!! 時さまも馬に乗ったことはないらしいぞよ)彼女の操る馬に入道たちは翻弄される。奥州育ちは馬が得意なのだ。義経も鞍馬にいるときは馬なんていなかったから乗れなかったが、奥州の秀衡のところで馬を習い、ひよどり越えに成功したのだとか。
敵を蹴散らした一行は、今度は忍の前が馬上の人となり、義経がその馬を引いて落ち延びていくのであった(藤色の上だけ脱いだ菊ちゃんのピンクの衣裳が菊ちゃんの美貌を映えさせる)。
追手に追われていながら、忍の前の気持ちを受け入れてにやついている義経(妻の岩手姫は是明君の横恋慕をきっぱりと撥ねつけたのにね)。なんとも大らかな逃避行ではないか。

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2012年12月 8日 (土)

12月演舞場昼の部:大らかで楽しい「御摂勧進帳」①

この記事は125日にアップしたのですが、その後勘三郎さんの突然の訃報が入り、削除しました。こんな気持ちの時にどうしようかとずいぶん迷ったのですが、いつまで悲しんでいても前に進めないし、歌舞伎をこよなく愛し、賑やかなことが好きだった勘三郎さんだから、楽しかった歌舞伎の感想で、おこがましいながら私なりに勘三郎さんへのご供養としたいと思います(なお、感想は5日にアップしたものそのままです)。
12
3日 十二月大歌舞伎初日昼の部(演舞場)
12120501countdown 昼はもっと先に、1度しか見ない予定でいた。そうしたら初日に昼の部がすごくよかったと聞き、矢も盾もたまらず、早速Web松竹を探したら、3階正面が空いていたので即ゲット。本当は歌舞伎なんて見てる場合じゃないんだけどね。仕事どうするんだ!!
「通し狂言 御摂勧進帳」
一幕目 山城国石清水八幡宮の場――暫――
まずは馬に乗ったなまず隈の稲毛入道(亀三郎)、義経の妻岩手姫を連れ出そうとしている。それを阻止しようとする一本隈の荒若衆の鷲尾三郎(亀寿)。もみ合ううち、亀寿さんが馬の尻尾を引っ張ったら、尻尾が抜けてしまうというハプニングが。入道の手下の1人が立ち回りをしながらさっと拾ってさっと馬の腹の下に滑らせ、黒衣が片づける。亀寿さんはいつもの美声と違ってちょっと声に掠れが感じられたけれど、大丈夫そう。
場面は変わって石清水八幡宮境内。橘太郎さんの悪役ぶりが快調で、小柄な役者さんなのにとても大きく見えた。
本家「暫」の腹出しにかわって、こちらは公家4人(秀調、右之助、亀蔵、菊市郎)。秀調さんの隈が「大入」という文字になっていたりして、みんなどことなく奇怪な顔をしている。その中で右之助さんの顔が一番奇怪だったが、声といい喋り方といい一番公家風だった。
悪の親分・是明君(彦三郎)が登場するといよいよ「暫」らしくなる。是明君は義経が平家討伐の際に持ち帰った朝日の宝剣を奪っていて、そのために義経は頼朝から謀反の疑いをかけられている。おまけに是明君は義経の妻・岩手姫(菊史郎)に横恋慕しているのである。公家悪の彦三郎さんに大きさと力があって非常にいい。是明君の命令で善人側が首を刎ねられようする寸前、「しばらく」の声が。松緑さんにしては低い声で呼びかけている。低いと不気味な感じはするが、私は高い声のほうが盛り上がるような気がして好き。
いよいよ鎌倉権五郎ならぬ熊井太郎が姿を現す。太郎の鬢は権五郎の車鬢と違って板鬢(イヤホンガイド)。袖には三升ではなく松緑さんの家紋の四ツ輪が染め抜かれていた。松緑さんの太郎はとても大らか。セリフは松緑節というか、下から徐々に上にあげていくようなメロディーで、それが気になる時もあるのだが、今回は悪くなかった。
つらねが終わると、4人の公家が次々に太郎に挑む。

