« 紅白で襲名口上? らしい | トップページ | 吉右衛門一座の力:国立劇場「鬼一法眼三略巻」 »

2012年12月22日 (土)

南座、顔見世・勘九郎襲名昼の部②

129日 東西顔見世大歌舞伎昼の部(南座)
顔見世興行をNHK Eテレで放送するらしい。123021002300。秀太郎さんのブログによれば「五・六段目」と「対面」「千両幟」の一部だそう。
昼の部の演目は佐々木高綱、梶原平三、曽我兄弟と、時代が重なるのねえ。夜の「船弁慶」も重なるといえば重なるし。
「対面」
幕があくと、浅葱幕が下がっていて大薩摩(勝之弥、栄津三郎)がかかる。「これ吉例の顔見世は…今日の歌舞伎の…江戸の…より由緒正しき中村屋…流れを汲みし若太夫、襲名を寿ぐ芝居なり」というような歌詞だったと思う。
浅葱幕が振り落されると、二重の中央に工藤祐経(仁左衛門)が刀を突いて立っている(この形は初めて見る?)。列座の勧めで工藤は階段を下りて一礼をし、高座に上がる。
仁左様の工藤は何となく陰があるように見えたが(ずっと心に重荷を背負っているという感じ)、仁左様の大きさとキャラのせいか、その陰が工藤の人間に厚みを加えているのではないかと思った。セリフが明快で、歌舞伎らしい言い回しも、工藤の大きさを表している。姿もスッキリしていて、とにかくかっこいいのである。
勘九郎さんの五郎は工藤に対する憤りがストレートに伝わってくる。勘九郎さん特有のカッチリしたところがこの役に活きている。五郎のまさに血気盛んな若さ、勇猛さが美しい。この五郎、すごく好きだと思った。
時様の十郎には、暴走しがちな五郎を抑えながらも仇討の意志を貫こうという強さが見えた。長男と次男の違いがよくわかる。時様の声はハスキーなんだけど、この五郎では意外とそうでもなくきれいに聞こえた。
薪車さん(梶原平次)の甲の声がよかった。男らしい薪車さんにこういう声も出せるんだ。幅広い。
こちらも声のことだが、壱太郎クン(喜瀬川亀鶴)はキンキンさせずにとてもよかった(あのキンキンがちょっと耳につくことがある)。顔もすっきりときれいだった。
並び大名の中では松十郎さん(松次郎改め)の声がよく、若い大名としての空気があった。松十郎さんは他の演目でもその声のよさに惹きつけられた。松十郎さんといえば4年前の「竜馬がゆく」の三吉慎蔵役で非凡なところを見せたが、名題昇進した今後はますます活躍してほしい(千壽さんともども番付の写真が大きくなっているのが嬉しかった)。
秀太郎さん(大磯の虎)の風格、七之助さん(化粧坂の少将)の若さが格式の高さの中でバランスよく見応えがあった。

「廓文章」
藤十郎さんと扇雀さんの共演は、他の演目も含めて初めて見るかも(?)。
この演目はそう得意でないのでよくわからないが、藤十郎さんのやわらかい動きの中に自在なものを感じた。
扇雀さんは以前は三枚目的な騒々しい女の役が合っていると思ったこともあったが、近年立役もかっこいいし、女形もきれいになってきている。この夕霧もしっとりととてもきれいで、派手な顔立ちの割に憂いが感じられるのがいい。伊左衛門への思いが丁寧に込められていた。
江戸の役者である彌十郎さんの喜左衛門(伊左衛門と喜左衛門、音で聞くと紛らわしい!!)に、上方のまろみと大店の主人の大らかな大きさがあった。吉弥さん(吉田屋女房おさき)はさすがの上方の味と貫録。「先日、若旦那に会ったと思ったら山城屋の藤十郎さんだった。当月は勘九郎襲名公演で昼夜にわたってご出演」とか、伊左衛門に向かって言い、客にウケていた。お大尽の松之助さん、若い者松吉の寿治郎さん、こういう脇の役者さんのうまさが廓の雰囲気を濃いものにしてくれる。
ラスト、夕霧の身請けが決まり、千両箱がいくつも運ばれてくる場面に、ついに小山三さん登場。番付にお名前があったので待っていたのだ。もしかしたら悲しみに打ちひしがれているのじゃないかと心配したが、その悲しみを押し隠してにこやかに伊左衛門と夕霧を祝っていた(でも、ちょっと寂しそう)。
御年82歳の常盤津一巴太夫さんの美声が聞けるという豪華な演奏でもあった。
<上演時間>「佐々木高綱」45分(10301115)、幕間15分、「石切」8011301250)、幕間30分、「対面」45分(13201405)、幕間15分、「廓文章」65分(14201525

|

« 紅白で襲名口上? らしい | トップページ | 吉右衛門一座の力:国立劇場「鬼一法眼三略巻」 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 紅白で襲名口上? らしい | トップページ | 吉右衛門一座の力:国立劇場「鬼一法眼三略巻」 »