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2014年8月30日 (土)

展覧会が映画を、映画が展覧会を心に残す:「思い出のマーニー×種田陽平」展~映画「思い出のマーニー」

818日 「思い出のマーニー×種田陽平」展(江戸東京博物館)~映画「思い出のマーニー」(MOVIX川口)
前々日(16日)に見た江戸東京たてもの園でジブリの立体建造物展とこの種田さんの展覧会のチケットをセットで買ったら、ジブリの特製ミニスケッチブックがついてきた。絵は全然ダメな私ではあるが、スケッチブックってなんか心躍る。
「思い出のマーニー」は、種田さんが初めてアニメ映画の美術監督をやった映画である。初めてっていうのは意外だったが、「アリエッティ」の時は美術監督じゃなかったんだね。アリエッティでも種田さんの展覧会があったから(見ていないけど)、美術監督やったんだと思っていた。
展覧会は映画を先に見ておけばよかったのか、先に展覧会を見ておいてよかったのか、わからない。でも予習効果は間違いなくあった。展覧会を見ていなかったら、背景にしても人物にしても<絵>にはあまり注意がいかなかったかもしれないもの。
湿っち屋敷のスケッチ、図面、仕上がりの絵、ジオラマがこれから見る映画へのロマンを膨らませてくれる。湿っち屋敷の船着場に至る水がとても幻想的で美しい。水面にはボートが一艘。映画を見たら、それを漕いでいるのは杏奈だとわかった。朝、昼、夜と時間の経過にしたがって照明が変わり、その時々の屋敷の美しさにしばらく佇んで見つめていた。2階のマーニーの部屋ではばあやに髪を梳いてもらっているマーニーの姿が窓越しに映って見える。梳いてもらっていると書いたが、映画を見ると、「もらっている」のではないことがわかる。ぐるっと後ろへまわると、そこは裏ではなくて正門だった。そうか、船着場のほうが裏なんだよね。
マーニーの部屋の再現はまさに映画の雰囲気の中に自分を投入することができる。壁紙、日記帳、本(なんと、古びた「Anne of Green Gables」=「赤毛のアン」の原書が置いてあるではないか‼ 1人盛り上がったわ)、写真(家族写真は、アニメと同じもの)などの小道具家具がディテールまで忠実に再現され、ステキなベッドには身を投じてみたくなる。
サイロは映画を見て初めて分かったが、マーニーが嵐を体験する大事な場所。再現されたサイロ内に入ると、嵐の轟音に襲われる。窓の外は激しく降る雨と稲光で白く見える。床は本当に濡れた泥みたいで、思わず水たまりをよけるように歩いてしまった。
原画は、米林監督がだいたいこういう感じでというスケッチを出して、それを種田さんが具体化して、スタッフが仕上げていく。建物、風景、どれもアニメの世界のものとは思えない。人物の絵の中で、種田さんが描いたマーニーのスケッチがあって、それが私には一番魅力的な絵で嬉しかった。
マーニーの舞台となった北海道の架空の町の地図があるのも嬉しい。杏奈とマーニーはこういう町に住んでいたのか、映画を見ながらその地図を思い出していた。

ジブリの映画にはほとんど関心がなくて、今回のマーニーが初めて。面白かった。長い金髪の少女マーニーと黒いショートヘアの杏奈はまるで恋人どうしみたい。でもマーニーが「今までに会ったどの女の子よりもあなたが好き」と言うのに対し杏奈は「私もマーニーのことが好き。今まで会った誰よりも」と言う。この差がずっと謎として気になっていたのだが、それが解けたとき、ぞくっとするものを感じた(いやな「ぞくっ」ではなくて、感動のあまりきた「ぞくっ」。表現がよくないかもしれないけれど、ほんと「ぞくっ」としちゃったのだ)。
2
人が「アルハンブラの思い出」に乗せてダンスをするシーンは江戸博の展覧会でも流れていた。映画では、ああこの場面で踊るのか、とやはり流れに従って見るとそのシーンがとても自然で愛おしくなるのであった。
彩香ちゃんが、こういう映画にはありがちなキャラクターながらとっても素直でいい子で可愛くてよかった。
物語に登場人物とセリフが重要な要素を占めていることは間違いないが、その世界を作っているのは背景画にほかならないだろう。ジブリ映画は初めてなのでこれまでの映画との比較はできないが、少なくともこの映画ではそれを強く感じた。もう一度、この展覧会行くべきだなあ、本当は(29日、種田さんのトークイベントとサイン会があったんだって、知らなかったぁ。種田さんのサインは一度いただいているけれど、トークイベントには参加したかったなあ)。
<上映時間>103

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コメント

湿っち屋敷、なんですよね。最初の方では、シメッチさんという人がすんでたのかと思ってました(・・;)
映画館はあまり行かないんですが、水の感触とか森の空気とかが感じられるような気持ちになれたので、映画館で見てよかったと思いました。

投稿: urasimaru | 2014年9月 1日 (月) 21時29分

urasimaru様
urasimaru様もご覧になったんだなあと、ブログを拝見して、同じ映画を互いに見たことで嬉しくなりました。
先に展覧会を見ていなかったら私も「シメッチ」と思ったかもしれませんwink
確かに、空気とか水の感触が実際に体感できるような映画でしたね。私も映画館で見てよかったと思いました。

投稿: SwingingFujisan | 2014年9月 1日 (月) 21時38分

SwingingFujisan様、おはようございます。
昨日、林家たい平師匠の『もういちど』(映画)を見てきました。映画のスタッフさんの予備知識なしで見てしまい、タイトルエンドまできて、「美術監督:種田陽平」の文字が目に飛び込んできました! 美術系(?)には全く疎いので、「どこかで見た名前…」くらいにしか感じず、帰宅してから、「あ、SwingingFujisan様のブログだ!」と慌てて読み返した次第です(笑)。お恥ずかしいしだい。
なるほど、改めて記事を読み直し、映画のことを思い返し、なるほど…と思いました。スタッフさんのことを知ると、ストーリーだけでなく、小道具、大道具、背景…など、奥深く感じますね。
種田先生のコトをご紹介いただき、ありがとうございました!

投稿: はなみずき | 2014年9月15日 (月) 08時24分

はなみずき様
おはようございます。コメントありがとうございます。
種田さん、「もういちど」もやっていらしたんですね。先日のNHK「ロフェッショナル」でも取り上げられていましたが、映画PerfumeのPVも手掛けたそうで、幅広くご活躍のようです。
私のブログで種田さんのことを思い出していただき、こうしてコメントをくださって、種田ファンとしては大変うれしく存じます。
「もういちど」は、存じませんでした(私のほうこそ恥ずかしい)。まだ上映しているようなので、時間が取れたらぜひ見たくなりました!! 

投稿: SwingingFujisan | 2014年9月15日 (月) 10時23分

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