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2014年7月25日 (金)

七月松竹座昼の部

722日 第23回関西・歌舞伎を愛する会 七月大歌舞伎昼の部(松竹座)
日帰り敢行のため、昼の部最初の演目と夜の部最後の演目の観劇は断念。「天保遊俠録」は5年前に橋之助さんの勝小吉で見て、他の配役も含めてすべてよかったので今回も見たかったが、朝起きができない私としては無理すると大阪に寝に行くことになるから…。
「女夫狐」
館のつくりといい、義経風の衣裳といい、「四の切」??と思ったら、そこは川連法眼館ではなく楠正行の館で、義経かと思ったのは正行(菊之助)なのであった。そこへ忠信ならぬ衛士の又五郎(翫雀)を伴ってやって来るのは静御前ではなく正行の恋人で死んだはずの弁内侍(扇雀)。やがて2人は正行の持つ鼓の皮に使われた狐の子だとわかり、正行は恋人の形見の鼓を2人に与える。狐言葉によるセリフもあり、ケレンめいた動きもあり、「四の切」のバリエーションと言っていいだろう。
弁内侍も又五郎もスッポンから登場するので、異界の人だとわかる。道成寺の花子の意識が鐘に集中しているように、弁内侍の意識は鼓に注がれている。弁内侍の宮中行事の舞とか、又五郎の面をつけての踊りとか、正行・弁内侍・又五郎の3人踊りとか、見どころはたくさんだったが、この日は扇雀さんの動きがやや悪いような気がした(腰が痛そうな? 勝手な想像です)。
この演目、幕が開いて最初に目についたのは、常盤津一巴太夫さん‼ 前かがみ気味の姿勢なので高音が少し苦しそうなところが一部あったが、全体的にはしっかり声が出ていてスゴいよねと思った。
「寺子屋」
何と言っても仁左様の松王丸(6年ぶりかぁ)。大きいだけでなく自然な感情で演じている、いや、演じているのではなく、松王丸になりきっている。千代を「泣くな、泣くな」と叱るのはそうでもしないと自分も泣いてしまいそうなんじゃないかと思った。小太郎がにっこり笑って死んでいったと知った時の泣き笑い(この時の小太郎の気持ちを考えると、本当にたまらない)→息子を褒める→桜丸への思い→源蔵殿、ご免くだされの大泣き。この一連の流れがとても自然なので、こちらも松王丸に同化して大泣きしたくなった。松王丸が園生の前を呼ぶ合図は呼子ではなく、扇を下手に向かって上げていた。野辺送りでは、線香をあげて長く長く手を合わせる姿が印象的だった。
時様の千代は子いとしさに溢れていて、こちらも涙を誘った。白い帷子を抱く千代、駕籠の中を覗き込むようにする千代(首のない亡骸はいつ見ても悲しくてやりきれない)。

仁左様と時様の松王丸・千代には、菅丞相に「つれない」と思われていることの苦しみを共に抱えて生きてきた夫婦に通い合う理解・信頼・愛情が感じられた。私はこれまで、菊五郎・時蔵のカップルに長年連れ添った夫婦にしか出せない味を感じ、仁左衛門・時蔵のカップルにはどこか危うげな緊張感を孕んだ空気を感じていたが、今回の夫婦役にはそういう空気は感じられず、2人で、いや小太郎と3人身を寄せ合って生きてきた家族感が強く出ていたような気がして、前夜、2人で思い切り泣いたというその様子が目に浮かんだ。
そういう点でいうと、源蔵(橋之助)・戸浪(菊之助)夫婦も菅秀才を匿い守り抜くために2人で身を寄せ合って生きてきたのであろうが、この2人にはそうした密接さがあまり感じられなかった。
市蔵さんの玄蕃は憎らしかったが、これも職務に忠実だということか。
園生の前の秀太郎さんはさすがの存在感であった。
菅秀才は今回は書字ではなく読書をしていた。涎くりを追った子供たちは全員が外に出て行った。
私の席(交通費を考え、座席はケチって31列)からは花道がほとんど見えず(七三も見えない)、源蔵の苦悩の入りや、涎くり(国生)と吾作(松之助)の遣り取りも見えなかったのが残念。松竹座の3階は手すりが透明のアクリル板(かな?)なので、舞台を見るのにそう邪魔ではないのだが、花道は誤算だった。
<上演時間>「天保遊俠録」80分(11001220)、幕間30分、「女夫狐」35分(12501325)、幕間25分、「寺子屋」80分(13501510

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コメント

あら〜、22日にご観劇でしたのね!
私はその日、11時からの文楽・第1部を見て帰京したから、同じ時間帯に大阪にはいたわけね。
せっかく大阪まで行って宿泊したけれど、夜の部はパスしたから、昼はかぶりつきましたわ。
でも、前すぎてちょっと見えづらい部分も。仁左さま松王だと、子どもたちは草履をはいて帰りますよね。一番ちっちゃい子が、手に持ってたのは見えたのだけれど。
時蔵さんの千代、情のこめ方がとても自然で好きです。

投稿: きびだんご | 2014年7月26日 (土) 23時22分

きびだんご様
おはようございます。
きびだんご様が前日にご覧になっていたのは拝読したのでコメント差し上げようと思いつつ、あんまり暑くて読み逃げ失礼しました(今年の暑さは妙に堪えます)。
おお、かぶりつきで‼ 羨ましいと思いましたが、確かに足元とか見えづらいですよね。3階に関して言えば、新しい歌舞伎座は花道がある程度見える分、よくなったんだなと改めてわかりました。

そうそう、草履のこと、おっしゃる通りでした。一番ちっちゃい子だけ手に持って出たなあと思ったのでした。

時蔵さんは芸風があっさりしているのでどうかと懸念しましたが、私も自然な感じを受けました。入れ込み過ぎないところが逆によかったのかもしれませんね。

投稿: SwingingFujisan | 2014年7月27日 (日) 09時08分

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