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2013年6月23日 (日)

六月歌舞伎座第二部

622日 杮葺落六月大歌舞伎第二部(歌舞伎座)
順番として、第三部→第一部→第二部となり、やっと見ました、という感じ。
「壽曽我対面」
幕が開くと浅葱幕。その前でまず栄津三郎・里長の大薩摩がある。上手側に現れた2人は、通常の立ち位置と比べ、少し真ん中に寄っている。「五代変わらぬ歌舞伎座の~」「こけら落しやめでたけれ」といった歌詞が聞こえてきたから、新・歌舞伎座こけら落しを祝う大薩摩であることがわかる。里長さんはやや声が出ていないような気がした。このあと、太鼓がどんどこ打ち鳴らされ、浅葱幕が振り落されると、そこは工藤の館。工藤祐経はすでに二重の中央にいる。後に工藤が上がることになる高座にもすでに座布団やら道具やらが揃えられている。
始め仁左様の声に元気がないようで心配したが、「いずれもさま、高座ごめんくださりませ」は力強く聞こえた。高座にすでに道具が置かれているため、近江小藤太(男女蔵)や八幡三郎(松江)は何もせず、ただ高座の左右に陣取る。工藤が座につくと、近江小藤太が刀掛けに刀をのせる。
小林妹舞鶴(孝太郎)が工藤に会ってほしい人がいると、ちょっとおねだりするような感じで言うのが色っぽくてかわいかった。孝太郎さんは動きも大きく、女武道の毅然とした勇ましさと柔らかな色気があり、普段あまり好みでない声が今回はキンキン響かず聞きやすかった。
男女蔵さんの近江小藤太が忠実さに勢いがあってよかった。
花道の十郎・五郎の美しかったこと。菊ちゃんがおとうさんそっくり(主に顔が、だが、動きなんかも菊五郎さんを思い出させる)。和事のやわらかな仕草の中に仇討を心に秘めた強さみたいなものを感じた。
海老ちゃんの五郎は、やんちゃでまったく子どもそのもの。逸る五郎を「兄に任せて」と十郎が止めると「いやだいやだ」。これには客席から思わず笑いが漏れていた。ほかにもあんまり子どもっぽい言動に客席がくすくす。セリフに気になる点が多々あるものの、やはり華は格別。菊ちゃん十郎とのコンビはビジュアル的には最高だ。
こんな子どもの五郎に対し、工藤の大人ぶりが目立った。そういえば、私が見てきた工藤役者のほとんどは声が高い。仁左様の低い声が大人ぶりを際立たせたのかもしれない。

「土蜘」
吉右衛門さんの頼光は初めて見る。今までの中で一番頼りになりそうな頼光で、そのせいか病床についているという印象が薄い。胡蝶(魁春)の舞はやっぱりダメだった。気がついたら舞が終わっていた。
三津五郎さんの平井保昌がいかにも主君を守っている武士な風に見えるのがとてもよかった。
玉太郎クンの太刀持・音若に感慨深いものがあった。だって、玉ちゃんは襲名初舞台から見ていて、あの落ち着きのない子(舞台でじゃなくて、鈴木治彦アナの「芸に生きる」で父親の松江さんと出た時に。それだけ幼かった、ということ)がこんな立派に長袴の裾捌きができる役者に成長したんだもの。僧智籌を怪しんで主君を守ろうとする姿もきちんとしていて、将来が楽しみだと思った。
間狂言は翫雀・松緑・勘九郎の33様という印象だった。仰向けにひっくり返って手足を前後に動かしている間、翫雀さんは舞台の床すれすれに頭があり、松緑さんはずっと頭を上げ、勘九郎さんは頭を上げたまま、手足の動きに合わせて頭を上下に振っていた。スゴい筋力!!  引っこみは、比較的普通に立ち姿だった2人に比べ、勘九郎さんは腰を低~く落し、引っこんでいった。きっちり真面目にユーモラスさを表現した勘九郎さん、カッコよかった。
石神の大河クンが堂々とイタズラっ子を演じていてかわいい。
菊五郎さんの智籌にはスゴ味はあまり感じなかったものの不気味さは十分。70歳にして身軽に立ち回りを見せる菊五郎さん、まだまだ若い。
土蜘の棲んでいる古塚を運んでくるのは菊市郎さんと吉之助さんだったと思うが、とても大変そうに見えた。中に菊五郎さんが入ったまま運んでくるわけで、外の2人に中は見えないであろう。だから3人が呼吸を合わせて動かないと塚が倒れたり、中に張った蜘蛛の巣が破れるかもしれない。さぞ神経を使うことだろうとこちらもちょっとハラハラした。
後見さんは大忙し。蜘蛛の糸を菊五郎さんがぱっと投げるたび、巻き取っていくのだが、舞台が広いうえに、役者さんに引っかかるとなかなか巻き取れないのだ。最後のほうで、糸の塊が菊五郎さんの足に絡まって、後見さんも途中で気がついていたけれど、結局取れず、菊五郎さんは糸を引きずったまま立ち回りを続けていた。あれは絡まっても滑らないのだろうか。
四天王の中では坂田公時の右近クンの形がきれいだと思った。右近クンの赤っ面は珍しい。
第二部は内容的にも時間的にも何となく中途半端な気がしないでもなかったが、それなりに楽しめた。
<上演時間>「対面」50分(14401530)、幕間25分、「土蜘」81分(15551716
おまけ:毎回、めでたい焼屋さんが大繁盛。長蛇の行列で、トイレに行ってから並んだのでは遅い。第二部にたい焼きはちょうどいいのだけど、そういうわけで断念。じゃあ、アイスクリームにしようかなと思ったものの、たい焼きより100円高いのがネックとなってこっちも断念。ケチな私。

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