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2013年12月23日 (月)

知られざる忠臣蔵3作②

1217日 (国立劇場)
「忠臣蔵形容画合(ちゅうしんぐらすがたのえあわせ)」
仮名手本の各段をちょっと違った角度から描いている。何の予備知識もなかったので、へ~こういう演目なのかと大変興味深かった。
まず、仮名手本の大序のように人形が口上を述べる。人形の顔は本家仮名手本のほうが愛敬があったが、「えへんえへん」には笑いが起きていた。口上は演者の名を述べないので、本家よりずっと簡単に終わった。
定式幕がゆっくりゆっくり開くと、二重舞台真ん中に高師直、平舞台に桃井若狭之助、判官が控えており、3人の前に三宝に載った龍頭の兜があるのは、兜改めが終わって直義が引っこんだ後と見える。3人とも頭を垂れており、竹本に合わせて顔を上げるのは本家と同じ。
おお、師直は又五郎さんだ(歌六さんに顔が似ていた)。堂々とした意地悪ぶりは「仮名手本」でも又五郎さんで見てみたいという気にさせた。若狭之助の歌昇クンはきりりと怒るのが青筋を立てたイメージでよかった。種之助クンの判官はちょっと子供っぽく見えたが、父子3人が揃った「大序 鶴ケ岡八幡宮社頭の場」は嬉しい。
さて、3人形よく決まるとさっと並んで座り、黒衣が色々やっている間に背景がかわり、3人引き抜きであっという間に奴に変身(「二段目 桃井若狭之助館の場」)。清元の語りに合わせた3人上戸、面白かった。
再び背景が変わり、清元登場。「三段目 足利門外の場」である。花道から矢絣のおかる(米吉)、上手から勘平(隼人)がやってくる。米吉クンはおかるのノー天気な感じがよく出ていた(この時、米吉クンの声はどうだっただろう。あまり気にならなかったところをみると、きれいに出ていたのかもしれない)。2人の邪魔をしにきた鷺坂伴内の吉之助さん、いい味を出していた。「仮名手本」でも伴内をやる時がいずれくるだろう。見たい!! 竹本と清元の掛け合いとなり、勘平が伴内を蹴倒し、2人は立ち去る。伴内は2人を追いかけ烏飛びで花道を引っこむが、この時手拍子が起きた。
「四段目 扇ケ谷塩冶判官館の場」では、顔世(魁春)が夫の刃傷の原因は自分が師直を振ったからだと悔やんでいる。魁春さんは品格の高さがあった。腰元役の廣松クンがすっごくきれいだった(正直、いつもと顔が違うように見えて、最初誰だかわからなかった)。腰元の芯としての格もあった。鷹之資クンの力弥は行儀よくきっちり演じられていた。ここは長唄で、長唄が引っこむと背景がかわり「五段目 山崎街道の場」となる。
珍しい歌六さんの早替り(斧定九郎→与市兵衛→斧定九郎)が見られた。歌六さんの定九郎を見ていると、歌六さんも二枚目だなあと思う。定九郎(歌六)が与市兵衛(吹替え)から50両を盗み、与市兵衛が倒れると、与市兵衛は掛け藁を頭にかぶって起き上がる。与市兵衛、猪に変身である(それらしく見えるから面白い)。定九郎と猪が一緒に踊るような感じなのも面白い。猪はトンボを切った後、定九郎に刺される。いっぽう、花道を引っこもうとした定九郎は七三で鉄砲に撃たれ、スッポンにて下がる。その間に舞台は「六段目 与市兵衛内の場」に。
与市兵衛と勘平が死んで14日、1人残されたおかや(東蔵)だが、悲しみの中にも元気そうに暮らしている。盆に当たるこの日、おかやは村の衆に得意の念仏踊りを教えている。村の衆の1人、狸の角兵衛が与市兵衛にそっくりだということから、「茶飲み友達に親父をもらう気はないか」と村人にからかわれる。その角兵衛が松江さんというのが面白い。
東蔵さんのくしゃみ踊りは上手でユーモラスでとても楽しかった。そういえば東蔵さんの踊りを見るのも珍しいかも。おかやは3人に踊りを教えるうちに腰を伸ばそうとしてぶっ倒れてしまう。3人に支えられて何とか座ると、勘平みたいに髪はざんばらになって、松江さんの角兵衛に手を合わせてもらう。死んじゃったわけじゃないよね。
浅葱幕が振りかぶされ、その前で太鼓持ちと仲居が見立ての相談をしている。みんなが浅葱幕の内に入り、竹本が出てくる。そして黒衣が登場し、柝を打ち、口上(「七段目祇園一力茶屋の場」をご覧に入れること、相勤めるのはおかる中村芝雀、寺岡平右衛門中村錦之助、語る太夫は竹本谷太夫、竹本幹太夫、三味線鶴澤寿治郎、豊澤長一郎であること)を述べたのは「人形振りにてご覧に入れまする」だからだった。
浅葱幕が振り落されると、人形の寺岡平右衛門(錦之助)とおかる(芝雀)について人形遣いが2人ずついる。場面は、平右衛門がおかるの命をもらおうとする理由を言い聞かせるところから始まる。おかるが覚悟したところで奥から「両人、早まるな」の声とともに吉右衛門さんの大星が出てきて人形振りは終わり。
人形振りは好きだし、形のきれいな錦之助さんと芝雀さんの踊りに見入った。12時から1620分と長丁場だったが、楽しかったので疲れなかった。
<上演時間>「主税と右衛門七」45分(12001245)、幕間35分、「弥作の鎌腹」90分(13201450)、幕間20分、「画合」80分(15101620

