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2014年3月 4日 (火)

3月歌舞伎座昼の部

33日 鳳凰祭三月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
なぜ初日じゃなくて2日目を取ったんだか覚えていない。初日は日曜日でチケット難しいと考えたのかも。
「壽曽我対面」
芝雀さん(大礒の虎)の色気にどきっとした。
梅丸クン(喜瀬川亀鶴)がきれい。ひときわ顔が小さいけれど、見劣りしない堂々ぶりだった。梅丸クンは声がやや出しにくそうだったが、顔に似合わぬ落ち着いた声は好きだ。
児太郎クン(化粧坂の少将)は華もあるし、だいぶ頑張っていたと思う。おとうさんが大変な時だから、大いに成長してほしい。
梅玉さんの工藤は憎々しさが不足していてニンではないかもしれないが、包容力が感じられて私は嫌いではない。
魁春さんの舞鶴も好きだ。変な言い方だけど、魁春さんは舞鶴、芝雀さんは虎であってその逆ではない、と2人を見ているとつくづく思う(時蔵さんも舞鶴、福助さんは虎。というニンなのだろう)。
橋之助さんの五郎からは怒りとか力強さがあまり伝わってこなかった。特に、形を決めてじっとしている時に心が入っていないのか疲れているのか、精彩を欠いているような気がした。
全体に、わりとさらっとしていて、やや盛り上がりに欠けたように思った。
「身替座禅」
とにかく面白かった。ウケを狙わないでもこれだけ笑えて楽しい気持になれるのだ。
山蔭右京という人物はどうかするとバカっぽく見えることがあるのだが、菊五郎さんの右京には女にモテるなりのカッコよさとか色気があった。
吉右衛門さんの玉の井が可愛い。体は大きく「怖い山の神」かもしれないけれど、化粧もごく普通で、控えめでしっとりしていて、わざと面白可笑しくなどしていないのに可笑し味が感じられる。声も女形風にしていたが、もともと高い声なので違和感なく耳に入ってきた(右京の企みを知って、太郎冠者のかわりに座禅しようと、太郎冠者に向かって自分に衾をかけてくれと頼み、断られた時だけ「手打ちにするが大事ないかやー」の太字部分だけ男の声で凄んでいた)。はじめ、右京が寺参りの旅に出たい、1年も2年もかかると言った時のキッチー・玉の井の悲しそうな顔、ああ本当に右京さんを愛しているのだと、胸キュンとなってしまった。
まさか衾の中の人物が入れ替わっているとは知らず、得々と逢瀬を語る右京が太郎冠者だと思って玉の井の頭を扇でぽんと叩く(父親が岳父の頭を叩いてる~。吉右衛門さんが叩かれるなんて!!
又五郎さんの太郎冠者がまたよかった。奥方は怖いけれど、同じ男同士、一晩抜け出せることになった嬉しさはよくわかる、主人の喜びは自分の喜びでもあるという忠実さ、好人物ぶりがよく感じられた。そして奥方がまさかの見舞に来てしまい、さあいつバレるかと震える気の小ささ、そういうところも好もしい。結果としてご主人を裏切ることになってしまったが、命あっての物種だ、やれやれな感じで引っこむのが面白かった。
千枝(壱太郎)、小枝(右近)のバランスがよかった。とくに右近クンの精進ぶりに感銘を受けた。

「封印切」
言い訳するようだけれど、ここのところ自宅にいてもこの時間帯眠くて、用心していたのにやっぱりお昼寝タイムになってしまった。ほんと、申し訳ないし、もったいないことをした。だって、藤十郎一家に松嶋屋兄弟が揃った本場の上方芝居なんだもの(もっとも、藤十郎さんに言わせると、翫雀さんも扇雀さんも東京の人間になっているそうだけれど)。
ところどころ意識が戻った時の感じで言うと、扇雀さんがきれい。痴話げんかはなんと他愛ない。翫雀さんの八右衛門は例の口調でよく喋っているなあとうっすら思った。これまでの八右衛門はカッコよすぎて私が梅川だったら忠さんじゃなくて八っあん(江戸っ子じゃないし)になびくわ、ということも間々あったのに、この八右衛門が本当なのかもしれない(ちゃんと見ていなかったくせに、こんなこと言っていいのかな)。
そして気がついた時には、小判がちゃりちゃりいっていて、藤十郎さんの「どうだ」半分「大変なことをした」半分のような表情が目に入ってきた。

