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2013年4月 4日 (木)

歌舞伎座杮落し4月公演初日第一部

42日 歌舞伎座新開場 杮葺落四月大歌舞伎初日第一部(歌舞伎座)
ミーハー的感想を少しだけ。
「鶴寿千歳」
松尾敏男画伯の手になる松をバックに、新しい歌舞伎座の舞台にしずしずと最初の一歩を踏み出したのは春の君・染五郎さんと女御・魁春さん。舞台中央に進むと座ってまずは観客席にお辞儀する。割れんばかりの拍手。立ちあがって静かに舞い始めた2人だが、魁春さんがとても緊張しているように見えた。それでも風格を感じさせたのはさすがだ。魁春さんの横顔が梅玉さんにそっくりなことに初めて気がついた(これまで、似ていなくはないがあまり似てもいないと思っていた)。
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人が引っこみ、松の背景が富士の背景になると、亀鶴さんを筆頭とする若手8人と権十郎・高麗蔵さんの計10人の宮中の男女が祝いの舞を踊る。筝曲の演奏もあって、厳かな雰囲気から華やかな空気へと変わり、こちらの緊張も解けてきた。なんと、私の目の前、まさに目の前よ、亀鶴さんと梅枝クンだった!! ミーハー的にはサイコウ。
やがて中央から鶴の藤十郎さんがセリ上がってくる。なんという若々しさ、なんという美しさ。うっとりと大きな舞に見惚れた。
一方で、お目出度いこの演目で團十郎さんが藤十郎さんとともに踊るはずだったことを思い、やはり鶴の片翼の欠けたような寂しさを覚えたのも真実である。
染五郎さんも含めて若手は華やかだしきれいだし、なのだが、ベテランと一緒になると物足りなさを覚えるし、芸の風格の差、重みが歴然としてくるのは当然といえば当然だろう。ま、それはそれ、目の前で繰り広げられる華やかな祝いの舞に、両方の魅力を十分に楽しんだ舞であった。
ちなみに、染五郎さんは、3月まで梅玉さんが担当していた東京新聞のコラム「言いたい放談」を4月から引き継いで、すでに3日、第1回の掲載があった。
「お祭り」
浅葱幕が振り落されると、歌舞伎座開場と「十八世中村勘三郎に捧ぐ」という副題に相応しく、中村屋兄弟を除く所縁の役者さんが板付きで勢揃い。なんと、今度は獅童さんが目の前だったよ~~!! カッコよすぎる。
やがて、勘九郎・七之助の2人が花道から登場する。おお、なんと(3度目の「なんと」)2人に手を引かれて七緒八クンが!! 途端、涙が止まらなくなった。七緒八クンは20分近い間、じっとおとなしく床几に腰かけ、最後には扇を広げて手をちょっと後ろへ回して見得を切った。勘九郎さんが踊っているあいだ、七之助さんが七緒八クンのことをちょいちょい気にかけているのがわかって胸がアツくなった(七之助さんはきれいで、叔父さんっていうのはなんか変な感じ)。
あれだけ大勢の役者さんが入れ替わり踊るのは目にも楽しい。三津五郎さんの踊りはやはり別格だった。明るく柔らかく大きな踊りに亡き親友・勘三郎さんへの思いが籠っていることが伝わってくる。そしてここでも芸の重みの違いを感じた。その中で、勘九郎さんが三津五郎さんに次いで見事だった。鳶頭としてのカッコよさ、スパッとしたキレのよさ、華、どれを取っても若手第一じゃないかと思った。七之助さんの芸者にもうまさと大きさがあって、この兄弟2人の一段の成長を見た思いがした。
あとでテレビで見たら、小山三さんが茶屋の女として後ろのほうに控えており(私のところから見えなかったのか、気づかなかったのだけなのか)、最年少2歳の七緒八クンと最年長92歳の小山三さんが同時に舞台にいるのを見る幸せをかみしめた。