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2012年12月 7日 (金)

やだやだ、うそだうそだ

勘三郎さんのお通夜をしてきた。
歌舞伎歴ほぼ同様、歌舞伎観劇回数は私のほうがはるかに
上、でも多分歌舞伎愛は同じくらいだろう(いや、私の方が上かな)友人と、勘三郎さんに献杯。
友人が最初に思い出すのは一條大蔵卿なんだって。私は順番をつけられず、昨日挙げたいくつかの役。
帰宅して、フジの密着をちらと見る(録画してあるから)。松本の「天日坊」をやっていた。元気そうな姿にまだ実感がわかない。「やだやだ、うそだうそだ」

友人と、ご葬儀には一緒に手を合わせに行こうねと言っていたのに、27日は2人とも
それぞれに予定が入っていてがっくり。

ちなみに、ちょうどその時外を歩いていた私は地震に全く気づかなかった。3.11を忘れることは決してないけれど、感覚として少しユルくなっていた
脳に冷水を浴びせられ、心臓をぎゅっと摑まれたような気がした。みなさん、ご無事でしたでしょうか。


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2012年12月 6日 (木)

父親・勘三郎さん

前夜、仕事をしていて寝たのが4時だったからもうちょっと布団にもぐっていたかったのを、ゴミ出しがあるため頑張って8時に起きた。テレビをつけたら飛び込んできたのが勘三郎さんのニュース。あんまりショックで茫然とした。
うそだ、悪い冗談だと思おうとしながらも事実は動かし難い。そしてそれでも定式幕は開く。私も仕事をしなければならない。勘三郎さんのことを思うたび涙が出る

勘三郎さんの無念はもちろん第一だが、小山三さんがどれだけ辛い思いをされているだろう、お体に障らなければいいが。仁左様も先日病から回復したばかりなのにこの衝撃を受けて大丈夫だろうか。恐らく以前から覚悟はしていたに違いない勘九郎・七之助兄弟はどんな気持ちで舞台に上がっていたのだろうか。
初日の口上が報道で紹介され、胸が痛くなった。

勘九郎さんは何かの折にいつも「大好きな父」「憧れの父」と言っていた。結婚もして子供も儲けた男子がその年で衒いもなくそう言える勘三郎家。役者の先輩としてだけでなく、父親としてどれだけ子供たちに愛情を注ぎまた愛されていたか、私はいつも勘九郎さんの言葉に感銘を受けていた。そうしたら、勘三郎さん自身も先代のことを「大好き」と言っていたんだね。私も父が大好きだった。でもそれを認識したのは父を喪ってからだった。いくつになっても「大好き」と堂々と言える親子関係って素晴らしい。
よほどお父さんを好きなんだなと思う言葉にもう一つ、兄弟はほぼ必ず「うちの父」と言うのだ。ただ「父」でいいのに「うちの父」。子の父への愛情が感じられるではないか。

上品な判官、色気のある小悪党・新三、愛敬たっぷりの一条大蔵卿、サービス精神に溢れた法界坊、小姓弥生、白拍子花子等々、もう見ることはできない。
しかし現実は受け止めねばなるまい。私にとってせめてもの慰めは、十八代目襲名公演を3カ月見ることができたこと、勘三郎最後のロングラン平成中村座を全公演見たことだろうか。七緒八クンを抱いて嬉しそうにみんなに見せていた無邪気な勘三郎さん(三代の連獅子は見られなくなった)。桜席にいる私たちに幕が閉まった後、顔を上げて挨拶してくれた勘三郎さん。
ありがとう、いろんな歌舞伎を見せていただきました。
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年間、走り続けてきた勘三郎さん、謹んでご冥福をお祈りいたします。
南座へ行ったら精一杯応援します。

