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2013年5月 3日 (金)

国宝・重文の中で静かに信仰を感じる:大神社展

52日 大神社展(国立東京博物館平成館)
130503daijinjaten もうじき展示替えがあるというので、前期が終わらない連休の谷間に、大神社展へ。人だかりがするところあり、悠々と見られるところありで、適度な混み方。さらに、動線がしっかりしていて、あっちへ飛んだりこっちへ飛んだりすることなく、自然と流れていくことができたのは、展示点数が多いだけに非常に評価できると思った(時々、どう動いたらいいのかわからなくなる美術展があるのだ)。「日曜美術館」を見逃しちゃったので予習はできず、5日の再放送で復習しようと思う。
展示品は全国の神社から出展された国宝・重要文化財だらけ。まさにお宝の宝庫(って?!)。神社といえば私には井上ひさしの「闇に咲く花」がすぐ思い浮かぶのであらうが、そういう小さな神社の奥深くにもこんなお宝があるのかな、なんて下世話なことを考えてしまった。もっともお宝というのはお金に換算するという感覚ではなく、本当に貴重な信仰の歴史を語るお宝という意味なのである。そんなたくさんのお宝の中で、大勢の人がいても静かに神への信仰を感じられる展覧会であった。
1章「古神宝」
春日大社、鶴岡八幡宮、熊野速玉大社からの出展で、時代は平安12世紀から南北朝14世紀に亘る(56日までの前期。後期は厳島神社。熱田神宮、一部鶴岡八幡宮から)。表着(うわぎ)、袍、袴など、色褪せたり傷みがみられるものの、往時の神社の存在感を偲ばせるものがある。蒔絵の手箱は箱とともに内容品である化粧道具が展示されていたが、鋏、毛抜、アイライナーみたいなアイブロウペンシルみたいなものが興味深かった。どんな方が使っていたんでしょう。蒔絵硯箱にしても衣類にしても、人間の存在を感じるものは面白い。
2章「祀りのはじまり」
ここには奈良・山ノ神遺跡と福岡・沖ノ島祭祀遺跡からの出土品が展示されている。時代が58世紀。本殿を持たぬ原始宗教はまさに八百万の神を信じる日本人の信仰心の原点である。実は私のかすかな信仰心もどちらかというと、原始宗教に近いものであり、共感を覚えた。
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5世紀の鏡類はどれもきれいに残っていて見事だが、中で一番目を引くのはやはり「方格規矩鏡」である。TLVの文字(のような模様と言うべき?)が彫られていて、真ん中の正方形が方格、TLは定規(規)、Vはコンパス(矩)に見立ててこの名がついたということだ。
子持勾玉というのは初めて見た。
金銅製雛機は織り機のミニチュアで、実に精巧、見事、一見の価値あり。
日本書紀写本、神代系図、延喜式、海部氏系図といった巻物も貴重でじっくり見ていたら時間がいくらあっても足りない。
3章「神社の風景」
非常に興味深かったのは「春日宮曼荼羅」「日吉曼荼羅」「石清水曼荼羅」「伊勢両宮曼荼羅」「富士浅間曼荼羅」といった曼荼羅図。曼荼羅といえば仏教の世界観を表すものだろうに、なんと神宮が曼荼羅図として描かれているのである。神域を現実世界の浄土として捉える思想を背景としているそうだが、日本の神道は決して仏教と相容れぬものではなくむしろ融合していたことのあらわれだろう。じっくり見ると面白い。

