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2013年5月17日 (金)

したたかに生きる七之助お富:明治座花形歌舞伎昼の部②

510日 五月花形歌舞伎昼の部(明治座)
13051701meijiza 「与話情浮名横櫛」
小山三さんが元気に七之助さんと花道から登場したのは嬉しい。「小山三」の大向こうもかかった。最近、小山三さんが登場すると大きな拍手がわくのはいいが、拍手がセリフをちょっと邪魔するのは残念だ。今回もそうだった。
亀鶴さんの蝙蝠安は卑屈さがよく出ていたが、根がちょっと明るすぎたかも。花道で、強請った金を分け合うのはついこの間見た弁天・南郷を思い出す(弁天の方がパロディか)。
今回の「与話情」は、普段上演されない「赤間別荘」(与三郎がなぶり斬りにされる場面)があった。
七之助さんのお富は、これまでに見たお富とはちょっと違うような気がした。暗さのようなものとしたたかさが感じられたのだ。それは、この「赤間別荘」で与三郎を積極的に誘うし与三郎が捕まっていたぶられているのに、さっさと逃げ出したことから始まり(結局身を投げるのだからここでそう言っては気の毒か)、玄冶店での下女や番頭に対する態度にも表れていた。ヤクザの親分の女であった時にはみられなかった乱暴な感じ(伝法というよりは乱暴な印象が強かった)も受けた。同時に、多左衛門が触れてもくれない寂しさのようなものもあって、そのくせ与三郎が現れると「お前さんのことを忘れたことはない」などと縋りついたりして、女のしたたかさというか業のようなものを見せられた気がした。
お富は運命に翻弄されてはいたかもしれないが、ただ流される女ではなかった。そのしたたかな強さが、玄冶店に与三郎を引き寄せたのかもしれない、な~んて思わされた。
余談だが、番頭に「このおしろいは何か」ときかれて「舞台用の練りおしろい」と答えた時は客席から笑いが起きたが、たしかいつもは化粧品会社の名前を言うんじゃなかったっけ。昔のCMがわりの名残なんだろうが、舞台用の練りおしろいはちょっとつまらないかも(固有名詞を言ってはいけない事情でもあったのか)。
番頭の山左衛門さんがコミカルなだけではない何かをもっていて(それは何だったろう)、ちょっと面白いと思った。
染五郎さんは前半のつっころばし的若旦那がぴったりではあるが、お富をなじるあたりからセリフがやや耳障りになってきた。力が入り過ぎているような…?
多左衛門は私の中では左團次さんのイメージが強くて、愛之助さんはちょっと違うのであるが、妹の恋の成り行きをそっと見守る兄の優しさがあった。
全体にもうちょっとコクがあるともっとよかったと思う。
<上演時間>「実盛物語」80分(11001220)、幕間30分、「与話情浮名横櫛」序幕・第二幕50分(12501340)、幕間25分、三幕目60分(14051505

 

 

 

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コメント

SwingingFujisanさまfuji

ご感想、お待ちしておりました〜happy01
初日に見たのですが、ちょっと記憶が…coldsweats01
なので、レポ読ませていただきながら、
あ、そうだったかもconfidentとか少し思い出しました。
ホント、もうちょっとコクがあると、って同感です。
なんか物足りない感じで帰りましたので。
歌舞伎座のレポも楽しみにしております〜catface

投稿: 七子 | 2013年5月17日 (金) 13時01分

七子様
こんばんは。コメントありがとうございます!!
花形は若さや美しさという点だけでなく、いいものもたくさんあるのですが、どこかに物足りなさを感じるのは(初日だと、なおさらそうお感じになったかもしれませんね)、やはり50、60はハナタレ小僧の世界だからなのでしょうか。でも、誰でもそういうステップを踏んで芸が深くなっていくのですから、どんどん挑戦していってほしいですね。

ここのところ、又仕事が忙しくなって、すっかりレポが遅くなってしまいました。歌舞伎座も今日第二部を見てきたので、早く第一部を書かなくっちゃ。とは思っているのですが…。

投稿: SwingingFujisan | 2013年5月17日 (金) 20時57分

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