追記:今たまたま、Eテレの「めざせ会社の星」という番組を見た。ガテン系男子SP。そこで紹介されていた鳶の男性が歌舞伎座建設に携わっている人だった。鳶のリーダーだからかチームの中で1人だけ「歌舞伎」と正面に書かれた赤いヘルメットをかぶって、高所にある大クレーンの解体を指揮していた。作業は深夜1時にまで及ぶこともあったそうだ。彼がなぜ、鳶になったか――父親が鳶で、父親に憧れていたから、だそうだ。勘三郎さんが重なって、そしてこの歌舞伎座で勘三郎さんを見ることはないのだ、と思ったら又悲しくなった。

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2012年12月 5日 (水)

絶句 勘三郎さん

勘三郎さんが…ああ。
言葉もありません。
体の震えが止まりません。

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2012年12月 4日 (火)

12月演舞場初日夜の部

121日 十二月大歌舞伎初日夜の部(演舞場)
12120401countdown 11月の記録がまだ終わっていない(「日の浦姫」と「出雲展」)けれど、それはまた後ほど。
「籠釣瓶花街酔醒」
interesting
な面白さも含めて、非常に面白かった。
まず菊五郎さんの次郎左衛門が吉右衛門さんや勘三郎さんとかなり違う。田舎者であっても泥臭さがほとんどない。初めての吉原の何もかもに圧倒される田舎者であっても、あの容貌であっても、菊五郎さんの粋な面は隠しようもない。そういう次郎左衛門に慣れていない初めは「おや」という気持ちだったが、だんだんこういう次郎左衛門であってもいいんじゃないか、と思えてきた。金だってきれいに使ってケチじゃないし、豪胆ささえ感じることがある。周りの人に気遣いもできるし、だから廓の人たちは次郎左衛門に対して金持ちだからという以上の好意を抱いていると思う。そういう精神的に粋な面とコンプレックスが混在している次郎左衛門。
八ッ橋にしても次郎左衛門を嫌いではない。身請けされてもいいと思ったのだから。それでも間夫と離れられなかったのは、次郎左衛門にないときめきを繁山栄之丞に感じていたからではないだろうか。佐野次郎左衛門に身請けされれば平穏で幸せな日々が過ごせるかもしれない。でも「どこか違う」という気持ちが八ッ橋にあったんじゃないだろうか。危ない男であっても、いや危ない男であるからこそ八ッ橋は断ち切れなかったのだ。という感情が菊之助・八ッ橋から伝わってくるような気がした。縁切りの言葉の強さ、感情を押し殺したような、次郎左衛門へのすまなさを微塵も感じさせないような表情の厳しさからは、「自分は栄之丞との浮草生活を選んだのだ。縁切りをするのは栄之丞に言われたからではない、自分の意志なのだ。とはいえそれくらい自分に力を入れていないと、気持ちも体も頽れてしまう」、そんな感じを受けた(でも、栄之丞に言われなければ、おとなしく身請けされていたんだろうか)。ちょっと現代的な八ッ橋かもしれない。
見染の場での菊ちゃんの微笑みは嫣然としていて、遊女として明らかに男を蠱惑する意図があったように感じられた。ただ、その笑みには意外と美しさが感じられず(菊ちゃんだったらもっときれいだと期待していた。歯を見せるのがよくないのかなあ)、玉三郎さんの何とも謎めいた笑み(ぼ~っとしている次郎左衛門を微笑ましく思ったのが七、遊女としての営業笑いが三、かなぁ)のほうが好きだと思った。