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コメント

東蔵さんは藤間紫さんの弟ですから踊りはきっと上手いはずですよ

その割には、歌舞伎舞踊への出演がないのは勿体ないと思います

12月は歌舞伎公演がすべて観られない寂しいうかれ坊主からでした・・・

投稿: うかれ坊主 | 2013年12月24日 (火) 01時30分

うかれ坊主様
そうでした、いつだったか藤間紫さんの弟さんと知りびっくりしたのをもう忘れていました。
そうですよね、あんなにお上手なのに歌舞伎公演で舞踊を見た記憶がありません。東蔵さんの踊りをもっと見たいと思いましたし、これからも見たいと思います。

12月の公演、お気の毒でした。海外にいらっしゃると色々ままなりませんものねえ。日本にいられること、そして東京公演は見ようと思えば全部見られることはありがたい、としみじみ感謝の気持ちが湧いてきました。

投稿: SwingingFujisan | 2013年12月24日 (火) 02時31分

Happy Christmas!

かなり評判がよかったのと、都合のよい日の2等A席がとれたのとで行ってまいりました。米くんが可愛くて、お琴も自分で弾いていて(隼人くんの鼓も本人でしたね)、贔屓目込みですが(笑)うっとりでした。
若者たちがいとおしくて切なくて、泣けました。
鎌腹は弟を思う兄の気持ちが心に沁みて泣けました。

最後の人形振り、とても楽しく拝見しました。後見さんに拍手!です。

「歌六さんも二枚目だなあと思う」←何をいまさらおっしゃいます!のからつぎでした。

投稿: からつぎ | 2013年12月24日 (火) 11時48分

からつぎ様
歌舞伎座とは一味もふた味も違う国立の忠臣蔵、面白かったですね。
米吉クンのお琴と隼人クンの鼓を聞いて、こういう楽器演奏の入るお芝居は二重に楽しめていいですよね。役者さんのほうはやっぱり緊張するのかな。

人形振りは後見さんの役割が重要ですね。人形遣いだけでなく、足踏みの後見さんも役者さんと息を合わせなくてはなりません。お名前は出ませんが、陰の立役者ですよね。

どの演目もとてもよかったので秀山祭にかかることを期待しています。

歌六さんのこと、失礼しました。二枚目だなあとあらためて思ったということです。最近老け役が多かったので二枚目だっていうことを少し忘れていましたのです(もったいないですよね、老け役ばかりじゃ)。すみませんbearing 

投稿: SwingingFujisan | 2013年12月24日 (火) 22時12分

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