こんな美術展が見たかった:「若冲が来てくれました」①
8月29日 「若冲が来てくれました」(福島県立美術館)
ずっと見たかったこの展覧会、もう終わってしまったと諦めていたら、福島では9/23までやっていると知り、9月になったら行こうと思っていた。ところが休暇中の娘がどうしても見たいということで向こうへ戻る帰国の前々日、急遽福島へ。
素晴らしい展覧会だった。
まずは美術館のロケーションが素晴らしい。後ろに広がる信夫山が心を大らかにしてくれる。タクシーを降りた途端、心をつかまれた。
そして中に入ると、プライスコレクションの作品の素晴らしさはもちろんだけれど、何よりも展示の仕方が素晴らしい。美術展でいつも残念に思うのは、解説がわかりにくいこと。作品名も、目にしてから自分の中で消化するのに時間がかかることも多々あるし、中に書いてあることがよく理解できないことはしょっちゅう。しかしこの展覧会は違う。
たとえば、「達磨遊女異装図」(竹田春信)。漢字で書かれているから絵と見比べて理解できないことはないが、漢字ばっかり並ぶと案外消化不良になる。それがこの展覧会では「<だるま>さんと<ゆうじょ>が着物をとりかえっこ」という題名になっている。一目瞭然ならぬ一読瞭然、子供でもわかる表現なんである。また、「岩から下をのぞくサル」とか「ハチを見上げるサル」と書かれていれば、これも一読瞭然。その原題は前者が「岩上猿猴図」(渡辺南岳)、後者はただ「猿図」(森俎仙)である。
絵を見て想像する楽しみが失われるという声もあるかもしれないが、私にはこのほうが絵の内容もわかりやすくてありがたいし、絵を見て楽しくなってくるのである。ただし、これは子供や展覧会に馴染みのない人にもわかるようにとのプライスさんの意向によるもので、そうそう簡単にどの展覧会でもできることではないそうである。実際、鑑賞している最中に聞こえてきた話声からは、展覧会をあまり見たことのない人もたくさんいるようであった。この展覧会は盛岡→仙台→福島と巡回してきたのだが、どの美術館もこれまでにない人数が鑑賞したそうである(この日も平日昼間、しかも地方の美術館でこれだけの人が、と驚くほどの盛況だった)。
久しぶりに気合が入って長くなったので、今はプロローグのみ。
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コメント
こんばんは。
この展覧会スケジュールが発表された時、福島へはほとんど行ったことがないし、観光がてら福島だ!と思っていたのに、ついに9月になってしまいました。でも、東京からは近いから、なんとか行きたいな、行けるといいな、です。
そんな絶妙なタイミングで(忘れるんじゃないよ、と)この記事がアップされて、嬉しいです。
投稿: きびだんご | 2013年9月 6日 (金) 23時46分
おはようございます。
お帰りなさい!!
お疲れでしょうからご無理はなさらないように。と言いながら、やっぱりこの展覧会はぜひご覧いただきたいですわ~。そして福島観光も。
私たちは展覧会だけゆっくり堪能して、あとは大急ぎで帰ってきたのですが、本当は温泉にでも一泊してもっと福島を見てきたかったのでちょっと残念です。
東京からだと福島はやまびこ/つばさで1時間半くらい。はやて/はやぶさは福島には止まりませんのでご注意を(老婆心です)。
投稿: SwingingFujisan | 2013年9月 7日 (土) 10時55分