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2013年3月 6日 (水)

海老蔵奮闘、三月花形歌舞伎@ルテアトル銀座①

33日 三月花形歌舞伎(ル テアトル銀座)
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月のことを考えるとここは出費を抑えておきたいところだったけれど、やっぱりどうしても海老ちゃん独り占め状態になりたい気持ちが復活して、前方下手側通路脇の席を取った。花道の設定(舞台脇を花道に見立てるのかどうか)がわからなかったので、迷った末取ったのは、花外に当たる席。結局、通路を使うことが多かったので、海老ちゃんの背中を見ることになってしまったが、花道以上の接近感、まさに隣、目の前に海老ちゃんが立っているんである(正面だったらオーラ眩しすぎて、背中でよかったかもしれない)。ちょっと肘を出したら当たりそう。しかも海老蔵奮闘・勘三郎追悼公演というところだもの(海老ちゃんって、いつも奮闘しているような気がする)。コーフンしないわけがない。ただ、自分の中の熱気に比して、芝居の中では真夏のねっとりした暑さはあまり感じず、夏らしい衣裳や団扇・扇で煽ぐ姿に、ああ今は真夏なんだ、と思い出したりした。
「夏祭浪花鑑」
海老蔵版は2度目。あれからもう3年半以上も経つのか…。
セリフは相変わらずなところもあるが、とにかくカッコいい。髪結床ですっきりといいオトコになって再登場したときは力みもなくやわらかい感じがした。倅との再会には父親としての実感もあっただろう。こちらもじ~んとした。
コーフンし過ぎちゃって、逆になんだかあまりよく覚えていない。
義平次にだまされて琴浦が乗せられた駕籠を追う時の見得、これが筋肉はちきれそう、目の玉飛び出しそう、ものすごい迫力だった。殺しの場面は、最初の一太刀はもみ合ううちの偶然であり、しかし舅に「人殺し」と叫ばれてはもはや舅を黙らせるしかない。何とかなだめようとしているうちに、ついに…。ふつうの人間が鬼になる瞬間は、豹変するのではなく、時の流れの中でどうすることもできずに訪れるのだと思った。
この殺しの場面、時々海老ちゃんの顔が團十郎さんそっくりに見えた。とくに横顔がそっくり。
刀の血を洗い、水を2度かぶった海老ちゃんに、客席から大拍手が送られた。
もう一つの役、お辰はきれいだったけれど、やっぱりデカい。それに声がふわつくというか、セリフがイマイチ。ただ、焼けた鉄弓を頬に当てる場面で鉄弓をふうふう吹くのは、冷まそうとするのではなく、むしろもっと熱くしようとしているのじゃないかと初めて思った。これまではせっかくの女の心意気がこの行為によって興醒めだとガッカリしていたのが、今回は吹くことで鉄弓の赤味が増したように見えて、ああそういうことだったのか、と感銘を受けた。それで、お辰に惚れてしまったわ。この場面、あとでNY版を見たら勘三郎さんは鉄弓を立てて口の前にもってきて、ふふふっと(ふうふうと、でなく)吹いていたが、そのほうがわかりやすい。
一寸徳兵衛の亀鶴さん、待ってました!! きりっとしたところとやわらかさがミックスされていてカッコいい。亀鶴さんのうまさが団七を引き立てる。
団七女房は家橘さん。役柄としては全然問題ないし、団七と徳兵衛の喧嘩を止めるところに大きさが見えるのだが、海老蔵さんとのバランスはどうなんだろう。ところで、先日の團十郎さんの葬儀で、ご遺族と関係者が並ぶ中に家橘さんがいたような気がして、でも見間違いだよなあとずっと気になっていたのだけど、もしかしたらあれはやっぱり家橘さんだったかと今でも思うのは、この舞台を見たから。ほかに一門の右之助さん、市蔵さんもいて、やっぱりこの芝居に出ているし。