「熊谷陣屋」
ある意味、ここからが本番というところか。こちらもお祭り気分は「置いといて」、見る。
熊谷は私にとってはイコール吉右衛門である、と思った。花道の出で、もうその深さ、大きさ、悲しみに惹きつけられる。花道から一人、世の無常と大きな悲しみを抱えて登場し、花道を一人、世の無常と大きな悲しみを抱えて去る。「男」の孤独、「男」の哀しさ、「男」の強さをしみじみ感じた。熊谷は去年国立、演舞場、巡業と3度も見て、又かという気持ちもなくはなかったが、吉右衛門さんの熊谷は別格で、見れば見るだけいい芝居だという気がする。
玉三郎さんの相模は初めて見るが(その前に、玉三郎さんの歌舞伎、久しぶり~~)、一番好きかも。戦地での武士の妻だから地味なにしているにもかかわらず、はっとするような美しさ。出過ぎず、吉右衛門さんとの息もぴったりで、夫婦の情が通い合っている。芸の格も合っているのかもしれない。このコンビは熊谷に限らず初? 他の演目では合うかどうかわからないけれど、このコンビを別の何かでも見てみたいと思った。
相模が小次郎の首を打掛で包み抱きかかえる場面は、武士の妻であり武士の母親である立場の女性の気持ちが痛いほど感じられて心を抉られるようであった。
菊之助さんの藤の方は、藤の方としてはよかったと思うが、やはり吉右衛門、玉三郎、仁左衛門の中に入ると若さを痛感させられるのは当然のことかもしれない。吉右衛門さんを義父とするようになって初めての共演(それは第二部の「弁天小僧」でも見られる)で、この役は菊之助さんの大きな糧になったに違いない。
仁左様の義経。私としてはかなり複雑な気持ち。というのは、あまりに大きくて、出てきた途端、「主役」になってしまったような印象を受けたから。義経そのものとしては、熊谷に対する細かい心情が感じられたし、当然主君としての大きさもあったし、いい義経なのだ。ところが、いい義経であればあるほど自分の中にある義経像以上にスケールが大きすぎて、ついていけない部分がある。自分の熊谷に対する気持ちを半分義経にもっていかれたような、そんな感じだろうか。もう一度見るときにはそういう自分の気持ちに折り合いをつけてあらためて何を感じるだろうか。
歌六さんの弥陀六は何度も見ているようなつもりでいたが、上演記録を見たら2度目だった。何度も見ている錯覚を起こすほどぴったりなのに、反面やや線の細さを感じた。
堤軍次の又五郎さんの実直な忠実さがよい。出番はわずかながら、軍次の人となりを十分出していた。
梶原景高の由次郎さんも、ちょっとの出番で憎まれ役の味を出す巧さが光っていた。
さすがの役者揃い、初日からレベルの高い芝居を見せてもらった。
<上演時間>「鶴寿千歳」22分(11001122)、幕間15分、「お祭り」23分(11371200)、幕間30分、「熊谷陣屋」83分(12301353

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歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
たいへんご無沙汰いたしましたが、歌舞伎座開場とともにまた出てまいりました(笑)。

私も初日(一部のみですが)拝見いたしましたっ!3階3列めでしたが、たしかに花道七三は見えます。「鶴寿千歳」はただただ綺麗で、本当に綺麗で、涙が出るくらい幸せな気持ちになりました。

そして「お祭り」。浅葱幕が振り落される瞬間、そこには勘三郎さんがいらっしゃるんじゃないだろうか、と本気で思いました。3階からは小山三さんとってもよく見えました。芝のぶちゃんに気づかなかったのがちと口惜しい。見るところが多すぎてぇ。。。

「熊谷陣屋」は仁左様義経の美しさに圧倒されました。ただ、最初のお声からなんだかくぐもっているようでちょっと心配にもなりました。久しぶりの玉さまの歌舞伎にも感動。やっぱり歌舞伎座はいいですね。

そして昨日はシネマ歌舞伎「らくだ/連獅子」を見てまた涙してきたからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2013年4月 5日 (金) 09時11分

からつぎ様
おはようございます。コメントありがとうございます。
3階3列で七三が見えるという情報、今後の参考になり、大変ありがたいです。かなり傾斜がつきましたものね。
「鶴寿千歳」はほんと、夢のような綺麗な世界でしたね。「お祭り」もですが、こういう踊りは上で見たほうが全体が見渡せていいでしょうね。私も後日、3階から再見する予定ですので楽しみです。
「お祭り」、感動でしたね~。私も勘三郎さんが舞台にいらっしゃるような錯覚に陥りました。また、勘九郎さんはタイプは違うのにそっくりで何度も勘三郎さんと重なりました。次回、小山三さんをしっかり拝見します。芝のぶちゃんは、私はすぐにわかりましたよ~smile でも、おっしゃる通り、見るところが多すぎて…でしたね。
仁左様は盛綱でもそうでしたが、時々咳をしていらっしゃったのが心配です(以前にもそういうことがありましたっけ)。高貴を絵に描いたような義経でしたね。
玉様の歌舞伎、久しぶりのせいか新鮮で素敵で、ああやっぱり女形の第一人者だと思いました。
歌舞伎は歌舞伎座で見るのが一番、ですね。

そうだ、シネマ歌舞伎、私も見ようと思っていたのに、なんだかんだと忙しく、あらぁ「らくだ/連獅子」は今日の10時の回で終わっちゃったぁ。残念至極。

投稿: SwingingFujisan | 2013年4月 5日 (金) 11時12分

待ちに待った歌舞伎座新装開場!早速の第一部の観劇レポありがとうございます。私はまだ当日の余韻に浸っておりまして、Twitterで散発的に感想を書くのがやっとです。

