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2014年6月26日 (木)

六月歌舞伎座千穐楽夜の部

625日 六月大歌舞伎千穐楽夜の部(歌舞伎座)
140625kabukiza_2 出かけるとき、うちのほうは雷雨土砂降りだったのに、銀座は全然降っていなかった。三鷹や調布で雹が積もってびっくりした前日はうちのほうはまったく雨が降らなかった。本当に局地的なんだなあ。
「蘭平物狂」
初日以来2度目。
行平の登場では腰元4人が座布団や刀立て、行燈などを運んでくるのだが、この4人の動きを見ていたら、華やかな中に甲斐甲斐しく行平の居心地がいいように場を設えていくのがとてもそれらしい雰囲気で、腰元の存在の重要さを強く感じた。こんなこと、今まで思ったことがないから自分でもびっくりした。
左近クンは今回も動き・決めの形ともびしっとしていてきれい。セリフもいいし、本当に将来が楽しみな役者だ。子供の能力ってすごい。
松緑さんの蘭平は、屈折した心理が松緑さんの明るさの中に見え隠れしてとてもよかった。回転は軸足の踵で回っていた(軸足は右? 左? 気が付いた時にはすでに回転終わりに近く、左右どっちだったか。ダメな私)。
立ち回りはさすがに日を重ねただけあって動きが揃ってきれいだった。返り越しは8人だった? 飛んでいる時には8人に見えたけど、飛び終わった時にはそんなに人数いなかったから自信ない(引っこんだ人がいたのかな?)。でも、飛ばれる人たちが重なるようにくっついていたことを思うと8人だったのかも。自信ない。
立ち回りはあれだけの大技をたくさん、千穐楽まで無事に見せてくださって、松緑さんはじめ立ち回りメンバーに心から感謝です。お疲れ様でした。
「素襖落」
食事休憩の後で、遅刻者はぞろぞろと多いし、お喋りの声がざわざわざわざわとさざ波のように(いや、さざ波以上)漂っていて、左團次さんの出の声がよく聞こえなかった。彌十郎さんの声はさすがにさざ波を上回ったが、幸四郎さんの声もちょっとかき消され気味。だんだん落ち着いてきた頃にはこっちが眠くなっちゃって…。イタリア×ウルグアイ、そして日本×コロンビアを見た報いだ。というわけで、錦吾さんの踊りはなかなか見ることがないなあと珍しく思ったくらいで…ごめんなさい。最後は左團次さんの表情が変わっていくのが面白かった。ただ、幸四郎さんの太郎冠者は面白く見せようと頑張っているような気がして(幸四郎さんにはどうしても立派さを感じちゃうから、こういう役だと「見せようとしている」と私には見えてしまうのかも)、真面目さが逆に面白さを引き出していた松緑さんの太郎冠者のほうが好きかな。

