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2013年12月18日 (水)

播磨屋若手を中心とした研修発表会

1214日 第12回伝統歌舞伎保存会研修発表会(国立劇場大劇場)
前売を買い損って諦めかけていたら、当日券を買っておいてくださるとおっしゃるご親切な方のおかげで、無事見ることができました。本当にありがたく、感謝感謝です。見終わってから、その感謝の気持ちはさらに大きくなりました。
本当にありがとうございました。
「ごあいさつ」
まず、保存会の方が保存会について簡単に説明をされた。伝統歌舞伎保存会は昭和401965)年31日に発足したそうだが、当初の会長が三世市川寿海と聞いて、寿海ファンだった(って言ったって当時のことはあまりよく覚えていないのだけど)私にはちょっと感慨深い思いが湧いた。昭和57年度から保存会の自主公演「葉月会」が開催され平成10年度の第17回まで続いた。その後平成11年度からは新たに「研修発表会」が始まり、今回で12回目を迎えるとのこと。
この後、吉右衛門さんの「七段目は私と芝雀さんが指導し、乗合船は勘祖さん、勘十郎さんのご指導をいただいた。お目まだるいところもありましょうが、ご鑑賞いただきたい」という挨拶があった。
「仮名手本忠臣蔵七段目 祇園一力茶屋の場」
由良之助が九太夫に蛸を食べさせられた後の場面から始まった。
仲居たちが一言ずつ喋ったあと、斧九太夫(吉三郎)が出てきて「主君の命日なのに精進もせず、蛸を食った」とバカ由良之助をバカにするセリフを吐いているところへ鷺坂伴内(吉六)がやってきて、2人で由良之助を悪く言い合う。と、ここが今回の始まり。
吉三郎さんは緊張していたのか、セリフがやや怪しい箇所もあったが、卑劣な小悪党九太夫の感じはよく出ていた。吉六さんは剽軽な部分と、伴内けっこう仕事をするなという部分とのバランスがよく、面白かった。
米吉クン(おかる)が二階座敷の障子をあけて最初に姿見せた時、おかあさんそっくりでびっくりした。元々おかあさん似なのだけど、この瞬間、おかあさんが出てきたのかと思うほど似ていた。米ちゃんは最初は手順通りな程度に見えたし、平右衛門と出会って互いを認め会った時の「面目ない面目ない」はもっと心が入るといいのにと思った。しかし、この後からぐんぐんよくなって、「殺さないで」と手を合わせる場面は哀れで泣けた。それから勘平の死を知った時の驚き・ショックがリアルな感じで又泣けた。ところで、おかるがハシゴを下りるとき、素足が見えるでしょ。米吉クンに限らず、あれを見るといつも「男の子(あるいは男性)だなあ」と思えてしまう…。
由良之助は歌昇クンの若さではやはりちょっと難しいかと思った。真っ直ぐすぎて、酔いの裏に心を隠しているのがあまり感じられなかったのは、歌昇クンのもつ若さの純粋さ潔癖さみたいなものが出てしまっているからだろう(それでいて若い色気もある)。また、とくに手紙の場面は手順でいっぱいなような気がした。一方で、九太夫に対する怒りにはこちらの胸をアツくするものがあった。策略なのか本当なのかという酔いの加減や奥行がこの年齢で出ないのは無理もないのであって、もっと年齢を重ねていけば、まろやかにそういう味が出せるようになると期待する。
種之助クン(平右衛門)が見事な出来だった。童顔だし、小柄だしどうかなと危惧したのだけど、全くの杞憂。下級武士らしさがよく感じられたし、妹思いなのが伝わってきたし、勘平の死をおかるに告げる場面では泣けた。妹思いでいながら、妹の首と引き換えに仇討に加わろうとする切羽詰った気持ちもよくわかった。動きにもキレがあって(いつも言うようだけど、容姿、動き、決めの形等々、又五郎さんによく似ている)、種之助・米吉の兄妹役で大いに物語が盛り上がったと思う。

「乗合船恵方萬歳」
蝶十郎さんの大工が苦み走ってカッコよかった。角兵衛獅子の蝶三郎さんは子供らしく見えて踊りも行儀よくキレがあった。白酒売の京蔵さんがさすがのうまさで、ほかに田舎侍(吉五郎)、門礼者(蝶八郎)、若旦那(蝶一郎)、芸者(春花)、通人(東志也)みんなそれぞれの感じが出ていて面白かった。
廣松クン(才造亀吉)はちょび髭をつけていて、わかっていてもちょっと見誰だかわからなかった。チャップリンみたいな動きもあって、ちょび髭をつけているからよけいチャップリンっぽかった。廣松クンは声がいい。
隼人クン(萬歳鶴太夫)は腰高が難点だが、見るたび進歩しているように思う。
この演目で私のツボは吉之助さん。吉之助さんの踊りを見ること自体初めてだと思うし、なんと女船頭お浪という女形で登場したのだ。女船頭らしく動きが大きくダイナミックな感じで、それでいてやわらかみもあるのはお顔がふっくらしているからだろうか。好きな役者さんの1人だが、こんな新たな面も見られて大満足。
<上演時間>「ごあいさつ」5分(18001805)、「七段目」70分(18051915)、幕間15分、「乗合船」43分(19302013

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コメント

観ることができて本当に良かったですね

NHKの「ニュースウォッチ9」で先日吉右衛門さんの特集があって、この公演の若手への指導の場面が映し出されておりました(ご覧になりましたか?)

稽古の場面はOKなんですけど、実際の舞台となると海外からは観られなくなるのですよね~(放送権の関係で静止画面になってしまいます)

その点は残念でしたが、吉右衛門の思いと歌昇さんの思いがそれぞれインタビューで拝見することができましたので良かったです

投稿: うかれ坊主 | 2013年12月19日 (木) 10時38分

うかれ坊主様
ありがとうございます!!
この公演、見られなかったら後悔するところでした。
ニュースウォッチは翌日になって知りましたcrying 残念で残念でなりません。
海外での放送にはそういう事情があるのですね。知りませんでした。ニュースでなく、古典芸能関係の番組でやってほしいですね。
播磨屋で修業を積んでいる若手はぐんぐん伸びていると思います。吉右衛門さんは以前、別に血筋にこだわることなく播磨屋の芸を受け継いでくれる人がいればいいとおっしゃっていたので、指導にも熱がこもるでしょうね。歌昇クンはまず襲名で成長したと思います。襲名が役者に与える自覚・力がどんなに大きなものか、改めて認識しました。

投稿: SwingingFujisan | 2013年12月19日 (木) 16時52分

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