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2014年4月 8日 (火)

3月南座夜の部

325日 三月花形歌舞伎夜の部(南座)
14040801minamiza 顔見世以外の南座は今回が初めてで、顔見世の雰囲気とはずいぶん違うものだなあと実感した(顔見世は京都という町にとっても格別なものに違いない)。初めてといえば、昼の部に1階席に座ったのも初めて、そして舞台写真入り筋書きを買ったのも初めて(顔見世は月の前半にしか行かれない。今回は写真入り筋書きを狙ってこの時期にした)。夜の部は3階席だったが、がらがらといってもいいくらいの入りで、2階も見える範囲では空席が目立った。昼の部は上の様子はまったくわからなかったけれど、どうだったのかしら。それにしても南座の3階席は狭い。隣が外国人のカップルで、とくに男性は長い脚を窮屈そうにやや斜めにして、気の毒だった。
「御摂勧進帳」
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度目。前回は「色手綱恋の関札」も上演されたが、今回は「暫」と「芋洗い勧進帳」のみ。どちらも単純明快、わかりやすくて楽しめた。
「暫」は、公家たちが咲十郎、八大、松五郎、茂之助と、普段なかなかこういう役では見られない顔ぶれで嬉しかったし、非常に面白かった。咲十郎さん、八大さんはすっとぼけた味が自然でうまい。松五郎さん、茂之助さんはおとぼけというよりは凄みで熊井太郎を脅すのだが、最後はへなへなに。松五郎さんが「♪京都にいるときゃ~♪」と唄えば茂之助さんが「誰が作った?」。その答えは「ゴーストライター」。また「(熊井の)衣裳はどこで作った?」との茂之助さんの問いに「ユニクロ」と答える松五郎さん。私には普段超真面目でお堅いイメージがある2人だから、そのギャップにウケた。
彦三郎さんの是明君は公家悪の大きさが安心感を与える。
松也クン(音羽丸)は身体が大きいのに童子っぽく見えてかわいい。声も高くてよく響き、きれいだった。
松緑さんは拵えが実によく似合って、大らか豪快、稚気たっぷり。権十郎さん(稲毛入道)や萬次郎さん(女鯰若菜)を軽くあしらう様も堂に入っている。朝日の宝剣が行平(巳之助)の手に渡ったところで、松緑さんが「当月は巳之助さん、廣松さんが南座初お目見え」と紹介し、よよよいよよよい~~で客席も一緒に手締め。キレのいい幕外の引っこみに大満足した。
「芋洗い勧進帳」では、まず橘太郎さん(新庄鈍藤太)、辰緑さん(出羽運藤太)の空気感がいい。梅枝クンは上品で主君としての風格があり、義経のニンであると思った。いずれ本家の勧進帳でも義経を演じるようになるのではないだろうか(期待を込めて)。
團蔵さんのいかにも憎々しい斎藤次祐家に対し、亀三郎さんの富樫はきりっとして爽やかで、声よし滑舌よし、捌き役としてもぴったり。義経一行に対する思いもよく感じられた(斎藤次が上手へ去った後、鷲尾三郎役の亀寿さんとアイコンタクトがあったように見えた)。こちらも本家勧進帳での富樫を見たいし、先代萩の細川もぜひやってほしい。
弁慶の松緑さんはここでも荒事の稚気、大らかさ、明るさ、豪快さで楽しませてくれた。

「京鹿子娘道成寺」
菊之助さんの花子は玉三郎さんみたいに、鐘への意識を常に表に出すタイプではなく、明るく華やかに見せて、ふと悲しみを込めた鐘への恨みをこちらに意識させるような感じであった。そして踊りは上品かつ表情が(顔の表情じゃなくて、踊りの表情が)豊かである。きれいでずっと見ていたい、と見惚れているうちに、衣裳が鱗文になり、鐘にのぼって幕。
余韻に浸っていたかったが、その余裕もなく、一路家路へ(そのために、通路際の席を取った)。道成寺は、思ったことを何点かメモしておいたのにそれが見つからず、覚えている範囲で少しだけの感想になってしまった。
<上演時間>「暫」55分(16001655)、幕間30分、「芋洗い勧進帳」55分(17251820)、幕間30分、「道成寺」65分(18501955

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コメント

京都遠征お疲れ様です 羨ましいですね
でも行けるときに行っておかないと
あとで後悔しますものね
行動力に脱帽です
でもやっぱり羨ましいです!

京都(関西)では「プログラム」「筋書き」のことを「番付」というのですよね
窓口でこの言葉を聞く(表示をみる)と関西まで来たのだと実感したものです

菊之助はお父さんと一緒でお富もできるのでそちらも観たいですね(演じてましたっけ?)
他で言えば、十六夜に清心、お軽に勘平、三千歳に直次郎といずれもできると思います
若いうちに女形の方をできるだけ早く演じてもらって、立役はあとからでもできるので後回しでも良いように思いますが、こんなことを考えている方はあまりいないかな

投稿: うかれ坊主 | 2014年4月 9日 (水) 00時56分

うかれ坊主様
ありがとうございます。
公演情報が発表になると「見たい!!」「絶対行く!!」と意気込むのですが、い年々エネルギーが枯渇してきて、いざその日が近づいてくるとけっこう億劫になったりするのですよ。でも、見ればやっぱり「見てよかった」、「行かなければ後悔していただろう」と思います。

「番付」--そうでしたね。そう書こうと思っていたのに、ついいつもの調子で「筋書き」になってしまいました。「番付」のほうが江戸時代の歌舞伎の用語を伝えているんですよね。

菊之助さんのお富は歌舞伎座で1回やっています(与三郎は海老蔵さん。この2人の共演、ちっとも見なくなりましたね)。与三郎は今回が初役でした。三千歳と直次郎も、両方ともやっていますよ。菊之助さん、最近意欲的に立役にも挑んでいますが、兼ねる役者の場合、女形はビジュアル的にも若いうちのほうがきれいかもしれませんね。でも、若く美しい二枚目の菊之助さんもステキです。両方とも見たい(よくばりですねえ)。

投稿: SwingingFujisan | 2014年4月10日 (木) 14時58分

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