この芝居の面白さはなんとなくわかってきたような気はするけれど、やっぱりまだちょっと苦手だ(どんな名優がやっても忠兵衛みたいなタイプが好きになれないんだと思う)。
京由クンと春希クンが仲居で出ていたのが眼福。
「二人藤娘」
場内、真っ暗になり、ぱっと明るくなると、舞台中央に七之助さんがいた。ふと気がつくと、花道には玉三郎さんが(私の席からは花道はほとんど見えないので)。七之助さんは白地に、玉三郎さんは黒地に藤の花の模様の着付。あでやかな2人の着付は藤の大木の陰に引っこむたびに引き抜かれて、美しい対照を見せたり、お揃いの藤色になったり。
2
人のバランスがとてもよく、顔も似ていることから双子のように見えながら、若木の瑞々しい硬さ(踊りが硬いんじゃなくて)と、1度や2度は花を咲かせた余裕の違いがある。玉三郎さんは動きが以前ほどではなくなったような気もするが、とにかくビジュアルがめちゃくちゃきれい。踊りとしては、二人道成寺のような1人が2人、2人が1人といった妖しい美しさというよりは、若い明るさを感じた。そりゃあ、藤娘と道成寺じゃ内容が違うから当たり前といえば当たり前なんだけど、藤の精の切々とした心情みたいなものが私にはあまり感じられなかったのは、ただただ見惚れていたからかもしれない。
<上演時間>「対面」48分(11001148)、幕間30分、「身替座禅」56分(12181314)、幕間20分、「封印切」80分(13341454)、幕間20分、「二人藤娘」22分(15141536

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コメント

私は初日に参りました。
特に、『身替座禅』の感想が、SwingingFujisan様と全く一緒で嬉しいです! 吉右衛門丈が「わざと面白可笑しくなどしていないのに」怖くもあり、可哀想でもあり…、というところとか、「かやー!!(唸り)」が1回だけなのに、むしろそれが印象的なのとか。そして、又五郎丈の太郎冠者が良かった♪とか…。すべて代弁していただいた居るようで、ずーっと相槌うちながら拝読しておりました!
できればもう1回観たいくらいですー。
吉右衛門丈の玉の井さんは、怖いだけでなくって、どことなく「可愛い」かんじが強かったのが、とても意外でした(笑)。

投稿: はなみずき | 2014年3月 9日 (日) 20時36分

はなみずき様
こんばんは。コメントありがとうございます。
そういえば初日は日曜日で、混むかと思って私は外したのですが、お勤めの方にはいい初日でしたね。
はなみずき様も同じご感想とのこと、私も嬉しいです!! 吉右衛門さんの玉の井、本当にステキでしたね。最近はあまりわざとらしく作らず自然に演じていらっしゃる方が多いように思いますが、その中でも吉右衛門さんは力まず自然な感じに感銘を受けました。熊谷とか弁慶とか、あの吉右衛門さんがこんな変身を見せてくださるなんて、今月は得したなあと思いました(できたら私ももう一度見たい!!)。
はなみずき様ご贔屓の又五郎さん(私も大好きです)も、太郎冠者の愛敬・悲哀がにじみ出ていてよかったですわ~。この「にじみ出る」のが、私が又五郎さんを好きな理由の1つです。

投稿: SwingingFujisan | 2014年3月 9日 (日) 21時43分

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