« 七月歌舞伎座千穐楽夜の部 | トップページ | 初めてのゴジラ »

2014年8月 8日 (金)

八月歌舞伎座初日第一部

85日 八月納涼歌舞伎初日第一部(歌舞伎座)
今月は一部と二部のみ。三部も見たいのだけど、なかなか日程が決まらず、のうちに終演時刻が発表になったら、とても遅すぎて…。
「恐怖時代」
初めて見るので期待していたんだけど、私の感性ではよくわからなかった。同じ殺しでも、福岡貢や源五兵衛とは全然違うんだもの。
出だしのテンポがあまりよくなくて、お銀の方(扇雀)と梅野(萬次郎)の会話のテンポが噛み合わない気がした。とくに前半は動きというよりはセリフ劇の要素が強く、お銀の方・梅野・春藤靭負(彌十郎)の3人のセリフ中心に企みが進行していくのは、私にはちょっとつらかった(舞台も薄暗いしね)。
扇雀さんはとてもきれいでニンとしてはばっちりだと思うのに、セリフがちゃんと入っていないようだったし、なんとなく精彩を欠いているように見えた。萬次郎さんのよく透る声はいつもなら大好きだけど、今回は秘密の企ての話なのにこれじゃ周りに筒抜けじゃないの?なんて心配になってしまった。
舞台がやっと明るくなってほっとした場面は水辺で、去年7月「再岩藤」のお柳の方(菊之助)が水辺に現れる場面を思い出した。比較したってしょうがないんだろうけれど、悪女としてはお銀の方よりお柳の方に私は共感を覚えるな。お銀の方の思いが私にはよくわからなかったんだもの。
七之助さんの伊織之助はぴったり。冷酷なクールビューティ男子で、「小笠原騒動」のお大の方、「椿説弓張月」の白縫姫を髣髴させる。殿を骨抜きにしたお銀の方に忠臣たち(橘太郎・橋吾?)が斬りかかった時、鳥屋から止める声がする。それを聞いた腰元たちが「あの声は伊織之助さま」と声を揃えて色めく。そしたら客席から笑いが起きた。伊織之助は「女の声を出して河原乞食の真似をしている」と橘太郎さんに罵られるほど、見た目は優男である。だからこそ冷酷さが恐ろしいんだけど、そして多分、殿の狂気を利用した殺し(命令だからやるんだ的な)が恐ろしいんだろうけど、お大の方や白縫姫のほうが私には怖かったな。それと、梅野とデキてるらしいんだけど、ピンとこなかった。ラストは「えっ、そうなるの?」という感じ。

お銀に骨抜きにされた春藤采女正(橋之助)はほんとにバカ殿で、テンションの高さが橋之助さんの甲高い声で、さらに高くなっていた。伊織之助にも「バカ殿」と罵られて殺される。バカ殿が殺人を見て狂ったように興奮する姿は実にみっともない。私にとっての恐怖は壊れちゃったこの人のほうかもしれない。
茶坊主の珍斎(勘九郎)は1人、普通の人間(臆病な小心者)で、その立場を利用されて悪巧みに加担させられる。気の毒にただただ怯えている、それが笑いを一手に引き受ける。とてもまじめに演じていていいのに、なんとなく浮いているように見えてしまった。それと、芝のぶちゃん(お由良)の父親には見えなかった。お由良は哀れであった。
彌十郎さんは役に合った存在感がよかった。
殺しで血が噴き出たり流れたり、エグいというよりはその仕組みがよくできてるなあなんていう目で見てしまった。
舞台が進化してからもう一度見れば、もっと理解できて面白いと思うのかもしれないけど、もう一度見たいともあんまり思わない(谷崎は苦手かも)。
「龍虎」
獅童さんと巳之助クンの息があまり合っていないように見えたのは、やはり初日のせいだろうか。全体にちょっとなぁ…な踊りだった。進化することを祈る。
<上演時間>「恐怖時代」135分(11001315)、幕間30分、「龍虎」20分(13451405

|

« 七月歌舞伎座千穐楽夜の部 | トップページ | 初めてのゴジラ »

歌舞伎ミーハー観劇記」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。
私も8月は1、2部のみ確保してるんです! 乳房榎は本水とか早替わりとか、見れば楽しいとはわかってるんですが、目まぐるしくてくたびれそう(え?老化!?)……。それに絶対に勘三郎さんを思い出しちゃうな、と。前回、旧歌舞伎座で見た時、地震があったことなども(けっこうこわかったけど、勘三郎のアドリブで落ち着いた)。
そういえば先月、松竹座でもなんだか勘三郎さんを思い出したんでした。平成中村座の松王丸……。好きとか嫌いとか以前に(いやもちろん好きだけど)、思った以上に記憶にいろいろ残ってるんですよね。
旧盆も近いことだし、またまた思い出してる朝でした。

投稿: きびだんご | 2014年8月 9日 (土) 10時14分

きびだんご様
おはようございます。
やっぱり「乳房榎」と言えば勘三郎さんですかしらね。私は勘九郎さんでも2度見ているのですが(勘九郎さんに勘三郎さんが重なることもしばしば)、とくに正助は勘三郎さんの顔が浮かんできます。
そういえば、歌舞伎上演中に地震が起きたということも時としてありましたね。さすがの勘三郎さんの機転だったんですね。
勘三郎さんのこと、私もよく思い出します(私の中では「判官」かな、一番心に残っているのは)。本当は「十八世中村勘三郎から習い覚えし」の「乳房榎」は見なくちゃ、なんでしょうが、静かに勘三郎さんを偲ぼうと思っています。

投稿: SwingingFujisan | 2014年8月 9日 (土) 10時44分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 七月歌舞伎座千穐楽夜の部 | トップページ | 初めてのゴジラ »