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2014年4月 2日 (水)

お先に4月歌舞伎座初日

42日 鳳凰祭四月大歌舞伎初日昼の部(歌舞伎座)
3月分の感想がまだいくつも残っているのだけど、先にこちらを。
久しぶりの初日は、あれから1年という感慨と、三津五郎さんの復帰という喜びで迎えた。
玉太郎くんがおばあちゃま(つまり東蔵夫人)と観劇していたほか、鷹之資クン、宗生・宜生クン兄弟、虎之介クン(ずいぶん大きくなって、誰かと思った)が見に来ていた。
「壽春鳳凰祭」
背景は松林で、左右両側は春らしいパステルカラーの中に鳳凰丸が描かれている。時蔵・梅枝・萬太郎・慎吾・隼人の順で下手より宮廷の男女が出てくる。さすがに時様の品格、大きさ、美しさが若手を圧倒している。梅枝クンは華やかに美しい。慎吾新悟クンも拵えがとても似合っていてきれいだった。隼人クンはいかにも貴公子だが、踊りになると腰高でしなやかさに欠けるのが気になる。萬太郎クンは先月の梅王でつけた自信がきりっとかつ柔らかな動きを大きく見せているようだった。一通りの舞の後、橋之助・扇雀・錦之助が花道から登場する。錦之助さんが出てくると、隼人クン以上に貴公子だと思う。やがて背景は桜に変わり、中央から帝役の我當さんと従者の進之介さんがセリ上がってくる。我當さんが舞台全面に出てくるのに進之介さんが手を貸していた。だいぶ足が悪いのだろう。
華やかで目出度い踊りで、まずは新・歌舞伎座の1年目を味わった。
「鎌倉三代記」
開幕5分前になると、普段にない静けさが漂った。あちこちからちょこちょこお喋りは聞こえてくるのだが、いつものようなもわ~んとした賑やかさではなく、それが5分も続くとなんとなくどうしていいか落ち着かなくなってくるのが不思議。
これを見るのは2度目で、初回はおやすみタイムになってしまった記憶があり、今度はリベンジと意気込んでいたのがやっぱりダウン。幸四郎さんが出てきたところで1回盛り返したのだが、気がつくと再びzzz。私だけでなく、見える範囲のあちこちで頭が揺れていたにせよ、 私には上級すぎる、この芝居。というわけで、歌江さんが母・長門役で出ていたのが嬉しかった、そして前髪姿の梅玉さんが若々しいと思った、というだけで、特記できることなし。
「壽靱猿」
1
階後方左右にテレビカメラが並んでいた。帰宅してから夕方のニュースを見たら、やっぱり三津五郎さん復帰が取り上げられていた。
浅葱幕が振り落されると、鳴瀧神社の鳥居前、上手に女大名、下手に奴がいる。女大名はお面をかぶっていたが、配役は事前に見ておいたので又五郎さんだとわかった。ところが奴が誰だかわからない。堂々と立派、ちょっと苦み走っていい男(ちょっと、ポスターの佐々木蔵之介さんに似ていた)、かっこよくて、ほんと暫くの間、誰だろう誰だろうって考えてしまった。そして、巳之助クンだって気がついた私はニブい。というか、巳之助クン、こんな立派でいいオトコだったっけ。別に普段男ぶりが悪いって言ってるわけじゃないのよ、今日は各段に素敵だったのだ。他の奴も見たくなった。
又五郎さんは、お面を取ったらふっくらしてほっぺが赤い。又五郎さんの女形なんて初めて見るけど、女らしさの中に又五郎さんのキレのよさがあったのが愛敬となっていた。
女大名が奴に、靱にするための猿の皮を手に入れなくてはと話しているところへ、小猿がやってくる。この小猿ちゃん、花道をぴょんぴょん飛んできて、めっちゃ可愛い。客席からも小猿ちゃんへの拍手が盛んに起こった。しばらくすると、猿を探して猿曳がやってくる。花道に登場した三津五郎さんを見て、思わずうるっとした。三津五郎さんの踊りは見ていて心地よい。自然に脳に入ってくる。可愛い小猿を自ら打ち殺さなければならなくなった太夫の悲しみ、猿への愛情が胸を打つ(あとでニュースを見たら、どの場面だったか、三津五郎さんの目に涙が光っていた)。激しい動きはあまりないものの、飛んだり回ったり、小猿を抱いたりおぶったり、それなりに体力を使うだろう。千穐楽まで無事につとめられることを心から祈る。