「名月八幡祭」
これも遅刻者がやや多く、お喋りがうるさい。さっきと違ってお喋りはある所だけだったんだけど、それが意外と舞台の声を邪魔する。係の人が飛んできた途端、お喋りはやんじゃった。
このお芝居は、以前に福助さんと三津五郎さんで見て、ひどく後味が悪かったし、終演が2115と遅いし、見ないで帰ってしまおうかと思ったくらい。でも見てよかった!!
芝雀さんの美代吉は最初から人を騙そうとして騙す悪い女ではなくて、ただ「ちょっと言ってみただけなのよねえ」という、誠に身勝手ではあるがその場その場で生きている感じ、それに新助が振り回された、悪意のあるファム・ファタルよりこのほうがファム・ファタルとしてはすんなり受け入れられる、と私は思った(マノン・レスコーはどっちだったっけ? 学生時代に読んだきりで、もちろん映画「恋のマノン」は見たけれど、どっちにしてもこういう男女関係はめんどくせぇな、っていう記憶程度。でも多分悪意はない…)。騙そうとして騙したんじゃない分、後味の悪さも薄まった。
錦之助さんは真面目な人だし(多分)、先月の磯貝みたいな役がニンで、ワルの三次はどうかなと懸念したけど、意外にワルくてよかった。いや、ワルいのはワルいのだけど、女が放っておけない甘さ・弱さ、つまりヒモらしさがよく出ていたと思う。
又五郎さんの藤岡は人物の大きさが感じられてステキだった。又五郎さんの声って、我當さんに似てるところがあるなと思った。だからこういう鷹揚な優しさが似合う。
歌六さんの魚惣は、うんうんわかるんだよなあ、こういう人。新助の身を本当に心配して親身な忠告をしているのに、その運命を狂わせるきっかけを作ってしまったのが魚惣という皮肉。そんな複雑な気持ちがわかる。この役はまさに歌六さんだよなあと思った。
吉右衛門さんの新助はとても若々しかった。魚惣の下、美代吉の乗った猪牙船を、鼻の下を伸ばしていつまでも見送る新助がいかにも田舎者の朴訥な縮屋で(惚れてる具合は佐野次郎左衛門と同じでも、次郎左衛門とは立場が違う、小者感と言おうか)、この女に運命を狂わされるのも頷けそうな感じがしてよかった。狂った新助は痛々しかった。雷雨の中(本水を使っていた。先述したように私はこの日、自宅でモーレツな雷雨に見舞われていたから、雷がとてもリアルに感じられた)美代吉を斬り、祭りの衆に取り押さえられ、大の字姿で担がれ花道を鳥屋へ向かいながらもなお狂気の笑いを止めることのない新助を見て、この人の心が壊れていく過程がフラッシュバックした。詰めた息を吐き出すと、そこには満月が。よくできた芝居だと思った。
かなり面白かったのに、なにせ時間が遅く、「素襖落」で帰ってしまった人もけっこういたうえ、この芝居の途中で席を立つ人もちょこちょこいて、夜の部の上演時間どうにかならなかったのぉ?と思った。ちなみに、私はめっちゃお尻が痛かった。
<上演時間>「蘭平物狂」86分(16301756)、幕間30分、「素襖落」50分(18261916)、幕間15分、「名月八幡祭」104分(19312115

 

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コメント

私は20日に見てきました。前回は都合で蘭平しか見なかったので(後は友人がcoldsweats01)、なんとか頑張りました。
松緑・左近親子、ほんとよかったですね。思い返しただけでウルウルしそうです。8歳とはいえ、舞台では一人の役者。立派なものです。でも日常ではしっかりしすぎなくていいからね、と「おば(あ)ちゃん」目線になっちゃう観劇後です。
そして芝雀さんの美代吉、イメージと違う役で、どう?と思ったけど、素敵でした。お顔が少しほっそりされたかしら。もうねぇ、とんだ男に惚れられて…と気の毒にも。そう思わせる新助だった、ということでもありますね。若い頃、とんだ勘違いワガママ女だったと自覚してるのでbleah、つい美代吉に同情。

投稿: | 2014年6月27日 (金) 11時28分

こんばんは。
どなたでしょう、コメントありがとうございます。
左近クンがあんなにしっかりと1人の役者として舞台をつとめあげたのは、松緑さんのご教育の賜だと思います。「祖父・父から預かった」左近クンを立派な役者にすることが自分のつとめだと言う松緑さんにぐっときました。
ええ、ほんと、日常では子どもらしい無邪気さも発揮してほしいですね。
芝雀さん、とってもきれいでした。確かにちょっとお顔がほっそりされたかも。勘違いワガママ女は若い女性の特権かも。男も大変、女も大変smile

今日は1日出かけていたので、頂いたコメントの公開が遅くなってごめんなさい。

投稿: SwingingFujisan | 2014年6月27日 (金) 22時15分

おお、なんたること!! スマホ画面では投稿できないのを忘れてて、PC画面に切り替えたとき、やらかしました。
ちぇっ、スイングさまをからかえな~い。

投稿: きびだんご | 2014年6月27日 (金) 22時21分

えへ、やっぱりきびだんご様でしたね。99%そうだと思っていたのですが、万が一っていうことがあるから(1%じゃ万が一にならないか)。
えへ、いつもの私と逆になりましたね~え。いひひ。なんて調子に乗っていると、常習犯の私は又やっちゃいそう(いつもすみません)。

投稿: SwingingFujisan | 2014年6月27日 (金) 22時28分

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