4章「祭りのにぎわい」
中心となる展示品は「沃懸地螺鈿金銅装神輿(いかけじらでんこんどうそうみこし)」。精緻な装飾が見事であり、往時はさぞ華やかに光を放ったことだろうと思った。袍、水干、前掛、面を見て奉納された神楽などに思いを馳せ、そうしたら2月に国立小劇場で見た東北の芸能が思い出された。
5章「伝世の名品」
まさにタイトル通りの名品ばかり。
ここでの必見は「七支刀」ではあるが、もう1つ印象的だったのは「直刀 黒漆平文大刀」。刀身223.4cmは現存する伝世品の中では最長だとか。いや、本当に大きかった!! 
「七支刀」は表と裏両面が見られるように展示されており、金象嵌されている61文字が全部見られる(鏡で裏面を見せるのではなく、ちゃんと両面が見られる展示法は嬉しい)。6日までの展示予定だったが、所蔵の石上神宮の厚意で12日まで延長となった。チャンスです!!
「平家納経」はなんと、平清盛筆で平家一門の繁栄を願って厳島神社に奉納されたもの。丁寧に書かれた文字を見ると、清盛がこの世に実在した人間であることが切実に実感された。これは前期のみの展示なので6日まで。
蒔絵の絵馬は大変珍しいそう。
6章「神々の姿」
さまざまな男神、女神の坐像、立像がい~っぱい。迫力たっぷりのコーナーだ。木が割れているものがけっこうあるのは、木にも神はいるという考えから、仏像と違って木の部位を選ばずに彫られたかららしい。膝の奥行が狭いのは9世紀中ごろからの特徴だそう。
「春日神鹿御正体」は、雲に乗り、鞍に榊を立てた神の使い・鹿の金銅製の像。榊には春日の本地仏5体が線刻されている(うっすら、わかった)。
ここは人も割と少なく、じっくりとそれぞれの表情などを見ることができた。
とにかく展示品はたくさんあり、どれも見応え十分。後期もできたら見たいものだ。貴重な品々なので図録がほしかったが、ぐっとガマン。そのかわり、四季の富士山せんべい(昨日アップした写真)とジンジャークッキー(神社にひっかけて「ジンジャー○○」という商品がいくつか出ていて、笑ってしまった)なるものを購入した。
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中身はハート形のクッキー。もちろんジンジャー(パウダー)が含まれている。

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コメント

おはようございま~す。
楽しかったですよね。&後期には厳島神社や熱田神宮の宝物がたくさん出るから、また行きたくなります。
ジンジャークッキーwink 私も買えばよかった。私は春日神鹿御正体が気に入っちゃって、つい絵はがきと付箋を買いました。いつの間にか
増えてるのが、絵はがき、付箋・一筆箋、クリアファイルですわ。
先日亡くなられた私の恩師が日本古代史の研究者だったんですが、展示されてた「海部氏系図」をなんとか見られないだろうか、と仰ってた頃があったそうです。個人蔵で国宝だから難しいのでは?という会話があったとか聞いたので、うーーむweepと思いながら見てしまいました。

投稿: きびだんご | 2013年5月 5日 (日) 11時05分

おかえりなさ~い!!
大神社展、こんなによいとは思いませんでした。私も後期にもう一度行きたいです。春日神鹿御正体は前後期関係なく展示されているので、又見られますね。なんとも不思議なムードの漂う像で印象に残ります。
図録を買わない場合はまず絵葉書ですよね~。クリアファイルは仕事先から書類を挟んで透明なのが送られてきて増える一方なので買いませんが、一筆箋と付箋はどこへ行ってもついつい欲しくなります。おかげで一筆箋は50冊ほどもあるので(ほんと、いつの間にかこんなに増えていた)今回はぐっとこらえました。でも後期に行ったら買っちゃうかも。で、花より団子ってことで、一筆箋と付箋がジンジャークッキー(おやじギャグだ)と富士山せんべいになったわけです。

「海部氏系図」、先生がご存命だったらどんなにか喜ばれたでしょうね。そういう貴重な資料をこのたび目にすることができて、本当にありがたいと思いました。

日曜美術館、録画しそびれたと思っていたら、既にしてあったことを今朝発見。早速、復習しました。面白くて、45分があっという間でしたわ。

投稿: SwingingFujisan | 2013年5月 5日 (日) 14時54分

こんばんは。この特別展気にはなっていたのですが、詳細を解説していただいていく気が満々になりました。ありがとうございます。七支刀は石上神宮で見た記憶があるのですが 楽しみです♪(12日までになんとしてもいかなければ!)

投稿: あいらぶけろちゃん | 2013年5月 5日 (日) 23時23分

あいらぶけろちゃん様
こんばんは。コメントありがとうございます。
大神社展は自分で見て、ぜひ多くの皆様にご覧いただきたいと思いましたので、あいらぶけろちゃん様がいらっしゃるお気持ちになってくださったのは大変うれしく存じます。
七支刀は石上神宮でご覧になったことがおありなのですね!! 私は初めて本物を見ました。古い物を見るといつも、歴史が綿々とつながっていること、そして人々が歴史を大事にして今に伝えていることを思い、感謝の気持ちが湧いてきます。これからもこういう遺産は大事にしていきたいですね。
いつか、私も石上神宮で七支刀に再会したいです。

投稿: SwingingFujisan | 2013年5月 6日 (月) 00時29分

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