閑話休題。
市蔵さんが義平次ではなくて釣舟三婦。どうしても市蔵さんには義平次のイメージがついてまわるし、ニンとしても三婦じゃないように思う。それでもさすがにこの座組では存在感がある。

で、義平次はなんと新蔵さん。ほとんど予備知識なく出かけたので、義平次役は笠を取るまで全然わからず、市蔵さんや笹野さんに比べて骨太な体型の役者さんを色々考えたけれど、結局顔が見えて初めて分かった次第。もっとからみつくようないやらしさがあってもよかったと思うが、強欲さとか狡猾さは感じられたし、私には巧まずに上方風空気を醸し出しているように思えた。

右之助さんのおつぎはやることが多いが手慣れた感じでソツがない。

玉島磯之丞と傾城琴浦は種之助・米吉というフレッシュコンビ。駕籠から下りた種ちゃんの初々しさ。女にうつつを抜かすにはあまりに若くて初々し過ぎる。米吉クンはおっとりと愛らしいが、やっぱり若い。「若いお人というものはラチないものじゃわいなあ」という三婦のセリフはまさにこの
2人のことじゃわいなあ、なのであった。
さて、団七が義平次を殺して神輿に紛れて去った後、舞台に亀鶴さんが現れたので驚いた。いつも、ここで終わっていたから(コクーンで通しを見ていたが、この後のことは忘れていた)。徳兵衛はそこに落ちていた草鞋を拾って、何かを悟る。

そして大詰。亀鶴さんの男気がかっこいい。屋根の上の立ち回りは海老蔵大奮闘で、見応えあった
!!
1回見たいなぁと思うものの、2度は1等席ムリだし、2等席は空席なしだし(通路使いが多いので後ろのほうでも楽しめる。しかも、けっこう一番後ろまで行っていたような気がする)…。

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。ぽかぽか春の到来とともに歌舞伎heart01の季節ですね。来月からのこけら落とし(ひらがなで書くことにしましたbleah)の前に、気持ちが高まるというもの。当初はなんで3月にこんなにあちこちでsign02と思ったんですけれど、悪くないのかも。(とはいえ、私はSwingingFujisanさまのレポ頼みです)
そんな風に思うのも、Swingさまの「ミーハー心と歌舞伎愛」にあふれたレポのおかげ。どうも自分はいろんな物をナナメに見ちゃって(別に歌舞伎メインじゃないし、とか)純粋に楽しむ気持ちを忘れがちかも、と反省しました、一瞬ね。

ところで片付けものをしていたら、買った記憶もなかった舞台写真=「三人吉三」團・菊・吉が出てきて、はぁぁとため息のみでしたweep

投稿: きびだんご | 2013年3月 8日 (金) 11時13分

きびだんご様
こんにちは。コメントありがとうございます。
春先は風が強くてせっかくの陽射しが…という日が多いのですが、ここ数日は気持ちのいい春の日ですね。
歌舞伎座のチケットも一般販売前に昨日から5月の発売ですもの。一時はあまりの高さにdownな気持ちになったこともありますが、木挽町広場がオープンしたりで、やっぱり気持ちが高まります。
きびだんご様のように、色々なお芝居を楽しみたいなあと思うのですが(ご覧になるお芝居の幅が本当に広くて、いつも感心しています)、わかってもわからなくてもやっぱり歌舞伎が一番しっくりくるのです。というか、要するにただの歌舞伎ミーハーなんですけどねcoldsweats01(海老蔵、もう1回見たいよぉ~)。私こそ、そろそろちゃんとした見方をしなくちゃいけないのに…。

