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2013年4月 6日 (土)

歌舞伎座杮落し4月公演初日第二部

42日 歌舞伎座新開場 杮葺落四月大歌舞伎初日第二部(歌舞伎座)
「弁天娘女男白浪」
歌舞伎の芸というのはやはり60歳を超えてからなんだと強く感じた。
菊五郎70歳、左團次72歳という2人がなんと若々しい不良っぷりをのびのびと見せたことか。これまでにこの演目は何度も見てきたし、そのうち3分の2は役の年齢に近い花形で、見た目の美しさにステキだと興奮したものだ。しかし残りの3分の1、菊五郎弁天はやっぱり最高の弁天だと改めて思った。色気、華、菊五郎さんにはこういう役が一番似合う。そして菊五郎弁天の1回を除いては南郷が左團次さん(1回は吉右衛門さんだった)。このコンビが一番しっくりくる。まさに気心知れた息の合い方。
前回見た時だっただろうか、菊五郎さんの娘役(弁天が娘に化けているという意味で)はけっこうきついかと思ったが、今回はほとんどそういう感じはしなかった。とはいえ、娘から男に戻った菊五郎さんのほうがずっとイカす。帯を解いて前をはだけ、大きく伸びをして裾をぱたぱたするその風情の、いかにも窮屈な恰好から解放された感がたまらなくいい(なんか、わかるんだなあ、そういう解放感。でも、弁天って娘姿でいることが多いんじゃなかったっけ?)。名台詞も耳に心地よく、しょうもない不良だけど、なんとも愛おしくなる。
左團次さんは左團次さんの本質であろうユーモラスなシニカルさが南郷にぴったり。柄が大きいのもいいと思う。
日本駄右衛門の吉右衛門さんはうまい。うまいけれど、私の中で駄右衛門はやっぱり團十郎さんなのだ(もともと團十郎さんが演じる予定だった)。團十郎さんの駄右衛門は2度しか見ていないにもかかわらず、そしてうまさでは吉右衛門さんのほうが上かもしれないけれど、自分でそういう固定観念をもってしまっているから…。熊谷でもそうだったが、これからはそういう固定観念は捨てないといけないだろう。
忠信利平(三津五郎)、赤星十三郎(時蔵)が加わる稲瀬川勢揃の場の豪華さ。えへ、今度は時様目の前の座席だったよ。自動選択で当たった座席だけど、一部二部ともバッチリご贔屓目の前。花道も土手も思い切り絵になっていて、胸がわくわくする。
大屋根は、下から見上げる形なので最後のがんどう返しがすぐに見えなくなってしまったが(次回も1階席なんだわ)、菊五郎さんの立ち回り、音羽屋のチームワークに感動した。年のことばかり言っちゃいけないが、自分の衰えぶりを考えると70歳でのあの立ち回りはすごい。
山門では吉右衛門さんが圧巻だった。「楼門」のパロディでもあるからだろうが、頭としての貫録がぐいぐい迫ってくる。そして何よりぐっときたのは弁天の死を知った時の駄右衛門である。花と散らせた若い命を悼む胸の内に思わず泣きそうになった。この時の駄右衛門は既に、弁天こそが浜松屋の息子であり、浜松屋の息子が自分の息子であるという真実を知っている。そういう背景を思うと、より、駄右衛門の気持ちが胸を打つのである。そして、最後、滑川土橋の場で潔く縛に就こうとする駄右衛門。青砥左衛門の梅玉さんとちょっとセリフがかぶったりもしたが(どっちがかぶせちゃったんだかわからなかった)、吉右衛門さんのでっけえ役者ぶりを堪能した。
前後するけれど、浜松屋の番頭、橘太郎さんがいつもながら達者である。橘太郎さんは、どんな役でもその人になりきって、この人のおかげでその場へワープすることができると言っても過言でないほど。
幸四郎さんの鳶頭は贅沢な配役だが、どうも鳶頭は損な役回りのような気がして、なんとも感想のもちようがない。
菊之助さんは舞台の上で菊五郎さんの弁天を一生懸命勉強しているような印象を受けた。宗之助をやる役者さんはたいていそんな様子が見える。この場面って、菊五郎・吉右衛門・菊之助と、新しい姻戚関係が勢揃いしているのがミーハー的にはミソ。
彦三郎さんの浜松屋幸兵衛は2回しか見たことがないのに、この役はずっと彦三郎さんだったような安定感があった。

「忍夜恋曲者」
この演目、眠くなることもあるのだが、今回は全然眠気は忍び寄らず、非常に面白く見た。
美しい傾城・如月(玉三郎)。面明りでスッポンから出たからというだけではない妖気が立ち込めている。妖しいだけではない、高貴さがある。花道から漂う品位の高さを絡めた妖しい色気が劇場全体をじわ~っと包むようである。滝夜叉は時蔵、七之助、亀治郎で見ていて、それぞれよかったが、玉様の出がさすがに一番インパクトあったかも。古風な味わいをもつ演目でありながら、私は玉様に一種の新しさというか新鮮な印象を受けた(どこがどうって言われると困るのだけど)。本性を表してからの玉様がまた一段と美しく、ちょっと岩長姫を思い出してしまった。
大宅光圀との間の駆け引きは、松緑さんがよかったから面白かった。松緑さんはセリフもそんなに気にならず(セリフが少ないせいもあるだろう)、玉三郎さんと渡り合っても見劣りしないのはなかなかだった。
屋台崩しは実によくできていると、大道具さんの腕に感心する。こういう大仕掛けな場面も滝夜叉の妖しさを一段と際立たせて、眼目の一つであると思う。
ちなみに、私は滝夜叉のあの鬘が好きで、歌舞伎座ギャラリーの写真スタジオで歌舞伎役者になれるなら、滝夜叉になりた~いんである。
<上演時間>「弁天」序幕72分(14401552)、幕間10分、二幕目18分(16021620)、幕間20分、「将門」45分(16401725

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