次郎左衛門の忠実な下男・治六の松緑さんがよかった。花魁道中をぽかんと口をあけて見送る表情に何とも人のよさが出ていたし、次郎左衛門が縁切りで恥をかかされているのに黙っていることができず、八ッ橋を責めようとする。そんな治六を「手前はだまっていろ」と叱る次郎左衛門。2人の心に涙が出たけれど、この次郎左衛門の言葉には凄みさえあって、この時既に殺意の芽が顔を出していたことを思わせた。そして栄之丞の顔を見たとたん、その殺意の芽は一気に吹き出してきたのだろう。こうなる前に、次郎左衛門は栄之丞の顔をちょっと見ている。その時覚えた不吉な予感がここで本当のこととなったのだ。
さてその栄之丞はヒモではあるけれど、別に八ッ橋を食い物にしているわけではないようだ。三津五郎さんの栄之丞は、ちょっと崩れたものを感じさせながらどことなくおっとりと浮世離れしていて、そのくせ妙な現実感もあった。
團蔵さん(釣鐘権八)のしぶとい小悪党ぶりもいい。八ッ橋を食い物にしているのはこっちのほうなのだ。下手に出たりちょいと凄みを見せたりしながら追い払われると捨て台詞を吐くのがいかにも小悪党だ。
立花屋長兵衛の彦三郎さん、その女房の萬次郎さんに大きさがあった。萬次郎さんは廓の女将として店先で使用人たちの働きにさりげなく目を光らせ、的確に指示を出したり、客に気を遣ったり。立花屋の若い者(菊市郎)は小悪党の権八がやってくるといかにも迷惑そうな表情になったのがよかった。女中(菊三呂)は働き者でかいがいしく動き回っている。こういうところに廓の裏の様子が生き生きと描かれていて面白かった。
栄之丞の家ではお針子のばあさんが玉之助さんと梅之助さんの両ベテランだったと思うけど、やはり生活感が現れていて、こういうところの大事さをあらためて認識させてもらった。
冒頭、親切ごかしで次郎左衛門と治六を吉原に引っ張ってきた白倉屋万八。いかにも人の好い面の中は、実はぼったくり。それを立花屋長兵衛に窘められると途端に豹変して、しかし敵わないとみて尻尾を巻いて立ち去る。橘太郎さんがいつもの達者なところを見せる。栄之丞宅同様、こういうところが大事なのだ。
八ッ橋より先輩である九重の梅枝クン、しっとりとして、本当に次郎左衛門を気遣っている様子がわかる。九重は多分次郎左衛門を好きなのだ。次郎左衛門が八ッ橋でなくて九重に惚れていたら…。梅枝クンはあの若さだけれど、こういう役では古風な面差しが活きるのかもしれない。もちろん顔だけでなく演技がしっかりしているからだけど(「頼朝の死」の音羽も孝太郎さんより年長感がよく出ていたでしょう)。もう「実力派」と言ってもいいのではないだろうか。
最初の九重と七越(松也)の花魁道中、七越付きに喜昇さん、春希クンを発見。九重付きには段之、時蝶さん。時蝶さんは
83歳、お元気そうで嬉しかった。また八ッ橋付きの番頭新造に笑野さんが。澤瀉屋の3人は中3日での出演。歌舞伎役者ってすごい。
それにしても、「籠釣瓶」。幕があいても真っ暗で、やがてぱっと明るい桜満開の吉原という視覚的効果はいつも素晴らしいと感動する。そこにあるのは悲しい女たちの暮らしだとしても。


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2012年12月 3日 (月)

