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2013年5月19日 (日)

五月歌舞伎座第一部

513日 五月大歌舞伎第一部(歌舞伎座)
連休を避けたりしてたら、第一部観劇がこんなに遅くなった。感想もすっかり遅くなった。
「鶴亀」
4
月も5月も踊りが思いのほかよかった。
梅玉さんは品格がバツグンで、そこにいるだけで帝とわかる。梅之さんが4月の勧進帳に続き、ここでも後見として師匠を支えていた。
橋之助さん(亀)は五月人形のように大きくて力強い。翫雀さん(鶴)にはおっとりとしたやわらかさがあって、いかにも宮廷人。2人のバランスのよさがこの踊りに見応えを与えていた。体型的には鶴と亀が逆なような気もしたけど…(失礼)。従者の松江さんの控えめな勇壮さ、礼儀正しさがとても印象的だった。松江さんは歌舞伎役者らしい役者さんだと思う。
「寺子屋」
先月の熊谷、盛綱に続き、今月は寺子屋、先代萩で忠義のために子を犠牲にする演目だ。そういえば、南座では子役がぐずって開演時間を遅らせたというハプニングがあったそうだけど、子役に毎日機嫌よく出てもらうって大変なことなのかもしれない。 
私の席からは武部源蔵(三津五郎)の出はほとんど見えず、七三にかかり、はっと何かに思い当たったかのようにすたすたと歩き出すあたりから、やっと見えた。三津五郎さんには終始、苦渋が漂っていて好感がもてたが、幸四郎さんとのバランスはあまりいいとは思えなかった。そのためかどうか、面白いと思ったのは首実検までで、春藤玄蕃(彦三郎)が引っこんでからはやや退屈気味になってしまった(少し寝た…)。
寺子屋の子供たちの顔改めの時、彦三郎さんの玄蕃が出てくる子供の顔に合わせて疑いの目を向けたり、これは明らかに違うという顔をしたりして、忠実に任務を果たそうとする気持ちが見えて、「俊寛」の瀬尾同様、敵役ではあっても彼らは彼らでそういう立場にあるんだから…と思わされた。亀寿さん(涎くり)が玄蕃に頭を叩かれた時には思わずニヤリ。客席も大きな子供の「え~ん、こけら落し中の歌舞伎座に連れて行ってくれなくちゃいやだいやだ」とだだをこねる姿に大ウケ。おぶってもらおうとしてオヤジさまを跳び越え逆におぶるところは見えなかった。玄蕃の捨て台詞「命は惜しいものじゃのう」がぐさっとくる。
いつもは千代(魁春)が「お役に立ててくださりましたか」と言うところでどっと涙が出て、松王丸が「桜丸、桜丸」と言って大泣きするところは私も一緒になって泣くのに、今回は全然泣けなかった(3年前の幸四郎さんでもここは泣かなかった)。むしろ引いてしまったような…。自分が泣けない時、私は自分だけちゃんと芝居を受け止めていなかったんじゃないか、とか、そういう感性がなくなってしまったか、とか不安になって周囲を見回すのだが、今回は泣いている人は見かけなかったように思う(で、安心する)。
でも、戸浪(福助)が首のない小太郎の遺骸を抱いてきたときは、子供を犠牲にしてしまったことへの女としての苦しみ・悲しみ、幼いながらすべてを呑みこんで死んでいった小太郎への敬意が伝わってきてこちらの胸を衝いた。なかなかいい戸浪だったと思う。
また、お線香をあげる園生の前(東蔵)にも涙が滲んだ。幸四郎、三津五郎、魁春、福助と舞台を締める役者が揃っているのに、東蔵さんが出てきたらぐんと締まったような気がした。

「三人吉三」
金貸しの菊十郎さんと研師の三津之助さんが登場すると、これから繰り広げられる世界の前ぶれのような、江戸の闇の部分の危うい空気が漂ってきてわくわくした。
菊五郎さんのお嬢、両性具有的な部分はさほど感じられなかったが、どきどきするような魅力がある。さらさらっと自然に女から男へ変わったのが新鮮でとてもよかった。豹変も面白いが、こういう変わり方を見ると、それが本当なんじゃないかと思わされる。名台詞も力むことなく、これが兼ねる役者の醍醐味かと感じた(女形の役者さんがやると、どうもこのセリフがピンとこないことが間々ある)。観客も聞き惚れていたのか、名台詞に一拍おいて「名調子っ」の声がかかるとそれを合図にしたかのようにどっと拍手が起きた。
仁左様のお坊がスッキリと姿がよく、本当に素敵。仁左様は上方のはんなりとしたやわらか~い空気を漂わせながら、河内山とかお坊とか、江戸の男のカッコよさ(粋という表現とはちょっと違うような気がする)をまとっているのがたまらない魅力。
幸四郎さんの和尚も2人をまとめる大きさがあってよかった。
梅枝クンのおとせは大抜擢だろう。本来清純な娘かもしれないが、夜鷹である以上、もう少し汚れた部分が奥にあってもいいのかな。でも、恋人を捜し歩く純な思いと、梅枝クンならではの風情がおとせの哀れさを表しているように思った。
あっという間の30分弱。もっと見たかったけれど、美味しいものはこれでいいのかも。
<上演時間>「鶴亀」20分(11001120)、幕間15分、「寺子屋」85分(11351300)、幕間30分、「三人吉三」27分(13301357

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