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2014年1月 8日 (水)

めでたく楽しく初芝居:「三千両初春駒曳」

18日 「三千両初春駒曳」(国立劇場大劇場)
仕事がいよいよ泥沼化というか底なし沼化してきて(そんなこと言ったらバチがあたる)、せっかくの初芝居も感想がいつになるかわからない状態になりそうなので、ともかく今回は簡単にでも思ったことを勘定書きにしてみます。
14010801kokuritu_2 ・開演前の舞台は緞帳でも定式幕でもなくてこんなふうになっている(写真)。開演すると、場内が真っ暗になり(「しばらくお席にご案内できません」から、くれぐれも遅刻なさらないように)、やがて白い馬が明るく浮き上がって、きらきらと金の紙ふぶきが舞い落ちてくる中、馬は上手上方へ飛んでいく。

・開演前に少し時間があったので、前半の粗筋を読んでしまった。通常、初めて見るものは筋を知らないまま見たいのだけれど、今回は読んでおいて正解だったかも。
・信孝に三法師、柴田に真柴、「清須会議か」、とまず思った。
・松也クン、亀三郎さんの出番が多い(とくに前半)のが嬉しかった。この2人、いつも意外と出番が少ないのよね。
・團蔵さんが真面目な善人側(善悪で分けられないとは思うんだけど、芝居の性格上便宜的にそう言わせてもらう)の役だったのも嬉しい。もちろん、團蔵さんの軽妙なおどけも、悪役も大好きなのだけど、こういう團蔵さんもたまには見たいじゃない。もっとも、しばらくはこの人、本当に善人側なのかって疑ってしまったけれど(悪役イメージつきすぎ)。
・菊五郎劇団の初芝居はチャリ場が楽しみだし話題性もあるのだが、今回はチャリ場はほぼなし。それでも筋の面白さ、セリフの面白さ、登場人物の性格の面白さなどで、くすりと笑える部分がけっこうあった。私は、序幕で、高麗国の姫君・昭菊皇女(菊之助)が、浜に漂着した日本の漁師網作・実は小田家の家臣小早川采女(松也)を口説く場面で笑った。昭菊皇女は日本で言えば赤姫でしょう。赤姫の恋に対する積極性がそのまんま表れていて面白かったのだ。兄の勧める政略結婚がイヤだと言う昭菊皇女。兄にさからって一緒になってはその兄の怒りが怖いと言う網作。すると二人の縁は天が決めたこと、それに逆らったら天罰が下る、って脅かすんだもの。しかし、菊之助・松也のカップルは体形的にも合っていて美しい。
・もう1人の漁師・綱蔵(亀三郎、やはり実は小田家の家臣宅間小平太)が網作(綱蔵に網作…はは)に「昭菊皇女は縁談がイヤで男とみれが誰彼かまわず声をかける」とウソをつくと客が笑った。網作も「よくよく考えれば姫君が漁師風情に惚れるわけがない」と納得(そんなことない、昭菊皇女は本当にあなたが好きなのよ)。
・菊五郎さんの信孝は、家督相続に興味なく遊興三昧の鷹揚・駘蕩感がぴったり。それでいてその本質は鋭く聡明であるという点も人物の大きさを見せてよかった。四幕目「馬切り」の場で、真柴久吉が用意した小田信長追悼の3000両を信孝が「三千両、廓の遊興にワシが使う」には客席から笑いが起こったが、いかにもこの人物らしい、そして菊五郎さんらしいセリフまわしがウケたんだと思う。