明治座11月花形歌舞伎③:楽しくって何度でも見たい「天竺徳兵衛」

1127日 十一月花形歌舞伎千穐楽夜の部(明治座)
カーテンコールは既報しましたが、お芝居のことを少しだけ。
12120301tokube 「天竺徳兵衛新噺」
これを見たくて博多座に飛んで行ったのは今年の2月だったか。1年に2度も徳兵衛を見られるなんて。
序幕第一場、遠州灘に浮かぶ元船で、徳兵衛が船頭たちにせがまれるまま異国話をする場面。まずは「浜町の明治座には1年半ぶりのお目見得なれど、その間に名前も変わり、四代目猿之助となった。これもみなさんのおかげ」というような挨拶めいたセリフがあり、その後、異国の今様話が始まる。「新噺(いまようばなし)と外題にあるように、時事ネタを語るのがお約束。伯父の猿翁が30年前にここでやった時はベルリンの壁の時、大変ウケた。名前を継いだワシもケータイ、パソコン駆使してヤフーニュースなどを探した」と笑わせる。ロムニーが負け、イスラエルがどうとかと話した後、日本では石原さんが橋下さんと組んで国政に。迎え撃つ民主党。ワシも選挙に行きたいが、来月はルテアトルで芝居がある(不在者投票っていうのがあるよ、カメちゃん)。(中略)元日初日は初めてのこと。年末は大阪でゆっくり過ごそうと思ったが、大みそかに大きな仕事がある(って、何なんでしょうね。気になる。紅白の司会はもう決まっちゃってるし)」と、博多座では韓国の町を歩いた話だったが、今回は全く趣が替わり、異国話じゃなくて国内話だった。
そして宣伝を兼ねて船頭役の澤五郎さんにソルマックを飲ませ、もう1本懐から「ソルマックのあとは同じ大鵬薬品のチオビタを」と、チオビタまで飲ませてしまった。これで澤五郎さんは大変元気になったはずである。
その後はたいがい博多座と同じなので(博多座の感想は3部に分けて詳しく書いてあります。第1部は→ココ)、詳述はしないけれど、主だった役では奴・磯平が弘太郎→亀鶴、小平次妹・おまきが春猿→米吉、今川奥方・葛城が笑三郎→萬次郎と博多座とは違っていた。博多座の3人もよかったけれど、明治座の3人もとてもよかったのだ。
亀鶴さんは言うまでもなくカッコいいし、米ちゃんは右近さんにグイグイ迫っていく様に初々しさとのギャップがあって面白い(米ちゃん、きれいだし、演技も成長著しい)。萬次郎さんはぐっと舞台を締めている。花作りの鳴雷に惚れる様子(実は惚れた振り)が可愛いし、鳴雷を徳兵衛と見抜いた時が何とも男前な感じで素敵だった。
カメちゃんはどの役もソツなくこなし、多才ぶりを遺憾なく発揮した。中でもおとわは素晴らしい。男の言うことなんか待っていないで自分で積極的に物事を運んでいく女性をやらせたらカメちゃんはピカ一だと思う。そしてカメちゃんの身体能力の高さを改めて感じた。夜の部の席も昼の部とほとんど変わらない位置だったが、葛籠抜けが目の前で見られただけ、まあいいか。でも明治座は3階席の床、すなわち2階席にとっては天井がかなり前まで張り出しているので、なんかあっという間に見えなくなっちゃったような気もするweep
それにしても、徳兵衛の乗る大蝦蟇、ヒカリエの亀博で見逃したのが今でもクヤシイbearing
<上演時間>序幕65分(16301735)、幕間30分、二幕目60分(18051905)、幕間25分、大詰40分(19302010
12120302bento 12120303bento
夜は、明治座記念弁当
1,400円也を大奮発。昼の部で食べたもっと安い弁当とどこが違うのかと思ったけれど、やっぱり少し高級感があった。

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2012年12月 2日 (日)

