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2014年5月16日 (金)

栄西と建仁寺展

514日 栄西と建仁寺展(東京国立博物館)
14051603yosai トーハクは遠い。私のような高齢者には平成館にたどりつくだけで相当な体力ロスである。それなのに、隣の本館で行われている「キトラ古墳展」には私と同世代以上の男女が大勢、何時間待ちか知らないけど、炎天下並んでいるのである(平成館前の池の向こう側から平成館まで来て、さらに折り返していた。それでも入場者が
10万人に達したのは栄西のほうがずっと早く、さらに栄西は59日には20万人に達している)。そのエネルギーにただただ感服しながら、会場へ。
こちらも混んでいるようで、「第二会場からお先に」と勧められたので迷わずそうしたら、出口側から入っちゃったらしく、人の流れに逆らうような鑑賞順序になってしまった。

したがって最初に見ちゃったのが、最後に展示されていたらしい今回の目玉、俵屋宗達の「風神雷神図屏風」で、いきなりインパクトにやられた。明るくてユーモラスな表情が親しみやすい(この絵は前後期通して展示されている。展示は年間8週間しか認められていないそうなのだが、ここでその8週間を消化してしまったので、年内もう他での展示はできないことになる、とは「ぶらぶら」のウケウリ)。本館で尾形光琳の「風神雷神図屏風」も展示されていたそうだが、気がつかなかったし、知っていたとしてもくたびれて見てこなかったかも。
そしてもっとインパクトがあったのが「小野篁像」‼ 当時にして188cmくらいもあったという大男の等身大像であるから、それだけで衝撃的なわけだ。下から照らすライトが赤から薄い赤へそしてまた赤へと徐々に変わる。すると、篁を挟んで立っている獄卒(向かって右)と冥官(向かって左)の目がそれに合わせて妖しく光る。篁は下を向いているので目は伏せられているので目の光は見えない。篁は夜な夜な六道珍皇寺の井戸を通って地獄へ通っていたそうだ。六道珍皇寺の「参詣曼荼羅」にその井戸が描かれているということだったが、何となく「あれかな」と思っただけで、よくわからなかった。でも後でネットで確認したらやっぱりそれだった。
若冲とか海北友松とか「十六羅漢図」とか、いい絵がたくさんあったが、省略して第一会場へ(以上、第4章「建仁寺ゆかりの名宝」)。
最初に「栄西の読みはようさいとする」との告知(?)があった。栄西の著述を研究した高峰東晙の著作で「イヤウサイ」と読み仮名が降ってあるからだとのこと。そういえば、昔「ようさい」で習ったなぁとン十年前を思い出した。すっかり忘れていたよ。
栄西さんの像を見ると、頭の形に特徴がある。頭が長く四角いのだ。これは、この像だけでなく、肖像画にもそう描かれているのだそうだ。栄西さんは小柄だったのがコンプレックスだったのか、記憶力を鍛えて頭を伸ばしたんだとか(これも「ぶらぶら」から)。
栄西が最初に開いた寺は、1195年福岡の聖福寺で、これが日本初の禅寺であった。後鳥羽天皇の筆になる「扶桑最初禅窟」の勅額が展示されていた(後鳥羽天皇、後鳥羽天皇…日本史の記憶を必死で辿る)。福岡に開いた理由は、京都は叡山などの勢力が強かったせいらしい。その後、鎌倉のバックアップを得て、1202年(建仁2年)京都に開かれたのが建仁寺である。
そういう栄西の足跡が第1章。「喫茶養生記」(栄西は抹茶による茶道を伝えた人物でもあり、茶祖と言われている)、「隠語集」(仏教の教えを男女の営みにたとえてある。庶民が理解するのにわかりやすかったのだろうか)など、栄西の著作をさっと見て歩く。
2章は建仁寺ゆかりの僧たち。中で、蘭渓道隆坐像(京都・西来院)の内部に古い肖像の頭部が納められていたとのことで、その様子が写真で展示されていた。この頭部は、建長寺に伝わる蘭渓道隆像と比べたところ、受け口という共通点があり、蘭渓道隆の像であったろうと考えられているそうだ。
3章近世の建仁寺では「高台院像」が関心の的(寧々さんだから、というだけのミーハー心)。海北友松の「竹林七賢図」は建仁寺方丈の障壁画で、その方丈の一部が再現されていた。茶祖でもある栄西さんの誕生日420日にここで四頭(よつがしら)茶会が行われるのである。4人の正客とそれぞれのお相伴客8人、計36人にお茶をふるまう。実際の茶会の映像が流れているので、どのように行われていたか、またこの茶会がきわめて大事な行事なんだということもよくわかって大変興味深かった。
宗教との結びつきが薄い現代社会の人間がこれだけこの展覧会を見に来るというのは、単に文化としての美術品を見るだけでなく、宗教回帰みたいなものがあるんだろうか。

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左に屋根が見えているのが本館。
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ぐる~っと広場を囲んで、右にちらっと屋根が見えているのが平成館。見ておきたい気はなくはないけれど…。

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