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2014年9月18日 (木)

あたたかく懐かしい日本人の生活:映画「もういちど」

916日 映画「もういちど」(浦和美園イオンシネマ)
種田陽平さん絡みではなみずき様から教えていただいて、どうしても見たくなってしまった。地震が怖くて早く家に帰りたいって気持ちはどこへやら、それになんだか眠気がひどく頭痛が始まりそうな予感も無視、見られる時に見なくっちゃということで、見てきた(案の定、翌日からひどい頭痛に悩まされていて、この時に見たのは正解。あ、映画は寝てないよ)。私ったらチケット買う時もプログラム買う時も「ふたたび」って言ってしまった。なんかタイトルがごっちゃになっていたのよね。ところで、プログラムはないのでした。作っていないらしい。以下、途中までネタバレします。
林家たい平企画の幕末の江戸長屋を舞台にした心温まる映画。長屋の人々の生活ぶりが生き生きと描かれ、登場人物がみんないい人でいながら、そこに色々な問題が起こるのが面白い(いじめっ子が2人いるんだけど、この子たちも心の中は悪い子じゃないのだ、っていうのが2カ所でわかってほっとした)。
主人公は貞吉という少年。長屋暮らしの父親は猪牙舟の船頭(猪牙舟と言えば、つい6月に見た「名月八幡祭」を思い出すではないか)。家が貧しいから、奉公に出ている。そこで丁稚仲間にいじめられて心を閉ざしていたが、冬の藪入り(っていうのも懐かしい言葉だね。もう死語?)に帰ってきて、咄家になりたいと言い出す。反対する父親が貞吉の奉公先に相談に行くと、お店の主人は3カ月修業させなさい、咄家とも親交があって落語はよくわかる自分が3カ月後に貞吉の落語を聞いて見込みがあると思ったら、咄家にさせたらいいと温情を見せる。そこで貞吉は長屋の隣に越してきたたい平について修業を始める。たい平は咄家になり損ねた男で、最初は断るが、最後は折れて貞吉に稽古をつける。この2人の交流が本当に微笑ましい。たい平は貞吉を息子のように思っていたかもしれない。でも貞吉にはちゃんと両親が揃っているから、けっして出しゃばった真似はしない。でも師匠として、咄家に必要な経験はさせてやるし(貧しくて蕎麦をほとんど食べたことのない貞吉に蕎麦をおごってやる。蕎麦食いは落語の基本だものねえ。ここの場面が実に心和む)、話も丁寧に教えてやる。そして3カ月が経ち、青空に桜が映える頃、いよいよ貞吉の落語発表会が行われる。

貞吉の福崎那由他クンが往時の神木隆之介クンを思い出させるビジュアルと真っ直ぐさで、とてもよい。貞吉の両親(ゴリ、富田靖子)がうまい(ゴリの演技は初めて見た。イケる)。大家の渡辺正行、蕎麦屋の小倉久寛、飲み屋の女将の根岸季衣(違った?)などなど、達者な人たちが貞吉と貞吉を応援する米屋の娘お菊(大野百花)を支える。エンドロールで「水谷加奈(文化放送アナウンサー)」の名前が目に入ったので、あれ、水谷さん出てたの? まさかアナウンサー役じゃないよね、ひょっとして私映画の出だし、寝ていて(映画が始まるまで目を瞑っていたから)アナウンサーが出てきたの見逃した? なんて不安に思っていたら、たい平の妻役だったらしい。う~む、気がつかなかった。
実は、たい平が落語は口移しで教えると告げると、貞吉の母親が「え、口移しって…」と変な想像をしたのだ。その時たい平がにやりと笑って「キス」と「鱚」をかけた川柳みたいなのを呟いたのね。それから、たい平の息子が「僕」って言ってたのね。それで、ひょっとして、たい平って現代から江戸時代にタイムスリップした?という疑問がず~っと残って、やっぱり出だし寝ていて肝心のタイムスリップ見逃したのか、って心配だったのだ。それはなかったみたいね。
最後に、謎の老人(金馬師匠だから、たい平の師匠だってすぐわかるけどね)の存在感が落語映画でもあるこの映画にプラスアルファをもたらす。
近所中が家族みたいな日本人の生活はあたたかく胸がきゅ~んとするほど懐かしい。でも、もうこういう時代は二度とこないと思うし、私自身、こういう世界にどっぷり浸かれる自信はない。こうして虚構の世界で思うだけになってしまったのかな、なんて思った。
たい平師匠の落語がたっぷり聞けるのが嬉しい。本当に蕎麦が食べたくなった。ラストも洒落てると思った。
種田さんが美術監修ということだが、それにしては江戸の俯瞰がミニチュアっぽいなとか、建物がこの前小金井の建物園で見て来たものに似ているなと思ったら、深川江戸資料館で撮影が行われたそうで、建物もそこにあるものを活用したのだとか。お金をかけないセットも、ミニチュアっぽいのも、案外凝縮された温かみが感じられて全然悪くない。さすが種田さんの監修ね~なんて、種田ファンの呟き。
上映時間95

いつもMOVIXで映画見ていて、予告編が始まる前の色々に飽きてきていたから、イオンの色々は新鮮だった。一番は「ブタ猫ゴリラ」の歌。「ブタはデブじゃない、体脂肪はモデル並。猫舌は猫だけじゃない、動物はみんな猫舌。五リラは胸を叩く時グーじゃない、音が聞こえるようにパーで叩く」っていうのがウケた。それから映画「ミニスキュル」のごく一部が流れて、これも面白かった。フランスのCGアニメだそうで、1匹のテントウムシが蜂を45匹をおちょくったため、追われる羽目になる。猛スピードの追いかけっこ。途中、蜂は1匹また1匹と何かに(牛の尻だったり、鉄の柵だったり)ぶつかり、落ちて行く。テントウムシが勝ち誇るのが可笑しい。
このように新鮮ではあったが、予告映画の数はMOVIXのほうが多いかも。

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コメント

ご紹介してしまった手前、お時間をお取りいただいてしまい、申し訳ない気持ちと、見ていただけて、こうしてレポートを書いて広めていただけた嬉しい気持ちと…でございます!
たい平さんだけ鬘をかぶってなかったり(金馬師匠も鬘じゃなかったですねぇ)、世界観が面白いなぁと思ったのですが、その深く考えない曖昧さが親しみやすさでもありましたね。(昇太師匠が書いてらしたんですが、落語って時代を厳密に特定しない、「曖昧な世界」だからいいんですって。「円」という単位が出てくるから明治以降かな~と思いつつも、ちょんまげの格好を想像してたり…的な。)

私も余談ですが、イオンシネマ、私も久しぶりに行きました。若手映像作家さんの作品が上演されてたり、本編見る前に、不思議な感覚になりましたね(笑)。

投稿: はなみずき | 2014年9月19日 (金) 20時58分

はなみずき様
こんばんは。コメントありがとうございます。
時間を取らせたなんてとんでもない、とっても楽しくてほのぼの心があたたまって、いい時間を過ごせました。
はなみずき様には本当に感謝しております。ありがとうございます。

そう、そうだわ、たい平さんが鬘じゃなかったから(そしておまけに金馬師匠も鬘じゃなかったし)、タイムスリップかもという疑惑(?)から離れられなかったんですわ。そのくせ「円」には反応しなかった私…coldsweats02
なるほど、曖昧な世界ね…なんか歌舞伎に通じるものがありますね。歌舞伎にも時代の特定できない曖昧なところが時々ありますよね。

たまには違う映画館で見るのも悪くありませんね。

投稿: SwingingFujisan | 2014年9月19日 (金) 22時04分

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