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2013年4月24日 (水)

こちらも必見、貴重な6枚のタピスリー:「貴婦人と一角獣」展

423日 「貴婦人と一角獣」内覧会(国立新美術館)
13042401tapissier 伝手があり、内覧会に行ってきました。
24
日からの展覧会の1日前にこの素晴らしいタピスリーをたっぷり見られたことは幸せ!!
ラファエロ展でも大きなタピスリーによくぞ来てくれたと感謝したものだが、クリュニーの至宝、6枚のタピスリーの本物がこの目で見られるんだもの、それに私の感想としては、本家クリュニーの展示より新美の展示のほうが「うわ~っ」という感激が大きい(かつて、クリュニーで見ているような記憶がうっすら)。展示室の入口に立つと、円形の壁にゆったりと並べられた6枚のタピスリーが一望できる。その瞬間が最大の感激なんである。そして室内に入ると、ぐるっと、鮮やかな6枚に囲まれる。体をどこに向けても6枚のうちの1枚に向き合える。ヘタをするとうるさくなるような絵柄のようにも思えるのに、むしろ端正な美に囲まれていることの喜びを覚えるのは、まさにその質の高さ故だろう。

貴婦人は侍女とともに真ん中に描かれた島の上に立ち、あるいは座り、それぞれの仕草をしている。2人の左右には獅子と一角獣が控え、さらに様々な動物が描かれ、彼らの仕草がそれぞれ触覚、味覚、嗅覚、聴覚、視覚の五感を暗示している。そして最後の1枚には唯一大きな青い天幕があり、そこに「MON SEUL DESIR」の文字が書かれていることから「我が唯一の望み」と題されている。
侍女が差し出す宝石箱(鉄製なんだそうだ。さぞや重いんじゃないだろうか、なんて余計なことを考えてしまった)手をやり宝石を選んでいる貴婦人。いや、これは宝石を箱に戻しているのだという解釈もある。6枚目は何を意味しているのか。その謎がこの連作をより魅力的にしているのだという。
それは本物を見れば、確かに実感できる。

タピスリーは、原画を描く画家、それを織物用に拡大する絵師、そして織り師、それぞれの力が合わさって傑作ができるわけだが、版画にしてもいつも思うのは、原画を描く人がすごいの? その後の工程の職人がすごいの? っていうこと。もちろん、そのすべてがすごいんだろう。彫り師も、刷り師も、織り師も優れていなければ、いくら原画が素晴らしくても出来上がった作品は変わってしまうだろう。で、「貴婦人と一角獣」の原画の作者はあまり表面に出てこないが、「アンヌ・ド・ブルターニュのいとも小さき時禱書」の複数の画家のうちジャン・ディーブルという人らしい。そしてそれを原寸大に転写したのも同一人物らしい。
一方の注文主はリヨン出身のル・ヴィスト家。獅子はリヨンを表し、一角獣は非常に素早い動物であることから、ヴィストviste(フランス語の「速い」を意味するviteの古い形)と結びつくんですって。ふむふむなるほど。

「貴婦人と一角獣」の赤地に織られたミルフルール(千花模様)の鮮やかな美しさ、人や動物の繊細な表現、かなり近寄って見ることはできるけれど、やっぱり双眼鏡をもっていけばよかった。これはもう一度見たいから、今度は忘れないようにしよう。

シアターでは凸版の協力で細部までの鑑賞ができる。展示室は照明を抑えてあるので(織物にとって最大の問題は照明環境だそうだ)、細部が明るいデジタル映像で詳しく見られるのはありがたい。ただ、解説の音量がひどく低くて、非常に聞こえづらかったのが残念(今日からの一般公開では聞こえるようになっているかも)。凸版の映像は、先日の凸版見学会で見事な法隆寺を見せてもらったが、こちらはスクリーンが小さいせいか、あの時ほどのインパクトはなかった。また、映像の内容も法隆寺のほうが迫力はあったが、繊細な織物の細部を知るためにも、シアターはパスすべきではない。

その他の展示品もそれぞれ興味深い。タピスリーも「貴婦人と一角獣」だけではない。「聖母の生涯」「領主の生活」の連作なんかも見ごたえある。
音声ガイドは池田昌子さんの落ち着いた語りと池田秀一さんのリルケ(「マルテ・ラウリス・ブリッケの手記」)の朗読で作品の魅力を伝えてくれる。11つの解説時間はちょっと長いけれど、今回は借りてよかったと思った。
1974
年、メトロポリタン美術館に貸出されて以来40年ぶり、2度目の海外貸出し、こんな貴重な機会を逃すテはないと思う。
追記①:「機動戦士ガンダムUC」にもこのタピスリー6面全部が出てくるんだとか。
追記②:むか~し、高校時代の同級生で妙にユニコーンに凝った男子がいて、ノートによく一角獣の絵を描いていたことを思い出した。

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この日は休館日だったのでいつもの地下鉄直結口は使えず、西門から入った。初めて見る西門からの新美の姿。

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