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2013年8月 9日 (金)

見応えある地中海4000年の美術品たち:ルーヴル美術館展①

88日 ルーヴル美術館展「地中海四千年のものがたり」(東京都美術館)
老若男女、幅広い年齢層の鑑賞客でけっこう混んでいたし、一つ一つの展示品をみんなびっくりするくらい丁寧にじっくりと見ていたが、だからといって1カ所に人がたまり過ぎるようなこともなく、比較的いい感じで回ることができた。273点の作品は展示法もよく考えられて、見やすかった。
ちょっと長くなるけれど、720日にルーヴルの新館長ジャン=リュック・マルチネズ氏の講演を聞いてきたので、それを中心に作品を紹介したい(メモがあやふやな箇所もあるので一部のみ)。

今回の展覧会は1つの旅と考えており、ルーヴル8部門からすべてから出展されている。ちなみにルーヴルの8部門とは、
①古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門(1793年~)
②絵画部門(1793年~)
③古代エジプト部門(1827年~)
④古代オリエント部門(1881年~)
⑤美術工芸品部門(1893年~)
⑥彫刻部門(1892年~)
⑦素描・版画部門(1893年~)
⑧イスラム美術部門(2003年~)
である。
以下、館長の話をかいつまんで。
ルーヴルのコレクションが19世紀に充実したのはフランス考古学の発展に伴うこと、フランスがイラン・イラク地域で発掘作業をしたことにより、メソポタミア文明の最高傑作がルーヴルに入ったこと、美術工芸品部門が1893年にできたのは、この時期まで王政復古が可能だと思われていたがそれが無理だとわかって、王室の美術工芸品がルーヴルに入ったことなど、各部門の歴史も興味深い。
素描・版画部門は最も知られていない部門だろう、紙を媒体にしているので傷みやすく常設できないのがその理由、しかし12万点の素描を所蔵しているとのこと。イスラムは最も新しい部門で、古代オリエント部門から独立して20129月に新しい展示室ができた。
ルーヴルがユニークなのは、古代と新しいものが共存しているから。単なる文明・歴史の博物館でもなく、絵画の美術館というのでもない。コレクションの多様性を示すのに地中海展は最適である。
ということで、まずは序章「地中海世界―自然と文化の枠組み」へ。
・地中海は穏やかなように思われがちだが、荒れた海で航海は難しい。「黒像式杯:帆を広げる2艘の戦艦」(001:ここで記す作品についてはあとで自分で探しやすいように作品番号を入れておく)にはイルカが描かれている。(黒像式、そして第1章で出てくる赤像式は現在ルーヴルDNPで展示中のギリシア名作で事前勉強していくと面白いと思う)
・地中海の気候は冬は温暖、夏は暑く乾燥している→麦、葡萄、オリーブの文化が生まれた(アメリカはトウモロコシの文化、アジアはコメの文化であるように)。
・地中海では島が重要である。航海は島から島へと行われた。夜は移動できないので昼間だけの航海である。
・黄金の「キプロスの杯」(018?)に彫り込まれたモチーフにはエジプトの影響がみられる(交流のあらわれ)。

1章「地中海の始まり―前2000年紀から前1000年紀までの交流」
地中海(交流)の始まりである。エジプト、中近東。ギリシアの接触が窺える→交流・貿易の存在。
・「赤像式クラテル:エウロペの掠奪」(
025):ギリシア文明は古代中近東から生まれたことをギリシア人はわかっていた。(エウロペはヨーロッパの語源でもあり、後の世でもその略奪は絵画や皿、時計などに描かれている)
・「トードの杯と碗」(銀杯)(034039)はトードの神殿の下に埋められていた。神に捧げるという意味だろう。ギリシアの影響がみられる(エジプトとギリシアの交流)。
・「人物頭部のついたエジプト型の木棺」(074)はミイラを納める棺で、エジプト的である。一本彫りでできているが、エジプトには大きな木はない。一本彫りができるような木はレバノン杉。エジプトに関係するレバノン人が自国の杉で作らせたのだろう。
・「ウガリト文書」(076)。様々な民族の接触・交流には共通の文字、書記が必要となってくる。当時の国際語はアッカド文字(現在の英語みたいなもの)。エジプト王に送られたこのウガリト文書にもアッカド文字が記されている。
・「イシスの頭部」(086)は各民族の神々が別の民族の神と同一視されるようになったことを表す作品らしいが、細かい説明はよく聞き取れなかった。

ここでは、奉納用スプーン(047052)が可愛らしくて、じっくり見るに値する。また「頭の後ろに猿をのせ、しゃがんで笛を吹く演奏家の語りをした壺(?)」(063)もなかなかよい。演奏家に身を預けた猿の表情がとても穏やかで幸せそうなんだそうだが、残念ながらとても小さな作品なので展示ではそこまで見えない。
長くなるので、今日はここまで。

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