明治座11月花形歌舞伎②:浅草を思い出して泣きそうになった「蜘蛛絲梓弦」

「蜘蛛絲梓弦」
初見は2006年浅草、スッポンも盆もない浅草の舞台で、それにもかかわらず斬新な蜘蛛モノに度胆を抜かれたものだが、残念ながらこの時はまだブログを始めておらず、自分としての記録が残っていない。2度目は20082月博多座、3度目は2009年松竹座、そして今回が4度目となる。間に2010年御園座公演もあったから、この演目は猿之助さんにとってとりわけ大事な芝居の1つになっているのだろう。
舞台はタイムリーに、紅葉いっぱい(これまではどうだったんだろう、自分ではそこまで書いていなかった)。坂田金時・亀鶴、碓井貞光・男女蔵、そして童・薬売り・番頭新造・座頭と次々と猿之助が現れるこの3ショット!! 浅草を思い出して泣きそうになった。これまでの浅草がどれだけ新年の楽しみだったのか、浅草ではもうあの空気は味わえないのか。今年の千穐楽カーテンコールからは、来年は愛之助さんと亀鶴さんあたりを中心に若手がまた集結するんじゃないかと期待していたんだけどな。まだ見ないうちから言うべきじゃないと思ったから、演目と配役が決まったときには黙っていたけど、この3ショットを見たら、ちょっとグチりたくなってきた。
童のスッポンからの登場、これはモニターで見るしかない。あどけない悪戯っぽさの中に何とも言えない怪しさがあって、早くもそのあやかしの空気に捉われて童とともに踊る金時と貞光。あ~、楽しいっ。薬売りは常盤津の見台の中から飛び出してきて、思わず「うわぁ」と声が出た。天井から、振り分け型の大きな薬箱が下りてきて、それを担いだ薬売りは早々に引っこみ、引っこんだかと思うと花道から番頭新造が現れる。早い早い、この早替りはまさに「アッという間」。カメちゃん、全速力で走っていたんだろうな。番頭新造は下手側の襖返しで引っこむ。薬売りと番頭新造の時には長唄と鳴物が入ったが、番頭新造が姿を消すと、襖が閉められ長唄・鳴物も姿を消す。
だまされて妖怪を取り逃がしてばかりの2人は「いずれもさま、面目次第もござりませぬ」と客席に向かって平謝りだが、まだまだだまされるのだよ。
舞台は薄暗くなり、金時と貞光が居眠りをしていると、正面階段の中から座頭が飛び出す。「四の切」の狐といっしょだ。私はよく聞こえなかったが、恐らく花道揚幕でチャリンの音がして、狐同様、出をだましていたんじゃないかしら。お国名物・仙台浄瑠璃を2人に所望された座頭のカメちゃんは、浄瑠璃に合わせてエアー三味線、エアー語り。これがまた楽しい。しかし、この座頭も妖怪が化けたものである。座頭の衣裳の下には蜘蛛の糸の衣裳をつけている。館の座敷に上がった座頭は、ここで初めて糸を投げる。投げながら階段下へ飛び降り、最後は御簾内の火鉢の中へ。座頭の消えたあとには煙が立ち上る。
御簾が閉じられると、その前にシマシマの蜘蛛が糸を伝っておりてくる。下まで降りると再び上へ。そして御簾が上がり、頼光(門之助)の隣には蜘蛛の糸の衣裳をまとった傾城薄雲が。薄雲を妖怪と悟った頼光は外へ出る。薄雲が糸を投げる、その糸が頼光にかかる。とても美しい場面だった。騒ぎに気付いた卜部季武(米吉)、渡辺綱(猿弥)が駆け付ける。米ちゃんの立役、声も太く凛々しく瑞々しい。卜部の化粧をした米ちゃんの顔が、なんと、段治郎さんじゃなかった月乃助さんに似ているように見えた。
蜘蛛の精を追って頼光・季武・綱が花道を去ると、蜘蛛の糸が一面に描かれた幕が舞台を覆う。そして大薩摩。大薩摩は、いつもワクワクさせてくれる。戦闘態勢の頼光一行が再び花道に現れ、「いざ、蜘蛛の巣を断ち切らん」と頼光が刀を振って幕が落ち、舞台中央に蜘蛛の精、蜘蛛四天が8人(足の数ですね)現れる。
ラスト、平井保昌(右近)の力強い押し戻しも楽しい。「四代目市川猿之助によく似た化け物め」。頼光たちに刺された蜘蛛は、最後は三段で糸を投げる。猿之助さんの後ろで後見も糸を投げ、飛び交う糸、糸、糸。そして舞台にも雨のように糸が降り、興奮は頂点に達する。
テンポのいい進行、客を飽きさせないケレン、視覚的な美しさ、猿之助の踊りの巧みさ(踊りに余裕が見えて感心した)、門之助の気品、男女蔵・亀鶴の行儀のよいコミカルさと武士らしさ等々、4度目でも楽しさ、興奮度は変わらない。
<上演時間>「傾城反魂香」序幕45分(11001145)、幕間30分、二幕目90分(12151345)、幕間25分、「蜘蛛絲」65分(14101515

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明治座11月花形歌舞伎①:人材豊富な澤瀉屋の「傾城反魂香」