「曽根崎心中」
朝、出かける前に上演時間を見たら、なんと1559終演。心中モノは苦手だし、休憩が入るとはいえ、5時間もの長丁場には耐えられそうもなく、できたらパスしたいところだったが、藤十郎一世一代と銘打たれている以上、見ないわけにいかない。とまあ、消極的に席に着いたら、まあなんと、これが面白くて、最後の演目で1時間半以上という長さをまったく感じなかった。
正直、生玉神社の茶屋で徳兵衛(翫雀)が色々語る場面はよく聞き取れないところも間々あったのだけど、これまでに見た知識からだいたいのことはわかったし、九平次(橋之助)に騙されて愚弄される場面は徳兵衛の悔しさが自分の悔しさとなって胸に熱い怒りが湧いた。徳兵衛が身の潔白を訴えたり、悔しがって嘆くと、まるで時間が止まっているかのように見物人たちが動きを止める。徳兵衛の死ななくてはならなくなる事情を浮き彫りにする見事な場面だと思った。見物人の中に春希クンと京由クン発見。
お初の藤十郎さんの可憐できれいなこと。体の動きもいい。徳兵衛一筋の愛情が全身に溢れ、素直に胸を打つ。縁の下の徳兵衛がお初の足を自分の首に当てて死の決意を伝える場面の2人の愛情にも素直に打たれた。お初には常に徳兵衛への愛が感じられていじらしくなる。女郎の中に梅乃さん発見。
九平次は本当に悪く憎らしいヤツだ。だからお初徳兵衛に肩入れできるのだ。そこが「封印切」との違い。橋之助さんにセリフが入っていないところがあって言葉に詰まったから、驚くと同時にひやっとした(しかも、初役じゃないのに)。プロンプターの声が1階後方の席までかなり大きく聞こえてきた。左團次さんも一部プロンプターがついていたが、甥への愛情と案じる心が前面に出ており、九平次を許さんという強さがあって、さほど気にはならなかった。
下女役の寿治郎さんが今回も達者なところを見せてくれた。
曽根崎の森のシーンは美しく、長いとは感じなかった。前にも感想に書いたが、状況は違うのにここはやはり「短くも美しく燃え」と重なる。
自制心を失って死に至る「封印切」はどうしても好きになれないのだが、耐えに耐えて死に至る「曽根崎心中」は胸打たれ面白い(過去に2度ほど見ているそのたびに「面白かった」と思ったことが自分の記録からわかった)。「鎌倉三代記」には申し訳なかったが、幕間に一切飲食をしなかったこともあって、他の演目で寝ることはなかった。
<上演時間>
「壽春鳳凰祭」20分(11001120)、幕間15分、「鎌倉三代記」77分(11351252)、幕間30分、「壽靱猿」40分(13221402)、幕間20分、「曽根崎心中」97分(14221559
実際の終演時刻は1605であった。

おまけ1:木挽町広場は大賑わい、消費税増税も何のその、よく売れている。国技館の焼き鳥が売られていたので、おや珍しいと帰りに買ってみた(10本入りがほしかったが、売り切れて5本入りを購入)。夕食にいただいたら美味しかった。それから、フォションの歌舞伎エクレア、去年は大騒動で結局買えなかったが、今回全然並んでいなかったので1本買ってみた(540!! 消費税40円か…)。見た目はちょいとよろしくないが、中のレモンクリームは美味しかった。
おまけ2:かぶき手帖2014が発売になった。2013年版は今年になってから買ったばかり。14年版はなるべく早く買おうっと。

 

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コメント

ご無沙汰をしています。最近拙ブログの更新を怠りがちでTwitter中心になっていますので、なおさら失礼をしています。

日程の関係で四月は初日観劇をパスしてしまいましたので、早速の観劇レポ、ありがとうございました。三津五郎丈の復帰の舞台、やはりこれは早く観たくなりましたよ。家の藝である『壽靭猿』での復帰で三津五郎丈も感慨深いものがあったと思います。

