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2013年8月24日 (土)

第5回「挑む」

823日 「挑む 傾く者の繋ぐ技量」昼の部(日本橋劇場)
今年で5回目となる松也クンの自主公演。なかなか予定が決められず、チケットを取るのが遅くなってしまい、2階席をなんとか取った。日本橋劇場の2階席は見やすいのではあったが、2列目下手側の席からは花道は見えず、ちょっと残念。でも、観劇に来ていた壱太郎クン、蝶紫さんを見ることができたので嬉しかった。
まずは、音一朗(いつの間にか、「郎」が「朗」に変わっていた。きづかなかった)、國矢、左字郎の3人がスーツ姿で登場。おやっと思ったら、第1回も國矢さんと左字郎さんがスーツ姿で挨拶に立ったそうだ。そうだ、って実際見ているのに忘れていた。そういえば…だったかなと、自分のブログをひっくり返したらそうだった。
1回で大向こうの話をしたという話題になり、音一朗さんが「今日の出演者では、左字郎さんと國矢さん以外はみんな音羽屋。國矢さんは紀伊国屋、左字郎さんは高島屋で…」と何か言いたそう。第1回の時に「デパートと本屋」という話になったのはよく覚えているが、今回もそんな話になった。にやにやしている音一朗さんは「屋号はこの3種類なので皆さんも大向こうに挑戦してください」。
左字郎さんが、この後の演目、舞踊「助六」の説明をする。歌舞伎十八番の「助六」を題材にした踊りで、若武者としての荒々しさ、スーパースターとしての色気がたっぷりである。素踊りなので、普段の歌舞伎では見ることのできない素の松也さんが見られますって。
それから、5年という節目の年なのでグッズを作ったと千社札が紹介された。そして左字郎さんが使い方の一例としてポケットから白いケータイを取り出し、べったりと貼る。
音一朗さん「それ、ボクのケータイです。カメラのところにも…」。(レンズのところに貼っちゃったらしい)
左字郎さん「あ、ごめん。さっき大向こうのところでいじられたので、今はやりの10倍返しを」のオチ。
最後は3人が順番に「盛大なご声援を」とお願いして挨拶は終わり。
「素踊り 助六」
粋な蛇の目傘をさした松也クンが勢いよく下手より登場する。傘は違うけど、同じ曽我五郎だし「雨の五郎」を思い出す。
こういう踊りは長唄の歌詞を聞きながら動きを見るものなのだろうけど、歌詞はところどころしか聞き取れず、ただ松也クンの動きを見ていた。菊之丞さんの振付らしい端正な踊りである。身体が大きいのでかっこいい。振りも大きく、とくに開いた傘を大きく回すと迫力がある。しかし、力強さはあるのだけど、助六にしてはちょっと甘すぎるような気がした(その甘さが松也クンの魅力ではあるのだけど)。もっともシャープすぎるほどシャープな海老蔵助六の印象が強すぎて、私がその差に捉われているだけなのかもしれない。

休憩のあと、松也クンが1人で登場し、観劇の礼と、特別出演の亀三郎さんへのお礼の言葉を一言述べた。「音羽屋一門で幼少から厳しく教わり世話になっている」とい楽屋に届きますかしら」って。そして「大川端庚申塚ノバ」と「身替座禅」の説明。「身替座禅」については「山蔭右京が奥さんにウソをついて愛人に会いに行くが、奥さんにはバレていて、それを知らずに帰ってきて大変なことになる。ぐさっとくる男性もいらっしゃるのでは?」と笑わせる。
それから恒例、抽選会。今年は國矢さん以下の3人が次の演目の準備があるため、松也クン1人で。当たるはずがないので、商品と当選番号の発表を余裕をもって見守った。

「三人吉三巴白浪 大川端庚申塚の場」
八重之さんの研師と松五郎さんの金貸で始まった。愚かにも私の頭には吉三役の3人しかなかったので、いきなりお嬢とお坊の場面から始まるんだろうか、でもそれじゃあ始まれないよなあなどと脳の中でうろうろしていたら、ちゃんと研師と金貸、おとせも出てきた。
おとせは徳松さん。年齢から考えたらビックリするようなおとせだが、これがちゃんとおとせに見えるからすごい。
左字郎さんのお嬢は女の時の声がとてもきれい。おとせと一緒の花道の出は見えなかったが、声だけで十分惹きつけられた。そしてあっという間の豹変がまたすごかった。男に戻っておとせから金を奪うとわかっていても、どきどきと驚いた。左字郎さんの顔、ちょっと猿之助さんに似ている。
音一朗さんのお坊は堂々としていて、とくに最後の引っこみがとてもかっこよく見えて、私には印象的だった。
國矢さんの和尚も貫録があって、見ているうちにいかにも兄貴分な大きさが感じられた。
それぞれのニンによく合い、いいトリオだと思った。
「身替座禅」
松也クンの山蔭右京は助六よりずっとよかった。おっとりと上品な色気があり、大きな体をした恐妻家ぶりの愛嬌もいい。勇んで出かける姿はちょっとうれし過ぎ、興奮し過ぎのようでもあったが、若い喜びがみられた。花子に会った帰り、ほろよい気分での花道の出を見られなかったのはすこぶる残念である。
亀三郎さんの奥方は変に作ることなく、年上女房の夫愛しさ、深情けといった感じで、好感がもてた。それと知らぬ右京に「今宵のことを聞いてくれるか」と言われ、襖をかぶって大きく頷いた時には玉の井がかわいそうになった。夫が嬉しそうに語る情事をどんな気持ちで聞いていたかと思うと同情せざるを得ないけれど、それすらも可笑しいのがこの狂言の面白さである。亀三郎さんの地団駄はキョーレツで、怒りの中にも情けないやら悲しいやらの表情がみられてまた同情したくなってしまう。
千枝の左字郎さん、小枝の隆松さん、どちらも可愛らしかった。
太郎冠者の松五郎さんの出来も見事だった。真面目で小心な太郎冠者、主人も怖いけれど奥方のほうがもっと怖いという感じがユーモラスで、いい太郎冠者だと思った。
幕のあと、拍手鳴りやまず、しばらくしてから松也クン1人が姿を現した。
来年がまた楽しみな「挑む」である。
<上演時間>挨拶5分(11301135)、「助六」16分(11351151)、幕間14分、抽選会15分(12051220)、「三人吉三」30分(12201250)、幕間30分、「身替座禅」55分(13201415

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コメント

来年はABをやめてこちらを見ようかなあ。
勘違いの通り金曜日歌舞伎座だったら夜行こうかな、なんて思いましたが…。

投稿: urasimaru | 2013年8月25日 (日) 16時10分

urasimaru様
来年はぜひ、ぜひ。「挑む」は第1回からどんどん進化していますが、小ぢんまりしたあたたかみは失っていません。演目は松也・國矢・左字郎・音一朗・徳松・松五郎・隆松のメンバーによる会議で決めているそうですが、それもこの公演のよさだと思います。
去年は狂言とのコラボに七之助さんをゲストに迎え、今年は亀三郎さん。来年はどなたがゲストで何をやるのか、楽しみです。

勘違いって誰にでもありますよねえ。でも、確かに逆でなくてよかったですね。

来年のAB、結局行くことになりそうな気もしますが、やっぱりちょっと考えてしまいます…。

投稿: SwingingFujisan | 2013年8月25日 (日) 19時45分

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