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2014年8月14日 (木)

ABIKAI

89日 ABKAI(新橋演舞場)
3
B席の最前列があいていなくて、2列目にしたら、これが意外と見やすい席だった。前に人がいないので思う存分舞台が目に入る。そのかわり、花道はほぼ全滅。
「義経千本桜~河連法眼館の段」
河連法眼夫妻も出てこないし、不審な忠信を探す腰元たちも出てこない。鼓をもらった狐が喜んで鼓と戯れることもない。そういう場をカットして、コンパクトにまとめていた。
御簾があくと、義経(亀三郎)が自分は落ち延びて法眼館に世話になっているというような経緯と法眼への感謝を述べる。追われて身の置き所のない心細さのようなものが感じられた。亀三郎さんは声に感情を乗せられる役者さんだと思った。
静(壱太郎)が鼓を打つと、黒衣が操る白狐(去年、安倍晴明で染五郎さんが使っていたのと同じかなぁ)が下手よりの床から、次いで上手の部屋から、チラと姿を見せる。
海老ちゃんは忠信が立派。狐は体の大きさが可愛らしさをちょっと損なうものの、親を慕う気持ちの強さは伝わってきたし(團十郎さんを慕う気持ちに重ねてしまうのは、こっちの勝手だけど)、姿を消したときは哀れであった(ただ、狐の時の声はやっぱりふわふわしていてあまり好きになれない)。黒御簾脇の網代塀に飛び込むのではなく、ぽ~んとジャンプして越えたからびっくりした。その直後、上手の障子から本物の忠信が姿を現すが、その早いこと‼
荒法師との立ち回りは、仏壇返しみたいなケレンとかあって、縫いぐるみの白狐が再び姿を見せた後、舞台上手の桜の木からおそらく吹替えの狐が現れる。本物の狐は下手の桜(上手と下手の両方に桜がある)の幹にするすると登る。音羽屋風だと思っていたら、そこから黒御簾の上に飛び込み、次の瞬間にはスッポンから桜吹雪が噴き出してきて、狐さんがまた現れた。そして最後は宙乗り。はじめはみんな拍手していたのだが、海老ちゃんが鼓をぽんぽんと打つのが手拍子を催促しているようにも見え、結局手拍子になってしまった。どうなの? ま、役者がリードしてるんだからいいかと思いつつ、自分は手拍子に参加しなかった。

「舞踊劇 SOU~創」
伊邪那岐(男寅)、伊邪那美(福太郎)による神々の誕生からスサノオの八岐大蛇退治までがこちらもコンパクトに展開していく。去年の花咲爺よりず~っと面白かった。それも芝居部分より舞踊のほうが私にははるかに楽しくて見応えあった。とくに最初の火の踊りは、「ヤマトタケル」を思い出させて、かなりテンションが上がった。八岐大蛇は、岩長姫の時とは違って、2本の角をはやした龍みたいな8つの顔がそれぞれとぐろを巻いている。スサノオがとぐろに締め付けられてもうダメかというとき、母の名を呼ぶと、火の精が助けに現れ、めでたしめでたしとなる。スサノオはマザコン?と考えると面白い(母のことを忘れた父親の言うことはきかぬと父に反抗したりして)。
謀反の疑いをかけられ、姉・天照大御神に会いに行くも高天原の山城城主にとどめられる。姉がよこした酒を飲んでも酔わなければ身の潔白が証明できるという(天照大御神の声は海老ちゃんが客席に背を向けて出していたと思う)。するとスサノオより先に須佐の民(新十郎)がこの酒を飲んでひっくり返ってしまう。新十郎さん、両足を抱えた状態で仰向けになって頭は床につけていない。そんな恰好のまま数分、微動だにしないのがすごい!!
海老ちゃんは、肩の調子とかかなり悪いようだったのに、そんなことは少しも感じさせなかった。SOUはほんと、楽しかったな。1回じゃもったいないから、もう少し煮詰めて、本公演の演目の1つにしてもいいんじゃないかなと思った。
カーテンコールはなんと5回‼ 幕があくと、八岐大蛇の8人が舞台の岩山(?)に座っていて、なんか愛敬がある。5回あっても大蛇は着ぐるみから顔を出さないので(口を大きく開けると、中がちょっと見えるけど、暗くてよくわからない)、そのうちの1人が舞台までおりてきて、愛敬をふりまいていた。カーテンコールはもう終わりかと思うと、上手の演奏が一段と高くなり、幕が開く、の繰り返し。客席のほうが笑い出してしまうほど、どんだけ続くんじゃ、って感じだった。
<上演時間>「河連法眼館」55分(18001855)、幕間35分、「SOU50分(19302020

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