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2013年3月 7日 (木)

海老蔵奮闘、三月花形歌舞伎@ルテアトル銀座②

33日 三月花形歌舞伎(ル テアトル銀座)
幕間に歌昇クン、右近クン発見。あれ、2人とも演舞場? そうか、演舞場は昼の部だけなんだ、とナットク。右近クンはよく他の役者さんの舞台を見にきていて勉強熱心だ。
「口上」
海老蔵さんが舞台中央に平伏している。まずは、座中一党になりかわり、と劇場に足を運んでくれたお客様に御礼。そしてこの公演の経緯を語る。オセロー役の父・團十郎体調不良のため変更になった。この話をもらった時、公私ともに世話になった十二代目勘三郎お兄様に教わった演目をやりたいと思った。ということろから勘三郎さんの思い出話になる。
・「高坏」で高足売りを演じた時(平成16年歌舞伎座)、その後もおつきあいして寝ずにそのまま「高坏」をやったこともしばしばである。
・ある時、勘三郎さんが團十郎家を訪れ、芝居のことで口論になった。後輩の私は先に眠ることができず、翌日玉三郎さんと「吉原雀」があったので「早く寝たいな」と思っていたが、やはり朝までだった。
・アリゾナに勘三郎さんを訪ね団七の稽古をつけてもらった時のこと。朝に稽古、昼はゴルフ、夜は酒で、アリゾナでも眠れなかった。勘三郎のお兄様と一緒だと一睡もできない。
そして、團十郎さんの思い出話になる。
・オペラ座での公演の時、口上をフランス語で喋りたいと言いだしたのは父である。それからというもの、我が家にはフランス語のセリフのコピーが至る所に貼ってあったが、最後まで覚えられなかったのが父であった。
・父は星を見るのが好きで、私が子供のころ、公園で
30分かけて望遠鏡をセットし「孝俊、見てごらん」と呼び寄せた。それなのに私は何を思ったか、それを蹴っ飛ばして、また30分待つことになった(再び30分かけて團十郎さんがセットした、ということ)。
最後は「偉大な勘三郎のお兄様、父に少しでも近づけるよう精進していきます」と結んだ。
どのエピソードも「いかにも」であり、2人に対する海老蔵さんの敬愛が込められている。ユーモアたっぷりな話に客席は大笑い。私も大笑いしながら、2人はもういないと思うと泣けてくるのでもあった。とくに、團十郎さんとの思い出には胸がきゅっと締めつけられた。
「高坏」
これも2度目。前回は去年5月の松竹座だった。あの時はあまり感心しなかったのだが、今回はまあまあかな。
一つには、やや無理が感じられること。本人は自然にやっているのであって、こちらのイメージが固定化されているだけのことかもしれない。そもそも海老蔵という役者には滲み出るような愛敬がない。声がふわふわなのは、愛敬を出そうと無理をしているんじゃないかと思うのである。とはいえ、鋭い個性を敢えて潜めて愉快な次郎冠者としてのびのび動いている姿に、ほっとする心持である。タップは前回に比べてかなり上達したと思う。たしかに見ていて楽しかったもの。
亀鶴さんの高足売、風情がよい。高足を高坏とだまして、相手が信じるのを面白がっているのが面白い。嫌味がない。お酒をもっと飲ませてあげたくなる。
市蔵さんの大名と新十郎さんの太郎冠者もバランスよく、全体的にとても楽しかった。
<上演時間>「夏祭」150分(17001930)、幕間30分、口上10分(20002010)、幕間10分、「高坏」30分(20202050
17
時開演と気づいたのは前日。終演2050はちょっと遅くて厳しいなと思っていたら、実際には約10分早く終わった(この10分、意外と大きくて助かった)。現在歌舞伎美人にアップされている上演時間は「夏祭」17001920、幕間25分と15分短縮されて、終演は2035。幕間25分で、出ずっぱりの海老蔵さん、大丈夫なのかな。

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コメント

尾上右近さんは海老蔵さんに憧れて、歌舞伎役者になるかどうかを彼に相談した結果、菊五郎劇団に入ったようですね。よく海老蔵さんの家から歌舞伎座に通っていましたし、團十郎さんの葬儀の時は他の若手と一緒に玄関に立ちつくしていました。背も伸びていい役者さんになって来ましたね。
ルテアトルは通路を花道代わりに使うなど、お客さんに楽しんでもらうと言う海老蔵さんの精神が隅々まで行きわたったいい公演でした。
今年は自主公演等もあり、彼が今後どういう方向に歌舞伎を引っ張って行こうとしているのか、伺える一年になりそうです。

投稿: 樹子 | 2013年3月31日 (日) 17時44分

樹子様
こんばんは。コメントありがとうございます。
右近クンの歌舞伎界入りにはそういう経緯があったのですか。全然知りませんでした。右近襲名時はぽっちゃりしていたのに、今はとてもスリムで男らしくなってきましたね。女形を中心に立役もこなして、これからが楽しみな役者さんの1人です。
ルテアトル、楽しかったです!! 残念ながら2度見ることはできませんでしたが、海老蔵さんの力強い見得が今でも目に焼き付いています。
自主公演、期待でわくわくしています。オーラ完全復活、人間的にも成長した海老蔵さんはますます魅力的です。おっしゃるように、歌舞伎界をどう引っ張っていくのか、目が離せませんね。

投稿: SwingingFujisan | 2013年3月31日 (日) 22時01分

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