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2013年8月18日 (日)

稚魚の会・歌舞伎会第19回合同公演

816日 第19回稚魚の会・歌舞伎会合同公演初日(国立劇場小劇場)
苦手な早起きをして、さあ出かけようという時になってチケットを持ち忘れたのに気づいた。慌ててケースから取りだしたチケットを見てびっくり!! てっきり11時開演のつもりでいたら、なんと13時開演。無駄に早起きしたわ~。でも劇場に着いてから気づいたのでなくてよかった。
ミーハー的には、芝雀、東蔵、松江、高麗蔵、桂三、魁春(多分)、團蔵、時蔵の各役者さんがお弟子さんの演技を見に来ていたのがツボだった。他にもいらしたかもしれないが、気づいたのはこの8人。他に夫人方が何人か。

今年はA班、B班の別がなく1チームで全公演を行う。しかも歌舞伎会からの出演者は松寿さん1人とちょっと寂しい。
それはともかく、今年の演目は私にとって注目であった。というのも、私が初めてこの合同公演を見た平成18年、第12回公演の演目のうちの2つが「修禅寺物語」と「引窓」で、今年もこの2つが選ばれていたから。細かいことはだいぶ忘れてしまっているけれど、この時の「修禅寺」の梅之さん(頼家)の美しさ、「引窓」の猿琉さん(与兵衛)のカッコよさに心を摑まれてしまったのだった。
今年の舞台は全体に舞踊のレベルが高かったと思う。お芝居の方は初日ということもあり、役者さんたちの緊張度が高く、これからという感じだったろうか。
「雛鶴三番叟」
翁(梅之)、千歳(仲弥)、三番叟(京珠)の3人とも女形で踊る。梅之さんの美しさ、品格は別格である。その品格の中に女形としてのやわらかさも感じられる。面白いことに、歌舞伎役者の舞というよりは舞踊家の舞のような印象を受けた。一番新しい20期生の仲弥さんは、じっとしているのが大変そうだったが、動きに華があった。京珠さんは三番叟としての軽快さに加え、後半は可愛らしさが目を引いた。
「修禅寺物語」
何と言っても三久太郎さん(妹娘かえで)のうまさが光った。声もよし、感情表現もよし。はじめはそうでもなかったが、ドラマが進行するにつれ、極限状態に置かれた娘の緊迫感、姉への思いがこちらの心に届くのである。一度見たら忘れないお顔なのでずっと印象には残っていたが、演技もずっと印象に残るような見事なものであった。
もう一人の20期生、仲助さん、修禅寺の僧という老け役を飄々とした感じでこなしていた。
夜叉王の錦二郎さんはいかにも若いが、目を閉じてセリフだけ聞いていると夜叉王の年齢らしく思えてきた。みどりさんのかつらはあまりピンとこなかったが(全然関係ないけど、「ぴんとこな」と言って「ぴんとこない?」と聞き返した人が私のまわりに2人いた)、はじめのほうで、夜叉王が「かつらの性格は公家の出である母親に似ている」というようなことを言っていたのに対し、最後、かつらは父親と同じなんだと納得できるものがあった。
かえでの夫春彦の獅二郎さんはかなり緊張していたようでちょっとハラハラしたが、若さ、初々しさ、優しさ、職人としての誇りがほどよく出ていたと思う。
頼家のところは少しぼ~っとなっていたのでごめんなさい。

「団子売・俄獅子」
この公演のもう一つの注目は富彦さんの踊り。第12回公演で左字郎さんとのコンビで踊った「三社祭」の楽しさが忘れられずにいたのだ。久々の富彦さんの踊りはやっぱり軽妙で楽しかった。うまい人の踊りは飽きない。
春之助さんと似合いの夫婦ぶりで(同期だそうだ)、生き生きとした江戸の風俗が十分楽しめた。春之助さんはとくにおかめの面をかぶってからがよかった(面をかぶると、身体の動きだけが目に入ってくる。だからこそよいものが見えたんだと思う)。
「俄獅子」では芸者お春の春希クン(本当は「さん」と言わなくちゃいけないんだけど、私の中では「クン」なの)が断然よかった。初めて見た3年前の合同公演から、カメちゃんの幼い頃に似ている顔が可愛いと思っていたし、これまでの役でも注目してきたのだが、春希クン、進境著しいものがある。動きが自然でやわらかく、指の使い方がいい。度胸もよく愛敬もあり、楽しそうに踊っていて目が離せなかった。芸者お松の松寿さんはお春の姉貴分らしさが感じられた。鳶頭の茂之助さんはシブい色気もあってカッコよかったが、相当緊張していたようだった。
「引窓」
春希クン同様、3年前の合同公演から注目の京由さんが大役のお早。さすがに美形で、最初の方は、初々しいのに元遊女の濃密な色気が感じられた。夫が追う相手が濡髪とわかったあたりから(動揺のあまりお茶をこぼすところはちょっとわざとらしかった)、姑お幸への思いが強くなって、お早の気立てのよさ、優しさに胸打たれた。緊張もあったのか、汗びっしょりで、左右の目の縁の紅が一筋ずつ頬に流れていたのが涙みたいに見えた。
竹蝶さんも汗びっしょりの大熱演。竹蝶さんは可愛らしさがあるので娘役をやることが多いが、やや地味な感じは否めず、今回のような母親役のほうが合うと思った。とてもおとなしいイメージがあった竹蝶さんが、あのように激しく濡髪への愛情を表現するのがちょっと意外だった。って、役なんだから当たり前なんだけど。回数を重ねればもっとよくなるだろう。
京純さんの与兵衛は優しい人柄がぴったり。絵姿を売ってくれと言う母の気持ちにはっと気が付いて、「あなた、なぜものをお隠しなさりまする」となじる、そのなじりに与兵衛の思いがこめられていてちょっとうるっとなった。
吉二郎さん(濡髪)はどちらかというと優男的な感じがするのに、ちゃんと相撲取りらしく見えた。与兵衛が投げた路銀で黒子が取れる場面はちょっともたついて自分で黒子をはがすのが見えてしまった。

師匠の用事をしながら自分の出番もあり、そういう多忙の中で必死の稽古をしてこの日を迎える稚魚さんたち、その中にある素質を見られるこの公演は私たち歌舞伎ファンにとっても貴重なものだと、毎年思う。だから応援したいと、毎年見る。
<上演時間>「三番叟」21分(13001321)、幕間25分、「修禅寺物語」68分(13461454)、幕間25分、「団子売・俄獅子」33分(15191552)、幕間20分、「引窓」73分(16121725

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