1127日 十一月花形歌舞伎千穐楽昼の部(明治座)
もう演舞場も12月の幕が開いたなれど、11月の分を先にしないとケジメがつかないので、まず明治座から。
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年半ぶりの明治座歌舞伎。今回は時間が取れず、千穐楽の昼夜通し1回のみ。まあ、全部の演目、少なくとも1度ずつは見ているから。でも、昼夜とも花道の全然見えない席で、チケットが来た時からかなりヘコんでいた。演舞場と同じく花道用モニターがあったし(画面はよくないけど)予想より悪くはなかったものの、マナー違反の客もいて…。
「傾城反魂香」

三越劇場で一度通しを見て、なるほど、虎はこうやって生まれたのか、とか雅楽之助がなぜ突然土佐将監の家に現れたのかとか、物語の流れがよくわかったのが面白かった。しかしその後「土佐将監館」は何回も上演されているのに、通しでの上演は結局あれ以来5年ぶり。今回も澤瀉屋らしいテンポのよさで飽きることなく面白く見た。
喜昇さんの藤袴がとても可愛らしい。顔はおかめみたいだけれど品のいい三枚目で、喜昇さんの芸の幅の広さを感じた。銀杏の前の策略に使われて可哀想とちょっと同情したら、本人はそれをどうとも思っていないどころか姫のお役に立てて喜んでいるようなところもあったからいいのか。
銀杏の前は笑野さん。前回春猿さんが演じた役で、美貌の笑野さんの実力がここでも発揮された。藤袴を装っている時は腰元らしさの中にもおっとりとした様子が姫としての本性を窺わせる。しっとりと大人の女の雰囲気を漂わせ、儚げなのに積極的なのが赤姫らしい。そういえばお2人ともこの度名題適任と認められたのだったが、近いうちに名題披露をするのだろうか。
猿四郎さんの不破入道が堂々と大きな悪役で圧倒された。欣也さんの長谷部雲谷とともに悪役の魅力を見せてくれた。
二枚目の絵師といったらなんとなくつっころばしを想像するが、狩野元信はそうではない。そこそこ強いんである。しかも自分の肩を食い破って血汐を襖に吹きつけて虎の絵を描くという精神力の強さももっている。門之助さんのこういう役は好きだ。元信が虎の絵を描き進めていくと、その見事さに客席からどよめきが湧き、描き終わった時には拍手!! 亀ちゃんファン(が多かったと思う)はノリがいいのだ。
絵から抜け出した虎がまた見事。ユーモラスに悪人どもと立ち回る。にじり足、バック、後ろ脚立ち、見得等々、澤瀉屋の動物らしく、愛敬たっぷり、華やかで巧みな動きが観客を楽しませる。虎に視線は集中するが、いっぽうで虎と呼吸を合わせる猿四郎さんの立ち回りも見事。それに、この不破入道も案外勇敢で強いのだ。

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2012年12月 1日 (土)

日本の秋は美しい

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↑まさに紅葉(@小平墓地。月命日は23日なんだけど、大雨だったので墓参は翌24日に延期)
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↑最近になって時々目にして気 になっていた花。皇帝ダリアというんだそうだ。
これも小平墓地で(花の名が書かれた札でわかった)。

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上野は国立博物館の庭園。「出雲展」が25日までだったので、墓参のあと駆け込みで鑑賞。現在秋の公開中(12月9日まで)のお庭も目当てだった。
あがりの空気は小平も上野も実に爽やかで、木々に囲まれて歩いていると、ほんと幸せ気分いっぱい!!
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↑トーハクの正面にある巨木「ユリの木」も秋色に
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↑こっちでは今「チョコレート展」をやっている。来年2月24日までなので、期間中に何とか時間を取って行くつもり。
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↑上野は銀杏が素晴らしかった。緑の葉と黄色の葉が絶妙に織り成す色の美しさ。残念ながらうまく写真には表せなかったが、涙が出そうなほど感動した。歩く人みんなが「きれい~」と感嘆の声をあげていたのが又なんか感動的だった。

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