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2013年4月30日 (火)

4月千穐楽まとめて

428日 四月大歌舞伎千穐楽第一部・二部・三部(歌舞伎座)
初日の通しは疲労感を覚えなかったが、ここのところ体調が万全でないせいか、千穐楽はひどく疲れた。屋上庭園はまだ行ったことがないのでどんな雰囲気化わからないが、歌舞伎座からも庭園に出られてしかもお弁当でも食べられればいいのに。感想は初日にも書いているので第一部から第三部までごく簡単に。
「鶴寿千歳」
・宮中男女の踊りはきちんと揃っているというほどは揃っていないのに(扇の扱いとか、体の反らし方とか。そういうものなのかな)、きれいだった。
・気が付いたらいつの間にかセリがあいていた。
・宮中男女が上手下手に分かれて座って藤十郎さんの踊りを見ている間、松也クンが一番貴公子っぽい感じがした。
「お祭り」
・初日に気が付かなかった小山三さんが見えた!!
・初日と違って七緒八クンが花道から登場しても泣かなかったのに、「さぞ、十三代目も喜んでいることでしょう」と三津五郎さんが言った途端、涙が出た。
・亀蔵さんと獅童さんが踊っている間、七緒八クンは扇を閉じたり開いたり。バッと片手で開くのが面白いらしい。しばらくの間、足をぶらぶらさせたりしていた七緒八クン、七之助さんがそっと面倒をみていたのが、叔母さんがそうしているようで微笑ましかった。やがて熱心に踊りを見つめる七緒八クン。
・そして、国生・宗生・宜生・虎之介の4人が踊っている間、自分も同様な手振りや動きをしていて、観客の注目を一気にもっていってしまった感じ。その後も時々動きを真似る。18代目の子ども時代のように国民的アイドルになる素質、十分にありと見た。
・福助さんがドキドキするくらい美しかった。
「熊谷陣屋」
・初日は大物に囲まれてやや見劣りのした菊之助さんがう~んと進化して、対等に渡り合っていた(と言ってもいいんじゃないだろうか)。大きさが出てきたような気がした。藤の方の化粧をした顔は梅幸さんそっくりだった。
・義経の「所縁の人に首を見せて名残りを惜しませてやれ」→嘆く相模。じっと相模を見つめる熊谷。胸に迫るものあり。
・打掛に首を包み、抱きかかえる相模に子への愛と悲しみの極致を見たようで、思わず涙が出た。藤の方に首を見せて嘆く相模、じっとこらえる熊谷。男だ!!
・顔をそむけて首を熊谷に見せて別れを惜しむ仁左衛門義経。男だ!!
・熊谷の引っこみに男の孤独を感じた。
「弁天娘女男白浪」
感想は前回とほぼ同じ。どの演目も豪華な配役だけど、5人男の花道揃い踏みは華やかで粋でワルくてとにかくステキだった。70歳で大屋根上で大立ち回りまで見せてくれた菊五郎さん、ありがとう。
「滝夜叉」
玉様の妖怪モノは好きだ。品のよさ、美しさの奥にちろちろ妖しい火が燃え、やがてばっと燃え上がる。松緑さんの動きもとてもきれいで満足。

「盛綱陣屋」
・初日はあまり泣かなかったのだけど、今回はなんだかひどく泣けた。とくに、盛綱がニセ首を見てにんまり笑って、それから小四郎の顔を見てはっとする。北条時政が帰ったあと、謎解きをする盛綱のセリフを聞きながら、以降涙涙。
・仁左様のニンマリ笑った顔を見たら、ずいぶん年を取ったなあと思ってしまった。それなのに、爽やかな風が吹き抜けるようで、それがたまらない魅力となって客席を包む。
・吉右衛門さんの堂々たる大きさに圧倒された。
・時様、最後まで肩を震わせて小四郎の死を悲しんでいた。
・金太郎クン、美しい!! そして哀れさと強い武士の精神が十分に伝わってきた。
・大河クンもしっかり小さい体で武士らしさを見せていた。子供の力ってすごい。

「勧進帳」
強力を見咎めた富樫は、ふっと気をそがれたかのように追及をやめたのであるが、菊五郎さんの富樫にそれは唐突にきたように感じた。富樫にそうさせたのは、弁慶の迫力以上に、命を賭して守ってくれる家来をもつ義経に負けた(負けた、という意味を汲み取ってね)という達観のようなものではないだろうか。今回、何となくそんな感じを受けた。
玉太郎クンの太刀持ち、よかった。玉ちゃん、成長してるなあ。

幸四郎さんは全身全霊で義経を守っていた。理知的かつ迫力あふれる弁慶。でも幸四郎さん自身はとても疲れているようだった。肩で大きく息をすることしばしば、一時はへたり込んでしまったかと心配したくらい。でも、最後まで熱演であった。
花道での一礼は深々とではなく、むしろお辞儀をしなかったんじゃないかというような印象を受けたが、それでいて真情が伝わってきて胸が熱くなった。
六方ではがんがん手拍子が起こった。幸四郎さん自身は全然手拍子を煽っていない。ただ、一つの危機を乗り越えてもこの先の苦難を予感させる厳しさよりも、無事に乗り越えた喜びを客席が感じ取るのかもしれない。「ここは手拍子でしょ」といった様子で率先して大きく叩く人が何人かいて、それに呼応する人が多かったという広がり方であった。私自身は手拍子反対派ではあるが、あんなに嬉しそうな顔をして一生懸命手拍子を送っている人たちを見ると、カーテンコールで興奮している自分に重なってなんにも言えなくなる。客が喜ぶことと暗黙のルール(ルールとまではいかなくてもマナーか)は折り合うことができるのだろうか。いい悪いは別として、時代によって観客も変わるし、そういうことが当たり前になっていくのかもしれない。いずれにしても歌舞伎における手拍子は今後も問題の一つとしてと残っていくんだろうな。

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コメント

中野翠さんの新刊「歌舞伎のぐるりノート」(ちくま新書)に「掛け声のうまい男」というコラムがあります

その中で、「・・・客席から手拍子が湧くことは珍しくなくなった。正直言って私はダメですね。違和感がある。いい気持はしない」と書かれています

意を強くしたのです

しかし、同署の巻末に丸谷才一、18世勘三郎(当時勘九郎)、中野翠の対談が掲載されていて
18世も歌舞伎に手拍子は似合わないと思っていたようですが、市村座の頭取に「懐かしかったよ」「六代目と吉右衛門が演りゃあ、必ず手拍子だったんだよ」と言われた逸話が載っています

「手拍子最近発生説」は間違っているのかもしれませんね


投稿: うかれ坊主 | 2013年5月19日 (日) 23時54分

うかれ坊主様
こんばんは。
手拍子情報、ありがとうございます。
歌舞伎が自分にとってどういう演劇であるのかという、見る側の心持によっても手拍子に対する考え方は違うのかもしれませんね。それにしても菊吉時代には既に手拍子があったとは。最初の手拍子はいつだったんでしょうね。興味深いものがあります。
もっともいずれにしても、私自身はこれからも手拍子はしないつもりですがhappy01

投稿: SwingingFujisan | 2013年5月20日 (月) 00時34分

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