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2012年12月23日 (日)

吉右衛門一座の力:国立劇場「鬼一法眼三略巻」

1218日 「鬼一法眼三略巻」(国立劇場大劇場)
当初、5日に観劇予定だったのに、急遽3日に演舞場昼の部を入れてしまったら、仕事の関係で5日は断念せざるを得なくなった。安い席とはいえ、ああもったいない。その後、3連チャンになるというきついスケジュールだけれど、もう他に行く日がないので思い切って18日のチケットを取った。
序幕の「六波羅清盛館の場」40年ぶりの上演だとかで、当然初めてみるわけだけど、とても面白かった。歌六さんの清盛が大きくて風格があるだけに、平家全盛時のやりたい放題の不気味な恐ろしさがあたりを圧していた。
そういう清盛を諌める重盛の錦之助さんは落ち着いた態度といい、賢明そうな物言いといい、気品といい、とてもよかったのに出番が少なくて残念。
皆鶴姫の芝雀さんは背いたら何をされるかわからない清盛の前で堂々と湛海の求婚を拒否するきっぱりした態度の中にもやわらかさと愛らしさがあって、「赤姫が似合うなあ」とつくづく思う。湛海との剣術試合にあっさり勝ってしまうのが面白かった(「鏡山」のお初と岩藤の試合をちょっと思い出した)。
湛海はなんと歌昇クン。さすがに若すぎてハイなテンションに終始した感はあるものの、こういう場で勉強して将来大きくなってほしいという期待ときっとそうなるという確信のようなものを覚えた。歌昇クンのみならず、隼人クン、そしてこの後出てくる種之助、米吉、廣松といった若手が吉右衛門さんのもとでしっかり歌舞伎を身につけようとしているのが頼もしい。
二幕目の「菊畑」は、10月に御園座で見たばかりだし、演じる役者が異なるとはいえ、ちょっと疲れが出てかなり寝てしまった。それでも初役だという鬼一法眼の吉右衛門さんの肚、鋭い眼光、気魄は3階席まで貫くようであった。
又五郎さんの智恵内はニンじゃないように思っていたが、どうしてどうして、大らかで明るくて、勢いもあって見応え十分。
梅玉さんの虎蔵は、芝雀さんの赤姫に感じたように、「いつまでも若衆が似合うなあ」。やわらかさ、若さ、品のよさ、当代一の義経役者である梅玉さんは、義経の若い時代もぴったりなのであった。
三幕目の「檜垣茶屋」。大蔵卿が飛び出してきた途端、何となくこれまでの吉右衛門さんの大蔵卿と違うような気がした。どこが、というのはわからない。でも、何か一つ突き抜けたような感じというのだろうか、愛敬の加減がこれまで(たって、吉右衛門さんの大蔵卿をどれだけ見たのかと言われれば、1回か2回なんだと思うけれど)とは違うような気がしたのだ。それだけのことで、何がどう違うのかはわからなかった。
東蔵さんのお京が、やはりニン違いかと思っていたのに意外とよくて、さすがに巧いと思うのであった。
梅玉さんの鬼次郎も、虎蔵からぐんと変わって、きりっとした厳しさが見えた。
大詰の「大蔵館奥殿の場」では、正体を現した時の吉右衛門さんの鋭さが印象的だった。
魁春さんの常盤御前が時間が経つにつれ、とてもきれいに見えたのが不思議な気持ち。
次郎さんの勘解由に何とも言えない味わいがあった。
危うく見逃すところだったこの芝居、見られてよかった。

<上演時間>序幕35分(12001235)、幕間35分、二幕目65分(13101415)、幕間25分、三幕目・大詰90分(14401610
先月の「浮世柄比翼稲妻」では序幕の場の転換で幕間かと思って席を立とうとする人が多く、国立劇場の人が「繋ぎ幕でございます。まだ幕間ではございません」と注意を促していたが、今月の三幕目・大詰ではさすがに席を立つ人はいなかった。

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コメント

今晩は。今日は、国立劇場見てきました。播磨屋一座、菊五郎劇団とは異なり、時代物狂言で堪能させます。又五郎が、良い役でのびのびやっています。又五郎でもっともっと良い役、特に舞踊で出し物をしてくれると嬉しいのですが。歌昇が大抜擢、吉右衛門の男気を感じます。歌昇、よく応えています。で、吉右衛門の一条大蔵卿、前回見たときよりも、独特の境地に達しているような完成度でした。これから、体力が落ちてくるでしょうから、あるいは今が頂点的な、分岐点なのかもしれません。ともかく、これから、どの演目も目が離せなく思います。今年の歌舞伎納めで大変結構でした。(後、私はオペラシティの第九が劇場納めです。)

投稿: レオン・パパ | 2012年12月24日 (月) 21時20分

レオン・パパ様
こんばんは。こちらにもコメントありがとうございます。
一座の色の違いが興味深いですね。
播磨屋に実力派の役者さん、そしてその有望なジュニアたちが加わり、一段と見応えある舞台になっていましたね。
吉右衛門さんの大蔵卿、私はうまく表現できなかったのですが、そう、独特の境地、ですね。そして(これは菊五郎さんにも言えることですが)、歌六・又五郎・芝雀そして歌昇・種之助・米吉へと次代に芸を伝えていこうという精神が強く感じられました。この一座のお芝居がこれからも楽しみですね。

レオン・パパ様は「第九」が納めですか。私は「五右衛門ロック」です(^-^;
関係ないけど、オペラシティの篠山紀信展、ついに見逃しました。残念。

投稿: SwingingFujisan | 2012年12月24日 (月) 21時43分

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