(追記)新悟さんのお名前が誤って表記されているようです。

投稿: 六条亭 | 2014年4月 3日 (木) 09時12分

六条亭様
おはようございます。
コメントありがとうございます。こちらこそ、すっかりご無沙汰で大変失礼をして申し訳ありません。

六条亭様とは逆に私は日程の関係もあって初日にしたのですが、復帰後初の1カ月公演、それもお家の芸、そして息子さんとの共演となれば、三津五郎さんの気合いの入り方も違ったでしょうね。インタビューで「私の居場所はここ」とおっしゃっていました通り、喜びと感慨が三津五郎さんの身体に溢れているようでした。2日目からもますますの芸の輝きを見せてくださるでしょうね。

新悟さんのご指摘、ありがとうございます!! 変換したとき違和感があったのにスルーしてしまいました。お恥ずかしい。早速訂正いたしました。

投稿: SwingingFujisan | 2014年4月 3日 (木) 10時04分

昨日の夜NHKで藤十郎さんの特集を放映していました
一部放送権で画面が見られない箇所はありましたけど・・・
橋之助さんの件、「三日御定法」とは言え、ご指摘のとおりですね
まだ「ばりばり」なのですからしっかりと台詞は入れておいて欲しいですね
稽古不足はファンに対して失礼かと思います
それとも体調が悪かったのか、お兄さんの件で心労が重なっているのか・・・いらぬ心配までしてしまいます
4月はなんとも微妙で、うまくすれば「楽」に観に行けるかもしれませんが、日程を調整中です
昨年の4/2からちょうど1年経過したのですね
月日の経つのは早いものです
あの初日の3公演を観られたことは良い思い出になっています

投稿: うかれ坊主 | 2014年4月 3日 (木) 10時20分

うかれ坊主様
おはようございます。
コメントありがとうございます。
藤十郎さんの特集は気がつきませんでした、残念!!
橋之助さんは、先月もあまり元気がないような気がしましたし(私が見た時だけかもしれません。それに私だけが感じたのかもしれませんが)、あの橋之助さんにプロンプがつくなんて、おっしゃるようにお兄さんのことで心労が重なっているのかもしれません。橋之助さんまで倒れたらたいへんですから、お体には気をつけてほしいものです。

今月、ご覧になれるといいですね。藤十郎さんは「一世一代といっても、これが最後というわけではない」というようなことをおっしゃっているようですが。
1年、早かったような長かったような…。あの興奮が思い出されます。

投稿: SwingingFujisan | 2014年4月 3日 (木) 10時34分

そうですか・・・
個人的には「一世一代」は守って欲しいですね
もしかすると1日限りのような公演でどこかで演じられる可能性をおっしゃているのでしょうか(例えばNHK古典芸能鑑賞会とか)
過去に歌舞伎ではないですが、「さよなら公演」と言っておきながら、再演した例もありますが、ファンからのリクエストがあったととしても、その時その気分で観た者からすると心境は複雑です

投稿: うかれ坊主 | 2014年4月 3日 (木) 10時57分

うかれ坊主様
藤十郎さんの「一世一代」に関しては、http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201403130015
などで見ました。
「一世一代の心持」で演じているから、見るほうもその心持で見てほしいということでしょうか。真剣勝負といえば真剣勝負ですが…。

投稿: SwingingFujisan | 2014年4月 3日 (木) 11時10分

こんばんは。
本日歌舞伎座昼の部、観劇してまいりました。
もちろん「壽靱猿」の巳之助くん目当てでございます。
小猿で初舞台した彼が、奴を踊っている姿を見て、うるっとしてしまいました。
三津五郎さんも、歌舞伎に復帰されて本当によかったです。

投稿: とこ | 2014年4月 3日 (木) 22時37分

とこ様
こんばんは。コメントありがとうございます。
初日にいらしたかなあと思っておりました。
巳之助クンの小猿は見ておりませんが(さぞ可愛かったでしょうね)、奴の巳之助クン、本当に素敵でした。役者として一回り大きくなってオトコになったぞ、っていう感じがしました。
三津五郎さんは5月から新たな治療を始められるそうですが、居場所に早く戻ってこられるよう、祈っております。

投稿: SwingingFujisan | 2014年4月 3日 (木) 22時52分

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