華やかなご祝儀舞踊の後の七緒八君登場のサプライズがあったお祭りまで、團十郎さんと勘三郎さんも一緒に舞台にいたのでは!?と思いました。

熊谷陣屋は待望の大顔合わせ、これぞ歌舞伎の時代物と堪能しました。玉三郎さんの相模は平成元年以来ですから、実に約24年ぶりです。おっしゃるように出過ぎず控えめながら武士の妻としての強さと我が子を喪った悲哀を巧みに見せてくれました。

吉右衛門さんと玉三郎さんの相性はとても良くて、もっともっと共演してもらいたいのですが、機会が少なくていつも飢えています。近いところでは21年10月のさよなら公演で『渡海屋・大物浦』での超絶的な名演が忘れられません。このコンビで『妹背山婦女庭訓』山の段を是非とも上演してほしいと切望しています。

投稿: 六条亭 | 2013年4月 5日 (金) 11時46分

六条亭様
こんばんは。コメントありがとうございます。
歌舞伎座建て替えの計画が出た時にはどうなることかと不安でしたが、その後4代目と雰囲気が変わらないという情報--待ちに待った開場でしたね。私も未だ感動、興奮状態にあります。
勘三郎さんも團十郎さんも絶対舞台にいらしたに違いありません。とくに勘三郎さんは、勘九郎さんの姿に重なることもあって、本当にそこにいるかのようでした。
「熊谷陣屋」、豪華な顔合わせでしたね!! 演舞場では一度も見なかった玉三郎さんの歌舞伎は、ここ歌舞伎座でこそ、なんだと胸がいっぱいになりました。
「渡海屋・大物浦」、私も思い出しました。もうあれから3年半…あの時は富十郎さんが義経でしたっけ。吉右衛門・玉三郎のコンビは互いに互いの演技を高め合う感じがします。「妹背山」の山の段は一度見たことがあるだけですが、私もぜひこのコンビでの上演を願います。
でも、これからも玉三郎さんの歌舞伎が見られると思うと嬉しいです(来月は仁左様との廓文章、菊之助さんとの二人道成寺、楽しみっ!!です)。

投稿: SwingingFujisan | 2013年4月 5日 (金) 22時55分

Fujisan様
おはようございます。ご体調不調とのこと、あまりご無理をなされないように。花粉もあるし、気温が乱高下するので、どうしても体調くずしがちですね。
歌舞伎座再開場初日のレポ楽しく拝読しました。私は一、二部は最後頃なので待ち遠しいです。三部は来週見てくる予定です。食事の時間が難しいですね。入る前に済まそうと思っています。ついアルコール類をのみそうですが、そうなれば盛綱眠いでしょうね。初日の勧進帳、手拍子が入ったとか。困ったものですが、時代の流れなのでしょうか。今の猿之助の四の切の引っ込みでも手拍子があったようですね。もっとも、死んだ中村屋が大阪で釣女を出した時にも、幕切れで手拍子があったと言っていたのを思い出しました。(大阪では戦前もあったようです。)私自身は手拍子と女性の大向うは苦手です。
二部、三部のレポ楽しみにしております。ゆっくりご報告ください。

投稿: レオン・パパ | 2013年4月 6日 (土) 09時00分

レオン・パパ様
おはようございます。ご心配いただき、ありがとうございます。花粉は今はヒノキのようですが、時々影響を感じますし、やはり気温の差が一番の原因なのかもしれません。でも、おかげさまで今朝はだいぶよくなりました。
食事は、私は一部と三部は幕間に座席で、二部は食事なしでした。第三部は幕間が8時過ぎですからちょっと遅いと感じられる方もいらっしゃるでしょうね。アルコールは盛綱のために控えられた方が…smile
勧進帳、そうなのです、手拍子が入ったのです。幸四郎さんの弁慶はどことなく手拍子が入りやすい雰囲気のように思います(以前にもあったような記憶が)。猿之助さんの「四の切」でもあったのですかぁ。役者さん自身が煽るようなことはないと思いますが、手の動きやツケの音につられるのでしょうね。釣女での手拍子のことは知りませんでした。
ちょっと気になったので検索してみましたら、おくだ健太郎さんが2日目に「歌舞伎座のこけら落しに集まっている観客から、六方への手拍子が、起きる。そこに、いまの歌舞伎が抱えている、いちばんの問題が、凝縮されているとおもう」、3日目には「もはやこの流れを、断ち切ることはできないのか」と書いていらっしゃいました(http://ameblo.jp/okken/)。お客を増やすことと、こうしたことは確かにぶつかる部分があるのかもしれませんね。
女性の大向こうは、弁慶の高麗屋に何度かかかっていたように思います。私も思わずかけたくなることもありますが、いい悪いの前に勇気がありません。
二部、三部は仕事の進行に応じて書いてまいりますね。

投稿: SwingingFujisan | 2013年4月 6日 (土) 10時41分

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