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2014年1月20日 (月)

第13回研修発表会①:名題下役者さんは実力派揃い

118日 第13回伝統歌舞伎保存会研修発表会(国立劇場大劇場)
やっと大仕事が終わり、これからこの大仕事のために待っていただいていた仕事に取りかからねばならないのだけれど、どんどん感想がたまっていってしまうので、久しぶりに観劇記を。たまりついでで、新しいところからいきましょう、というわけでまずは研修発表会を。今回は前回のような挨拶はなく、いきなり演目に入った。
「廓三番叟」
この演目の最新の記憶は萬屋一家で踊った2010年の巡業。時さまが演じた傾城千歳太夫を弟子の竹蝶さんが演じるというのが個人的な眼目だった。竹蝶さんと新造の松男さんがしずしずと下手から登場する。竹蝶さんは最初緊張しているように見えたが(正直、こっちがどきどきしていた)廓模様になってからは踊りを楽しんでいるような余裕が感じられた。竹蝶さんは普段可愛らしいけれどわりとおとなしめな印象なのでちょっと心配したけれど、意外にも(失礼!)華やかさがあって、また小柄ながら新造との位の差もみられて大きさがあり、ほぉ~っと感心した。おっとりしたところが案外傾城っぽいかも、と思った。
松男さんは小柄で愛らしく、しかも色っぽい。のびのびとキレのある踊りは魅力的だった。
幇間は巡業では1人だったが今回は松悟さんとやゑ亮さん。楽しそうに踊っていて、こちらも楽しくなった。
後見は21期研修生。まだ本名での舞台だが、きびきびと先輩の支度を手伝って、いい勉強になったのではないだろうか。
「弁天娘女男白浪」
「挑む」メンバーの音一朗さんが弁天ですもの、期待しないわけがない。そして音一朗さん、まさに期待通りの素晴らしい弁天だった。
振り袖姿は、大柄なのとお顔が美形ではあるけれどもややごつさがあるのでちょっと惜しいと思っていたが(「ぴんとこな」の中山優馬クンみたい。いや、優馬クンよりはやわらかさがあった)、正体を現してからはもう音一朗・弁天の世界。<女装の美少年>は顔も美形(ほんっと、イイ男)、声もきれいで、声は菊之助さんに似ている。でも姿(動きからくる姿なのかな)には菊五郎さんがちらちら。体形的には菊五郎さんと全然違うのに、これは面白いと思った。
相棒の南郷力丸は咲十郎さん。南郷を指導したのは松緑さんだと思うのに、こちらには左團次さんがちらっと見えたのは、私の中で菊五郎×左團次のイメージが出来上がってしまっているせいかもしれない。若党役の時には武士らしさが板についてとても立派だったのに、正体がバレた途端に不良少年の本性を出す巧さ。若いだけにワルぶりが似合う。勢揃いの場でもそうだが、繊細な荒っぽさ(変な表現だけど、ただの荒っぽさじゃない)が咲十郎南郷の魅力。とにかくカッコよくてカッコよくて(今ごろ、気がついたの?って言われそう)
浜松屋を後にした2人の花道でのやり取りは大好きな場面だが、今回も満足のいく空気が2人の間に漂った。ああいう自然な空気っていうのは普段も仲がいいんだろうなあと思わせられる。

鳶頭の音蔵さん、とてもとても若いけれど(廓三番叟の後見役の皆さんの1期先輩ですもの、若いわけだ)、威勢のよさが鳶頭にぴったり。イケメン、鯔背でかっこよい。この役はどなたがやっても何かひっかかるものがあるのに、若い威勢が合っていたのか、納得の鳶頭だった。
番頭の音之助さんはリアルに番頭らしさがあって、巧い。首をちょっと前に出して背中を丸めた姿には愛敬があり、コミカルさも自然でよかった。
浜松屋幸兵衛の音二郎さんは顔は若いが主人らしさがセリフに漂っていた。幸兵衛には恐らく指導役であっただろう彦三郎さんの姿が見えた。倅宗之助の音三郎さんは出てきた時はちょっと違和感があったが、だんだん宗之助その人に見えてきたのは演技の力というものだろう(音羽屋さん、役者層厚い)。
オオカミの悪次郎の八重之さん、目つきのワルさがハンパでなく、強烈な印象を残した。悪次郎は勢揃いの場では忠信利平に変身。ニヒルな凄みに、ああ忠信利平ってそうなのかとあらためて感じ入った。
玉島逸当(日本駄右衛門)の茂之助さんは堂々たる大きさで、やっぱり指導者の團蔵さんの姿が垣間見えた。大柄で声が太く、勢揃いでは白浪人生が表れているなあと思った。
赤星十三郎はみどりさん。転落してワルい人生を辿ってきた悲しみというか憂いのようなものがやわらかな物腰の中に感じられた。
こうして見てくると、名題下の役者さんが演じることによって、意外にも役の性格がはっきりわかるような気がした。1回勝負だから100%の力が出るのかもしれない。しかし1回勝負の重圧に負ける可能性だってあるわけだ。これだけのレベルの芝居を見せてくれたのはやっぱり実力だろう。御曹司たち、うかうかしてれられないぞ、と思った。

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