« 7月歌舞伎座やっとアップ | トップページ | 團菊祭五月大歌舞伎昼の部 »

2014年5月11日 (日)

5月明治座花形歌舞伎昼の部

57日 五月花形歌舞伎昼の部(明治座)
先述したように、自分では昼の部を取っていたつもりがチケットは夜の部で、急遽その場で買い直した昼の部。落ち着かない気持ちで見てしまったのが残念。
「鳥居前」
何と言っても歌昇クンの大殊勲。鳥屋内からの太い声で既に期待を持たせる。そして登場した歌昇忠信は、隈取が見事に似合って、体も大きく見え、モーレツな勢いの勇猛さで、実にカッコいい。様になっている。姿を現してからの声は幅の太いちょっとくぐもったような歌昇クン独特の声ではなく、太いんだけど1本になっている力強い声(うまく表現できない)で、へ~こんな声も出るんだ、とちょっと驚いた。歌昇クン、これ当たり役になるかもの予感がした。
軍兵との立ち回りは豪快、かつ黒御簾とよく合っていて音楽的、気持ちよく見応えがあった。
義経の隼人クンは出るたび少しずつではあるが成長していると思う。やや硬い感じもするが、それは隼人クンの持ち味なのかもしれない。大将らしさは感じられたのではないだろうか。
種之助クンの弁慶は仕草のひとつひとつがおとうさんに似ていて、又五郎さんの顔が浮かんだ。
米吉クンの静は可憐。しかしやや情に欠けるのが惜しい。
早見藤太が吉之助さんだったのが嬉しい。さすがにベテランでコミカルな味わいが若い舞台を締めた。藤太って、足の動きが大変そう。
「釣女」
何回か見ているが、他愛ない物語で気楽に見られる舞踊劇。亀鶴さんの醜女がキモかわいい。亀鶴さんの力なら、あそこまで化粧で強調しなくてもよかったかなという気もする。でも、客席が楽しそうにたくさん笑っていたからいいか。
140511seikichi 「邯鄲枕物語」
借金で首のまわらない清吉・おちょう夫婦(染五郎・壱太郎)。家主(歌六)の入れ知恵で横島伴蔵(亀鶴)という武士に美人局を仕掛けるが、おちょうの危機とみて騒いだ清吉のせいで美人局は失敗。そして伴蔵は清吉の荷物の箱と自分の荷物の箱を取り違えて逃げてしまう。それに気づいた清吉が伴蔵の箱の中身を確かめようとするのを家主が止める。「木の実」で小金吾は権太がわざと取り違えた荷物を開けてしまってなけなしの金を奪われる。ここはさすがに狸の家主だ。この箱の中身がこの物語のおおもとである。
空腹の清吉が飯を待つ間、その箱を枕にうたた寝をすると…。なんと金についての社会が逆転している。現実世界では金を払わなくてはいけないところが、夢の中では逆に金をもらわなくてはならない。増える一方の金。それなのに清吉は月に1万両もの金を使わなければいけなくなるのだ。

可笑しかったのは、盗賊唯九郎(亀鶴)。五段目の斧定九郎のパロディなんだが、追剥ではなくて追い剥れ。そのため清吉が喜んで差し出した金を奪うどころか、400両もの大金を清吉の首にかける。
話は戻るが、清吉が目を覚ましたのは大坂の豪商鶴の池(鴻池か)の別邸。そこの主人善右衛門(歌六)が昼は男だが夜になると女になるという奇病にかかっている間は自分は女房清吉には亭主になってほしいと頼む。歌六さんの昼夜の変貌には落語みたいな風味があった。しかし可笑し味というよりは気の毒な病だなあと思ってしまうほど。この亭主役を引き受ける報酬として清吉は大金をもらうわけで…。
とまあ、どこへ行っても何をしても金は減らない。最後は吉田屋で傾城・梅ケ枝と心中する(らしいが、残念なことに睡魔に勝てず。頭痛の前兆か)。文字通り「吉田屋」と「梅が枝」のパロディになっているのだが、私は「梅が枝」は知らないので、後で調べてわかった。
さて、これまでの話は全部清吉の夢であった。
清吉が目覚めると、荷物を取り違えた伴蔵が戻ってくる。清吉ともめるうち、伴蔵の荷物の中身が出てしまう。それはなんと、清吉が恩ある旧主のために探し求めていた宝船の一軸であった。宝船を枕にしたための金の夢、そして一軸は清吉の手に入り、めでたしめでたし。
テンポも悪くなくなかなか面白かったが、若手の世話の味はちょっと薄いような気がした。たとえば夢の中の蕎麦屋の歌昇クン、客の米吉クンなどは世話モノについてまだまだ勉強中というところだろうか。世話モノって年季が入らないと難しいんだねえと思った。染五郎さんは「鳥居前」以外全部出演。しかも清吉でこんなに頑張って(飄々としたコミカルな役柄は「大當り伏見の富くじ」や「「東慶寺花だより」に繋がるもののように思えた)、夜は十役、まさに奮闘公演だが、身体悪くしないでね、と祈らずにいられない。
「邯鄲の夢」は明治座では明治38年(二世左團次)以来の上演だそうだ。その後は昭和4年に本郷座(二世猿之助)、平成5年に国立劇場(九世宗十郎「宗十郎の会」)で演じられただけという。寝ちゃったところのリベンジも込めてもう一度見たいから、近いうちにぜひまたどこかで上演してほしいものである。
<上演時間>「鳥居前」48分(11001148)、幕間30分、「釣女」32分(12181250)、幕間30分、「邯鄲枕物語」80分(13201440

|

« 7月歌舞伎座やっとアップ | トップページ | 團菊祭五月大歌舞伎昼の部 »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 7月歌舞伎座やっとアップ | トップページ | 團菊祭五月大歌舞伎昼の部 »