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2014年2月23日 (日)

見心地良い「白浪五人男」

222日 「青砥稿花紅彩画」
3日に昼夜通しで見て以来の歌舞伎でもあり、夜の部でもある。
家に居続けると出かけるのが億劫になるのだが、ひとたび歌舞伎を見ると、面白くて、又すぐに見たくなってしまう。「なんて見心地いい芝居だろう」と思うんだもの。感想は前回とあまり変わらないけど、今回の分として。
登場したとたん、そこに花が咲いたかのような可憐さと儚げな気配を漂わせた千寿姫(梅枝)にははっとしたし、信田小太郎実は弁天小僧(菊之助)の水もしたたる上品な美しさには千寿姫ならずともうっとりする。
菊之助さんの弁天はまさにはまり役、やわらかな美しさの裏にある悪の心がちらっと表情に出るときがとくに魅力的だった。
松緑さんの南郷は、浜育ちの荒々しさの中にも優しさが感じられ、また痩せたせいかシャープな陰影が魅力的。松緑さん、遅ればせながら松尾芸能賞優秀賞、おめでとうございます!!
七之助さんの赤星は、やむにやまれぬ事情で盗みを働いて、一度は捨てかけた命を日本駄右衛門に預けたことに悔いはないが、どことなく哀しげなのが魅力的。
染五郎さんの駄右衛門は前回も書いたが、確かにちょっと線の細さとか若さとか弱い部分はあるものの、5人男の親分としての華は十分あったと思う。大きく見せる努力も買いたい。
5
人の誰もが魅力的だったが、私のイチオシは亀三郎さんの忠信利平。とくにセリフがよくて、一言一言に引き込まれた。千寿姫と小太郎の危機を救って茶屋から出てきた亀三郎さんは笠の中で喋る声が低くてよくとおり、その丁寧な発声はおとうさんに似ていると思った。松緑さんとの立ち回りはカッコよかった。
5
人がアウトローであるにもかかわらず、観客の共感を得て粋・魅力的に見えるのは、やはり黙阿弥の筆の力によるものだろうが、それぞれの人物像を目の前に見せてくれる役者の魅力がなければありえないことだろう。そういう意味でも、5人は素敵なアウトローだった。
丁稚の大河クンは愛らしいだけでなく演技がしっかりしていて感心する。歌舞伎調の発声もできていて、うまい。番頭の橘太郎さんとの争いでは、くるくる回り、最後はポーズを決めると、橘太郎さんが金メダルをかけて「羽生選手~」。回り舞台で見えなくなるまで、番頭を足の下に押さえ込んでの見得を崩さなかったのも立派だった。ちなみに、番頭が女装した弁天の好きな役者を当てる場面、松緑さんの名を挙げるのに「ご子息の大河さんも舞台に出ておられる」と前置きをつけていて盛大な拍手を受けていた。
若手を支えるベテランたちの存在感は圧倒的。とくに團蔵さんの浜松屋幸兵衛には泣かされた。蔵前の場では、あまりの経緯に場内爆笑に近い笑いが起きたが、私はなんだか泣けて泣けてしょうがなかった。ここで笑いが起きるのはまあしょうがないかなとは思うのよ。私も笑いたい。今までは笑っていたかもしれない、でも今回は泣けたのよ。喧嘩の混乱の中で我が子を見失った親の心情が切々と響いてきて、笑えなかったのだ(「逆櫓」を思い出してしまったこともあるかも)。
笑うといえば千寿姫が赤星に死の道連れを願う場面でも笑いが起きたのはよくわからない。ほかにもよくわからない笑いはあったが、きっと思いもかけない展開になった時に笑っちゃうんだろうな。
大屋根での立ち回りは実に見ごたえがあった。前回は3階、今回は1階席だったが、この場面は遠くても下から見上げたほうが迫力があるかも、と思った。弁天の最期はいつも悲しい。

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