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2014年5月22日 (木)

團菊祭昼の部再見

520日 團菊祭五月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
久々のリピート。初回観劇時面白かったので残念だし申し訳なかったけれど、「毛抜」はパスさせてもらった。もう朝、起きられない。
「勧進帳」
今回も弁慶と富樫に目が集中して又義経を見るのを忘れていた、と思い出し、ふと義経に目をやると、ちょうど富樫が勧進帳を覗きこもうと近づいてきたところであり、義経は笠に手をやりちらっと富樫を見ていた。笠の中の表情はわかならかったが、きっとハラハラしていたに違いない。
ハラハラといえば、番卒の1人が強力の笠の中を覗き込み(こんなにしっかり覗き込んでいたんだと改めて認識)、注進を受けた富樫が大音声で一行を止めた時、富樫のあまりの迫力に一行と同じ気持ちになってハラハラした(ここは、前回もそうだったが、菊ちゃんの気魄がハンパでない)。
この後、義経側が刀に手をかけ富樫に向かっていこうとするのを弁慶が必死に止める場面では思わず涙が出た。この時の亀三郎さんは権十郎さんに顔が似ていた。

富樫は「判官どのでもなき人を」のところは、やっぱりもうちょっと思いがほしい。でも、ぐっと顔を上げて引っこむ姿はよかった。菊ちゃん、おとうさんそっくり。
太刀持ちは福太郎クン。富樫が名乗りを言い、番卒にしっかり関を守れよと語っている間、太刀を一定の高さで動かさずに持ち続けるのは相当大変そうだ(持ち方も、太刀の上から手をかけていて、下手したら落しそう、なんて心配になっちゃった)。弁慶が読み上げる勧進帳の中に「帝」、「聖武皇帝」という言葉が出てくると、太刀持ちもちゃんと一礼するのはいつもながら感心する。
今回は六方の前に「待ってました」「たっぷり」の大向こうがかかり、少し笑いが起きた(この前も別の声で笑いが起きたしねえ)。そして手拍子が一部で起こり、それはやめてやめてと心の中で唱えていたら、すぐにおさまってほっとした。きっと、海老蔵さんの弁慶が手拍子を場違いと思わせるような迫力を見せていたからだろう。それと、観客の大半はわかっているんだと思う。
勧進帳にも感動したが、筋書きの「見事な團十郎ぶり」(利根川裕さん)にも感動して、読みながらうるうるしてしまった一番うまいと思うのは吉右衛門さんの弁慶かもしれないが、一番好きなのは、大らかな包容力に溢れた團十郎さんの弁慶なのだ、と今さらながら思う。
「魚屋宗五郎」
宗五郎も二度目でも面白かった。いや、二度目のほうがもっと面白かったかも。橘太郎さんのおっちょこちょいで気のいい若者ぶりが「いかにも」な江戸の空気を感じさせるし、團蔵さんの父親がとても好き。そしてやっぱり菊・時の夫婦は何度見ても安心していられる。菊・宗五郎の酔い方は絶品だと思った。
もう一度見ても絶対飽きずに面白いだろうと確信する「魚屋宗五郎」だった。

 

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コメント

大向こうのお話があったので、感想を記します
「待ってました」とか「たっぷり」は、掛け方自体が、おかしくなければ、問題ないと思うのですが、それで笑いがくることの方が「約束事」をご存知ない方が多くなっていることを示しているのでしょう
「手拍子」問題と同根ですね
鳥屋の方を見たときにかかる「もう大丈夫」なんて言う大向こうはちょっと困りますけどね
楽日近くでかかる「大当たり」は良いですね
また「父さんそっくり」っていうのはあまり好きになりませんが、追善興行だと掛けたくなる気持ちもわかります

わたしの中では、「盛綱陣屋」の幕切れで、和田兵衛の我當さんと盛綱の仁左衛門さんの2人のひっぱりの見得に「二本松!」とかけて下さった大向こうさんの声が未だに印象に残っています

投稿: うかれ坊主 | 2014年5月24日 (土) 10時51分

うかれ坊主様
こちらにもありがとうございます。
当日の大向こうさんはちょっと独特な味の声でしたが、それでも屋号の時には笑いが起きなかったので、おっしゃるように観客の側の変化かもしれません。時代によって変わると言っても、お芝居の本質を考えれば笑ったり手拍子はちょっと…ですよね(時代としてそういうものが許される演目もあるとは思いますが)。

忘れられない優れた大向こうを聞くって、その日のお芝居で得をした感じになりますよね。

投稿: SwingingFujisan | 2014年5月24日 (土) 11時16分

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