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2014年7月19日 (土)

巡業東コース@王子

715日 松竹大歌舞伎巡業東コース(北とぴあ)
王子は夜の部だけ1000円の席があり、2階の最後列を取った。もちろん舞台との距離はあるが、高さもあって非常によく見えたし、セリフもとてもよく聞こえた。そして1000円で見るのは申し訳ないくらいのいいお芝居で大満足。でも、「角力場」が始まってからの数分間は遅刻者が多くてあんまり集中できなかった。遅刻はそれぞれ事情があることだろうし、私だって絶対しなくはないからやむを得ないと思っているけれど、遅刻した時のマナーは守ってほしい(と最初からグチですみません)。
「角力場」
相撲の観客は「超高速参勤交代」の高萩宿だったっけ、あそこで使ったテといっしょね、多分。とちょっとクスリ。
米吉クンの吾妻は愛らしくて雰囲気が出ていた。出番が短く残念。
与五郎の種之助クンは小柄なので吉右衛門さんの濡髪が格別に大きく見えた。種ちゃんのつっころばしは可愛くて自然に見え、なかなかよかった。吉之助さんの茶店亭主との掛け合いでも、いかにもボンボンらしさが感じられて微笑ましく楽しかった。
歌昇クンは若いだけにまっすぐに濡髪にぶつかるのがいい。張り合ってみてもかないっこないのを強がってみせるところにも若者らしさが表れていた。また構えが低く勢いがあるのがよかった。声がかすれてはいたがしっかりお腹から出していたと思う。
与五郎にしても放駒にしても、これまでの配役ではここまで濡髪の大きさは目立たなかった。その点、この配役はかなりしっくりきて、よかった。
「口上」
吉右衛門、錦之助、隼人、米吉、芝雀、歌六、種之助、歌昇、又五郎の順に挨拶。芝雀さん以外はみんな「親戚」という枕詞がつき、客席の笑いを誘っていた。芝雀さんは「又五郎さんとは同い年で子役の時から同じ舞台に立っていた。新歌昇さんとは播磨屋の兄とともに舞台をつとめている。熱心な好青年である」。歌六さんは「弟・又五郎、甥・歌昇の襲名披露公演は20119月演舞場を皮切りに全国をまわり、今月が最後。先代又五郎さんは子どもの頃から大変世話になった大恩人。その名を弟が継ぐのはありがたい」。
みんなだいたい、客への感謝、襲名のお祝い、これからもご贔屓をといった挨拶だったが、播磨屋一門のあたたかい結束が感じられて、こちらもうれしかった。
「傾城反魂香」
隼人クンが上手になったと思った。とても丁寧に修理之助の複雑な気持ちを表現していて感心した。雅楽之助の錦之助さんに水を飲ませ喝を入れる場面は親子共演で感慨深いものがあった。錦之助さん、これだけかぁと思ったが、疲労困憊ながら華々しく(?)見せるところだからいい役ではある。だけれど、やっぱり通しで見ないと唐突感は否めない(これは芝居の性格上しかたない)。
歌六さんの将監は威厳があって、怖いお師匠さんだが、実は又平を心配している様子が滲み出ていた。
おとくの芝雀さんの細やかさは、吉右衛門さんに対するのと又五郎さんに対するのとではちょっと違うような気がした。どこがどう違うとは言えないのだけど、又平を陰から支える細やかさではなくて、おとくがリードするような細やかさだったかもしれない。又五郎さんとの間ではそれも自然に見えた。又平が描き終わった後、指を11本ほぐして筆を取り、手をなでてやる仕草に死を前にしていることもあってか、格別な愛情が籠っているようで泣けた。
又五郎さんの又平は気負わず自然な感じでよかった。「かか、抜けた」ではぶわっと涙が出た。師匠にいただいた着物に袖を通して嬉しそうに客席に見せるのが可愛くて微笑ましかった。

客席は又平夫婦が死を決意したあたりから、水を打ったようにし~んとなり、「かか、抜けた」で大きな拍手が起こり、以降も又平夫婦の気持ちに添うように笑いや拍手が沸き起こっていたのが嬉しかった。最後、2人で手を取り合って引っこむ姿はサイコーでした。花道はなくても濃密に観客と結ばれた感じがして、いい芝居を見たな、と思った。
<上演時間>「角力場」50分(17001750)、幕間20分、「口上」10分(18101820)、幕間15分、「傾城反魂香」80分(18351955
王子は近くていいわ~。

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