・「馬切り」の場は、レオン・パパさんが「鈴が森」のパロディだと教えてくださったが、五右衛門の手下たちが雲助で、信孝が白井権八。立ち回りの趣向が面白かった。たとえば、でんじろうの空気砲、ブレイクダンス、胴体切りのイリュージョン(お見事)等々。橘太郎さんの馬方弥陀六がいい味出していた。「やられたらやり返せ、倍返しだ」のセリフは橘太郎さん。ほかに流行語としては「じぇじぇ」が使われていた。
・菊之助さんは昭菊皇女、その昭菊皇女が扮する仲居おきく・関白兼房御台菊の前、大工与四郎と色々演じ分けで大活躍。
・松緑さんと時蔵さんが夫婦というのはどうよと思わないではなかったが、意外と違和感なかった。松緑さんの柴田勝重に「あなたが夫だ」とかき口説く時さま、きれいだった。
・松緑さんの勝重はいわゆる悪役とは違う、勝重なりの理論で行動していることが久吉側からみれば悪役になってしまう感じだなと思っていたら、筋書きの松緑さんのコメントにもそう書かれていた(「清須会議」ではその辺がコミカルにデフォルメされていた)。
・権十郎さん、萬次郎さんの使い方がもったいない。竹松クン、萬次郎さんによく似ている。
・どのくらい前からだったか、失礼な言い方ながら彦三郎さんのうまさがとても気に入っている。今回も出番は少ないながら、その人物がわかるし、芝居が締まると思った。
・時蔵さんの久吉は私にはちょっと衝撃的。これまで時さまの立役というと、やさしいおっとりした二枚目顔だったが、久吉はくっきりと男らしい化粧で、顔が錦之助さんかと見紛うほど似ていて、時さまに見えない。声も時さまの声なんだけど、久吉の顔に合っていて、ステキだった。
・大詰で田之助さんがお元気そうに出ていらして、嬉しかった。
・大詰は最年長田之助さんと最年少大河クンが同じ舞台に出ていることに感銘を受けた。大河クンは長くてむずかしいセリフを上手に言えた(だけでなく、幼いながら三法師の位というものを感じさせた)。大河クンのセリフの間、客席がし~んと聞き守っているというのか見守っているというのか、セリフが終わると大喝采。
・手拭撒きは、亀三郎さんの遠投がなかったので、私としてはイマイチ盛り上がらず(毎回、遠投楽しみなんだもの)。ツイッターで「飛距離が伸びない」と言っていたのは、今回の手拭が千両箱スタイルになっていたから?
・帰りの半蔵門駅で、菊十郎さんをお見かけした。思わず声をかけそうになったけど、電車が来るところだったので…。
<上演時間>序幕・二幕目60分(12001300)、幕間35分、三幕目45分(13351420)、幕間15分、四幕目15分(14351450)、幕間10分、大詰60分(15001600
・国立劇場は開演が12時というのがありがたい。朝が苦手の主婦にとって、1時間遅いのは本当に助かる。
・幕間35分もゆっくりできる。
・ロビー等の食事するスペースに余裕があるのが嬉しい(歌舞伎座は本当に困るのよ)。

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コメント

私も今年の観劇始め(ただし歌舞伎の)でしたが、そこでSwingingFujisanさまにお目にかかれて、春から縁起がいいですわwink
私なんか3列のセンターだったのに、手拭いが避けて飛んでったから、がっかり。遠くなら諦めもつくのになー。アピール不足かしら。
そうそう、真柴久吉の時蔵さん、錦之助さんかと思ってしまいました。今まで立役の時、あんまりそんな風に思ったことないのに。
隣のお一人でいらしてた素敵なおばあさまが、松也くんと梅枝くんに注目してらっしゃったんですよ。どなたかしら?と聞かれたので、教えてさしあげました。やっぱり「美形好き」よねsign03

投稿: きびだんご | 2014年1月 9日 (木) 23時13分

きびだんご様
ほんと、偶然にも同じ日を取っていて(席種は月とスッポン、雲泥の差でしたけれどbleah)、こいつぁ春から縁起がいいわ、でした。
手拭、残念でしたね!! なまじ飛んでくる範囲だと、残念度が高くなりますよね。ましてや今年の手拭はいつもとは違うようですから、なおさら。
時さまの久吉、きびだんご様も錦之助さんかと思われましたか。やっぱり兄弟ですねえ。これからもあんな化粧の立役ならもっと見たいですわ。
役者はまず声、と私は思っているのですが、おきく様は別格として松也クンも梅枝クンも顔・声2拍子揃っていますよね。贔屓の役者さんに注目していただけるのは嬉しいですねhappy02

投稿: SwingingFujisan | 2014年1月10日 (金) 01時32分

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