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2013年1月22日 (火)

久々の海老蔵オーラ満喫、浅草歌舞伎④:第2部まとめて

118日 新春浅草歌舞伎第1部(浅草公会堂)
13012201asakusa1部と第2部の間はタイムテーブルだと1時間だが、実際は50分ほどだった。中で売店を見たりなにかしていると案外早く時が経つ。
「毛谷村」

板付きで微塵弾正と六助の試合から始まる。六助が勝ちを譲った後、威張った弾正に眉間を傷つけられる場面はなく、おやと思ったが、「六助ほどの達人ならそんな隙は見せないだろう」というのが指導の我當さんの解釈だと、筋書きの愛之助さんの言葉にあったことで納得。
しかしお幸が訪ねてきて六助の母親になろうと言い金包みを投げて遣り取りする場面もなく、これはこんなおかしなおばあさんが来たという六助のセリフで簡単に紹介されるが、この場面は互いの探り合いが面白いところなので省略されたのはちょっと残念。
どこかに遊びに行っていた弥三松が花道から帰ってきて六助宅の庭で賽の河原のごとく小石を積んで「かか様いのう」と母恋しさに泣く場面も省略。
さらには、弾正にだまされたと知った六助が怒りのあまり庭石を踏み込むのもなし。義太夫ではそう語っていたが、愛之助さんが怒りのポーズをしただけであった。
包容力があって明るく優しい六助にぴったりの愛之助さんは、セリフや動きなど仁左様そっくり。さわやかでカッコよかった。
男の声を出す女の役を男性がやるって難しいだろうといつも思うが、お園の壱太郎クンは抑えた声がとてもよかった。女に戻ってもキンキンした高い声は出さず、中音程度に下げた声には落ち着きもあり、無理なく聞こえた。天蓋を取った壱太郎クンのきれいだったこと(顔が小さい!!)。六助が許嫁と知った途端の変貌ぶりも微笑ましい。この時、お園が抱きかかえられていた弥三松がどんどんずり落ちて行ってしまいには落っこちて、頭を抱えて逃げ出す。子役ちゃんはお園の後ろから黒衣が脚を出して太ももの上に立っていたのだが、ずるずる落ちる様が愛らしくて客席から笑いが起きていた。
愛之助・六助と壱太郎・お園、ともに色気あり、動きもきれい、義太夫のノリもよく、大変好もしいカップルであった。
お幸の吉弥さんは品よく、やはり舞台を締めるベテランの味が光っていただけに、最初の遣り取りは見たかったなと思う。
微塵弾正の亀鶴さんには暗いものが付きまとっていて、わずかな出番ながらいい悪役だった。
松次郎改め松十郎さんが怪しげな忍びの浪人。
なんと、海老ちゃんが斧右衛門で出演。情けない化粧の顔でもオーラは隠せないと思った。

「口上」
13012202asakusa 浅草は14年ぶりだという海老蔵さんの口上(浅草歌舞伎を育てる会の冊子「花道」によれば平成8年が初出演。以降平成11年まで毎年出ていた)。
まだ十代だった新之助時代、松緑さん菊之助さんと大きな役をいただいた。その中でも弁慶はもっとも大きな役であった(平成10年に富樫、11年に弁慶をやっている)。というところから、元禄15年、初代團十郎に始まった勧進帳上演の歴史が、何代目誰それから何代目誰それへ、そして諸先輩方からようやく我々のもとへ受け継がれてきたと流暢に語る。
普段は緊張するタイプではないが(思わず笑ってしまった)、ここで最初に弁慶を演じた時は花道の出で足がふるえ、声が出ずにほろ苦い思い出がある。その浅草で再度演じられるのはありがたい。初心忘れず、十代の新之助クンを忘れずに演じたい。
となかなか楽しい内容の口上であった。
この後、睨みを披露。海老ちゃんに睨んでもらったのは何年ぶりだろう。あの事件以来、もう睨みは難しいのかと心配していたから嬉しかった。これで今年1年風邪をひかないかな。
「勧進帳」
平成239月松竹座での弁慶にガッカリした私だったが、この弁慶にはワクワクした。目つきがやや悪いようなところもあったが、躍動感に溢れ、華があり、かっこいいのだ。
一方の富樫の愛之助さん、出てきた瞬間にいい富樫だと思った。初役とは思えぬ落ち着きとセリフのよさ、こちらも華があり、富樫の心をしっかり表現していた。
その2人の対峙は実に見応えがあった。富樫が勧進帳を覗きこもうとする場面、山伏問答、詰め寄りは緊張感が漲り、何度も見ているのに手に汗握った。とくに山伏問答は緊張感マックス、2人ともすごい気魄で劇場内の空気がピンと張りつめるようであった(言ってる内容は難しくてわからないのだけどね)。
強力が判官に似ているとの注進を受け富樫が留めている間、番卒の松之助さんは今にも刀を抜いて飛び出していきそうだったのが印象的だった。
四天王は亀井六郎=松也、片岡八郎=壱太郎、駿河次郎=種之助(この役だけでなく、ほんとお父さんによく似ている)、常陸坊海尊=市蔵で、若々しい3人の緊張感を市蔵さんがよくコントロールしていた。
孝太郎さんの義経は体がひどく小さく見えて、そのせいか主君としての大きさは薄いのだが、上に立つ者であることは十分感じられた。その一方で優しさと逃避行の心細さが切々と感じられ、その分弁慶の頼りがいが強調されたような気がした。「この人を守ってあげなくては」という家臣たちの思いに、きゅっと胸を締め付けられた。そして、弁慶への敬意をもち一行の心を受け止めた富樫の心に涙が出た。
ラスト、無事に一行を送り出した弁慶の六方は最後列ほぼみんな立ってお見送り。

市川福太郎クンとしてのデビューとなった太刀持は凛々しく可愛かった。愛之助さんが千代丸という名で歌舞伎役者としてスタートしたのが、勧進帳の太刀持だそうだから、福太郎クンも愛之助さんのように主役を張れる華のあるうまい役者になってほしいと願わずにいられなかった。
<上演時間>「毛谷村」60分(15001600)、幕間10分、「口上」5分(16101605)、幕間30分、「勧進帳」70分(16351755

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