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2013年9月26日 (木)

笑いの後は涙の「沼津」:巡業西コース①

925日 松竹大歌舞伎巡業西コース千穐楽(川口リリア)
歌舞伎が地元に来てくれるのは、いつでも都内の劇場に見に行くことができる私にとっても格別に嬉しいことである。だから毎年、この9月の巡業がとっても楽しみ。ところが、なんとこの日は歌舞伎座も千穐楽。ジレンマの私が取った選択は――どっちも見る!! そして前日、リリアから歌舞伎座への経路と所要時間をシミュレーション。リリア終演が1730、第二幕の始まりが18301時間あれば余裕だとタカとくくっていたが、意外にもかなりギリギリだ。最悪幕開き後5分くらいしてからの着席となる。なんか色々考えているだけで面倒になって、いっそ歌舞伎座やめちゃおうか…でも、空席があったら一般販売即日完売になって歯噛みした方たちに申し訳ない…。ま、当日の気分に任せようという結論に達して、まずはリリアへ。そしたら、完全に気分が盛り上がって、結果、ハシゴ決行。
「沼津」
久しぶりにこってりした義太夫狂言を見たという感じ。
「棒鼻」はにぎやかな街道の様子がいい。少々忘れていることもあり、こんなに大勢人が往来してたんだっけ、とちょっぴり驚いた。茶屋娘に何度も礼を言って旅立つ巡礼夫婦(蝶之介、京紫)、わらじの紐が切れちゃう旅の男(吉五郎)、仲良く食事する身重の妻(京妙)と夫(吉三郎)、歌舞伎独特のスローモーな走りで道を急ぐ飛脚(蝶三郎)、村の女(京珠)と娘(京由。地元で京由クン、うれしい。やっぱり美形だ)。途中でごはんがのどにつっかえちゃう妊婦さんに和やかな笑いが広がった。
茶屋娘の米吉クンは甲斐甲斐しい様子が初々しい(米ちゃんのブログ、普段の家族仲好い様子が微笑ましいし、何と言っても超巨大写真が楽しい)。雰囲気もよく出ていた。
十兵衛(吉右衛門)と荷持安兵衛(吉之助)が出てくるとやっぱり舞台が華やかになる。吉之助さんは好きなので、安兵衛役は嬉しかった。ここは主従の人柄、温かい関係がみられて、いつもほっとする。
平作(歌六)が茶屋の裏側からのっそりと出てくる。あれ、そんなところに隠れていたんだっけ。このじいさん、したたか者ではあるけれども気はいい。そしてその裏にある秘密を抱えている。秘密の部分は終わりのほうになってからわかることだし、前半は平作と十兵衛のユーモラスな遣り取りに客席は何度も笑い声を立てる。通路を歩くサービスは私の席(かなりいい席だんだけど、コースから外れていた)からは2人の声がよく聞き取れず残念。
がらっと空気が変わるのはお米(芝雀)が十兵衛の印籠を盗もうとしてからだ。しかしお米のクドキはたいがい眠くなる。今日も…ごめん。
十兵衛が自分は平作の息子であると知った時から十兵衛の出立まで、私、涙が止まらなくなった。平作が不祥事を働いたお米に先立つなと釘を刺す場面もいつも泣かされる。十兵衛が呆れるほどの極貧生活の中で父娘が肩寄せ合って生きてきたことを思うと胸が詰まる。葵太夫さんの浄瑠璃が切なさを増す。
池添孫八(錦之助)の登場は毎度唐突感はあるが、錦之助さんの緊張感をはらんだ姿、動きがいい。出番は短いが、ラスト、火打石で親子の対面を照らしてあげる心遣いなど、優しい人柄が浮かび上がる。
そういえば、この芝居には悪人が1人も出てこないんだなあ。
ちなみに、「沼津」は確か前にも巡業で見たよなあと自分のブログで探したら、平成21年の巡業中央コースで吉右衛門・歌六・芝雀・歌昇(当時)による上演があった。しかもこの時が私の「沼津」初見だったらしい。――続く

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