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2013年7月23日 (火)

心底楽しめた澤瀉屋の巡業③:「川連法眼館」

721日 松竹大歌舞伎巡業東コース(北とぴあ)
口上が終わると定式幕が引かれ始め、それに伴い襲名の祝幕が隠れ始めた。ところが、定式幕が4分の1くらい引かれたところで祝幕と定式幕の間がちらっとあいて、大道具さんたちが働く舞台が少し見えてしまった。座席に残っていた客がおお、という感じでどよめく。すると、定式幕が引き戻され、再び祝幕が姿を現した。ところが(再び、ところが、です)今度は下手のほうがかなりあいてしまい、又舞台の一部があらわに。こちらとしてはちょっと得した気分。もちろん、その後すぐに祝幕がきちんと舞台を覆ったけれど。演舞場では祝幕を見られる時間が短かったから、こうやって口上前後の幕間にかけられていたのは嬉しい。
「川連法眼館」
「四の切」は去年の6月猿之助襲名公演(演舞場)と引き続き7月音羽屋巡業で見て以来か。
法眼(寿猿)と飛鳥(猿紫)夫妻は板付き。年の差50歳のなんとフレッシュな夫婦であることよ。違和感なかったなあ。
1
人目の忠信到着を告げる侍はなんと欣弥さん。贅沢な配役だ。
梅玉さんの義経が登場すると、なんか空気が変わったような気がした。まさに義経の品格、風格のなせる業だ。義経はあまり感情を露わにしない役だと思うが、「だまれ忠信」のあたりではかなり強い怒りが感じられた。まだ本当のことを知る前だから、信頼していた家来に裏切られて許せない思いと静への愛情が爆発したようだった。
門之助さんの静御前が素晴らしくよかった。義経に会えた嬉しさの中に、これまで会えなくて辛かった、切なかった、という気持ちを全身で表していたし、狐の話を聞いている時の表情が豊かなのだ。慈愛に溢れた表情は、狐への憐れみというよりは、狐と一緒になって悲しんでいる。義経が鼓を狐に与えた時には狐と一緒になって喜んでいる。本当に狐を愛おしそうに見ている。この静がいればこそ、狐の思いが観客によく伝わるというものだ、と思った。
花道のある劇場と違って、「出があるよ」の声はすぐ近くで聞こえたから(座席が前方だった)、反射的に袖花道(って言うの? なんちゃって花道は何て言うの?)の方に目をやってしまったが、正面の忠信の出もちゃんと見えた。狐言葉は伸ばすところは何でもなかったが、早口で一息に言うところで笑いが起きていた。やっぱり、そうなっちゃうのかな。
「その鼓は私が親、私はその鼓の子でございます」のセリフが胸にじ~~んと響く。猿之助さんには狐の動きがよく似合う。
狐と忠信の早替りに客席どよめく。膝での回転、海老ぞり、欄間抜け(ちょっとスムーズでなかったような)、荒法師との愉快な立ち回り、亀ちゃんの身体能力、見せ場の数々に客席は大いに盛り上がった。
最後は宙乗りはできないので音羽屋型と同じ木に登って終わる。巡業だからとわかっていながら、でも最初に下手にワイヤーがあるかどうかを確かめてしまったよ。
大向こうも盛大にかかり、見ごたえのある公演だった。近場の王子なので昼夜通しで見たかったけれどそうもいかず、はじめは入り待ちするくらいの勢いでいたのに黄色いトラックを見ることさえなく、大急ぎでの劇場往復で終わった。
<上演時間>「毛抜」65分(12301335)、幕間25分、「口上」15分(14001415)、幕間25分、「四の切」70分(14401550
実際は5分ほど早く終わった。

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