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2014年4月 6日 (日)

3月南座昼の部

325日 三月花形歌舞伎昼の部(南座)
すっかり間が抜けちゃったけれど、自分の記録・記憶として外すわけにはいかない南座、簡単に。
「吹雪峠」
3
度目。見るたびそう思うのかもしれないが、ストーリー、33様の心の動きがわかりやすく、今回が一番面白かった。
おえん(梅枝)は出てきただけでやくざの兄貴分の女だという貫目、ちょっと崩れた色気がある。助蔵(松也)の目の中には怯えがあり、居直った感じのおえんとは対照的である。この2人の間には兄貴の女と弟分という上下関係のようなものが決して消えることなく存在しているように見えたのがよかった。
亀三郎さん(直吉)は出てきた時からすっごくかっこよかった。おえんが助蔵に口移しで薬を飲ませる場面では客席から笑いが起きたが、直吉の気持ちを考えたらどうして笑えようか(ちなみに、この場面、梅枝クンのほうが下になっていたような気がしたが、それでは飲ませられないのではないだろうか。あるいは私の見間違いかしら)。おえんと助蔵が互いに罵り合う場面では失笑が起きた。確かに、失笑に値する醜さだと思うが、この時の直吉の悲しげな顔にははっと胸を打たれた。吹雪の中に飛び出していく直吉の哄笑にも悲しみが籠っているようで、心が痛んだ。
残された2人の表情も、この後の成り行きを色々に想像させて、後を引いた。
亀三郎さんの股旅姿は実によく似合っていて、忠太郎を亀三郎さんで見たい!!と思った。
「素襖落」
大らかで明るい好人物である太郎冠者に松緑さんはぴったり。その目がとてもきらきらしていたのが強く印象に残った。色々面白い場面もあったが、超早起き、朝食抜き、なので幕間にお弁当を半分だけ食べたのが敗因。いいところで眠くなってしまった。
新悟クンは声がきれいで姫御寮らしさが出た。
「与話情浮名横櫛」
東ではおとうさんが切られお富、西では息子が本家お富。若いお富であるが、これが実にはまっていた。「見染め」の場でも土地の親分の妾という退廃的な風情がよく、「源氏店」でも「婀娜な姿のお富さん」であるのが、この先当たり役になるであろうと期待させた。
菊之助さんの与三郎は、武家の出で大店の若旦那でありながらわざと放蕩をしている事情がぴったり。「源氏店」で、多左衛門に「わっちゃあお富の兄でござんす」と名乗るセリフはお父さんそっくり。出会った時は人の妾だったから仕方ないが、命がけで恋していた自分を忘れてまた妾なんかになりやがってと責める与三郎。これには訳があってと聞いてほしいお富。2人のやり取りには緊迫感があって、多左衛門とお富は本当は兄妹なんだから何にもないとわかっているこちらは、菊ちゃん聞いてあげて、わかってあげてと心の中で仲裁に入りたい。それだけに、誤解が解けて2人が抱き合う場面は感動的だった。
橘太郎さんの藤八はうまいし、いかにも江戸の匂いのする番頭を自在に演じていたが、可笑し味という点でやや物足りなさを感じたのは松之助さんの印象が強すぎるせいだろうか。
團蔵さんの蝙蝠安は小ずるそうなチンピラで、藤八には大声で脅し、お富には卑屈に迫り、小悪党こうあるべき、な感じでとてもよかった。
彦三郎さん(多左衛門)はセリフがちょっと怪しかったが、お富を囲い者として守る兄の愛情・大きさが感じられた。
東京の花形歌舞伎でもぜひかけてほしい演目だ。
そうそう、昼の部は上手側の前から2列目で、菊之助さんと松緑さんが舞台から階段を下りてきたところがバッチリ目の前。眼福眼福。
<上演時間>「吹雪峠」30分(11001130)、幕間30分、「素襖落」55分(12001255)、幕間30分、「与話情浮名横櫛」85分(13251450

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