團・菊・吉の「三人吉三」、お宝じゃないですかhappy02 考えてみたら私は團十郎さんの舞台写真って持ってないかもweep

「こけら」は平仮名のほうが不思議とそのイメージが湧いてきますね。

投稿: SwingingFujisan | 2013年3月 8日 (金) 14時18分

こちらにも失礼します。海老蔵、一杯欠点はありますが、さすがスター性があり、観客を喜ばせているようですね。私もこれからの観劇が楽しみです。
ところで、こけら落としの5月の前売り、無事チケット買えたのですが、ちょっとしたトラブルがありました。10時すぐに入れたのですが、すべて選択して、いざ決済の場面の途中で突然フリーズ、うす白い画面のまま、こちらは心臓どきどき(なんでこれぐらいのことでドキドキするのか自己嫌悪・・)、待つこと数分、画面に色がつき始め、進行した時は、本当にホッとしました。松竹は相変わらず、お金がなくてシステムにお金がかけられないのかなと。昔はよくありましたよね。他のチケットサイトでもある事象ですか。チケットぴあなのでは経験したことがないのですが。

投稿: レオン・パパ | 2013年3月 9日 (土) 09時23分

レオン・パパ様
こちらにもありがとうございます。
1月の浅草に続き、海老蔵オーラ完全復活ですね。リピートしたい気持ちと今戦っています(e-plusからお得チケットの案内がきていて、昨日最終段階で「戻る」ボタンを押して堪えました。スケジュールが許せば5月の南座に行きたいので)。
5月のチケット、よかったですね、無事に取れて!! 決済の途中で画面が薄くなったら、そりゃあドキドキしますよ~。お気持ち、よっくわかります。私もかつてはそのままエラーになって「ここまできたのにぃ」と泣かされたことがよくありましたから。ほんと、よかったですね!!
4月の経験から、5月は全部3階にしました。もちろん、今でも発売日にはそれなりに緊張するのですが、以前ほどのハラハラ感が薄くなってきました(だから、チケット騒動記が減っている)。次にハラハラするのは5月明治座かしら。

投稿: SwingingFujisan | 2013年3月 9日 (土) 10時07分

SwingingFujisan様
こんにちは。先週、海老蔵一座見てきました。感想はほぼ同じです。今回前方席で家内と一緒に観劇だったのですが、「夏祭」海老蔵の魅力横溢で、無人一座ながら楽しかったです。また、この劇場は無料の大向うを締めだしているようで、前方ながら声を少し掛けさせてもらいました。この狂言掛け声がないと締まりません。お辰は確かに目つきが鋭すぎますが、顔のつくりがそうなのでしょうがないかなと。もともと中村屋ほどの愛嬌のある芸風ではないのです。但し、泥場(殆ど泥がない)の見得の迫力はやはり当代一です。これで、他の欠点(いつものセリフ回し他)を上回ります。
「高杯」、中村屋二代の名品と比べるのは酷ですが、独特の間の良さ、外しかたを体得するのはこれからでしょう。やはりこぼれるような愛嬌がないのが損ですね。そうそう、「口上」がとても良かったです。
 ところで、今月はあと国立だけで、赤坂はパスです。

投稿: レオン・パパ | 2013年3月16日 (土) 16時22分

レオン・パパ様
こんばんは。コメントありがとうございます。
海老蔵さん、大奮闘でしたよね。観客も大喜びでしたし、色々欠点はあっても、それを上回る魅力があるのが海老蔵という役者でしょう。完全に海老蔵オーラ復活で、さらにこれまでとは違った海老蔵像が見られたような気がしました。
掛け声は初日はあったような気がしますが、大向こうさんたちだったかどうかは、覚えていません。レオン・パパ様が掛け声をかけられるの、羨ましいです。私もできることなら掛けたかった!!
愛嬌は変に作ってもシラけるもの、「高坏」の海老蔵さんは鋭さをあそこまで抑えたことで今のところは十分なのかもしれませんね。
口上、よかったですね!! うるうるしました。

赤坂は立ち見も売り出されていますね。襲名披露公演も終わり、中村屋兄弟はこれからが正念場、その第1弾が好評のようで嬉しいです。
レオン・パパ様はパスですか…。

投稿: SwingingFujisan | 2013年3月16日 (土) 21時04分

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